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  • 心理学用語(か)
     
    【か行】
    外延的意味(Denotative Meaning)
    シンボルの第一義的意味で,シンボルが意味するか指示する特定のものである(たとえば,私の住所は外延的意味である。一方,私が望ましい地域に住んでいるかどうかは,住所自体にとっては二次的な内包的意味である)。

    絵画統覚テスト(Thematic Apperception Test; TAT)
    投影法に属する人格検査。多義的に解釈することのできる絵を見せて,それに対して作られる物語から作り手の人格・行動特徴を理解しようとする技法。マレーとその共同研究者が1943年に完成させた。マレーの人格論である欲求-圧力の理論を基に分析する。

    絵画フラストレーション・テスト(Picture Frustration Study)
    投影法に属する人格検査。一方の人物が他方の人物の欲求を阻止している状況の絵が提示され,欲求不満状態の人物が何と言うかを尋ねる方法で,ローゼンツヴァイクによって考案された。

    快感喪失(Anhedonia)
    心地よい感覚が失われた状態。うつ状態などでみられる。

    下位検査(Subtest)
    いくつかの分野に分かれて検査する場合の個々の検査。

    外向性(Extraversion)
    外に向かっているという意味で,ユングによれば,リビドーが外部の人やものに向かっていることを意味し,人格の基本的類型と考えられる。一般には外部の事物,社会的事件などに注意し関心を持つ傾向のことを外向性が高いという。

    介在ニューロン(Interneurons)
    中枢神経系のニューロンで,感覚ニューロンからの信号を受け取り,それを他の介在ニューロや運動ニューロンに伝える。

    χ2検定(Chi-Square Test)
    χ2分布を用いるノンパラノトリックな統計的仮説検定法。連関表の独立性の検定や,特定の分布への適合度の検定などに用いられる。

    解釈(Interpretation)
    精神分析で,連想の流れを促進するために分析家が患者の抵抗に注意を払うこと。また,夢解釈では象徴の説明のこと。

    外傷後ストレス障害(Post-Traumatic Stress Disorder)
    戦闘や自然災害のように,通常の人間の経験の範囲を超えるストレスの強い出来事によってもたらされ,その後その精神的外傷の再体験とそれに結びついた刺激の回避,疎外感,過剰な驚愕反応傾向,悪夢,頻発する夢,ならびに睡眠困難などの症状を呈する不安障害。

    解除反応,除反応(Abreaction)
    精神分析において,緊張を引き起こした経験を(ことばや行為あるいはその両方によって)復活させることで,情緒的緊張を減少させる過程。

    外側溝(Lateral Fissure)
    左右大脳半球の側面にある深い脳溝で,側頭葉の下に位置する(同意語,シルヴィウス裂)。

    外側視床下部(Laterral Hypothalamus; LH)
    食物摂取を調節する上で重要な視床下部の領域。この部位を電気的に刺激することで,実験動物に摂食行動を開始させることができる。この脳組織を破壊すると,動物の摂食行動は停止する。

    外的妥当性(External Validity)
    研究知見の一般性に関する概念。ある研究から得られた結果を,違った母集団,状況,条件へ一般化し得る程度。研究結果を一般化できるかどうか。

    概念(Concept)
    思考や判断によってつくられるもので,はっきり限定された一般的な表象である。たとえば,建造物という概念は,家,小屋,アパート…などの個々の表象から類似なもの,共通するもの,その本質をなしているものが抽象されてつくられたものである。

    概念による刺激性制御(Stimulus-Class Control)
    刺激クラス弁別訓練を行なった結果,ある刺激クラスに属するすべての刺激の下では反応が高頻度で起こり,別の刺激クラスの下ではあまり起こらなくなること。

    海馬(Hippocampus)
    大脳皮質の下部に位置する脳組織で,ここでは新しい記憶の固定に関与している。海馬の役割は相互参照システムのそれで,脳の中にばらばらに保存されている特定の記憶要素を相互に結びつけている。

    回避-回避コンフリクト(Avoidance-Avoidance Conflict)
    2つまたはそれ以上の要求の対象が,ともに負の誘因性をもち,そのどれをも避けたいが,それができないという場合である。例えば,試験勉強がいやだが,落第するのもいやだというような場合のこと。

    快楽原則,快楽原理(Pleasure Principle)
    フロイトの精神分析理論においてイドが従う方略のことで,外的環境によらず快楽を求め苦痛を避ける。

    快楽原理(Pleasure Principle)
    快楽を求め,苦痛を避けること,最大の効用のあるものを求めようとする人間の行動原理。古くは,イギリスにおけるベンサムの功利説として,苦痛を避け快を求めようとする行動原理を言い,フロイトにおいては,緊張の高まることが不快でその緊張を解消することを快とみなされる。

    解離性同一性障害(Dissociative Identity Disorder)
    一人の人間の中に二つ以上の異なる個性または人格が存在し,交代で行動を支配する。以前は多重人格障害と呼ばれていた。

    カイン・コンプレックス(Cain complex)
    同胞間の抗争,嫉妬などのこと。イブの子,カインとアベル。カインは嫉妬で弟のアベルを殺してしまうことから。

    カウプ示数(Kaup's Index)
    『BMI』を参照。

    カウンセリング(Counseling)
    一般に指示的,支持的,再教育的な相談指導,はっきりと精神病的な疾患といえないほどの軽い行動的問題を扱う心理療法のことをいう。

    カウンターバランス(Counterbalancing)
    順序効果やキャリー・オーバー効果を相殺するための手続き。

    過覚醒(Overarousal)
    気分が高揚し過ぎ,眠れなくなったり不安で落ち着かない状態。

    学習(Learning)
    訓練の結果生じる比較的永続的な行動変化。

    学習曲線(Learning Curve)
    学習過程を図示した曲線のこと。縦軸(たて座標)は熟達の測度(単位時間あたりの作業量,単位量あたりの所要時間,間違い数など),横軸(横座標)は訓練の測度(試行数,経過時間など)を表す。

    学習障害(Learning Disabilities)
    学習障害は,知能に遅滞はないにもかかわらず,読み,書き,計算など特定の学習面に遅れがあり,そうでない面との差がはっきりしている。手先が不器用なこと。そして,学校や家庭で落ち着きがなく,集団になじめないことが特徴である。

    学習性無力(Learned Helplessness)
    自分にはどうにもならない(逃げられない)状況で,不快になる刺激を与えつづけると自分で対処することがなくなり,対処する意志も見せなくなること。

    学習性無力感(Learned Helplessness)
    生活体に回避不可能な外傷(ショック,熱,寒さなど)を与えることによって,実験的に生み出される無関心や無気力の状態。嫌悪状況を回避,逃避できないことが,その後の状況に般化する無力感を生じる。

    学習レディネス(Readiness to Learn)
    学習がうまくできるための精神的準備のこと。

    覚醒(Arousal)
    覚醒は睡眠と対をなす概念であり,目覚めている状態ないしめざめることをいう。睡眠から興奮にいたる覚醒の程度は覚醒水準(Arousal Level)といわれる。

