広島で発生した集中豪雨

(2014年8月20日未明)

前線に流れ込む湿った空気が活発な積乱雲を発生させ、広島市安佐南区を中心とした集中豪雨が発生しました。就寝中の住民を土石流が襲い、死者74人、重傷者8人、軽傷者36人の人的被害が出ました。

2014年8月20日午前3時の地上天気図と1500m付近の空気の流れ。
日本海に前線が停滞して、南から暖湿流が流入していました。
西日本各地で強い雨が降りましたが、
特に広島市周辺では、猛烈な雨となりました。

 

集中豪雨発生時の気象レーダー。8月20日午前1時から30分毎にストップモーション。
8月20日午前2時の気象レーダーはこちら
広島市付近に発生した積乱雲は、直線状になって、ほぼ同じ位置に停滞しました。
その結果、広島市安佐南区から安佐北区にかけての狭い範囲で激しい雨が継続しました。

 

気象アメダス「三入(みいり)」の10分間雨量のグラフ。10分間の雨量が10ミリを上回る「非常に激しい雨」が降りました。
1時40分から4時00分まで、概ね2時間20分程度継続しました。1時間の雨量では80mm以上の「猛烈な雨」が2時間継続しました。3時から4時にかけて、土石流が相次いで発生したものとみられます。

 

【地図でみる土石流被害】

土石流被害が集中したのは、広島市安佐南区八木地区です。

標高585mの阿武山の南東麓の、宅地化された扇状地面で被害が出ています。

地理院地図(安佐南区・八木地区)へのリンク    

【阿武山南東麓の住宅開発】 

画面チェンジは5秒毎。赤丸は浄楽寺、赤矢印は県営住宅付近。
広島のベットタウンとして、戦後宅地化が進んだ。扇状地の下部から上部に向かって、
徐々に宅地化が進行したことがわかる。

個々の画像の表示)

空中写真と土石流被害地域  2014年の地図   1999年の地図   1987年の地図
               
                   1969年の地図   1950年の地図   1925年の地図  

 

【被災4年後の様子】撮影:横山暢広、2018年8月撮影


広島県内は、
2018年西日本広域豪雨
(平成30年7月豪雨)
でも甚大な被害が出ているが、

2014年8月に被災した
八木地区では、
被害の拡大はなかったようである。

国道54号から阿武山方向をみたもの
被災した県営緑ヶ丘住宅の上に
巨大な砂防ダムが見える。


左の写真ストリートビュー




八木地区で行われている
斜面被覆工事


国道54号可部南四丁目付近から
太田川対岸の阿武山を撮影したもの

被災前は自動車解体業者の
車両置き場になっていた場所に

砂防ダムが作られている。

4年前の崩壊地の植生は
回復していない様子である。

左写真の場所のストリートビュー