2001.01.24 『大言海』10選 林 真美
*はぎのもち
【萩餅】 和語名詞 粳米二、糯米ヲ交ヘテ炊ギ、粗ク擂リ搗キテ摶メ、餡又ハ、きなこ(黄粉)ナド塗シタルモノ。一名、萩の花。婦人の語ニ、オハギ。カイモチ。キタマド。★おはぎ★
とにかく別名の多い生菓子です。「萩の餅」「かいもち」「はぎもち」「ぼたもち」
「萩の花」「北窓」「夜船」「隣不知」等々。「夜船」はいつのまにか着く「北窓」は月知らずと 「搗く」にかけた洒落であります。「隣不知」はおはぎの生地は搗く音がしないので「隣知らず」 、煮た小豆を粒のまま散らしつけたものが「萩の花」に似ていることから「萩の花」「萩餅」とも 言われています。「かいもち」は餅の中でことに柔らかいので「カユモチ」が訛って「かいもち」 となったといわれています。女房言葉で萩餅を一見柔らかであるから「やわやわ」とも言われます 。萩餅とか牡丹餅を萩の花、牡丹の花と考えられますが、蒙古語・満州語にボタに似た言葉で「米 」を意味する語があり、マレー語にはハギに似た言葉で「飯」を意味する言葉がありこれからボタ 餅やおはぎに使われたという説もあります。元禄の書には「民家の食にして貴人の食するは稀なり 、杉折には詰め難く晴れなる客には出し難し」とあります。おはぎが上品なものになったのは幕末 ごろからであります。*女房言葉=室町初期頃から宮中奉仕の女官が主に衣食住に関する事物につ いて用いた一種の隠語的な言葉(たべもの語源辞典より)
八月下旬〜十月上旬まで |
萩餅 |
(道明寺製、粒あん) |
京都市左京区の京阪出町柳駅の前に |
一つ 180円 日持ちは一日です。 |
*はつざくら
【初桜】 和語名詞 其年、最初ニ*キタル櫻ノ花。又、*キテ間モナキ櫻ノ花。ハツハナ。 千載集、十、賀「千世フベキ、始ノ春ト、シリガホニ、ケシキコトナル、初櫻カナ」長唄、浦島「サット吹キクル春風ニ、霞ガウメル初櫻」咲き乱す桃の中より初桜
最近、桜の花がお正月飾りに見られるようになっています。この「
冬に咲く桜の花」で注目を集めているのが山形県の、その名も『啓翁桜(けいおうさくら)』です。12月中旬から3月まで、真冬にも満開になる桜として、人気を呼んでいます。江戸城に生花をおさめていた花き商が「冬に花を咲かせる」手法を編み出したと言う。現在では山形県が全国的にも有数の産地となっています。『啓翁桜』は支那桜桃(しなおうとう)と彼岸桜(ひがんざくら)を交配して作られたもので、この桜には太い幹はなく、形の良い枝が何本もまとまって一つの株を作っています。ほころんだ花は洋風とも思えるさわやかな香りがします。従来は華道の稽古花としての利用が多かったのですが、ここ2、3年、ディスプレイ用や進物として、ご家庭や会社、旅館、ホテルなど様々なところで人気が高まっています。ふつうなら3月下旬〜4月上旬に開花します。これを、気候条件をうまく利用した促成栽培で冬期に開花させる事ができるのです。桜は、秋になって気温が下がり出すと休眠期に入ります。その後一定の低温にさらされることで準備か整い、気温が上がれば開花できる状態になって春を待つのです。*やへざくら
【八重桜】 和語名詞 (一)櫻ノ一種。ヤヘノ花瓣ナルモノ。昔ハ奈良ニノミアリキ。さくら(櫻)ノ條ノ(一)ヲモ見ヨ。(二)五衣ニ用キル櫻色。 (一)金葉集、五、賀「九ノ重ニ、久シク匂へ、八重櫻、ノドケキ春ノ、風ト知ラズヤ」詞花集、一、春「古ノ、奈良ノ都ノ、八重櫻、今日九重ニ、匂ヒヌルカナ」(二)榮花物語、廿八、若水「女院ヨリノ御裝束ハ、八重櫻ヲ、エモイハズ匂ハセ給ヘリ」ナラノヤエザクラの特徴
・開花時期は、 4/15頃〜 5/ 5頃。
・野生の山桜に対して人里の桜ということから 里桜(さとざくら)とも呼ばれる。
また花の形から牡丹桜(ぼたんざくら)とも呼ばれる。
・桜より咲き始めが2週間ほど遅い。
