「ネット巡検のススメ」 地理情報の収集

インターネットを利用して、あらゆる情報を集められるようになりました。
なかにはあやしげなサイトもありますが、
公的機関が発表しているデータには、そこそこ信頼性があると思います。
地理学におけるフィールドワークを「巡検」といいますが、                *巡検=学術的な野外調査
インターネットを利用して、地理学的情報を閲覧したりする作業を

私は勝手に、
「ネット巡検」
と呼んでいます。  
まずは、地理院地図 をみて下さい。
(新図書館はまだ反映されていないようです)


かつては 「ウオッちず」と呼ばれていましたが、年々進化しています。
空中写真」や「土地利用図」「地形分類図」「都市圏活断層図」などなど
国土地理院発行の様々な主題図も重ね合わせてみることができます。
(左上の情報メニューから選択)

標高別彩色は、自由に色を設定ができるようになりました(2018年より)。
また、住所ファイル(csv)をドロップするだけで、
その地点が表示できるようになりました(2019年)。
野外調査法のレポートや卒業論文に活用してください。

地理院地図操作は地理学科学生の基本スキルとなっています。

3D地理院地図」では、鳥瞰図表現で地図が閲覧でき、
3Dプリンター用のデータも取得できるようになりました。
(右上の機能メニューから「3D」を選択)

地理学科備品として3Dプリンターを購入する日もそう遠くない?と思います。

他にも地図の閲覧サイトはあります。

の地形図を見たい場合におススメなのが、
今昔マップon the WEB
埼玉大の故谷謙二先生が作成したサイトです。
更新はありませんが、新旧の地形図を比較すると、いろいろなことが見えてきます。
是非活用してください。


戦前の5万分の1地形図ならば、
ひなたGIS 
で見ることができます。

米国スタンフォード大学が、昭和初期の5万分の1地形図を公開しています。
ひなたGISはこのサイトから旧版地形図を取得しているようです。
スタンフォード大学地形図コレクション
一部抜けがありますが、かなり有用なサイトです。
紙資料として旧版地形図を入手したい場合は、本学地理学科の資料室や特研を探すか、
国土地理院関東地方測量部(千代田区九段)、国土地理院(つくば市)、国会図書館地図室(千代田区永田町)、
で探してみるのも良いでしょう。市町村の図書館でも郷土の古地図が置いてある場合があります。

全国Q地図
地理院地図をベースとして、東京都内の1960年代の3000分1地形図がみられたり、
ため池マップ、バス停マップなどがみられます。

明治前期に作られた地図について農研機構よりWEB閲覧できるようになっています。
歴史的農業環境閲覧システム
関東だけですが、明治初期の状況がわかります。
また、農研機構は、土壌図についても公開しています。
日本土壌インベントリ-

産業総合技術研究所が公開している
20万分の1シームレス地質図では、地理院地図をベースとして、地質情報がみられます。
シームレス(seamless)とは「つなぎ目のない」という意味です。
地理院地図でも20万分の1シームレス地質図が見ることができます。

関連して、
グーグル衛星写真ベースの地質図NAVIがあります。

植生関連は、環境省WEBで閲覧でき、GISデータをダウンロードしたりできます。
自然環境調査Web-GISMicrosoft Edgeでは開かないようです)
例えば、上記サイトのメニューで、植生調査、第6〜7回、植生図にチェックを入れると、
地理院地図をベースとして、植生の状況がオーバーラップされます。
さらに地図上をクリックすると、その場所のGIS情報のウィンドウが開きます。
jpeg形式もしくはPDF形式を選択して植生図がみられるようになっています。
例えば富士山東麓の植生図はこちら


国土情報ウェブマッピングシステム(国交省) は、
リニューアルして、地理院地図ベースとなりました。
人文地理情報としては土地利用メッシュやバスルートなどがみられます。

