ばかり思し続けて、,?,ばかり,,,,?, ばかり聞こえて、御心破るべきにもあらず。あまたの年月をも過ぐしつべくなむ」,?,ばかり,,,夕霧,?, ばかりの御思ひを見る見る、えかくてあらじ。后の宮にも参りて、常に見たてまつりてむ」,?,ばかり,,,,?, 「なべて世のあはればかりを問ふからに  誓ひしことと神やいさめむ」 とあれば、 「あな、心憂。その世の罪は、みな科戸の風にたぐへてき」 とのたまふ愛敬も、こよなし。,あはれ,ばかり,,,朝顔,感動詞, 「われも、今日か明日かの心地して、もの心細ければ、おほかたのあはればかりは思ひ知らるれど、いと心憂きことと思ひ懲りにしかば、い,あはれ,ばかり,,,柏木,感動詞, 「深き夜のあはればかりは聞きわけど,あはれ,ばかり,,,横笛,感動詞, しほどのあはればかりを忘れぬことにて、もののあなた思うたまへやらざりけるがものはかなさを、いかでよう言ひ聞かせむ人の勧めをも聞き,あはれ,ばかり,,,鈴虫,感動詞, 少将のなき折に見すれば、心憂しと思へど、かく思し出でたるも、さすがにて、御返り、口ときばかりをかことにて取らす。,口とき,ばかり,162,,夕顔,形容詞,セイゼイ口早ナコトグライ 改まるしるしもなく、宮の内のどかに、人目まれにて、宮司どもの親しきばかり、うちうなだれて、見なしにやあらむ、屈しいたげに思へり。,親しき,ばかり,430,,賢木,形容詞,親シイ宮司タチトイッタ範囲ノ者グライガ かやうの御返しを、思ひまはさむもねぢけたれば、疾きばかりをぞ。,疾き,ばかり,,,蛍,形容詞, 『方等経』の中に多かれど、言ひもてゆけば、ひとつ旨にありて、菩提と煩悩との隔たりなむ、この、人の善き悪しきばかりのことは変はりける。,善き悪しき,ばかり,,,蛍,形容詞,コノ人物ノ善ト悪トノ差グライノ事ハ違ッテイルノデシタ。 には思ほし絶えたるを、かたじけなきばかりに、忍びて、母君ぞ、たまさかにさかしらがり聞こえたまふ。,かたじけなき,ばかり,,,紅梅,形容詞, き御契りの二つなきばかりを、憂き世の慰めにて、かたみにまたなく頼み交はしたまへり。,なき,ばかり,,,橋姫,形容詞, 「我より上の人やはあるべき。身のほどなるものはかなきさまを、見えおきたてまつりたるばかりこそあらめ」,たる,ばかり,,,若菜上,助動詞, 式はいかめしく、世の例にしつばかりもてかしづきたてまつりたまへれど、をさをさけざやかにもの深くは見えず。,しつ,ばかり,,,若菜上,助動詞, 咎めらるまじきばかりに、もてなしきこえたまへり。,まじき,ばかり,,,,助動詞, りしなむ、いと恨めしく。今はただ亡きに思し許して、異人の言ひ落としめむをだに、はぶき隠したまへとこそ思へ、とうち思ひしばかりに、かくい,思ひし,ばかり,,,,助動詞, 年ごろ、何やかやと、おほけなき心はなかりしかど、「いかならむ世に、ありしばかりも見たてまつらむ。ほのかにも御声をだに聞かぬこと」な,ありし,ばかり,,,御法,助動詞, と見たまへば、引き動かしつばかり聞こえあへるも、いと心憂く疎ましくて、動ぜられたまはず。同じ心に何ごとも語らひきこえたまふ中の宮,しつ,ばかり,,,総角,助動詞, いと多かれど、「今はと世を逃れ背き離れむ時、この人こそと、取り立てて、心とまるほだしになるばかりなることはなくて過ぐしてむ」と思ふ心,なる,ばかり,,,,助動詞, 「我も、故北の方には、離れたてまつるべき人かは。仕うまつるといひしばかりに、数まへられたてまつらず、口惜しくて、かく人にはあなづら,いひし,ばかり,,,,助動詞, れたるばかりをかことにて、はかばかしうもいらへやらずなりぬ。,たる,ばかり,,,,助動詞, 「何か。遠方なる里も、試みはべれば」 など言ひすさみて、「いたう好きがましからむも、さすがに便なし。いとほのかに見えしさまの、目止まりしばかり、つれづれなる心慰めに思ひ出づるを、あまりもて離れ、奥深なるけはひも所のさまにあはずすさまじ」と思へば、帰りなむとするを、笛の音さへ飽かず、いとどおぼえて、 「深き夜の月をあはれと見ぬ人や  山の端近き宿に泊らぬ」 と、なまかたはなることを、 「かくなむ、聞こえたまふ」 と言ふに、心ときめきして、 「山の端に入るまで月を眺め見む  閨の板間もしるしありやと」 など言ふに、この大尼君、笛の音をほのかに聞きつけたりければ、さすがにめでて出で来たり。,止まりし,ばかり,,,,助動詞, やもめ住みなれど、人ひとりの御かしづきに、とかくつくろひ立てて、めやすきほどにて過ぐしたまひつる、闇に暮れて臥し沈みたまへるほどに、草も高くなり、野分にいとど荒れたる心地して、月影ばかりぞ「八重葎にも障はらず」差し入りたる。南面に下ろして、母君も、とみにえものものたまはず。,月影,ばかり,,,桐壷,上接体言, 「暮れまどふ心の闇も堪へがたき片端をだに、はるくばかりに聞こえまほしうはべるを、私にも心のどかにまかでたまへ。,はるく,ばかり,,,桐壷,上接体言, ものなどもきこしめさず、朝餉のけしきばかり触れさせたまひて、大床子の御膳などは、いと遥かに思し召したれば、陪膳にさぶらふ限りは、心苦しき御気色を見たてまつり嘆く。