延岡竜巻2006年9月17日
2006年9月17日の14時過ぎに延岡市で竜巻被害が発生しました。
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図中にマウスを持っていくと、被害地域が表示されます。旭化成の工場などで被害が出ました。 竜巻の被害は、「細く」「直線状」になっています。 @延岡市緑ヶ丘の沖合いで発生(14時頃) A浜町でスーパー倒壊 B別府町でJR特急脱線・転覆 C船倉町商店街被害 D山下町住宅被害 E尾崎町で竜巻消滅?(14時10分頃) 被害地域は幅200m、移動距離6キロ、移動速度36km/h 国際航業(空中写真) |
【台風の”強風域”で竜巻が発生】
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竜巻の遠因となったのは、2006年の台風13号です。(高知大学気象情報頁より加工) 最も強い風が吹く台風の暴風域で竜巻が発生したわけではありません。 竜巻が発生した時間帯に台風の中心は、延岡市西南西270km付近と離れていました。 |
【スパイラルバンド通過時に竜巻発生】
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地図情報を 重ね合わせて 竜巻の発生原因を 検討してみましょう。 左上図は気象レーダーが とらえた雨雲の様子です。 気象庁が観測したものを 加工しました。 青が濃いところは 雨の降り方が 強いエリアです。 竜巻発生時には、 延岡市付近に 活発な雨雲の帯が かかっていました。 いわゆる台風外側の らせん状降雨帯です。 気象庁「延岡竜巻」資料 |
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左下図は、 気象庁のアメダス観測点の 風向きを示したもので、 赤で大まかな 風の流れを描き入れました。 「流線」といいます。 外側降雨帯の南北で、 風向きが微妙に違います。 これらのことから 「外側降雨帯が怪しい」 「風の収束が怪しい」 という風に原因を考えます。 地図の上で、さまざまな要素を 重ね合わせて考えるのが、 地理学的な手法です。 左の図は、 竜巻が発生した日に 作画したもので、 大まかではありましたが、 竜巻の原因を つかむことができました。 |
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この日、竜巻の被害が発生したのは、延岡市だけではありませんでした。 宮崎県から大分県にかけての九州東海岸で竜巻・突風被害が発生します。 図に示した以外でも熊本の人吉盆地で突風被害が起きていますが、 台風の中心に近い、九州西岸では竜巻被害の報告はありませんでした。 |
2006年作成・2019年再掲