2026年敬老の日千葉豪雨
台風による記録的な大雨により、房総半島・三浦半島で土砂災害が頻発しました。
JR内房線は袖ヶ浦~長浦間の土砂災害により不通となり復旧には3か月以上を要するとのことです。
また、佐倉市では高崎川があふれ、市街地が深刻な浸水に見舞われました。
高崎川が流れ込む印旛沼では、北印旛沼の堤防とその下流の長門川の堤防が決壊し、浸水被害が広がりました。
【台風25号による大雨】 ※画像をクリックすると大きな地図が開きます。
| 【2026年台風25号による降水量の最大値】 房総半島沖を北東に進んだ台風によって、伊豆諸島・関東南部では記録的な大雨となりました。 48時間降水量が最も多かったのは伊豆大島で、832ミリに達し、観測史上1位となりました。 東京都大島町にはレベル5土砂災害特別警報が発表されました。 大島には9月7日にも特別警報が出ています。 特別警報は50年に1度の統計頻度を考慮して基準が決められていますが、 同じ月に2度も特別警報が発表されたことになります。 図中の★印が、48時間降水量が観測史上1位となった地点です。 千葉県内では君津市坂畑で551ミリの記録的な大雨となったのをはじめ、 千葉、市原市牛久、茂原、木更津、館山などでも400ミリを超えました。 ※雨量データ:気象庁 背景地形陰影:地理院地図 【各地の降水量・最大値】赤太字観測史上1位
東庄(千葉)171.5mm/6h 龍ケ崎(茨城)260.5mm/24h 龍ケ崎(茨城)298.5/48h、羽田(東京)272.5/48h |
【天気図】
![]() |
小笠原近海を北西に進んだ台風25号は、 東海道沖で転向し(進路を東向きに)、 中心は御蔵島と八丈島の間を通過しました。 房総半島に最も近づいたのは、 21日の夜(19時半頃)とみられます。 台風接近時に台風の北側では、 関東平野からの北風と 台風の東の外側をまわる南東風がぶつかり 南西~北東を走向とする 活発な雨雲の帯ができました。 この雨雲が帯が長時間かかり、 さらに、台風本体の雨雲で雨脚が強まった地域で、 記録的な大雨となりました。 |
| ※気象庁速報天気図 |
【印旛沼の氾濫】※マウスを図に重ねると地図が変わります
![]() |
| この地図の領域では水は北へ向かって流れます。 北印旛沼東岸(右岸)では2か所で堤防が決壊し、田園地帯に浸水が広がりました。 水 田やウナギやコイの養殖場が被害を受け、太陽光発電では火災も発生しました。住宅地も浸水被害をうけています。 北印旛沼から流れ出る長門川右岸でも堤防が決壊しました。この長門川は北流して、利根川に注ぎます。 図にマウスを重ねると明治37年(1904年)旧版地形図にかわります。 122年前の印旛沼は現在より広く、干拓によって農地(主に水田)が広がったことがわかります。 今回、浸水した範囲は、かつての印旛沼と湖岸の湿地帯だったことがわかります。 地理院地図大きな図(こちら) 旧版地形図大きな図(こちら) 北印旛沼には水位観測所があります。この場所には1967年まで「甚兵衛渡し」と呼ばれる渡し舟がありました。 「甚兵衛大橋」ができて渡船が廃止されたようです。名前の由来は、歌舞伎の「佐倉義民伝」の渡し守甚兵衛に由来します。 2017年は国道464号が開通、2010年には成田新高速鉄道が開通し、交通の要衝となっています。 冠水した国道464号は、堤防決壊から5日後の9月26日18時まで通行止めが続きました。 国土地理院が浸水想定区域図をWEB公開しています。上の図は地理院のサイトからgeojsonデータを入手して、 地理院地図および旧版地形図に重ねたものです。作業は全国Q地図を利用しました。旧版地形図は今昔マップのものです。 浸水想定区域KML 9月22日14時(こちら)、9月24日14時(こちら)、9月25日11時(こちら) ※国土地理院が速報的に作成したものです。現地の複数の被害写真や浸水の情報、標高などから作成されています。 上図の浸水範囲でも浸水していないところがあるかもしれません。また、浸水範囲外でも浸水しているところがあったかもしれません。 10月1日までに堤防の仮復旧工事は終わりました破堤か所KMLは(こちら) 印旛沼流域の地図は(こちら)背景図は「川だけ地形図」 |
【北印旛沼の水位】
![]() |
|
