温度計の原理

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温度計には、「液体の熱膨張」を利用したもの、「金属の熱膨張」を利用したもの、
「金属の電気抵抗や熱電能」を利用したもの、「赤外線」を利用したものがあります。

水銀温度計は、温度が高くなると
水銀が膨張する性質を利用したもので、
体温計などに広く使われてきました。

アルコール温度計は、温度が高くなると
アルコールが膨張する性質を利用したもので、
板付きの家庭用温度計などに使われます。
原理が最も単純でわかりやすい温度計です。
正確な気温を測る場合には、
十分に空気にあてる必要があります。
感度は遅く、計測までに数分を要します。

はかりや(板付き温度計)
はかりや(棒温度計)
博物館のショーケースの隅の方に置かれて
いるのが、
バイメタル式自記温度計です。
温度による伸縮率の違う2枚の金属を
張り合わせたものがセンサーです。
温度によって金属の反り具合が変わるので、
それを増幅して、ドラムの紙に記録します。
一般に感度は悪く、数分の遅れがあります。
バイメタルは様々な形があり、
「家庭用てんぷら油温度計」
「とびはね式トースター」
「こたつ用サーモスタット」にも使われています。
はかりや(バイメタル自記計)
はかりや(バイメタル料理用温度計)
温度センサーの知恵比べ(TDK)
サーミスター温度計は、温度によって、
電気抵抗が変わることを利用したものです。
センサー部分の金属に微量の電流を流し、
抵抗値をはかり、温度値に変換します。
電気的に計測するので、デジタル表示も可能です。
熱電対温度計は、熱電能が異なる2種類の金属を
溶接したものがセンサーとなっています。
銅を+極、コンスタンタンを−極にすると、
手元の端子に電位差が生まれます。
温度により変化する微電流を測定して
温度変換します。デジタル表示も可能です。
サーミスターや熱電対は、感度が良く、
数秒単位の計測も可能です。
テックジャム(ハンディ・サーミスター)
赤外放射温度計は、物体から放射される
赤外線を計測するものです。遠隔測定が可能です。
すべての物体は、その表面温度の4乗に比例する
赤外線を放射しています。つまり赤外線を計れば、
物体の温度を推定することが可能です。
一方で、空気の温度は直接計測できません。
感度はよいものの、センサーの視野範囲に
複数の物体があると、どの温度を測っているのか
わからなくなってしまいます。
「サーモグラフィー」「気象衛星赤外画像」
なども赤外放射を測定したものです。
最近では耳の穴で計る体温計にも
赤外放射を測定しているものがあります。
はかりや(赤外放射温度計)

気象庁では、白金抵抗サーミスターが使われています。こちら
金属の筒でセンサーが覆われてるのは、直射日光を避けるためです。
「通風」といって、絶えず筒の下から空気を吸い込むようになっています。
センサーに風をあてて感度を良くするためです。
風速計を設置する高さは1.5mで、地面は芝生となっています。

地面付近に温度計を設置すると、晴れた日の日中は1.5mより気温が高くなり、
夜は逆に低くなります(地面の影響の昇温、冷却の影響を強く受ける)

地面がコンクリートやアスファルトだったりすると、
晴れた日の日中は温度が高めになってしまう可能性があります。
また、人工熱源から離れたところに設置する必要があります。