    覚醒水準(Arousal Level)
    人が動因あるいは覚醒の最適水準を求める際に基づく原理。

    獲得(Acquisition)
    新たな反応が学習され,次第に強められる過程。

    確立操作(Establishing Operation)
    ある好子や嫌子による強化や弱化,および,それに関連した弁別刺激による行動の喚起力や抑制力に対する生体の感受性を確立する手続き。

    隠れた観察者(Hidden Observer)
    意識内に存在しない心の一部で,人の経験全体を観察しているように感じられる。

    影(Shadow)
    元型の一つ。本人が生きられなかった半面を表わすもので,夢の中では同性の人物像で現れることが多い。例えば本人が内気で淑やかな女性であった場合,影は勝気で賑やかな女性の姿を取る。本人の知人でそういう性格の女性の姿である場合も多い。夢の中で影に出会った場合,影に対して嫌悪感や恐怖感を抱く。これは本人は今までしとやかな女として生きて来たが,心の中では自分も活発でありたいという気持ちも存在し,しかしそういう生き方を自分自身が受け入れることができないままである,ということを示している。

    仮現運動(Apparent Motion)
    動いていないのに動いて見える見かけの運動現象。

    過剰修正(Over Correction)
    不適切な行動に対する随伴性のひとつで,不適切な行動が起こったならばそれに関連した努力を要する良い行動をやらせるというもの。

    過食(Bulimia / Hyperphagia / Overeating)
    暴食のエピソードを繰り返し(一定期間に多量の食べ物を早食いする),摂食後には嘔吐や下剤で食べ過ぎたものを排出する病態。

    下垂体(Pituitary Gland)
    視床下部直下の脳に繋がる内分泌腺で,下垂体前葉と下垂体後葉で構成される。下垂体前葉は,成長や他の内分泌腺の調節を行うので非常に重要な部分である(同意語,脳下垂体)。

    カスパー・ハウザー(Kaspar Hauser)
    ドイツの素性の不明な野生児。16歳頃に保護されるまで長期に渡り牢獄に閉じ込められていた。発見後に教育を施されて言葉を話せるようになり自己の生い立ちを語り出すようになったが,その全貌が明らかになる前に暗殺されてしまった。

    仮性幻覚(Pseudo Hallucination)
    幻覚のなかでも実際のものとしての感覚が薄いもの。

    仮説(Hypothesis)
    現象や,そこに介在する変数間の関係を,統一的に説明するために設けた仮定。それは実験的検証に供することができ,それによって支持されたか否かが確認されるような形式で表現されなければならない。仮説を統計的に証明する場合は否定の論法をとり,実験仮説“ⅩaとⅩbの間に差がある:Ⅹa>ⅩbまたはⅩaくⅩb”を証明したいときは,反対の“ⅩaとⅩbの間に差はない:Ⅹa=Ⅹb”という統計的仮説を設ける。この仮説が,一定の基準以下の確率でしか起こらないまれな関係(事象)であるときは,統計的仮説を棄却し,実験仮説を受け入れる。統計的仮説は棄却されることを目的として立てた仮説という意味で,帰無仮説(null hypothesis)とよび,帰無仮説以外の仮説,“Ⅹa>Ⅹb”,“Ⅹa<Ⅹb”,“Ⅹa≠Ⅹb”を対立仮説(alternative hypothesis)という。

    仮説検証(Hypothesis Testing)
    情報を収集し,ある現象についての対立的説明を検証すること。

    仮説構成体(Hypothetical Construct)
    推測される媒介機構の一形態,構成体は改めて説明を要する属性を有するものではなく,それ自体の属性を持つものと考えられる。たとえば,剥奪された生活体の行動から推論される動因が,その後の行動の説明に使われる。

    可塑性(Plasticity)
    適切な教育を受けることにより可能となる素質のこと。

    形の恒常性(Shape Constancy)
    見慣れた対象は見る角度に関係なく同じ形に見える傾向。

    偏り(Imbalance)
    不均衡,ずれがあること。

    カタルシス(Catharsis)
    浄化と訳される。一般的には,苦痛や悩みなどを言葉に出して表現するとその苦痛や痛みを解消することができることをいう。精神分析の歴史において,その初期の段階では,抑圧されたり,差し控えたりしてきた感情を表出することの治療的意義を強調した。

    価値(Value)
    学習性と非学習性の好子と嫌子。

    価値変容(Value Change)
    対提示手続きによってある刺激・出来事・条件の好子や嫌子としての機能が変わること。

    活性化モデル(Activation Model)
    記憶における項目検索は,項目の活性化が臨界水準に達することによるという提案。

    葛藤(Conflict)
    対立あるいは互いに相いれない衝動,欲求,行動傾向が同時に存在すること。

    活動性の増大(Increased Activity)
    活発に動き回ったり,意欲が亢進している状態。躁状態などでみられる。

    活動電位(Action Potential)
    樹状突起部から軸索の末端まで伝達される電気化学的インパルス。

    カテゴリー化(Categorization)
    対象を概念に割り当てる過程。

    寡動的(Day Dreamer)
    運動過剰的。

    かのようなパーソナリティ(As If' Personality)
    状況に対して,まるで自分が正常な情動反応をしてでもいるかのように行動する,分裂的性格のタイプ。

    カフェテリア実験(Cafeteria Experiment)
    動物の食嗜好や特殊飢餓の効果を調べる実験場面を指す。成分既知の食物を各種自由に選択して摂れるように常時与えておき,摂取量や順位を観察・測定するもの。

    過眠(Hypersomnia)
    通常必要とされる睡眠時間よりも異常に長時間の睡眠をとっている状態。

    仮現運動(Apparent Movement)
    実際には動いていないのに動いているように見える現象を仮現運動という。例えば,映画のフィルムは実際には動いていない画像の連続であるが動いているように見える。これは,前の画像から次の画像まで一瞬の間に少しだけずらしている為に生じる。

    カリギュラ効果(Caligula Effect)
    禁止されたことをあえてしてしまう行動。禁止されることで逆に規則を破りたいという欲求が大きくなったり,期待や妄想が大きくなるらしい。カリギュラ効果の語源は映画「カリギュラ」がボストンで上映禁止になったことがかえって話題を呼んだことかららしい。

    ガルシア効果(Garcia Effect)
    味覚嫌悪学習とも言われる。特定の食物の味覚とその後の気分不快との関係を容易に学習すること。

    渇き(Thirst)
    水分欲求の心理的表現。

    感覚(Sensations)
    単純な刺激と結びついた経験。

    感覚運動期(Sensorimotor Stage)
    乳児が,自分の行動とその結果との関係を発見するのに忙しい時期。

    感覚過程(Sensory Processes)
    知覚系の下位過程であり,感覚器と密接に結びついている。感覚過程は,われわれに影響する刺激について選択的フィルターを通過した情報を提供する。高次水準の過程はこの情報を用いて場面の心的表象を形成する。