北印旛沼には水資源機構の水位観測所がおかれています。10分毎の水位を折れ線で示します。右目盛りで読みます。 また近隣のアメダス佐倉の10分間降水量を棒グラフで示します。左目盛りで読みます。 佐倉において、雨の降り方が最も強かったのは、台風が接近する18時間ほど前でした。 21日1時34分までの1時間に50.5ミリの非常に激しい雨を観測しています。 北印旛沼の水位は徐々に上昇し、21日早朝には水防団待機水位を超えました。、 21日午前中の雨は小康状態でしたが、昼過ぎから再び雨脚が強まりました。北印旛沼の水位は21日午後には氾濫注意水位を超えたようです。 アメダス佐倉では、21日17時20分までの3時間に100.5ミリの大雨となり、21日20時20分までの24時間雨量は322ミリに達しました。 この大雨により佐倉市内の高崎川が氾濫し、佐倉駅周辺で浸水被害が発生したようです。 台風が最接近したのち、雨は21日深夜には止みましたが、北印旛沼の水位はさらに上昇して、22日早朝にピークとなりました。 北印旛沼の堤防が決壊した時刻は正確にはわかっていないのですが、22日4時40分以降に水位の低下がみられることから、 おそらくは22日4時半前後に堤防が決壊したのではないかと推察されます。 なお、この時決壊したのが、角川集水路付近の堤防だったのか、船形干拓地の堤防だったのか、ほぼ同時に決壊したのかはわかりません。 22日9時頃から、台風一過の青空の下で、再び水位は上昇しています。 破堤した部分から流出よりも、北印旛沼に流入する水量が多かったものとみられます。 北印旛沼水位観測所では氾濫警戒水位、氾濫危険水位が設定されていないようでした。 零点高はTP(東京湾平均海面)の-0.84mなので、水位の値から84㎝を引くと、水面が標高値となります。 最高水位は4.84-0.84で求めると標高4mだったことになります。地理院地図から読み取った水位観測所近くの堤防高は約4.9mでした。 余裕は90㎝だけでしたが、堤防天端を超えて水があふれ出したわけではないようです。 水位データからみると、越水による破堤ではなく、浸透による破堤ではないかと考えられます。 現地調査をしていないので詳細は不明です。 なお、周囲の低地の標高は0.8mほどしかないので、北印旛沼の水位が1.6mを超えるようですと、 印旛沼の水面が周囲の低地の標高より高いということになります。 地理院地図(色別標高図) ※水位データは水資源機構、気象データは気象庁 |
【ハザードマップと地形分類】※マウスを重ねると地図が変わります
![]() |
| 初期画面は、国土地理院による推定浸水区域とハザードマップの洪水浸水想定区域を重ねたものです。 浸水区域は、3m以上の浸水が想定された地域とほぼ重なります。 マウスを重ねると、背景図が地形分類図に変わります。 浸水区域は、干拓地(旧水部)、後背低地とほぼ重なり、 隣接する氾濫平野も浸水したところがあったようです。 微高地(砂州)は、浸水をまぬがれているようにもみえます。 大きい地図(ハザードマップ洪水浸水想定区域/地理院地図地形分類) ※国土地理院による地形分類および重ねるハザードマップの想定浸水深を背景図としています。 ※浸水想定区域は、国土地理院によるものです(22日14時の浸水範囲)。 |
|
【参考になるサイト】 |
| 〇読売新聞「台風25号被害状況マップ」(こちら) 空撮を含む報道写真の撮影場所が地図(俯瞰空中写真)に示されています。 |
| 〇国際航業「令和8年9月 台風25号災害」(こちら) 人工衛星画像が閲覧できます。また、氾濫前後の衛星画像の比較から浸水範囲が示されています。 |
| 〇アジア航測「台風25号による被害状況」(こちら) 千葉県内の被害状況の空撮画像が閲覧できます。三浦半島も含まれています。 |
| 〇PASCO「2026年9月台風25号災害」(こちら) 高分解能の人工衛星画像が閲覧できます。 |
| 〇国土地理院「台風25号に関する情報」(こちら) 推定浸水範囲が閲覧できます。 |
【大雨時に参考になるサイト】 |
| 気象庁「洪水キキクル」(こちら) |
| 国土交通省「川の防災情報」(こちら) |
| 【日常的に見ておくべきサイト】 |
| 国土交通省・国土地理院「重ねるハザードマップ」 (こちら) |
整理作成中です。