,けしき,ばかり,,,桐壷,上接体言, 「いでや、上の品と思ふにだにかたげなる世を」と、君は思すべし。白き御衣どものなよよかなるに、直衣ばかりをしどけなく着なしたまひて、紐などもうち捨てて、添ひ臥したまへる御火影、いとめでたく、女にて見たてまつらまほし。,直衣,ばかり,,,帚木,上接体言, 事が中に、なのめなるまじき人の後見の方は、もののあはれ知り過ぐし、はかなきついでの情けあり、をかしきに進める方なくてもよかるべしと見えたるに、また、まめまめしき筋を立てて耳はさみがちに美さうなき家刀自の、ひとへにうちとけたる後見ばかりをして。朝夕の出で入りにつけても、公私の人のたたずまひ、善き悪しきことの、目にも耳にもとまるありさまを、疎き人に、わざとうちまねばむやは。近くて見む人の聞きわき思ひ知るべからむに語りも合はせばやと、うちも笑まれ、涙もさしぐみ、もしは、あやなきおほやけ腹立たしく、心ひとつに思ひあまることなど多かるを、何にかは聞かせむと思へば、うちそむかれて、人知れぬ思ひ出で笑ひもせられ、『あはれ』とも、うち独りごたるるに、『何ごとぞ』など、あはつかにさし仰ぎゐたらむは、いかがは口惜しからぬ。,後見,ばかり,,,帚木,上接体言, 内裏わたりの旅寝すさまじかるべく、気色ばめるあたりはそぞろ寒くや、と思ひたまへられしかば、いかが思へると、気色も見がてら、雪をうち払ひつつ、なま人わろく爪喰はるれど、さりとも今宵日ごろの恨みは解けなむ、と思うたまへしに、火ほのかに壁に背け、萎えたる衣どもの厚肥えたる、大いなる籠にうち掛けて、引き上ぐべきものの帷子などうち上げて、今宵ばかりやと、待ちけるさまなり。,今宵,ばかり,,,帚木,上接体言, 守出で来て、燈籠掛け添へ、灯明くかかげなどして、御くだものばかり参れり。,御くだもの,ばかり,,,帚木,上接体言, あまたある中に、いとけはひあてはかにて、十二三ばかりなるもあり。,十二三,ばかり,,,帚木,上接体言, 「かの、ありし中納言の子は、得させてむや。らうたげに見えしを。身近く使ふ人にせむ。上にも我奉らむ」とのたまへば、 「いとかしこき仰せ言にはべるなり。姉なる人にのたまひみむ」 と申すも、胸つぶれて思せど、 「その姉君は、朝臣の弟や持たる」 「さもはべらず。この二年ばかりぞ、かくてものしはべれど、親のおきてに違へりと思ひ嘆きて、心ゆかぬやうになむ、聞きたまふる」 「あはれのことや。よろしく聞こえし人ぞかし。まことによしや」とのたまへば、 「けしうははべらざるべし。もて離れてうとうとしくはべれば、世のたとひにて、睦びはべらず」と申す。,二年,ばかり,,,帚木,上接体言, 女も、さる御消息ありけるに、思したばかりつらむほどは、浅くしも思ひなされねど、さりとて、うちとけ、人げなきありさまを見えたてまつりても、あぢきなく、夢のやうにて過ぎにし嘆きを、またや加へむ、と思ひ乱れて、なほさて待ちつけきこえさせむことのまばゆければ、小君が出でて去ぬるほどに、 「いとけ近ければ、かたはらいたし。なやましければ、忍びてうち叩かせなどせむに、ほど離れてを」 とて、渡殿に、中将といひしが局したる隠れに、移ろひぬ。,思した,ばかり,,,帚木,上接体言, 床の下に二人ばかりぞ臥したる。,二人,ばかり,,,空蝉,上接体言, 「いと深う憎みたまふべかめれば、身も憂く思ひ果てぬ。などか、よそにても、なつかしき答へばかりはしたまふまじき。伊予介に劣りける身こそ」 など、心づきなしと思ひてのたまふ。,答へ,ばかり,,,空蝉,上接体言, 御車入るべき門は鎖したりければ、人して惟光召させて、待たせたまひけるほど、むつかしげなる大路のさまを見わたしたまへるに、この家のかたはらに、桧垣といふもの新しうして、上は半蔀四五間ばかり上げわたして、簾などもいと白う涼しげなるに、をかしき額つきの透影、あまた見えて覗く。,四五間,ばかり,,,夕顔,上接体言, 「懸想人のいとものげなき足もとを、見つけられてはべらむ時、からくもあるべきかな」とわぶれど、人に知らせたまはぬままに、かの夕顔のしるべせし随身ばかり、さては、顔むげに知るまじき童一人ばかりぞ、率ておはしける。「もし思ひよる気色もや」とて、隣に中宿をだにしたまはず。,随身,ばかり,,,夕顔,上接体言, この院の預りの子、むつましく使ひたまふ若き男、また上童一人、例の随身ばかりぞありける。,随身,ばかり,,,夕顔,上接体言, 大殿の君達参りたまへど、頭中将ばかりを、「立ちながら、こなたに入りたまへ」とのたまひて、御簾の内ながらのたまふ。,頭中將,ばかり,,,夕顔,上接体言, 親たちは、はや亡せたまひにき。三位中将となむ聞こえし。いとらうたきものに思ひきこえたまへりしかど、我が身のほどの心もとなさを思すめりしに、命さへ堪へたまはずなりにしのち、はかなきもののたよりにて、頭中将なむ、まだ少将にものしたまひし時、見初めたてまつらせたまひて、三年ばかりは、志あるさまに通ひたまひしを、去年の秋ごろ、かの右の大殿より、いと恐ろしきことの聞こえ参で来しに、物怖ぢをわりなくしたまひし御心に、せむかたなく思し怖ぢて、西の京に、御乳母住みはべる所になむ、はひ隠れたまへりし。,三年,ばかり,,,夕顔,上接体言, 「逢ふまでの形見ばかりと見しほどに  ひたすら袖の朽ちにけるかな」 こまかなることどもあれど、うるさければ書かず。