    感覚言語中枢(Sensory Speech Center)
    言語を聞いて理解する大脳の部位。

    感覚失語(Sensory Aphasia)
    錯語,同じ言葉の繰り返しが多く,聞いて理解する能力が劣る,コミュニケーション障害。

    間隔尺度(Interval Scale)
    間隔尺度とは,測定値間の差の関係は成り立つが,比の関係は成り立たない尺度を間隔尺度または距離尺度という。間隔尺度で測定したデータは量的データと異なり,平均値,相関係数などを求めることができる。

    感覚順応(Sensory Adaptation)
    刺激が長期間与えられることで生じる感受性の低下と,刺激の欠如によって生じる感受性の増加。この現象は視覚,嗅覚,味覚,温度感覚においてとくに顕著である。

    感覚神経性聴力損失(Sensory-Neural Loss)
    低周波よりも高周波で閾値の上昇(感度の損失)が大きくなる聴力障害。

    感覚ニューロン(Sensory Neuron)
    生活体に環境や身体内部の出来事を知らせる,感覚受容器から脳や脊髄に信号を伝えるニューロンや,神経細胞のこと(同意語,求心性ニューロン)。

    感覚様相(Sensory Modalities)
    個々の感覚。

    喚起的相互作用,喚起性相互作用(Evocative Interaction)
    個人の行動が他者から異なる反応を引き起こすために生じる個人と環境との相互作用。

    眼球運動(Eye Movement)
    眼球の動き。テキストを読んでいる最中の眼球の運動は,滑らかな移動ではなく,停留とサッケード(跳躍運動)を繰り返している。これが1秒当たり4,5回生じ,一回の停留時間は100~150ms,サッケードの大きさは2~5文字程度である。アイカメラを用いることによって,眼球運動を測定し,被験者が読解中に,どこを注視しているか等を調べることができる。読解中の各単語の注視時間(gaze duration)を調べた実験では,単語の長さに関係なく,出現頻度の高い単語ほど注視時間が短いことが報告されている(Just  & Carpenter, 1987)。

    環境因子(Environmental Factors)
    自然環境(気候や地勢),人工環境(道具,家具,建築環境),社会の態度,習慣,規則,習わしや制度,そして他者から構成される,人の人生と生活にとってのバックグラウンド。

    環境要因(Environmental Influences)
    生活に関わる物理的条件,化学的条件,生物学的条件,社会的条件そして人的条件。

    関係念慮(Idea of Reference)
    自分には直接関係のない出来事を,自分に関係づける考え。

    間歇強化(Intermittent Reinforcement)
    部分強化。

    還元主義(Reductionism)
    心理学的概念を生物学的概念に還元する考え方。

    観察(Observation)
    事象に関する経験的事実を記録し,法則との関係づけを行なう認識活動。事象に人為的な操作をいっさい加えず,自然に生起するままに記録を収集する場合を,自然的観察(naturalistic observation)という。事象を選択し,記録・分析を多面的・計画的に行なう観察を,組織的観察(systematic observation)という。

    観察学習(Observational Learning)
    学習の研究は,主に,孤立した被験者に対して正や負の強化を与えることによる行動の変容を検討してきた。しかし,バンデューラは,直接強化を受けなくても,他者の行動を観察することのみで学習が成立することを示し,「観察学習」と呼んだ。

    観察者間一致率(Interobserver Agreement)
    2人以上の独立した観察者による記録間の一致度。

    観察法(Observational Method)
    変数の実験的操作なしで,自然に生じる事象を研究する方法。たとえば,鳥の巣づくりの研究や,遊び場面での子どもの行動を観察すること。

    干渉(Interference)
    長期記憶からの情報検索を妨害する要因のことで,別の項目が同じ検索手がかりと結びつくときに生じる。たとえば,複数項目の一つを検索しようとすることは,別の項目をうっかり検索することによって阻止され得る。

    感情の評価理論(Appraisal Theories of Emotion)
    この理論によると,状況に対して行われる認知的評価が,その状況に応じた情動を決定すると考えられている。

    感情経験(Affective Experience)
    快か不快の,弱いか強いかの感情経験を意味する。

    情動失禁(Emotional Incontinence)
    些細なことですぐ笑ったり,泣いたり,激怒したり情動が過度に発現される状態。脳障害,痴呆症などでみられる。脳障害,痴呆症などでみられる。

    感情転移(Transference)
    患者が自己の感情反応の対象を治療者に向ける傾向。

    感情鈍麻(Blunted Sffect)
    普通なら感情反応が引き起こされるような刺激があるのに,感情が起こらない状態をいう。

    桿体(Rod)
    目の無彩色感覚のみを媒介する網膜の構成要素の一つで,とくに周辺視や暗所視に重要である。

    間脳(Diencephalon)
    大脳皮質の下に位置する神経核群で,記憶に関係している。

    γ-アミノ酪酸(Gamma-Aminobutyric Acid; GABA)
    γ-アミノ酪酸(ガンマ・アミノらくさん)または4-アミノ酪酸(IUPAC名 4-aminobutanoic acid)は,アミノ酸のひとつで,主に抑制性の神経伝達物質として機能している物質である。γ-アミノ酪酸には4種類の異性体が存在する。英語名のγ(gamma)-aminobutyric acid の頭文字をとった略称 GABA(ギャバと読む)が一般的に広く用いられている。脊椎動物の中枢神経系では,主に海馬,小脳,脊髄などに存在し,また節足動物・甲殻類でも神経伝達物質として用いられている。シナプスでは,シナプス前膜から放出され,後膜の膜上にあるGABAに対する受容体蛋白質と結合して作用を発揮する。GABAは,脳内でグルタミン酸のα位のカルボキシル基が酵素反応により除かれることによって生成される。また,血液脳関門を通過しない物質であることがわかっており,体外からGABAを摂取しても,それが神経伝達物質としてそのまま用いられることはない。また一部では興奮性の神経伝達物質として機能することも明らかとなった.。

    顔面フィードバック仮説(Facial Feedback Hypothesis)
    感情(情動)の主観的経験は特定の表情をすることによって引き起こされる生理学的覚醒からのフィードバックにより決定されるという仮説。

    緘黙症(Mutism)
    自閉症など器質的,機能的原因や心理的要因により話せなかったり,話さない症状。

    記憶痕跡(Memory Trace)
    何かが学習されたときからそれが再生されるときまで持続する神経系内に推定される変化。

    記憶の減衰(Memory Decay)
    短期記憶における忘却の主要な原因で,短期記憶内では情報が単に時間の経過とともに減衰する。

    記憶範囲(Memory Span)
    項目を順序通りに再生できる最大の数(ほとんどの場合5~9の間にある)。

    飢餓動因(Hunger Drive)
    食物剥奪に基づく動因。

    危険因子(Risk Factor)
    障害などを引き起こしやすい要素。

    既視体験(D?j? Vu)
    初めてみるものを今までに見たことがあるように体験するもの。

    気質(Temperament)
    性格の基礎にあたる,感情面の先天的な傾向をいう。

    器質的健忘(Organic Amnesia)
    疾病やアルコール中毒,薬物中毒,老化などによって生物学的な脳の損傷が起きるために生じる,永続的な記憶喪失の形式。

