>> 駒澤大学文学部歴史学科創立75周年記念事業報告 <<
 
 歴史学科卒業生、関係者の皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。今年は大変暑さ厳しく、また各地で大雨の被害も出ております。くれぐれも御大切にお過ごし下さい。
 さて過日、突然に歴史学科75周年の記念行事につきまして、皆様へご案内を申し上げました。すでに日程的に予定が入っておられたり、遠方にお住まいの方々も多かったことと存じます。
 つきましては、当日に参会いただけなかった多くの卒業生、関係者の皆様方に、記念事業の概要につきまして、以下ご報告を申し上げます。

 
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 駒澤大学文学部歴史学科は、前身である専門部(高等師範部)歴史地理科が昭和4年4月に設置されてから、平成16年で75周年を迎えました。このたび、創立から今日に至るまでの歴史学科の歴史を振り返り、歴史学科の現状を再確認するとともに、今後のさらなる発展の礎となるよう記念事業をとして記念講演会並びに祝賀懇親会を計画いたしました。早速、約5000名の卒業生にご案内状を発送するとともに在校生にも広く呼びかけました。幸いにも多くの方のご賛同を得、開催当日には約600名の参会者をお迎えすることができ、盛会のうちに記念事業を開催することができました。ご賛同・ご協力をいただきました関係各位に厚く御礼申し上げます。
 記念講演会は平成16 年7 月10 日(土) 午後1 時半より駒澤大学の記念講堂において開催されました。
 幕開けとして大蔵教義(大藏流狂言師・平成16年度卒業生)氏による狂言「盆山」の公演がありました。
最初に実行委員長の松本信道の開会の辞があり、ついで学科主任の久保田昌希の挨拶と本日の司会を担当される吉田敏江(旧姓太田・元アナウンサー・昭和51年卒業生)氏が紹介されました。
 その後、大学当局を代表して副学長の竹花光範先生よりご祝辞を頂戴しました。
講演会の前半部として、最初に所 理喜夫(駒澤大学名誉教授)氏は「戦後歴史学と駒沢史学会」と題し、戦後歴史学の研究の流れを検証するなかで、史料に忠実な実証史学と民衆の視点および地方からの視点が駒沢史学会の特長でありかつ伝統であると指摘されました。
 次に、阿部孝義(山形県大石田町町長・昭和34年卒業生)氏は「歴史学のセンスを生かした町づくり」と題して、行政の指導者としての立場より歴史学とのかかわりについて、とくに心象風景としての景観を文化財として登録するということについて述べられました。
 ついで古泉弘(東京都教育委員会・考古学・昭和45年卒業生)氏は「近世考古学への軌跡」と題して多くの発掘調査の経験談とともに「江戸を掘る」という人生の進路を決定づけた発掘現場に遭遇した経緯を紹介されました。
 そして山崎正(平塚市立なでしこ小学校校長・昭和47年卒業生)氏は「教職をめざす学生諸君へ」と題し、長年の教育現場の経験を紹介されながら、今後教職をめざす学生への心構えなどについて指摘されました。以上が前半部の経過です。
 その後、禅文化歴史博物館大学史資料室の皆川義孝氏の解説により「写真に見る地歴学科の歩み」と題するスライドを鑑賞しました。
 ついで講演会の後半部に入りました。
 最初に大蔵教義(前出)氏は「歴史と狂言と私」と題して狂言師の家に生を得て以来の修行の過程について、また大学で歴史的立場からの狂言を学んだことなどの意味について話されました。
 つぎに北森鴻(推理作家・昭和59年卒業生)氏は「わたしの過去帳」と題して、学生時代の話、とくに博物館講座で港北ニュータウンでの民俗調査のエピソードを紹介され、「好きなことなら努力できる」「好きなことを探しなさい」と在学生への熱いメッセージを送られました。
 そして杉原あつ子(カンツォーネヴォーカル・昭和56年卒業生)氏 は「トスカーナの陽だまり」と題して、学生時代に演劇を志し女優の杉村春子さんに師事したこと、その後カンツォーネにめぐり会い、イタリアに留学されたときの経験談を披露され、北森氏と同じく、「好きなことだから続けられる。それをもつことが大切」と在学生へ強調されました。
 その後、講演者7名全員が壇上に着席され、 会場に参加いただきました卒業生・在校生との意見交流がありました。
 最後に、杉原あつ子氏によるカンツォーネの披露があり、華やいだ雰囲気のなかで講演会は終了し、教務部長の廣瀬良弘より閉会の挨拶があり幕を閉じました。
 午後1時半から4時50分までの3時間余という限られた時間のなかでしたが、講演者各位には多彩かつ有意義な内容の講演をしていただき、また吉田さんの司会により、順調に進行いたしました。各位に厚くお礼申し上げます。
 歴史学科の卒業生は、じつに多彩で各世界で活躍されておられることを実感することができ、また心強く感じました。もっと多くの卒業生の御活躍を紹介させていただくなかで、そしてそれらが在学生にも伝わることで、歴史学科の今後も、より豊かになっていくだろうと思いました。
 講演終了後、午後5 時半より深沢校舎の大ホールにおいて約120名の参会者により祝賀懇親会が開催されました。
最初に学科主任の久保田昌希の挨拶があり、ついで来賓の文学部長の高橋文二先生、大学院人文科学第2研究科委員長の小林弘人先生、歴史学科とは縁の深い地理学科主任の小田匡保先生よりご祝辞を頂戴しました。
ついで芥川龍男(法政大学名誉教授・昭和22年卒業)氏の乾杯のご発声により開宴しました。歓談のなかで、多くの卒業生のスピーチや専任教員の紹介などがありました。多数の卒業生が楽しく集い、歴史を学んだ懐かしい思い出話などで一時を過ごしました。
 以上が記念事業の概略です。これを契機として歴史学科が、よき伝統を受けつぎながらさらなら発展のために倍旧のご指導・ご鞭撻を賜りますよう卒業生・関係者の皆様にお願い申し上げます。なお、、御案内等が遅れまして皆様方へのお知らせが充分でなかった点、どうぞ御了承の程、お願い申し上げます。
 最後に本行事開催に際し、大学当局、禅文化歴史博物館、同窓会から多くの御配慮をいただいたことを記し、感謝いたします。
平 成16年7月吉日

駒澤大学文学部歴史学科 

主 任 久保田昌希

75周年記念事業委員会 

委員長 松本信道

75周年記念事業委員会 

委 員 大城道則 熊本史雄 小林和幸
    酒井清治 佐々木真 瀧音能之
    中野達哉 中村 淳 湯淺 隆