,形見,ばかり,,,夕顔,上接体言, 御使、帰りにけれど、小君して、小袿の御返りばかりは聞こえさせたり。,御返り,ばかり,,,夕顔,上接体言, 瘧病にわづらひたまひて、よろづにまじなひ加持など参らせたまへど、しるしなくて、あまたたびおこりたまひければ、ある人、「北山になむ、なにがし寺といふ所に、かしこき行ひ人はべる。去年の夏も世におこりて、人々まじなひわづらひしを、やがてとどむるたぐひ、あまたはべりき。ししこらかしつる時はうたてはべるを、とくこそ試みさせたまはめ」など聞こゆれば、召しに遣はしたるに、「老いかがまりて、室の外にもまかでず」と申したれば、「いかがはせむ。いと忍びてものせむ」とのたまひて、御供にむつましき四、五人ばかりして、まだ暁におはす。,五人,ばかり,,,若紫,上接体言, 四十余ばかりにて、いと白うあてに、痩せたれど、つらつきふくらかに、まみのほど、髪のうつくしげにそがれたる末も、なかなか長きよりもこよなう今めかしきものかなと、あはれに見たまふ。,四十余,ばかり,,,若紫,上接体言, 清げなる大人二人ばかり、さては童女ぞ出で入り遊ぶ。,二人,ばかり,,,若紫,上接体言, 中に十ばかりやあらむと見えて、白き衣、山吹などの萎えたる着て、走り来たる女子、あまた見えつる子どもに似るべうもあらず、いみじく生ひさき見えて、うつくしげなる容貌なり。,十,ばかり,,,若紫,上接体言, 「あな、今めかし。この君や、世づいたるほどにおはするとぞ、思すらむ。さるにては、かの『若草』を、いかで聞いたまへることぞ」と、さまざまあやしきに、心乱れて、久しうなれば、情けなしとて、 「枕ゆふ今宵ばかりの露けさを  深山の苔に比べざらなむ 乾がたうはべるものを」と聞こえたまふ。,今宵,ばかり,,,若紫,上接体言, 「今ばかりの誓ひ深うはべりて、御送りにもえ参りはべるまじきこと、なかなかにも思ひたまへらるべきかな」 など聞こえたまひて、大御酒参りたまふ。,今,ばかり,,,若紫,上接体言, 若君は、いと恐ろしう、いかならむとわななかれて、いとうつくしき御肌つきも、そぞろ寒げに思したるを、らうたくおぼえて、単衣ばかりを押しくくみて、わが御心地も、かつはうたておぼえたまへど、あはれにうち語らひたまひて、 「いざ、たまへよ。をかしき絵など多く、雛遊びなどする所に」 と、心につくべきことをのたまふけはひの、いとなつかしきを、幼き心地にも、いといたう怖ぢず、さすがに、むつかしう寝も入らずおぼえて、身じろき臥したまへり。,単衣,ばかり,,,若紫,上接体言, 「朝ぼらけ霧立つ空のまよひにも  行き過ぎがたき妹が門かな」 と、二返りばかり歌ひたるに、よしある下仕ひを出だして、 「立ちとまり霧のまがきの過ぎうくは  草のとざしにさはりしもせじ」 と言ひかけて、入りぬ。,二返り,ばかり,,,若紫,上接体言, わが御方にて、御直衣などはたてまつる。惟光ばかりを馬に乗せておはしぬ。,惟光,ばかり,,,若紫,上接体言, 何ばかり深き手ならねど、ものの音がらの筋ことなるものなれば、聞きにくくも思されず。,何,ばかり,,,末摘花,上接体言, 八月二十余日、宵過ぐるまで待たるる月の心もとなきに、星の光ばかりさやけく、松の梢吹く風の音心細くて、いにしへの事語り出でて、うち泣きなどしたまふ。「いとよき折かな」と思ひて、御消息や聞こえつらむ、例のいと忍びておはしたり。,星の光,ばかり,,,末摘花,上接体言, 御いとまなきやうにて、せちに思す所ばかりにこそ、盗まはれたまへれ、かのわたりには、いとおぼつかなくて、秋暮れ果てぬ。,所,ばかり,,,末摘花,上接体言, 隅の間ばかりにぞ、いと寒げなる女ばら、白き衣のいひしらず煤けたるに、きたなげなる褶引き結ひつけたる腰つき、かたくなしげなり。さすがに櫛おし垂れて挿したる額つき、内教坊、内侍所のほどに、かかる者どもあるはやと、をかし。,隅の間,ばかり,,,末摘花,上接体言, 頭つき、髪のかかりはしも、うつくしげにめでたしと思ひきこゆる人々にも、をさをさ劣るまじう、袿の裾にたまりて引かれたるほど、一尺ばかりあまりたらむと見ゆ。,一尺,ばかり,,,末摘花,上接体言, 陸奥紙の厚肥えたるに、匂ひばかりは深うしめたまへり。,匂ひ,ばかり,,,末摘花,上接体言, さも思しよらず、興ある紋つきてしるき表着ばかりぞ、あやしと思しける。,表着,ばかり,,,末摘花,上接体言, 日暮れかかるほどに、けしきばかりうちしぐれて、空のけしきさへ見知り顔なるに、さるいみじき姿に、菊の色々移ろひ、えならぬをかざして、今日はまたなき手を尽くしたる入綾のほど、そぞろ寒く、この世のことともおぼえず。,けしき,ばかり,,,紅葉賀,上接体言, 四年ばかりがこのかみにおはすれば、うち過ぐし、恥づかしげに、盛りにととのほりて見えたまふ。,四年,ばかり,,,紅葉賀,上接体言, 参座しにとても、あまた所も歩きたまはず、内裏、春宮、一院ばかり、さては、藤壷の三条の宮にぞ参りたまへる。,一院,ばかり,,,紅葉賀,上接体言, かき合はせばかり弾きて、さしやりたまへれば、え怨じ果てず、いとうつくしう弾きたまふ。