    器質的障害(Organic Disturbance)
    諸気管ないし構造に何らかの損傷を受けている状態。

    希死念慮(Suicidal Ideation)
    死にたいという考え。

    記述統計(Descriptive Statistics)
    生データの集積を構成したり合計する手続きのための一般的な名称。最も一般的なものは平均値と標準偏差である。この手続きは,単にそのデータの特徴を記述するだけで,それについて何の推論も行わない,記述的といわれる。

    記述統計学(Descriptive Statistics)
    度数分布など記述表現によりその集団の特性を示す。

    基準(Criterion)
    (a)予測的検査の成否を確かめるための一組の得点やその他の記録のこと。(b)学習課題で達成されるべき目標として選定された標準のこと。たとえば,迷路の習得の指標としての,過誤なしの迷路走行回数。

    基礎水準(Basic Level)
    概念の階層で,人が最初に対象を分類する水準。

    基準問題(Criterion Problem)
    評価する概念の「真の」測度として研究者の採用できる基準行動がない条件で検査や査定器具を妥当なものにする際に生じる困難さ。

    基準率法則(Base-Rate Rule)
    確率論の法則では,もの(人や物)が同じ階層の成員である確率は,階層の成員の増加にともない高くなる。実世界の状況について理由づけする際,この法則は人によって破られる場合が多い。

    希少性の原理(Scarcity Principle)
    人間は手に入れにくいものの価値を高く評価する傾向にあるというもの。

    擬似連合(Spurious Association)
    二刺激間の考えられるが,実在しない関係。学習者は完全とは言えない関係を学習しようとする際にこのような関係を頻繁に報告する。

    帰属(Attribution)
    他者の行動を説明しようとする過程。帰属理論は,観察された行動の原因を推測するために人が用いる規則を取り扱う。

    帰属スタイル(Attributional Styles)
    生活上の出来事の原因についての説明スタイル。

    帰属理論(Attribution Theory)
    人の行動や自分がしたことについて,その原因を考えることがあるが,この原因を考える過程についての研究知見を一括して帰属理論という。

    吃音(Dysphemia)
    発音の流暢性が阻害され,不随意的に同一音の繰り返しや引き伸ばし,ブロッキングなどが起こる現象をいう。器質的な異常の発見されることは稀で,心因性のものが多いとされる。原因は明らかではないが,発音が十分にコントロールされていないよう児期における発声の失敗などを通じて経験され,それを指摘されたり,親がこの点について過剰に不安がることなどによって,症状として定着することも多いとされる。

    帰納(Induction)
    特殊から一般へと推論的に進展させる論理体系。個々の実験研究で得られる結果は,はとんどの場合特殊な情報である。この特殊な情報から,一般的状況を推論したり,ある行動事象の発生を予知するための一般法則を導き出すまでに普遍化させるための推論をさす。

    帰納推理(Inductive Reasoning)
    前提が真なら結論は偽となり得ないという議論についての推論。

    機能性幻覚(Functional Hallucination)
    ある知覚と平行して幻覚がおこること。

    機能的健忘(Functional Amnesia)
    不安やヒステリー,抑圧のような心理学的な要因によって引き起こされる,重度の記憶喪失。

    機能的障害(Functional Disturbance)
    病理的要因により,精神・神経的,身体的機能に低下をきたしている障害。

    帰納法(Induction)
    特殊な事例から出発して,一般的な法則にいたろうとする思考法。

    気分障害(Mood Disorder)
    気分の障害によって特徴づけられる精神障害で,抑うつ,躁(過度の高揚)や,両極端の気分を経験する双極性障害などがある。

    基本的な帰属の誤り(Fundamental Attribution Error)
    状況が個人の行動に及ぼす影響を過小評価し,その人の個人的特徴のせいにしてしまう傾向。

    帰無仮説(Null Hypothesis)
    統計的検定をおこなうために,まずはじめに立てられる仮説を帰無仮説と呼ぶ。統計的検定は,帰無仮説を棄却することによって,求める結論を得ようとすることが多いので,「反応はランダム」,「平均値は0],「創刊は0」など消極的意味をもつ仮説が採用されることが多い。

    記銘(Memorization / Impression)
    記憶の構成要素。経験を印象として刻み込むこと。

    きめの勾配(Texture Gradient)
    奥行きを直接的に知覚するための手がかり。視野の表面を見ているとき,そこに表れている要素の密度が高くなるに従い,奥行きの印象が生じる。

    逆転移(Counter-Transference)
    医師が患者に向ける感情的な態度や反応のうち,医師が意図的に行っているものではないものを逆転移という。

    逆向き解決法(Working Backwards)
    問題解決方略の一つで,目標から現在の状態に向かって逆向きに解決していく。

    客観性(Objectivity)
    複数の観察者がさまざまな条件下で繰り返し観察しても,常に同じ結果が得られるような性質。

    客観的不安(Objective Anxiety)
    直面する脅威に見合った恐れ。

    逆向干渉(Retroactive Interference)
    先に学習したものの再生が後から学習したものによって妨害されること。

    逆行健忘(Retrograde Amnesia)
    健忘を引き起こす外傷以前の期間に起きた出来事や経験の記憶が喪失すること。

    逆行催眠(Backward Movement Hypnosis)
    催眠下で,それ以前の年齢に戻ったという暗示を受けることにより,過去の事件を思い出したり再体験すること。「年齢退行(エイジ・リグレッション)」。

    逆行性健忘(Amnesic Syndrome)
    意識障害があった期間だけでなく,その前の期間にまでさかのぼって健忘が起こる。

    逆備給(Counter Cathexis)
    通常は外に向かうリビドーが対象から今まで向けてきた興味・関心を切り離し,リビドーを引き上げることを逆備給と呼んでいる。いわゆる反動形成の一つである。

    キャノン・バード説(Cannon-Bard Theory)
    キャノン(W. B. Cannon)とバード(P. Bard)によって提唱された情動の古典的理論。この理論では,情動-産出刺激は皮質と身体反応を同時に活性化する,すなわち身体的変化と情動的経験が同時に起きると考えられている。

    ギャバ(GABA)
    『γ-アミノ酪酸』を参照。

    キャリー・オーバー効果(Carry-Over Effect)
    従属変数の測定を繰り返し行なう研究で,疲労や,練習,実験中に入手した知識などによる累積的な影響が混入することによって,測定値の変動が独立変数の効果によると認められなくなること。

    ギャングエイジ(Gang Age)
    小学校の中学年から高学年頃にかけて,子どもたちは急速に仲間意識が発達し,多くは同年齢の児童と閉鎖的な小集団を作って,そこで遊びや活動をすることを喜びとするようになる。この仲間は,家族以上に大きな影響を持つものであって,大人から干渉されない自分たちだけの集団であることを望んでいる。このような時期を徒党時代・ギャングエイジと呼ぶ。