なお、データについては、
国土数値情報ダウンロードサービスから入手可能です。
シェイプファイルをダウンロードしてQGISなどで地図化して利用できます。

重ねるハザードマップ
土砂災害、洪水、津波などなど、全国の自然災害のリスクを知ることができます。
各市町村が作成したハザードマップのサイトにもリンクしています。

地図サイトではないですが、人口や市町村合併情報などを調べる際に以下のサイトが便利です。
都道府県市区町村」のページ
個人サイトのようで、情報の品質は保証できませんが、ここ数年見ている限りは、情報内容は正しいようです。
「経県値」という、行ったことのある都道府県を彩色できるアプリがあったりします。

私が学生の頃は、インターネットはありませんでしたから、地図といえば紙地図です。
現在は地図情報をコンピューターで扱い、インターネットで公開される場合が多くなっています。
みなさんも、地図といえば、スマホでみる場合がほとんどでしょう?
地理学は地図を多用する分野なので、パソコンで地理情報を閲覧し、 
パソコン上で地理情報を分析し、まとめていくスキルが重要と思われます。

高校では「地理総合」が必修となり、
新しい地理の教科書では、GIS学習が強化されています。

検索サイトの地図も利用価値があり、年々進化しています。下表の内容も毎年チェックしていますが、変化が激しいです。特に、衛星画像の提携先が変わったりして、仕様が大きく変わることがよくあります。

【ネット地図の事件】2012年9月にアップル社がiOS6の地図アプリを公開したところ、「羽田空港」が「大王製紙」と表示されたり、JR青梅線にありもしない「パチンコガンダム駅」が登場するなどの事件がありました。2019年3月には、GoogleMapがゼンリンの地図情報の掲載をやめ、独自の地図情報に切り替えた際に、「細い路地がなくなった」「バス停が消えた」などの利用者の声がネットにみられました。株式市場にも影響し、ゼンリンの株価が大きく下がりました。

駒大キャンパスで新図書館が反映されているかどうか注目してみましょう。

大学までの経路探索で正しい通学路が表示されるでしょうか?閉鎖中の東門を通るルートが表示されていたり...

東急新横浜線の開通やJR留萌本線(留萌〜石狩沼田)廃線が反映されているか?

 

地図検索
サイト
衛星(航空)写真 経路探索 特徴 生活情報
防災情報
地図・衛星会社
Yahoo! ルート検索
距離計測

標高グラフ
地形図(等高線・陰影)、
路線図
交通情報、
地下街表示
混雑レーダー
気象レーダー
台風情報
Yahooによる説明
zenrin
(地図)  MAPBOX
OpenStreetMap
Maxar Technologies
Google
ルート検索
周辺検索
写真リンク
地形陰影
ストリートビュー
距離測定
路線図
飲食店検索
渋滞情報
大気汚染(米・豪)
山火事情報(?)
2023 CNES/Airbus,
Distal Earth Technology
Maxer Technologies
Planet.com  TerraMetrics
The Geoinformation group
地図データ@2023
(日本国内の独自地図情報)
goo 空中写真(1947年・63年)や明治時代の東京の地図が閲覧できましたが、
2023年9月27日に公開終了となりました。
Bing(マイクロソフト)
ルート検索可 距離測定
衛星画像
ストリートビュー
CityFlyover
渋滞工事情報
(日本は一部)
マイクロソフトによる説明
zenrin(地図)
Earthstar geographics
 Tomtom   Maxer

Mapion × 鉄道利用・道路利用の
経路検索が可
気温・湿度・標高
バス停位置
等高線・地形陰影
町丁別彩色
距離・面積測定
近隣店舗検索
カロリー計算
(おにぎり換算)
one compath
(凸版印刷子会社
GeoTechnologies
(インクリメントP)
オープンストリート
マップ
× × 自由利用
送電線

サイクリング地図
×
OSMJP
いつもNAVI
(ゼンリン)
× 鉄道・道路利用の
経路検索が可
街歩き地図
観光地図(有料)
雨雲情報(有料) zenrin(地図)
MAP FAN × 道路利用の検索可
(大型貨物車設定可)
14か国語対応
古地図風表現
RPG風表現
近隣施設検索
渋滞情報(有料)
GeoTechnologies
(インクリメントP)
NAVITIME 鉄道・道路利用の
経路検索が可
スマホ連動
バス利用検索(要登録)
鳥瞰表現
渋滞情報(有料)
混雑情報
雨雲・台風情報
zenrin
GEOSPACE(NTTインフラネット
写真化学、JAXA、RESTEC
主なプロバイダ系の検索サイトは、かつては独自の地図サイトを公開していましたが、
現在は、他の地図サイトにジャンプさせています。
例えばgoo地図、楽天はGoogleMap、Biglobeはyahoo地図に飛びます。