,かき合はせ,ばかり,,,紅葉賀,上接体言, 風ひややかにうち吹きて、やや更けゆくほどに、すこしまどろむにやと見ゆるけしきなれば、やをら入り来るに、君は、とけてしも寝たまはぬ心なれば、ふと聞きつけて、この中将とは思ひ寄らず、「なほ忘れがたくすなる修理大夫にこそあらめ」と思すに、おとなおとなしき人に、かく似げなきふるまひをして、見つけられむことは、恥づかしければ、 「あな、わづらはし。出でなむよ。蜘蛛のふるまひは、しるかりつらむものを。心憂く、すかしたまひけるよ」 とて、直衣ばかりを取りて、屏風のうしろに入りたまひぬ。,直衣,ばかり,,,紅葉賀,上接体言, 楽どもなどは、さらにもいはずととのへさせたまへり。やうやう入り日になるほど、春の鴬囀るといふ舞、いとおもしろく見ゆるに、源氏の御紅葉の賀の折、思し出でられて、春宮、かざしたまはせて、せちに責めのたまはするに、逃がれがたくて、立ちてのどかに袖返すところを一折れ、けしきばかり舞ひたまへるに、似るべきものなく見ゆ。,けしき,ばかり,,,花宴,上接体言, 「ことわりや。聞こえ違へたる文字かな」とて、 「いづれぞと露のやどりを分かむまに  小笹が原に風もこそ吹け わづらはしく思すことならずは、何かつつまむ。もし、すかいたまふか」 とも言ひあへず、人々起き騒ぎ、上の御局に参りちがふけしきども、しげくまよへば、いとわりなくて、扇ばかりをしるしに取り換へて、出でたまひぬ。,扇,ばかり,,,花宴,上接体言, 「かの有明、出でやしぬらむ」と、心もそらにて、思ひ至らぬ隈なき良清、惟光をつけて、うかがはせたまひければ、御前よりまかでたまひけるほどに、 「ただ今、北の陣より、かねてより隠れ立ちてはべりつる車どもまかり出づる。御方々の里人はべりつるなかに、四位の少将、右中弁など急ぎ出でて、送りしはべりつるや、弘徽殿の御あかれならむと見たまへつる。けしうはあらぬけはひどもしるくて、車三つばかりはべりつ」 と聞こゆるにも、胸うちつぶれたまふ。,三つ,ばかり,,,花宴,上接体言, 春宮には、卯月ばかりと思し定めたれば、いとわりなう思し乱れたるを、男も、尋ねたまはむにあとはかなくはあらねど、いづれとも知らで、ことに許したまはぬあたりにかかづらはむも、人悪く思ひわづらひたまふに、弥生の二十余日、右の大殿の弓の結に、上達部、親王たち多く集へたまひて、やがて藤の宴したまふ。花盛りは過ぎにたるを、「ほかの散りなむ」とや教へられたりけむ、遅れて咲く桜、二木ぞいとおもしろき。,卯月,ばかり,,,花宴,上接体言, 「悔しくもかざしけるかな名のみして  人だのめなる草葉ばかりを」 と聞こゆ。,草葉,ばかり,,,葵,上接体言, なかなかもの思ひのおどろかさるる心地したまふに、御文ばかりぞ、暮れつ方ある。,御文,ばかり,,,葵,上接体言, 大将殿は、心地すこしのどめたまひて、あさましかりしほどの問はず語りも、心憂く思し出でられつつ、「いとほど経にけるも心苦しう、また気近う見たてまつらむには、いかにぞや。うたておぼゆべきを、人の御ためいとほしう」、よろづに思して、御文ばかりぞありける。,御文,ばかり,,,葵,上接体言, ののしり騒ぐほど、夜中ばかりなれば、山の座主、何くれの僧都たちも、え請じあへたまはず。,夜中,ばかり,,,葵,上接体言, 夜もすがらいみじうののしりつる儀式なれど、いともはかなき御屍ばかりを御名残にて、暁深く帰りたまふ。,御屍,ばかり,,,葵,上接体言, 所々には、御文ばかりぞたてまつりたまふ。,御文,ばかり,,,葵,上接体言, 君は、西のつまの高欄におしかかりて、霜枯れの前栽見たまふほどなりけり。風荒らかに吹き、時雨さとしたるほど、涙もあらそふ心地して、 「雨となり雲とやなりにけむ、今は知らず」 と、うちひとりごちて、頬杖つきたまへる御さま、「女にては、見捨てて亡くならむ魂かならずとまりなむかし」と、色めかしき心地に、うちまもられつつ、近うついゐたまへれば、しどけなくうち乱れたまへるさまながら、紐ばかりをさし直したまふ。,紐,ばかり,,,葵,上接体言, うち見まはしたまふに、御几帳の後、障子のあなたなどのあき通りたるなどに、女房三十人ばかりおしこりて、濃き、薄き鈍色どもを着つつ、皆いみじう心細げにて、うちしほれたれつつゐ集りたるを、いとあはれ、と見たまふ。,人,ばかり,,,葵,上接体言, 宮の御消息にて、 「今日は、いみじく思ひたまへ忍ぶるを、かく渡らせたまへるになむ、なかなか」 など聞こえたまひて、 「昔にならひはべりにける御よそひも、月ごろは、いとど涙に霧りふたがりて、色あひなく御覧ぜられはべらむと思ひたまふれど、今日ばかりは、なほやつれさせたまへ」 とて、いみじくし尽くしたまへるものども、また重ねてたてまつれたまへり。,日,ばかり,,,葵,上接体言, 親添ひて下りたまふ例も、ことになけれど、いと見放ちがたき御ありさまなるにことつけて、「憂き世を行き離れむ」と思すに、大将の君、さすがに、今はとかけ離れたまひなむも、口惜しく思されて、御消息ばかりは、あはれなるさまにて、たびたび通ふ。,御消息,ばかり,,,賢木,上接体言, 九月七日ばかりなれば、「むげに今日明日」と思すに、女方も心あわたたしけれど、「立ちながら」と、たびたび御消息ありければ、「いでや」とは思しわづらひながら、「いとあまり埋もれいたきを、物越ばかりの対面は」と、人知れず待ちきこえたまひけり。