2022年3月16日 福島県沖地震

2022年3月16日23時36分、福島県沖を震源とするM7.4の地震が発生しました。
宮城県蔵王町、登米市、福島県国見町、相馬市、南相馬市では、震度6強の揺れとなった地点がありました。
気象庁は、宮城県・福島県に「津波注意報」を発表しました。
左図は、気象庁が発表した
推計震度分布図」です。
地震の揺れが大きかったところは
赤く表示されます。
図にマウスポインタを重ねると、
2011年の東日本大震災の揺れと
比較できます。

推計震度分布図は、
震度観測点のデータを参考に
データのない地域の揺れを
推定しています(空間内挿)。
また、地盤の揺れやすさも考慮していて、
軟弱地盤は、震度が強く(大きく)
表現されます。

「推定」なので誤差を含みますが、
地図で概観することで、
被害エリアの分布を想定できます。
地震発生から1時間程度で公開されます。

【2022年3月16日の震度】
震度6弱以上となったのは、
福島県浜通り北部、福島・宮城県境、
宮城県北部です。
赤いエリアは、宮城・福島のみで
宮城県内では連続していません。
福島県相馬市、南相馬市では、
東日本大震災よりも、
揺れが大きかったようです。

【2011年3月11日の震度】
東日本大震災の時は、
岩手県から茨城県にかけての広範囲で、
震度6弱以上となりました。
図では赤いエリアが数珠繋ぎに
連続しているようにみえます。
M9.0の地震はM7.4の地震と比較して
250倍のエネルギーと推算されます。


2022年3月の地震は、
2011年3月の東日本大震災の時より、
規模が小さい地震であり、
震度6弱以上の範囲は狭かったのですが、
震源が陸に近かったからでしょうか、
福島・宮城の県境付近を中心に
大きな揺れとなったようです。

2011年2月福島県沖地震との比較


福島県沖を震源とする地震は、
13か月前にも発生しています。
図中にマウスを持っていくと、
2021年2月の
推計震度分布図が
表示できます。

震央の位置、地震の規模
震源の深さはほぼ同じ、

発生時刻も同じ23時台でした。

震源分布も
大まかにみればよく似ていますが、
2021年2月の地震は、
福島県の方が
強い揺れの範囲が広く、
2022年3月の地震は、
宮城県の方が、
強い揺れの範囲が広い
傾向がありました。
その理由はよくわかりません。

なお鉄道や道路などの被害は、
2022年3月の方が
大きかったようです。

地震の揺れが(震度)が同じでも
揺れの継続時間や
周期などによって、
被害の状況はかわってきます。

新幹線の脱線

マウスカーソルを重ねると地名が表示されます。(脱線・亀裂のkmlデータ)(白石市付近の地理院地図
宮城県白石市では、地震により東北新幹線が脱線しました。脱線したやまびこ223号は、東京発仙台行の最終電車で、
白石蔵王駅の2キロ手前で止まりました。
当初はけが人はいないとの報道でしたが、21日に乗務員・乗客80人のうち、けが人は3人と訂正されました。

新幹線はなるべく高度差がないように建設されます。
そのため、丘陵地ではトンネル、低地では高架となるわけです。
一般に地震の揺れは、丘陵地より低地の方が大きくなります。また、建造物としても高架の方が揺れが大きいと考えられます。
2004年の新潟中越地震の際に上越新幹線が脱線していますが、この時も高架でした。

東北自動車道は、白石市下森谷付近で、道路に亀裂が入り通行止めとなりました。大きな事故はなかったようです。
報道写真などをみると、亀裂の方向は道路に沿っているようです。
付近地形は東側に傾斜しているようすですので、地震による揺れと重力の影響で、盛り土がずれたのかもしません。
亀裂が入った区間は、無名の小河川を横断するところであり、地盤が軟弱で揺れが大きかったかもしれません。
(地盤のデータがないので、推測でしかありませんが....)

阿武隈急行でも高架ホームに亀裂が出るなどの被害が出ており、復旧にはかなりの年月がかかるようです。


地震の発生した場所

日本付近は4枚のプレートが複雑に重なり合っています。(気象庁WEB日本付近のプレート模式図

北日本は北米プレート(大陸プレート)にのっています。
そして、太平洋プレート(海洋プレート)が北米プレートの下にもぐりこんでいます。
気象庁および防災科学技術研究所によると、
2022年3月の地震は、沈みこむ海洋プレートの内部で発生したようです。

なお、2011年3月の東日本大震災は、プレート境界付近で発生しました。
大陸プレートが大きく振動し、巨大な津波が発生しました。

上図には示しませんでしたが、大陸プレート内部でも地震は起こります。
震央が陸上の場合、直下型の地震となり、陸上の被害が大きくなることがあります。

海洋プレート内地震 1933年昭和三陸地震(M8.1)→三陸に大津波来襲
1993年釧路沖地震'(M7.5)→液状化が発生
1994年北海道東北沖地震(M8.2)→北方領土に津波被害
2022年福島県沖地震(M7.4)→東北南部で交通・建物被害など
プレート境界地震 1946年昭和南海地震(M8.0)→静岡~九州に津波来襲
1944年東南海地震(M7.9)→東海地方に津波来襲
2003年十勝沖地震(M8.0)→北海道~東北に津波来襲
2011年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災M9.0)→関東~北海道に大津波来襲
大陸プレート内地震 1995年兵庫県南部地震(阪神淡路大震災M7.3)→都市直下で発生
2004年新潟県中越地震(M6.8)→土砂災害多発
2008年岩手・宮城内陸地震(M7.2)→駒の湯旅館土砂災害
2016年熊本地震→(前震M6.5、本震M7.3)→都市直下、南阿蘇土砂災害
地震がどこで起こったか?規模はどのくらいか?どのような性質の地震か?
過去の地震との関連は?近隣の地震との関連は?などが分析され、
今後の地震活動への見通しが検討されます。
とはいえ、大地震は、発生間隔のタイムスケールが長い自然災害なので、
十分な知見が得られているわけでもないので、地震予知を行うことは容易ではありません。
起こりうる将来の大地震を複数想定して、備えをしておく必要があります。

 

このページは、地理教材として作成されたものです。作成者は地震の専門家ではありません。