    嗅覚(Olfactory)
    においの感覚。

    嗅球(Olfactory Bulb)
    嗅覚(におい)にかかわる脳領域で,鼻腔にある受容器と嗅皮質の間の中間点に存在する。

    求心性ニューロン(Afferent Neuron)
    感覚器官や末梢の感覚受容器からの刺激を脊髄や脳など中枢に伝達する知覚神経のニューロン。

    急速眼球運動(Rapid Eye Movements(Rems))
    通常は夢を見ているときに生じる目の動きで,被験者の目の横や上に小さい電極を付けることによって測定できる。これらの電極は眼窩の眼球運動に結びついた電気的活動の変化を記録する。

    協応運動(Coordinate Movement)
    目と手,手と足等,2つ以上の身体器官が協応して機能すること。

    強化(Reinforcement)
    (a)古典的条件づけでは,条件刺激に続いて無条件刺激を提示する実験手続きのこと。(b)オペラント条件づけでは,オペラント反応の出現に続いて強化刺激を提示する,(a)と類似の実験手続きのこと。(c)これらの操作の結果として,条件づけが強められる過程のこと。

    境界性人格障害(Borderline Personality Disorder)
    児童期あるいは青年期から慢性的に気分,他者との関係,ならびに自己認識の不安定さを呈する精神障害の一つ。

    強化刺激(Reinforcing Stimulus)
    古典的条件づけでは,無条件刺激のこと。オペラント条件づけでは,オペラント反応を強化する刺激(強化子)。

    共感(Empathy)
    ある人が苦しんでいるのを見ると苦しみを感じ,そしてその人の苦しみがなくなると安堵を体験すること。

    矯正的(Correctional)
    逸脱したものを規準の中に戻す作用。

    強迫観念(Obsessions)
    不安を生じさせる嫌な考え,イメージ,衝動が執拗に頭に浮かぶこと。

    強迫神経症(Obsessive Compulsive Neurosis)
    強迫神経症は,自分自身でもばかげており,不合理であると思っている観念。

    強迫神経症的防衛(Obsessional Defences)
    衝動などによって自我が汚染されてしまうことから回避する防衛。反動形成,隔離,取り消しなどの防衛機制が含まれる。

    恐怖症(Phobia)
    神経症のひとつ。赤面恐怖,対人恐怖,高所恐怖,乗り物恐怖,不潔恐怖など,普通あまり恐怖の対象と考えられていない対象や状況に対して必要以上に強い恐怖を抱き,身動きが取れなくなるものである。

    局在機能,機能局在(Localized Functions)
    行動が脳の既知の領野によって制御されていることで,たとえば,視覚の機能は後頭葉に局在化されている。

    拒食(Food Refusual)
    食欲の異常ではなく,食欲があるのに摂食を拒否するもの。

    巨人症(Gigantism)
    平均よりも2標準偏差を越えているか,97パーセンタイル値を越えるような高身長を示す児童の状態をいう。原因は,1)原発性(体質性),2)内分泌性,3)染色体性がある。高身長の小児の大部分は1)が原因である。内分泌性のものには成長ホルモン放出因子の分泌過剰(視床下部性巨人症),成長ホルモンの分泌過剰(下垂体性巨人症)を原因とするものがある。染色体異常が原因となるものには,骨格異常,水晶体亜脱臼,心血管系異常を3大主徴とするMarfan症候群(常染色体優生遺伝);Klinefelter症候群(基本型は47+XXY),XYY症候群がよく知られている。

    空間周波数(Spatial Frequency)
    知覚においては,明暗の縞模様における暗縞間の距離のこと。空間周波数は,視覚分解能の決定因である。

    空間視力(Spatial Acuity)
    形の細部を見る能力。

    空間知覚(Space Perception)
    視空間,聴空間,触空間等の対象の位置や大きさ,距離等の空間的特性についての認知。

    空間定位(Spatial Localization)
    視覚対象がどこにあるかを決定すること。

    空中浮揚(Levitation)
    すでに科学的に知られている物理的な力によらずに,自分を,あるいは他の人や物体などを空中に浮き上がらせること。

    偶発的強化(Accidental Reinforcement)
    偶然ある行動に好子が随伴して強化してしまい,それが維持されること。

    具体的操作段階(Concrete Operational Stage)
    ピアジェの認知発達の第3段階(7~11歳)で,この期間中に子どもは論理的思考と保存ができるようになる。

    グリア細胞(Glia Cells)
    脳組織の大部分を構成する支持細胞(ニューロンではない)で,最近ではグリア細胞が神経伝達の役割を果たす可能性も指摘されている。

    グリシン(Glycine)
    グリシン(NH2CH2COOH)とは,アミノ酢酸のことで,アミノ酸の中で,タンパク質を構成するアミノ酸の中で最も単純な形を持つ。

    グルタミン酸(Glutamate)
    重要な興奮性の神経伝達物質として作用するアミノ酸。

    クレッチマーの分類(Kretschmer.E)
    精神分裂病,躁うつ病,てんかんの患者の体格と病前性格には一定の特徴があると考えた。太り型体型は循環気質(Cyclothymic Temperament),やせ型体型は分裂気質(Schizothymic Temperament),闘士型体型は粘着気質(Viscous Temperament)と考えられている。

    クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob Disease; CJD)
    異常蛋白プリオンによる感染症と考えられる脳の変性疾患。説明に詳細解説。

    訓練の転移(Transfer of Training)
    あるときある場所で訓練された行動が,その後でもまた別の場所でも生じること。

    エドガー・ケイシー(Edgar Cayce)
    アメリカの“眠れる予言者”。彼は催眠下では別人のようになり,多くの難病を診断して治療法を教えた。また相手の前世や,人類の過去や未来などに関するリーディング(一種のお告げ)をも行った。なかでも,失われた大陸アトランティスの浮上と,日本沈没に関する予言は有名である。

    形式的操作段階(Formal Operational Stage)
    ピアジェの認知発達の第四段階で,子どもは抽象的規則を使うことができるようになる。

    継時処理(Successive Processing)
    脳における情報処理の仕方の1つで,刺激を順番に処理する。

    系統的脱感作(Systematic Desensitization)
    『系統的脱感作法』を参照。

    系統的脱感作法(Systematic Desensitization Therapy)
    1950年代初期にウォルピによって開発されたもので,恐怖症,不安神経症などに適用されている。これは,人間は恐怖や不安状態のとき,それに拮抗する筋弛緩という反応を同時に行うことができないという原理に基づいている。そこで生理的に不安が抑制される状態,すなわち筋弛緩状態を患者にとらせ,不安を引き起こす刺激を弱いものから強いものへ段階的に繰り返し提示することで,恐怖や不安反応を克服することを目指す治療法である。

    系列位置効果(Serial Position Effect)
    一定の系列を構成している材料の記銘学習では,系列の初めと終わりの部分がまず記銘されて,中央部分の記銘は遅れるという現象が生ずるが,これを系列位置効果という。

    ケースワーカー(Case Worker)
    専門的にケースワークに従事する人。ソーシャルワーカー。

    ゲシュタルト心理学(Gestalt Psychology)
    ヴントの構成心理学打倒を目指して,20世紀初期にドイツで中心にして起こった急進的な運動から生まれた心理学。構成心理学の要素主義,連合主義の考え方に反対し,全体は部分の寄せ集めではなく,まず全体があって部分はその全体に依存して現われると主張した。この全体性をゲシュタルトという。