「あれ、もう桜は終わったのでは・・?」という頃に、 葉をつけた状態で咲き出す。
・鈴なりの花をいっぱいつける。ポンポンみたいです。
・花びらが多い。なかでも
兼六園菊桜という 種類の八重桜は、花びらがなんと250枚以上もある。・塩漬けにした花をお湯に入れると「桜湯」になる。おめでたい席によく出される。塩辛いです。
・葉は「桜餅(さくらもち)」に使われる。桜餅の特徴は包んだ葉の独特の香りと塩味で、若葉を塩漬けにしてクマリンの香りを引き出すことで可能になる。(防腐剤の役目もある)
*やまとなでしこ
【大和瞿麦】 和語名詞 〔唐撫子ニ對シテ云フ語〕なでしこノ一名。 古今集、十四、戀、四「アナ戀シ、今モ見テシガ、山ガツノ、垣ホニ*ケル、やまとなでし*」
・<山野草>
・6月頃から8月頃にかけて開花。
・撫子(なでしこ)科。
・ピンク色の可憐な花。縁がこまかく切れ込んでいる。我が子を撫(な)でるようにかわいい花であるところからこの名前に。
・早咲きと遅咲きがある。
・よく見られるのは「川原撫子(かわらなでしこ)」。川原に生えるとも限らないがなぜかこの名前です。野・山・高原どこででも見かける。どちらかというと日当たりのよい草原。
・中国から平安時代に渡来した、唐撫子(からなでしこ)(石竹)に対して、在来種を大和撫子(やまとなでしこ)と呼ぶ。日本女性の美称によく使われる
*しかけはなび
【仕掛花火】和語名詞仕掛ヲ爲シテ、種種ノ形ノ現ハルルヤウニ作リタル花火。(打上花火二對ス)【左から】
*張物仕掛け・ナイアガラの滝*
*張物仕掛け・富士山*
ナイアガラの中央2カ所を山型に高く吊ったものが「富士山」です。日本ならではの演出でしょう。ナイアガラと共に観客を総立ちにさせるほどのインパクトがあります。*回転物*
風車ふうの仕掛け花火です。風でなく、花火の噴射による推進力でクルクル回るものです。*トラ・虎の尾*
太い光の帯が高く昇っていく「虎の尾」は古くからあり、浮世絵などにも登場します。今日のトラはもっぱら演出効果としてよく使われ、複数の筒から一斉に発射します。スターマインの合間にもスピーディに顔を出します。このように発射筒に角度をつけた「V字トラ」もよくみられます。*水上(中)もの*
湾内や湖など水辺のある多くの花火大会で、全国的によく取り上げられているプログラム。打ち上げ方法も様々でボートなどから水中に直接投げ込むもの、花火台船から一度に放出する方法、水上に浮かべてセットする方法等の方式があります。水中から打ち出すスターマインを水中花火と呼ぶ場合もあります。*海上スターマイン*
海上に打ち上げセットを浮かべ電気で一斉発射するもので少し特殊なプログラムです。スターマインには決められた順番に打ち上げるのがものと、全ての玉を一度に一斉に放出する「一斉打ち」があります。一斉の場合は「花束」「フラワーポット」などと呼ばれます。*
手筒花火*仕掛け花火ではありませんがプログラムに取り入れているところも、また手筒だけを見せる花火大会もあります。竹筒に火薬を詰めて荒縄を巻いた手筒からは豪快な火柱があがります。地域によっていろいろな方式があります。*しひたけ
【椎茸】和語名詞 椎ニ生ズル菌。又、かし、かしは、しで、なら、等ニ生ズルヲモ、云フ、今、多クハ、人工ニテ栽培ス、椎ヲ伐リテ、程好ク朽チタルニ、?水ヲ注ギ、席ヲ被ヒテ、秋雨ノ候ニ、槌ニテ*テバ、多ク生ズ、葢ノ大イナルハ、七八寸ニ至ル、葢、圓ク、莖、面、Kク、背、黄ニシテ、香氣アリ、生ナルハ、香、淡シ、故ニ、多クハ、日光、或ハ、火ニ乾シテ、貯フ、殊ニ、芳香、甘美ナリ。香*。 ***用集「椎茸、シヒタケ」
