2002.05.28
いろは短歌
〔赤穂浪士討ち入りに寄せたもの〕い
かに弾正聞給へ ろう人共の集りて はぢをかゝせて笑止さよ にくや諸人に慮外して ほむる者なれ上野を へいひとへなる家作り とを見横目も付ざるは ち慮の浅くやおはすらん りこうなる家来なき故に ぬかつた躰をしておいて るいもあらざる敵討ち をもひのまゝに引とられ わらひ草となるぞかし かねて多勢をつかはして よ廻りねずをいたさせば れき/\防ぎたゝかはゞ そつじの負は有まいに つね/゛\油断有ゆへに ねらう事をば知らずして なを流したる浅ましや らちなく家をふみちらし むくろは外へけたをされ うたてや首は泉岳寺 ゐんぐわや墓へ手向られ のび/\として置たるは おく病神の氏子とや くちおしとはおをさぬか やく時返る時迄も まぢ/\としてなみだぐみ けうざめ顔で居給ふは ふがいなしとや申らん こしの抜たるなりをして 江戸の住居もけがらわし てんかの人に爪はじき あさましき身の風情かな さすが由緒の有ゆへに きらの家より養なはれ ゆみ矢の家来うとければ めいわくそふな顔をして みぐるしきめに逢給ふは ししても恥はぬけまいぞ ゑきなき命のびんより ひそう石をのみ給へ もしながらへて居るならば せ上の人にあなどられ すいさんせられ其後は 京の批判も恥の上杉かぞへ歌
一ッつとや人の悪見し上野が。二ッ共なき首とられ。三ッとや見ても気味よき敵討。四ッとや夜明て知らぬ上杉の。五ッとや生て恥かくぞ。六ッとやむりに病気に取なして。七ッとやなく/\左兵衛逃らるゝ。八ッとや役にたゝざる家来ども。九ッとや爰やかしこの笑草。十とやとにもかくにも油弾正。
一
ニうろたへ舞を見さいな/\。惣領殿のゝふには。一ニ一生腰抜けといわれて。二ニ逃尻をきられて。三ニ侍やめずして。四ニ養子を言立て親の首はやりになし。五ニ五常をわきまへず。六ニむりな云らで江戸中の笑草。七ニ内儀の腹立て女武者といわれた。八ニ屋敷を遠慮して門松も立ぬなり。九ニ首をもらいて面目なくも手形した。十ニとほうを失ひて家中の者はびつくり、西の海さらり/\。