    血圧(Blood Pressure)
    血管壁に対する血液の内圧。刺激に続く血圧の変化は,情動の表示器として役立つ。

    欠陥状態(Defect State)
    統合失調症において,病気の進行が停止したとき,精神障害の程度が軽いものをいう。

    欠伸(仏:Habsence)
    意識欠損を主徴とするてんかん発作。

    欠損値(Missing Data)
    観測する予定でありながら,何らかの理由で観測することのできなかったデータ。

    ゲルストマン症候群(Gerstmann)
    手指失認・左右障害・失書・失算等を特徴とする,ゲルストマンにより指摘された症候群。

    幻覚(Hallucinations)
    関連するか,適切な外的刺激が存在しない状態での感覚経験。

    幻嗅(Olfactory Hallucination)
    嗅覚の幻覚。あるはずのないにおいがする。

    原光景(Primal Scene)
    子供が親の性交を見たり,空想したりすること。父親が母親に残酷なことをしていると思い,外傷となる。

    言語行動(Verbal Behavior)
    言語共同体の他の成員のオペラント行動を介した強化によって形成・維持されているオペラント行動で,強化をもたらすオペラント行動はその言語共同体特有の行動随伴性のもとで習得されたものである。

    言語中枢(Speech Center)
    大脳皮質に存在する言語を司る領域。

    言語聴覚士 言語療法士(Speech Therapist)
    何らかの原因で言語障害や難聴,失語,言語発達遅滞などの言語・聴覚の障害のある人に対し,専門的な訓練・指導を行い,機能回復や障害の軽減を図る専門職の国家資格。

    顕在記憶(Explicit Memory)
    過去の出来事の意識的な想起の基礎となる記憶。

    顕在的内容(Manifest Content)
    覚えている夢の内容,登場人物や彼らの行為で,これは,推論された顕在的内容とは区別される。

    嫌子(Aversive Condition)
    反応の直後に消失するとその反応の将来の生起確率を高めるような刺激・出来事・条件(負の強化子,嫌悪刺激)。

    幻視(Visual Hallucination)
    視覚の幻覚。実際にはないものが,あるように感じられる。

    幻肢痛(Phantom Pain)
    切断されて存在しない四肢の末端に疼痛を訴えるもの。

    幻聴(Auiditory Hallucination)
    聴覚の幻覚。ない音が聞こえるように感じる。

    健忘(Amnesia)
    記憶の部分的な喪失。

    現量値曲線(Distance Curve of Growth)
    『成長曲線』を参照。

    コア(Core)
    ある概念の成員を決定する上でより本質的な属性を含む概念の一部。

    抗うつ薬(Antidepressant)
    神経伝達物質であるノルエピネフリン,および/または,セロトニンの作用を高めることによって抑鬱状態にある人の気分を高めるために使用される薬。たとえば,イミプラミン(トフラニール)やイソカルボキサジド(マルプラン),フルオキセチン(プロザック)などがある。

    構音障害(Articulation Disorder)
    その国の音韻を出すことが不完全な症状。

    効果の法則(Law of Effect)
    ソーンダイクが,学習の原理として,ある場面で学習者が行った反応が満足をもたらす結果と結びつけば,より反応し,逆に不快や不満と結びつけば,場面と反応との関係は弱まってその反応を避けるようになると考えた。このようにある場面での被検体の反応がその効果の評価と結びついて学習が行われるとする考え方を言う。

    交感神経系(Sympathetic System)
    脊髄の胸椎,腰椎部から始まる神経線維を持ち,脊髄の左右にある神経節連鎖によって特徴づけられる自律神経系の一つ。感情(情動)的興奮に関係するが,その作用は副交感神経系と拮抗する。

    後期選択(Late Selection)
    生活体が入力情報の意味を決定した後の,認知の後半段階で生起する選択的注意。

    攻撃(Aggression)
    他者を傷つけたり(身体的,あるいは言語的に),ものを壊したりしようとする行動のこと。

    攻撃の置き換え(Displaced Aggression)
    欲求不満の原因であった(あるいは原因である)人や物以外に対する攻撃。

    高原現象(Plateau)
    複雑な内容の学習の過程において一時的な停滞が起こる現象である。学習に対する構えの変換や高次の内容に着目することによって,この状態を脱して再び成績が上昇する。モールス信号の受信の学習経過にその例が示されることがある。

    交互作用(Interaction)
    2要因以上の実験計画や分散分析において,ある独立変数の効果が,他の独立変数の水準によって異なること。

    後催眠暗示(Posthypnotic Suggestion)
    覚醒後,指示された方法(通常,前もって指示された合図)で被験者が行為を遂行するように,催眠にかかった被験者に対して与える暗示のこと。被験者の行動,すなわち後催眠反応は,通常被験者がその行動の理由に気づくことなく行われる。

    後催眠健忘(Posthypnotic Amnesia)
    催眠をかけられた人は催眠中に起きたことを忘れてしまい,思い出すよう合図を受けるまで催眠中に起きたことを思い出せないという後催眠暗示の独特の一形式。

    好子(Reinforcer)
    反応の直後に提示されるとその反応の将来の生起確率を高めるような刺激・出来事・条件(正の強化子)。

    光色素(Photopigments)
    桿体と錐体(眼球の受容器)に含まれる化学物質。これらの化学物質が光を吸収すると,神経インパルスを生じるプロセスが開始される。

    高次条件づけ(Higher-Order Conditioning)
    中性刺激を条件刺激と対提示することで条件刺激に変える。

    好子の減衰(Reduction)
    すでに起こっている反応を維持したり特定の反応パタンを確立するため好子の種類や量を変えること。

    恒常刺激法(Method of Constant Stimuli)
    感覚閾値を決定するための精神物理学的方法。閾値付近で変化させた刺激値を被験者に反復的に提示し,被験者がそれらに気づく割合を調べる。

    口唇期(Oral Stage)
    フロイトの精神分析理論においては,心理性的発達の第一期。この時期,母親の乳房を吸うときのように,快楽が口や唇からもたらされる。口唇期は,吸う,噛むという活動が主体で,外界のものを自己の中に取り入れることを特徴とする段階である。この時期に著しい快を覚えたか,あるいは著しい不満を残したかといった固着のあり方は,甘え,依存あるいは取り入れないための拒否など,愛情の取り入れの様相と深い関係がある。

    口唇的性格(Oral Character)
    楽天主義,悲観主義,不機嫌,抑うつ,おしゃべり,貪欲など。

    構成概念(Construct)
    一般には概念(concept)という用語と同義語。観察可能な行動から推論したもので,事象を統合的に説明したり予測するのに用いられる。つまり構成概念それ自体は観察できないが,観察できる行動をそれによって説明できるという理由で想定されているものである。たとえば「心配」はそれ自体は観察できないが,悩み,不安感のような情動の高ぶりを生じさせる心的メカニズムと想定される。