,日,ばかり,,,賢木,上接体言, むつましき御前、十余人ばかり、御随身、ことことしき姿ならで、いたう忍びたまへれど、ことにひきつくろひたまへる御用意、いとめでたく見えたまへば、御供なる好き者ども、所からさへ身にしみて思へり。,人,ばかり,,,賢木,上接体言, 何くれの人づての御消息ばかりにて、みづからは対面したまふべきさまにもあらねば、「いとものし」と思して、 「かうやうの歩きも、今はつきなきほどになりにてはべるを、思ほし知らば、かう注連のほかにはもてなしたまはで。いぶせうはべることをも、あきらめはべりにしがな」と、まめやかに聞こえたまへば、人々、 「げに、いとかたはらいたう」 「立ちわづらはせたまふに、いとほしう」 など、あつかひきこゆれば、「いさや。ここの人目も見苦しう、かの思さむことも、若々しう、出でゐむが、今さらにつつましきこと」と思すに、いともの憂けれど、情けなうもてなさむにもたけからねば、とかくうち嘆き、やすらひて、ゐざり出でたまへる御けはひ、いと心にくし。,御消息,ばかり,,,賢木,上接体言, 「こなたは、簀子ばかりの許されははべりや」 とて、上りゐたまへり。,簀子,ばかり,,,賢木,上接体言, 月ごろのつもりを、つきづきしう聞こえたまはむも、まばゆきほどになりにければ、榊をいささか折りて持たまへりけるを、挿し入れて、 「変らぬ色をしるべにてこそ、斎垣も越えはべりにけれ。さも心憂く」 と聞こえたまへば、 「神垣はしるしの杉もなきものを  いかにまがへて折れる榊ぞ」 と聞こえたまへば、 「少女子があたりと思へば榊葉の  香をなつかしみとめてこそ折れ」 おほかたのけはひわづらはしけれど、御簾ばかりはひき着て、長押におしかかりてゐたまへり。,御簾,ばかり,,,賢木,上接体言, 何ばかりのことにもあらぬに、折から、ものあはれにて、大将の御袖、いたう濡れぬ。,何,ばかり,,,賢木,上接体言, 例ならぬ日数も、おぼつかなくのみ思さるれば、御文ばかりぞ、しげう聞こえたまふめる。,御文,ばかり,,,賢木,上接体言, おほかたのことども、宮の御事に触れたることなどをば、うち頼めるさまに、すくよかなる御返りばかり聞こえたまへるを、「さも心かしこく、尽きせずも」と、恨めしうは見たまへど、何ごとも後見きこえならひたまひにたれば、「人あやしと、見とがめもこそすれ」と思して、まかでたまふべき日、参りたまへり。,御返り,ばかり,,,賢木,上接体言, 折もあはれに、あながちに忍び書きたまへらむ御心ばへも、憎からねば、御使とどめさせて、唐の紙ども入れさせたまへる御厨子開けさせたまひて、なべてならぬを選り出でつつ、筆なども心ことにひきつくろひたまへるけしき、艶なるを、御前なる人々、「誰ばかりならむ」とつきじろふ。,誰,ばかり,,,賢木,上接体言, 今日は、この御ことも思ひ消ちて、あはれなる雪の雫に濡れ濡れ行ひたまふ。 十二月十余日ばかり、中宮の御八講なり。,日,ばかり,,,賢木,上接体言, 白馬ばかりぞ、なほひき変へぬものにて、女房などの見ける。,白馬,ばかり,,,賢木,上接体言, 「解けわたる池の薄氷、岸の柳のけしきばかりは、時を忘れぬ」など、さまざま眺められたまひて、「むべも心ある」と、忍びやかにうち誦じたまへる、またなうなまめかし。,けしき,ばかり,,,賢木,上接体言, 二日ばかりありて、中将負けわざしたまへり。,日,ばかり,,,賢木,上接体言, 階のもとの薔薇、けしきばかり咲きて、春秋の花盛りよりもしめやかにをかしきほどなるに、うちとけ遊びたまふ。,けしき,ばかり,,,賢木,上接体言, 中将の御子の、今年初めて殿上する、八つ、九つばかりにて、声いとおもしろく、笙の笛吹きなどするを、うつくしびもてあそびたまふ。,九つ,ばかり,,,賢木,上接体言, 心知りの人二人ばかり、心を惑はす。,二人,ばかり,,,賢木,上接体言, 何ばかりの御よそひなく、うちやつして、御前などもなく、忍びて、中川のほどおはし過ぐるに、ささやかなる家の、木立などよしばめるに、よく鳴る琴を、あづまに調べて、掻き合はせ、にぎははしく弾きなすなり。,何,ばかり,,,花散里,上接体言, 人にいつとしも知らせたまはず、ただいと近う仕うまつり馴れたる限り、七、八人ばかり御供にて、いとかすかに出で立ちたまふ。,人,ばかり,,,須磨,上接体言, さるべき所々に、御文ばかりうち忍びたまひしにも、あはれと忍ばるばかり尽くいたまへるは、見どころもありぬべかりしかど、その折の、心地の紛れに、はかばかしうも聞き置かずなりにけり。,御文,ばかり,,,須磨,上接体言, 月待ち出でて出でたまふ。御供にただ五、六人ばかり、下人もむつましき限りして、御馬にてぞおはする。,人,ばかり,,,須磨,上接体言, 日長きころなれば、追風さへ添ひて、まだ申の時ばかりに、かの浦に着きたまひぬ。,時,ばかり,,,須磨,上接体言, 大江殿と言ひける所は、いたう荒れて、松ばかりぞしるしなる。,松,ばかり,,,須磨,上接体言, ものをあはれと思しけるままに、うち置きうち置き書きたまへる、白き唐の紙、四、五枚ばかりを巻き続けて、墨つきなど見所あり。