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2017年7月 九州北部豪雨(2017年7月5日~6日)

被害分布図(地理院地図仮作図)

地理院地図上に被害状況を速報的にまとめたものです。現地調査はしていません。被害を網羅したものではありません。正確さにかける部分もあります。作図にあたり、国土地理院、国交省九州地方整備局、国際興業、パスコ、各報道機関の、空撮写真、空中写真オルソ画像、UAV動画等を参考にしました。

国土地理院が写真判読を行っています。 こちらの方がより正確かと思います。(7/12追記)。

九州北部の24時間雨量(参照地点は気象庁アメダスのみ)

作図に用いたデータ(kml)  

↑「グーグルアース」が端末にあればファイルをダウンロードしてから、クリックして開けば、情報がグーグルアースに重なります。

↑また、ブラウザで「地理院地図」を開いておいて、KMLファイルをドロップすれば、情報が地図に重なります。

九州北部の福岡・大分県境で記録的な大雨となりました。
7月5日9時から6日9時までの24時間の雨量値を地図にプロットして、等値線彩色を行い、カシミール3Dを用いて鳥瞰図に仕立てました。
標高データは国土地理院の「50mメッシュ標高」を用いています。
7月5日の日雨量(0~24時)は、福岡県朝倉で516.0mm、大分県日田で336.0mmに達し、観測史上1位を更新しました。
最大1時間降水量は、朝倉で129.5mm(~5日15時38分)を記録しました。

福岡県朝倉市周辺の12時間雨量(気象庁、国交省、福岡県、大分県、水資源機構等)

 作図に用いたデータ(KML) 

朝倉市・日田市とその周辺について、12時間の雨量分布図を作成しました。朝倉市北部から日田市北部の山地で、特に雨量が多くなったようです。
同じ朝倉市内でも、北小路公民館で791mm、アメダス朝倉で512mmに達していますが、朝倉支部局では199mmと大雨の程度に違いがあります。
なお、朝倉市より北側の内野や大隈では、わずかに4mmでした。17~20km程度しか離れていないのに、雨量値には大きな開きがあります。
気象庁アメダスの観測値に加え、国土交通省、水資源機構、福岡県、大分県管理の雨量計の値も使用しています。
気象庁アメダス値は小数1位を四捨五入しています。*地点は停電等により欠測が生じた地点です。

時別雨量グラフ

主な地点の
1時間雨量のグラフです。

雨量は
溜まった雨の深さで測ります。
例えば、
平底の空き缶を外に置き、
雨水が3cm溜まったら、
3cm=30mmの雨です。

左の棒グラフの
橙色は、30mm/h以上
「激しい雨」と呼称されます。

赤色は、50mm/h以上
「非常に激しい雨」です。

紫色は、80mm/h以上
「猛烈な雨」と呼ばれます。

1時間30mmの雨は、
夏の夕立など、
誰もが経験がある
激しい雨の降り方で
傘をさしていても
下半身はずぶ濡れに
なってしまうような
叩きつけるような雨です。

1時間50mmの雨は、
車のワイパーが間に合わない
滝のような降り方をする雨で、
自動車の運転は
難しい状況となります。
道路は排水が追い付かず、
「川のように」なったりします。
普段はほとんど水がない
小さな河川や用水路を
濁流が流れたりします。

1時間80mmの雨は、
日常生活では
経験したことのないような
恐怖感を覚える降り方です。
山間部の沢では、
鉄砲水が発生したりします。
また、急傾斜地では、
強雨が数時間続くと、
土石流が発生したりします。
大粒の雨が叩きつけ
あたり一面が霧のように、
白くなります。
状況にもよりますが、
猛烈な雨の中での
避難行動は困難を極めます。

朝倉市北小路公民館では、
昼前から雨が降りはじめ、
お昼を過ぎてから、
非常に激しい雨となりました。
その後、さらに雨脚が強まり、
午後4時頃にかけて、
猛烈な雨が3時間継続しました。

この日の午前中の段階では、
猛烈な雨は予想されておらず、
現地の住民は、
突然の激しい雨に
驚いたものと思われます。

あまりに降り方が激しいので
逃げようにも
逃げられなかった
可能性があります。
雨が弱まるまで
様子をうかがおうにも
雨はさらに強まるばかり。

おそらく午後3時頃には、
すでに災害が発生して、
かなり危険な状況に
なっていたことが推察されます。

午後5時以降も猛烈な雨が、
持続しており、
孤立した状況で、
危険度がさらに高まっていった
可能性があります。

 

寺内ダムハイドログラフ

筑後川水系佐田川の寺内ダム洪水調節の役割を果たしました。流域の総雨量は400mm~900mmに達したとみられ、最大で888m3/sの大量の雨水がダムに流れ込みました(既往最大)。そのまま下流に流せば洪水が起こります。それを防ぐため、放流量をおさえています。最大流入時は放流量10m3/sで、18時頃にかけ放流量を増やしましたが120m3/s以下にとどめています。その結果、下流の水位観測所では、避難判断水位まで水位は上がったものの、氾濫にはいたりませんでした。上の図では、水色の部分が洪水調節が有効に行われた時間帯です。青線(流入量)と赤線(放流量)を比較して、ピークをいかに抑えることができるか、ピークの時間をいかに遅らせることができるかも重要なポイントとなります。大雨の前は雨が降らず、余力があったことも幸いしました。ダム湖には大量の流木が浮かんでいます。ダムがなかったとしたら、土石流とともに、下流集落を流木が襲ったと考えられ、土石流被害も防いだことになります。水資源機構寺内ダム報道資料)  

*貯水位(高さ)のデータが入手できなかったので、グラフ化にあたり、貯水量のデータを用いています。

 

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