    構成失行(Constructive Aparaxia)
    構成行為の障害で,操作の空間的位置づけが侵され,図形を描くことや積み木で形を組み立てることがうまくできない。

    抗精神病薬(Antipsychotic Drug)
    精神病の症状を改善する薬で,統合失調症の治療には頻繁に使われる。例えば,フェノチアジン系のクロルプロマジン(ソラジン)やフルフェナジン(プロリキシン)などがあげられる(同意語,神経遮断薬)。

    構成心理学(Structural Psychology)
    ドイツの心理学者ヴントによって始められた心理学。心理学の対象を意識であると考え,自分自身の意識過程を観察する内観法を強調し,複雑な意識過程も単純な心的要素に分析された後,再結合されることにより,その構成をさぐることができると考えた。その後,ヴントの学説に反対する考えが次々と生まれ,現代心理学の諸学派が誕生した。個人差同一事象を観察した場合でも,個々の人によって反応時間に差があるように,個人の諸特性にみられる差異のことをいう。

    抗てんかん剤(Phenobarbital)
    てんかんを抑制する薬の一種。

    行動(Behavior)
    他の生活体や実験者の使用する器具によって観察できる生活体の活動。主観的・意識的経験についてなされた言語報告も行動に含められる。

    行動化(Acting Out)
    無意識の願望ないし衝動が,行為に直接現れることをいう。記述精神病理学では,衝動行為とよばれる。

    行動主義(Behaviorism)
    20世紀初頭にアメリカではワトソンが,ヴントの構成心理学を批判し,心理学はまず実証可能な自然科学の一分野であるべきであり,内観法の代わりに客観的な行動の観察を心理学の中に取り入れるべきだとする立場をとる行動主義を唱えた。行動主義が研究対象とするのは意識ではなく,刺激(S)と反応(R)であり,行動を予測し制御することが心理学の目的であると考えた。このため,ワトソンの心理学はS- R心理学とも呼ばれている。

    行動障害(Behaviour Disorders)
    本人や他人に問題を呈するさまざまな形態の行為。

    行動随伴性(Behavioral Contingency)
    ある条件の下である行動をするとある環境の変化が起こる,という行動と環境との関係。

    後頭葉(Occipital Lobe)
    大脳半球の一部分で,頭頂葉や側頭葉の後部に位置する。

    行動療法(Behavior Therapy)
    その考え方の基本に,学習理論があり,不適応行動は誤った行動を学習してしまった結果と考え,その誤った行動を消去すること,あるいは新しい行動を学習することによって治療を行う方法。

    後脳(Hindbrain)
    脳の後ろもしくは後部に位置する全ての組織で,脊髄に最も近い。

    後脳注意組織(Posterior Attentional System)
    特定の場所に選択的に注意を向ける能力を媒介する脳の後部にある神経組織。

    光背効果(Halo Effect)
    好き嫌いといった特徴の一方向に,その人に対する知覚が歪んでしまう傾向。

    広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders; PDD)
    通常,3歳までに確認される脳の発達障害で,他人の感情への反応が乏しい,模倣行動をしないなどの社会的相互反応における質的欠陥。非言語的および言語的コミュニケーションの欠如あるいは異常,ごっこ遊びをしないなどといった意志伝達と想像上の活動の欠落。常同的な身体活動,おなじ遊びをし続ける,衣類・食事の好みの偏りなどの活動と興味の範囲の著しい狭小化。以上の3つを特徴とする症候群を広汎性発達障害という。発症率は0.6~1%で,男女比は男4~8:女1と男性に多い。言語の獲得も悪いケースが多い。特に幼児期~学童期に多動性障害を示し,教育現場で大きな問題になっている。

    抗不安薬(Antianxiety Drug)
    不安や緊張を軽減させる中枢神経系抑制薬(ベンゾジアゼピン類と呼ばれる薬の一種である)。若干の眠気を催すが,バルビツレートほどではない。例えばジアゼパン(バリウム)やアルプラゾラム(ザナックス)などがある(同意語,精神安定薬)。

    興奮性シナプス(Excitatory Synapse)
    このシナプスでは,神経伝達物質が受け手側の細胞膜の透過性を脱分極の方向に変化させる。

    肛門期(Anal Phase)
    フロイトの精神分析理論における第2段階で,肛門期とは,口唇期に続く2歳から3,4歳までの時期で,子どもは特に排便をするときに快を感じることから,その行為をコントロールすることで,より大きな快を得ようとすることが認められたことから,このように名づけられた。

    肛門性格(Anal Character)
    清潔,頑固,吝嗇。

    交絡(Confounding)
    剰余変数の効果が独立変数の効果から分離できないとき,それらの変数は互いに交絡しているという。剰余変数の交絡は,発生原因により,実験事態の未統制に由来するもの,未統制な被験者特性に由来するもの,恒常誤差に由来するものの3つに分類される。

    合理化(Rationalization)
    自分の行動の,真の動機や失敗の正しい原因を認めず,もっともらしい理屈をつけて他のことに置き換え,不安や劣等感の高まるのを防ぐこと。衝動的に行った行為に対して,あるいは受け入れにくい理由に対して,もっともらしく満足できる理由づけをすることで自尊感情が維持される防衛機制の一つ。

    抗利尿ホルモン(Antidiuretic Hormone; ADH)
    水分を血流に戻し,高濃度の尿のみを作るよう腎臓を調節するホルモン。

    交流分析(Transactional Analysis)
    フロイトの精神分析を基盤として,精神科医バーンによって創始された心理療法。人はだれも3つの心(自我状態)をもっているとし,それらをP(parson),A(adult),C(child)と呼ぶ。P,A,Cのバランスは人それぞれであり,そこに個性があるのだが,あまりに偏っていたり柔軟性がなかったりすると,対人関係上のトラブルが生じたりする。Pとは親心のことでいわゆる父親的な心と,母親的な心とがある。Aとは情報を収集し,現実の状況を適確に判断し,冷静に計算する心,いわゆる大人心である。Cとは子どもの心のことで,自由な子ども心と,従順な子ども心とがある。

    コーシャス・シフト(Cautious Shift)
    集団での判断が個人の判断より安全な方向にかたよる場合があることが明らかにされ,コーシャス・シフトと名づけられた。

    コーピング(Coping)
    人が強いストレスの多い要求を処理しようとする過程のこと。

    コーマワーク(Coma Work)
    ミンデルが創始したプロセス指向心理学は,個人療法,家族療法,集団療法などに適用されると同時に,コーマワークとしても新たな展開を見せている。コーマとは昏睡状態,コーマワークとは昏睡状態の人とのワークを意味する。

    コカイン(Cocaine)
    コカの葉から採った中枢神経系興奮薬であり,活力を増大させ,多幸感をもたらす。これを多量に服用することで,幻覚を引き起こす。

    刻印づけ(Imprinting)
    ローレンツは,大型鳥類のヒナが生まれてすぐ見た比較的大きな動くものを追いかける行動をとることを見いだし,これを刻印づけとよんだ。この学習行動は,1)発達初期の一定期間(臨界期)のみに起こる。2)ただ1回の経験で成立する。3)一度成立すると永久に消えないという特徴を持つ。刻印づけは,発達初期の経験が後の行動に決定的な影響を与えるという点で初期決定論を支持する現象ともいえる。しかしながら,ヒトの知能や人格発達にこの非可逆性があてはまるか否かは今後の慎重な検討を要する。