,五枚,ばかり,,,須磨,上接体言, 「このころの上手にすめる千枝、常則などを召して、作り絵仕うまつらせばや」 と、心もとながりあへり。なつかしうめでたき御さまに、世のもの思ひ忘れて、近う馴れ仕うまつるをうれしきことにて、四、五人ばかりぞ、つとさぶらひける。,五人,ばかり,,,須磨,上接体言, いとおろそかに、軟障ばかりを引きめぐらして、この国に通ひける陰陽師召して、祓へせさせたまふ。,軟障,ばかり,,,須磨,上接体言, 君は御心を静めて、「何ばかりのあやまちにてか、この渚に命をば極めむ」と、強う思しなせど、いともの騒がしければ、色々の幣帛ささげさせたまひて、 「住吉の神、近き境を鎮め守りたまふ。まことに迹を垂れたまふ神ならば、助けたまへ」 と、多くの大願を立てたまふ。,何,ばかり,,,明石,上接体言, 渚に小さやかなる舟寄せて、人二、三人ばかり、この旅の御宿りをさして参る。,人,ばかり,,,明石,上接体言, 「知らぬ世界に、めづらしき愁への限り見つれど、都の方よりとて、言問ひおこする人もなし。ただ行方なき空の月日の光ばかりを、故郷の友と眺めはべるに、うれしき釣舟をなむ。かの浦に、静やかに隠ろふべき隈はべりなむや」 とのたまふ。,月日の光,ばかり,,,明石,上接体言, 「ともあれ、かくもあれ、夜の明け果てぬ先に御舟にたてまつれ」 とて、例の親しき限り、四、五人ばかりして、たてまつりぬ。,五人,ばかり,,,明石,上接体言, 入道の宮ばかりには、めづらかにてよみがへるさまなど聞こえたまふ。二条院のあはれなりしほどの御返りは、書きもやりたまはず、うち置きうち置き、おしのごひつつ聞こえたまふ御けしき、なほことなり。,宮,ばかり,,,明石,上接体言, 年は六十ばかりになりたれど、いときよげにあらまほしう、行なひさらぼひて、人のほどのあてはかなればにやあらむ、うちひがみほれぼれしきことはあれど、いにしへのことをも知りて、ものきたなからず、よしづきたることも交れれば、昔物語などせさせて聞きたまふに、すこしつれづれの紛れなり。,十,ばかり,,,明石,上接体言, 君、 「琴を琴とも聞きたまふまじかりけるあたりに、ねたきわざかな」 とて、押しやりたまふに、 「あやしう、昔より箏は、女なむ弾き取るものなりける。嵯峨の御伝へにて、女五の宮、さる世の中の上手にものしたまひけるを、その御筋にて、取り立てて伝ふる人なし。すべて、ただ今世に名を取れる人々、掻き撫での心やりばかりにのみあるを、ここにかう弾きこめたまへりける、いと興ありけることかな。いかでかは、聞くべき」 とのたまふ。,心やり,ばかり,,,明石,上接体言, 「いと口惜しき際の田舎人こそ、仮に下りたる人のうちとけ言につきて、さやうに軽らかに語らふわざをもすなれ、人数にも思されざらむものゆゑ、我はいみじきもの思ひをや添へむ。かく及びなき心を思へる親たちも、世籠もりて過ぐす年月こそ、あいな頼みに、行く末心にくく思ふらめ、なかなかなる心をや尽くさむ」と思ひて、「ただこの浦におはせむほど、かかる御文ばかりを聞こえかはさむこそ、おろかならね。年ごろ音にのみ聞きて、いつかはさる人の御ありさまをほのかにも見たてまつらむなど、思ひかけざりし御住まひにて、まほならねどほのかにも見たてまつり、世になきものと聞き伝へし御琴の音をも風につけて聞き、明け暮れの御ありさまおぼつかなからで、かくまで世にあるものと思し尋ぬるなどこそ、かかる海人のなかに朽ちぬる身にあまることなれ」 など思ふに、いよいよ恥づかしうて、つゆも気近きことは思ひ寄らず。 親たちは、ここらの年ごろの祈りの叶ふべきを思ひながら、 「ゆくりかに見せたてまつりて、思し数まへざらむ時、いかなる嘆きをかせむ」 と思ひやるに、ゆゆしくて、 「めでたき人と聞こゆとも、つらういみじうもあるべきかな。目にも見えぬ仏、神を頼みたてまつりて、人の御心をも、宿世をも知らで」 など、うち返し思ひ乱れたり。,御文,ばかり,,,明石,上接体言, 娘住ませたる方は、心ことに磨きて、月入れたる真木の戸口、けしきばかり押し開けたり。,けしき,ばかり,,,明石,上接体言, 「行く末短げなる親ばかりを頼もしきものにて、いつの世に人並々になるべき身と思はざりしかど、ただそこはかとなくて過ぐしつる年月は、何ごとをか心をも悩ましけむ、かういみじうもの思はしき世にこそありけれ」 と、かねて推し量り思ひしよりも、よろづに悲しけれど、なだらかにもてなして、憎からぬさまに見えたてまつる。,親,ばかり,,,明石,上接体言, そのころは、夜離れなく語らひたまふ。六月ばかりより心苦しきけしきありて悩みけり。,六月,ばかり,,,明石,上接体言, 明後日ばかりになりて、例のやうにいたくも更かさで渡りたまへり。,日,ばかり,,,明石,上接体言, 駒並めて、うち過ぎたまふにも、心のみ動くに、露ばかりなれど、いとあはれにかたじけなくおぼえて、うち泣きぬ。