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椎茸菌の成長や椎茸の発生に好ましい自然環境下で栽培します。直射日光が当たらず(光は必要)、温度・湿度が適当に保たれた場所を選ぶので、山の中で栽培するケースが多くなります。 乾しいたけ生産を目的に椎茸栽培を行う場合は、この自然栽培が今のところ主流です。自然環境下なので、作柄は当然気象状況に左右される面が多くなります。 椎茸菌を成長させる場所を伏せ込み場、実際に椎茸を発生させる場所をホダ場と呼びます。そして、秋から春にかけてホダ場で椎茸が発生します。秋に発生するものを秋子(あきこ)、春に発生するものを春子(はるこ)と呼びます。 1年間を通じて生産を行う必要がある生シイタケ栽培では、天候に左右されやすく秋から春にかけてしか椎茸が発生しない自然栽培よりも、ほかの農産物のようにハウスなどを使った施設栽培が主流です。 |
乾しいたけはビタミンDが特に多いのです |
いろいろな食品がある中、乾しいたけにはビタミンDが特に多く含まれています。 乾しいたけでは100g中に840IU(IU「アイ・ユー」はビタミンDの国際単位)となっています。日本人の一日のビタミンD所要量は、5歳以下で400IU、6歳以上は100IUなので、乾しいたけを食べることで必要量が賄えます。 ビタミンDは、不足しがちなカルシウムの吸収を良くする働きがあります。カルシウム不足だからといってカルシウムの多い食品ばかりを摂っているよりも、同時にビタミンDを摂ればその吸収率は高まります。 「骨粗しょう症」などが増加している現在、カルシウムとセットでビタミンDを摂りましょう。 ■ビタミンD増加大作戦■ ただでさえ乾しいたけはビタミンDが多いのですが、それをさらに増やすことができます。 現在の乾しいたけのほとんどは、天日乾燥ではなく乾燥機による機械乾燥です。ところが、椎茸の中にはエリゴステロールというビタミンD前駆物質があり、これは紫外線を当てるとビタミンDに変化します。 つまり、買ってきた乾しいたけを日光(紫外線)に当てれば内部のエリゴステロールがビタミンDに変化するのです。 ある情報テレビ番組では、日光に30〜1時間当てることで当てる前の10倍のビタミンD量になると紹介されていました。また、日光に当てる場合は、ヒダの方を上に向けるのがポイントです。 |
*まつぼっくり
【松毬】和語名詞 まつぶくり(松毬)ノ訛。(東國)其條ヲ見ヨ。まつぼっくりのクリスマスツリー
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*まつたけうめ
【松竹梅】和語名詞 此三種ノ植物ヲ歳寒三友トモ云ヒ、能ク歳寒ノ霜雪ニ耐ヘ凌グヲ以テ、支那ニテハ、其*操ヲ賞シ、我ガ邦ニテモ、繪ニカキ、染物、織物、彫物ノ模様ナドニシテ、メデタキモノトス。松竹梅。三友。月令廣義「松竹梅爲二歳寒三友一」李*、題レ畫詩「醉裏呼レ童展レ畫、笑題二松竹梅花一」松竹梅
この模様は、一般に数多く愛用されるものの一つであり、次の如く意味をなすものであると言われる。 |
一、松は品位を表わし、その家の主人を表わす。 |
一、梅は、優雅を表わし、その家の奥様を表わす。 |
一、竹は、気骨を表わし、その家の子供を表わす。 |
要約すれば、家族全体の気品、優雅、気骨を表わし、屋敷を代表する座敷に飾る事で、家族円満で |
家族一体となって、末永く平穏を願うとの意味である。その他、春夏秋冬の四季をも表わしている。 |
決して、松竹梅なるが故に一年中お目出度い意味ではない。 |
*みづあめ
【水飴】和語名詞 又、しるあめ(汁飴)。トモ云フ。あめ(飴)ノ條ヲ見ヨ。
とうもろこし、さつまいも、馬鈴薯、米などの澱粉を酸または酵素によって分解・糖化し、精製した後、水分を 15%〜25%まで煮詰めて作られる。酸で分解・糖化したものを酸糖化水飴と云い、酵素で分解・糖化したものを酵素糖化水飴と云う。
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*みづぐすり
【水薬】和語名詞 冷水ニ和シタル藥。ス井ヤク。(煎藥、塗藥ナドニ對ス)水薬の服用