ODNEXCITEso-netは、かつてYAHOO地図を利用していましたが、現在は地図検索がなくなってしまったようです。
OCNは、飛び先のgoo地図廃止により地図検索がなくなったようです。

スマートフォンアプリとしては、docomoは2023年より「ゼンリン地図ナビ」となりました。
auもゼンリンの地図を利用していて、検索機能はNAVITIMEのようです。


ほかにもあると思いますが、このテーマを卒論でやる人はいますか?面白いですよ。

おすすめはGoogle-Earth
地球儀感覚で衛星画像を閲覧できます。無料ですがソフトをダウンロードして、インストールする必要があります。
海底地形がわかるのがありがたい。セスナ機で空中遊覧もできます。
なお、GoogleEarth-Proは、有料ソフト(399ドル!)でしたが、2015年から無料化しました。(登録が必要)。

以下はおまけです。緯度・経度・高さ・時刻の4次元の情報を利用したものです。
フライトレーダー24
航空機がどこにいるか?ほぼリアルタイムでわかります。AndroidアプリもiPhoneアプリもあります。
航空機が発信するADS-B(緯度・経度・高度・対気速度)を地上で受信し、
データをサーバーで処理して地図上に表示しています。
スウェーデン人の航空マニアが作ったと伝えられています。             (ADS-B=自動従属監視・放送型)

MarineTraffic
船舶の位置情報がGoogleMAP上で確認できます。
自動船舶識別システム(Automatic Identification System)の
緯度経度情報を用いています。9月になると北極海を航行する船もあります。

アース:地球の風

世界の風の様子が地球儀イメージで見ることができます。
米国のGFSという最新の気象モデルのデータを取り込んで作画しているようです。
アイオワ州出身のキャメロンベッカリオ氏が「JavaScriptの練習のために作ってみた!」ものだそうです。

新潟県上越市除雪車稼働状況(積雪期だけ)取り置き画像    
除雪車の現在位置と過去5時間の軌跡を地図上に表示するもので、新潟県上越市が2011年から公開しています。
自宅前の道路の除雪はまだか?という市民の問い合わせが多いことから始まったよう。
除雪車にGNSS受信機を付け、緯度経度情報を通信して地図上に反映させています。
近年、秋田市でも同様の取り組みが始まりました。
上越市の除雪部隊は、2015年の関東甲信豪雪の際、山梨県に救援に向かい、孤立集落の解消に貢献しました。
当時ツイッターでは「世界最強の除雪機甲師団」と呼ばれました。              (GNSS=全地球測位システム)

雪下ろシグナル(防災科学研究所・積雪期だけ)取り置き画像
屋根にかかる積雪の重さを推計して地図化したサイトです。


山形県尾花沢市除雪情報提供システム (積雪期だけ)取り置き画像
上越市のサイトと同様に、除雪車の位置がわかります。
除雪車の種類まで表示されるので、除雪車マニアにはたまらない?サイトとなっています(そんな人いるのか?)
 

北海道標津町「ヒグマ出没マップ」
グーグルマイマップをベースとして、ヒグマの目撃情報をまとめたものです。

東京シェアサイクリングマップ
NTTが都内11区で展開するシェアサイクリング。30分165円で利用できて便利。
スマホアプリでは、サイクルポートの自転車台数などもリアルタイムで確認できる。

桜ライン311
東日本大震災の津波到達点に桜の木を植樹するプロジェクト。


TasteAtlas
世界の郷土料理を紹介しているサイトです。


地理空間情報は、様々な分野で活用されています。
面白いサイトをみつけたら教えてください。、ネット巡検はこれで終わりです。