,露,ばかり,,,澪標,上接体言, 常陸の宮の君は、父親王の亡せたまひにし名残に、また思ひあつかふ人もなき御身にて、いみじう心細げなりしを、思ひかけぬ御ことの出で来て、訪らひきこえたまふこと絶えざりしを、いかめしき御勢にこそ、ことにもあらず、はかなきほどの御情けばかりと思したりしかど、待ち受けたまふ袂の狭きに、大空の星の光を盥の水に映したる心地して過ぐしたまひしほどに、かかる世の騷ぎ出で来て、なべての世憂く思し乱れしまぎれに、わざと深からぬ方の心ざしはうち忘れたるやうにて、遠くおはしましにしのち、ふりはへてしもえ尋ねきこえたまはず。,御情け,ばかり,,,蓬生,上接体言, ただ、御兄の禅師の君ばかりぞ、まれにも京に出でたまふ時は、さしのぞきたまへど、それも、世になき古めき人にて、同じき法師といふなかにも、たづきなく、この世を離れたる聖にものしたまひて、しげき草、蓬をだに、かき払はむものとも思ひ寄りたまはず。,君,ばかり,,,蓬生,上接体言, 盗人などいふひたぶる心ある者も、思ひやりの寂しければにや、この宮をば不要のものに踏み過ぎて、寄り来ざりければ、かくいみじき野良、薮なれども、さすがに寝殿のうちばかりは、ありし御しつらひ変らず、つややかに掻い掃きなどする人もなし。,うち,ばかり,,,蓬生,上接体言, されど、動くべうもあらねば、よろづに言ひわづらひ暮らして、 「さらば、侍従をだに」 と、日の暮るるままに急げば、心あわたたしくて、泣く泣く、 「さらば、まづ今日は。かう責めたまふ送りばかりにまうではべらむ。かの聞こえたまふもことわりなり。また、思しわづらふもさることにはべれば、中に見たまふるも心苦しくなむ」 と、忍びて聞こゆ。,送り,ばかり,,,蓬生,上接体言, 形見に添へたまふべき身馴れ衣も、しほなれたれば、年経ぬるしるし見せたまふべきものなくて、わが御髪の落ちたりけるを取り集めて、鬘にしたまへるが、九尺余ばかりにて、いときよらなるを、をかしげなる箱に入れて、昔の薫衣香のいとかうばしき、一壷具して賜ふ。,九尺余,ばかり,,,蓬生,上接体言, 霜月ばかりになれば、雪、霰がちにて、ほかには消ゆる間もあるを、朝日、夕日をふせぐ蓬葎の蔭に深う積もりて、越の白山思ひやらるる雪のうちに、出で入る下人だになくて、つれづれと眺めたまふ。,霜月,ばかり,,,蓬生,上接体言, 卯月ばかりに、花散里を思ひ出できこえたまひて、忍びて対の上に御暇聞こえて出でたまふ。,卯月,ばかり,,,蓬生,上接体言, 「さればこそ、往き来の道に見入るれど、人住みげもなきものを」と思ひて、帰り参るほどに、月明くさし出でたるに、見れば、格子二間ばかり上げて、簾動くけしきなり。わづかに見つけたる心地、恐ろしくさへおぼゆれど、寄りて、声づくれば、いともの古りたる声にて、まづしはぶきを先にたてて、 「かれは誰れそ。何人ぞ」 と問ふ。名のりして、 「侍従の君と聞こえし人に、対面賜はらむ」 と言ふ。,二間,ばかり,,,蓬生,上接体言, 入りたまひて、 「年ごろの隔てにも、心ばかりは変はらずなむ、思ひやりきこえつるを、さしもおどろかいたまはぬ恨めしさに、今までこころみきこえつるを、杉ならぬ木立のしるさに、え過ぎでなむ、負けきこえにける」 とて、帷子をすこしかきやりたまへれば、例の、いとつつましげに、とみにも応へきこえたまはず。,心,ばかり,,,蓬生,上接体言, 二年ばかりこの古宮に眺めたまひて、東の院といふ所になむ、後は渡したてまつりたまひける。,二年,ばかり,,,蓬生,上接体言, 車十ばかりぞ、袖口、物の色あひなども、漏り出でて見えたる、田舎びず、よしありて、斎宮の御下りなにぞやうの折の物見車思し出でらる。,十,ばかり,,,関屋,上接体言, 「うけばりたる親ざまには、聞こし召されじ」と、院をつつみきこえたまひて、御訪らひばかりと、見せたまへり。よき女房などは、もとより多かる宮なれば、里がちなりしも参り集ひて、いと二なく、けはひあらまほし。,御訪らひ,ばかり,,,絵合,上接体言, 中宮ばかりには、見せたてまつるべきものなり。,宮,ばかり,,,絵合,上接体言, 明石には御消息絶えず、今はなほ上りたまひぬべきことをばのたまへど、女は、なほ、わが身のほどを思ひ知るに、 「こよなくやむごとなき際の人々だに、なかなかさてかけ離れぬ御ありさまのつれなきを見つつ、もの思ひまさりぬべく聞くを、まして、何ばかりのおぼえなりとてか、さし出でまじらはむ。,何,ばかり,,,松風,上接体言, 野に泊りぬる君達、小鳥しるしばかりひき付けさせたる荻の枝など、苞にして参れり。,しるし,ばかり,,,松風,上接体言, 弾きもの、琵琶、和琴ばかり、笛ども上手の限りして、折に合ひたる調子吹き立つるほど、川風吹き合はせておもしろきに、月高くさし上がり、よろづのこと澄める夜のやや更くるほどに、殿上人、四、五人ばかり連れて参れり。,和琴。五人,ばかり,,,松風,上接体言, 嵯峨野の御堂の念仏など待ち出でて、月に二度ばかりの御契りなめり。,二度,ばかり,,,松風,上接体言, 乳母の少将とて、あてやかなる人ばかり、御佩刀、天児やうの物取りて乗る。,人,ばかり,,,薄雲,上接体言, 御袴着は、何ばかりわざと思しいそぐことはなけれど、けしきことなり。,何,ばかり,,,薄雲,上接体言, ここは、かかる所なれど、かやうに立ち泊りたまふ折々あれば、はかなき果物、強飯ばかりはきこしめす時もあり。