    誤差(Error)
    測定値(x)のなかで,研究対象となった現象そのものによる値(t)以外の,偶然あるいは未統制の他の変数による部分(e)。x=i+eと表現される。

    固執性(Perseveration / Fixation)
    状況の変化に対応できず,いつも機械的,無批判に同じ行動を反復する傾向。

    個人間差(Inter-Individual Difference)
    個人間での能力の差異。

    個人差(Individual Differences)
    人や同じ種の成員間の行動構造にある比較的永続的な相違。

    個人追跡法(Following-Up Study)
    『縦断的研究』を参照。

    個人内差(Intra-Individual Difference)
    同一個人内での心身の諸特性間の差異。

    コスター現象(Koster Phenomenon)
    近距離の物体の色は遠いものよりも鮮明に見える現象。

    個性化(Individuation)
    分離や,固有の人格形成の過程。漸進的な分離や,子どもの母親からの自立。

    誇大観念(Grandiose Idea)
    自分に対する過大評価を内容とする観念。

    固着(Fixation)
    フロイトの精神分析理論では,心理性的発達の初期段階を乗り越えることや愛着対象の変化の失敗(口唇期固着,母親固着など)によって発達が停止すること。

    古典的条件付け(Classical Conditioning)
    食物や反復のような,生物学的刺激による連合による刺激によって誘発される行動や条件づけ反応を学習する形式。イヴァン・ペテロビッチ・パブロフ(Ivan Petrovich Pavlov)が犬を使った実験で記憶と反応の概念を一新したことからパブロフ型条件付けとも呼ばれる。

    ことばのサラダ(Word Salada)
    滅裂思考が高度になり,ことばがサラダのようにバラバラになり,文脈が全く存在しないように見えるもの。

    ゴナダーキ(Gonadarche)
    性腺(精巣,卵巣)が成熟し,その結果,性腺ホルモン(アンドロジェン,エストロジェン)が分泌し始めること。ゴナダーキのメカニズムは視床下部-下垂体-性腺系のフィードバック・コントロール機序にある。視床下部に,サーモスタット(温度感知器)に相当する,ゴナドスタット(性ホルモン感知器)を想定する説は次のようである。ゴナドスタットは胎生期に働き始め,設定値は思春期前にむかい次第に低くなっていく(感受性が高くなる)。この時期は視床下部-下垂体-性腺系のネガティブ・フィードバック・コントロール機序が働き,わずかな性ホルモンを感知して性腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌を(したがって性ホルモンの分泌も)抑えてしまう。設定値はやがて思春期にむけてゆっくりと上昇し始め,思春期に入り急激に高まる。設定値が上昇し始める(感受性が低下していく)ころネガティブからポジティブ・フィードバック・コントロール機序に切り替わる。視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌が活発になりその結果下垂体からの性腺刺激ホルモンの分泌が高まる。ついで下垂体の性腺刺激ホルモン放出ホルモンに対する感受性,そして性腺の性腺刺激ホルモンに対する感受性も高くなる。こうして性ホルモンの分泌が盛んになり,二次性徴の発現開始,身長・体重の思春期スパートの開始,骨成熟の完了などが起こる。しかし,ゴナダーキの詳細なメカニズムはなお不明な点が多い。視床下部-下垂体-性腺系の項も見よ。

    小人症(Dwarfism)
    平均よりもマイナス2標準偏差を下まわっているか,3パーセンタイル値に達しないような低身長を示す児童の状態をいう。下垂体性小人症,甲状腺機能低下症(クレチン症)などの内分泌性疾患のほかに,原発性(体質性)のもの,愛情遮断性小人症(情緒障害による)がある。

    コホート分析(Cohort Analysis)
    人生の一定時期に同一の重大な出来事を共有している人々の集合をコホートと呼ぶ。複数個の異なったコホートを追跡して,時間経過に伴う事象を量的に記述し,コホート内(年齢間)やコホート間(時代間)などで比較するのがコホート分析である。

    語盲(Word Blindness)
    視野や視力に問題はないが,文字の形態の認知に異常を来たした症状。

    語用論的規則(Pragmatic Rules)
    演繹法(推理)で使われる規則。論理的規則に比べて抽象性は低いが,日常生活の多くの異なる場面に適用できる規則。例として,許容規則がある。

    コルチゾール(Cortisol)
    副腎によって生産されたステロイド・ホルモンの一つ。また,ブドウ糖の形成,炎症の抑制,さらに水分の貯蔵など多くの影響を身体に及ぼす。この物質の血中濃度はストレス測度として用いられる。

    語聾(Word Deafness / Auditory Verbal Agnosia)
    聴力は正常であるが,話し言葉の聞き取りが著しく困難な症状。失語と同義で,大脳の後頭葉の障害等により,一度獲得した読字能力が低下した障害。

    混合縦断的研究(Mixed Longitudinal Growth Study)
    成長を研究するための,データのとり方の方法の一つで,横断的方法,縦断的方法それぞれの短所をとり除くよう計画されている。被験者は一定の期間(たとえば6カ月)の間に生まれた個体から構成される複数のグループから成る。このようなグループをコホートと呼ぶ。各被験者は一定の間隔(たとえば1年)で繰り返し計測される。コホートの数とコホート間の年齢差を適切に決めることによって,縦断的研究より短期間に,到達値および成長速度に関する情報を集めることができる。たとえば,コホート数を4,コホートの生年を5年おきとすると,0歳から20歳までのデータを5年間で集めることができる。このような一般的な計画からみると,縦断的研究はコホートが1つの特殊例,横断的研究は計測時点が1回の特殊例とみなすことができる。2回以上計測された不完全な個人追跡データをふくむ個人追跡データを,混合縦断的データと呼ぶこともある。

    昏睡(Coma)
    どんなに刺激を与えても反応がないか,強い刺激にごくわずかに反応する程度。

    コンピタンス(Competence)
    人間が母国語を駆使する創造的・抽象的な能力。

    コンフリクト(Conflict)
    意見,態度,要求,信念,価値など,個人の行動を決定すべき要因間(2つ以上)での矛盾のこと。どれを選択したらよいか分からなくなる状態のこと。レヴィンが考えたコンフリクトが生じる状況は,1)接近-接近型,2)回避-回避型,3)接近-回避型の3つの場合である。

    コンプレックス(Complex)
    心的外傷などの苦痛な体験における情動や,その体験にまつわる観念や記憶の集合。心のしこり。エディプスコンプレックス(異性の親への愛着と同性の親への敵意),劣等コンプレックス(劣等感を補償できずに感情的なしこりが残りひねくれる)など。

    昏迷(Stupor)
    意識が清明なのに,表出や行動など意志発動が全く行われなくなった状態。

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