,強飯,ばかり,,,薄雲,上接体言, 「今年ばかりは」と、一人ごちたまひて、人の見とがめつべければ、御念誦堂に籠もりゐたまひて、日一日泣き暮らしたまふ。,今年,ばかり,,,薄雲,上接体言, この入道の宮の御母后の御世より伝はりて、次々の御祈りの師にてさぶらひける僧都、故宮にもいとやむごとなく親しきものに思したりしを、朝廷にも重き御おぼえにて、いかめしき御願ども多く立てて、世にかしこき聖なりける、年七十ばかりにて、今は終りの行なひをせむとて籠もりたるが、宮の御事によりて出でたるを、内裏より召しありて、常にさぶらはせたまふ。,十,ばかり,,,薄雲,上接体言, 命婦は、御匣殿の替はりたる所に移りて、曹司たまはりて参りたり。大臣、対面したまひて、 「このことを、もし、もののついでに、露ばかりにても漏らし奏したまふことやありし」 と案内したまへど、 「さらに。かけても聞こし召さむことを、いみじきことに思し召して、かつは、罪得ることにやと、主上の御ためを、なほ思し召し嘆きたりし」 と聞こゆるにも、ひとかたならず心深くおはせし御ありさまなど、尽きせず恋ひきこえたまふ。,露,ばかり,,,薄雲,上接体言, 御几帳ばかりを隔てて、みづから聞こえたまふ。,御几帳,ばかり,,,薄雲,上接体言, 御応へは、いとおほどかなるさまに、からうして一言ばかりかすめたまへるけはひ、いとなつかしげなるに聞きつきて、しめじめと暮るるまでおはす。,一言,ばかり,,,薄雲,上接体言, 「一月に三度ばかりを参りたまへ」 とぞ、許しきこえたまひける。,三度,ばかり,,,少女,上接体言, しひて気遠くもてなしたまひ、「御琴の音ばかりをも聞かせたてまつらじ」と、今はこよなく隔てきこえたまふを、 「いとほしきことありぬべき世なるこそ」 と、近う仕うまつる大宮の御方のねび人ども、ささめきけり。,音,ばかり,,,少女,上接体言, 二日ばかりありて、参りたまへり。,日,ばかり,,,少女,上接体言, まことに天の下並ぶ人なき有職にはものせらるめれど、親しきほどにかかるは、人の聞き思ふところも、あはつけきやうになむ、何ばかりのほどにもあらぬ仲らひにだにしはべるを、かの人の御ためにも、いとかたはなることなり。,何,ばかり,,,少女,上接体言, 「これは、明け暮れ立ちまじりたまひて年ごろおはしましつるを、何かは、いはけなき御ほどを、宮の御もてなしよりさし過ぐしても、隔てきこえさせむと、うちとけて過ぐしきこえつるを、一昨年ばかりよりは、けざやかなる御もてなしになりにてはべるめるに、若き人とても、うち紛ればみ、いかにぞや、世づきたる人もおはすべかめるを、夢に乱れたるところおはしまさざめれば、さらに思ひ寄らざりけること」 と、おのがどち嘆く。,一昨年,ばかり,,,少女,上接体言, 御車三つばかりにて、忍びやかに急ぎ出でたまふけはひを聞くも、静心なければ、宮の御前より、「参りたまへ」とあれど、寝たるやうにて動きもしたまはず。,三つ,ばかり,,,少女,上接体言, 何ばかりの御いそぎならねど、童女の装束など、近うなりぬとて、急ぎせさせたまふ。,何,ばかり,,,少女,上接体言, また、 「向ひて見るかひなからむもいとほしげなり。かくて年経たまひにけれど、殿の、さやうなる御容貌、御心と見たまうて、浜木綿ばかりの隔てさし隠しつつ、何くれともてなし紛らはしたまふめるも、むべなりけり」 と思ふ心のうちぞ、恥づかしかりける。,浜木綿,ばかり,,,少女,上接体言, 秋の司召に、かうぶり得て、侍従になりたまひぬ。かの人の御こと、忘るる世なけれど、大臣の切にまもりきこえたまふもつらければ、わりなくてなども対面したまはず。御消息ばかり、さりぬべきたよりに聞こえたまひて、かたみに心苦しき御仲なり。,御消息,ばかり,,,少女,上接体言, 心よくかいひそめたるものに、女君も思したれど、心のうちには、 「故君ものしたまはましかば、明石の御方ばかりのおぼえには劣りたまはざらまし。さしも深き御心ざしなかりけるをだに、落としあぶさず、取りしたためたまふ御心長さなりければ、まいて、やむごとなき列にこそあらざらめ、この御殿移りの数のうちにはまじらひたまひなまし」 と思ふに、飽かず悲しくなむ思ひける。,御方,ばかり,,,玉鬘,上接体言, 少弐、任果てて上りなどするに、遥けきほどに、ことなる勢ひなき人は、たゆたひつつ、すがすがしくも出で立たぬほどに、重き病して、死なむとする心地にも、この君の十ばかりにもなりたまへるさまの、ゆゆしきまでをかしげなるを見たてまつりて、 「我さへうち捨てたてまつりて、いかなるさまにはふれたまはむとすらむ。あやしき所に生ひ出でたまふも、かたじけなく思ひきこゆれど、いつしかも京に率てたてまつりて、さるべき人にも知らせたてまつりて、御宿世にまかせて見たてまつらむにも、都は広き所なれば、いと心やすかるべしと、思ひいそぎつるを、ここながら命堪へずなりぬること」 と、うしろめたがる。,十,ばかり,,,玉鬘,上接体言, 二十ばかりになりたまふままに、生ひととのほりて、いとあたらしくめでたし。,十,ばかり,,,玉鬘,上接体言, 三十ばかりなる男の、丈高くものものしく太りて、きたなげなけれど、思ひなし疎ましく、荒らかなる振る舞ひなど、見るもゆゆしくおぼゆ。色あひ心地よげに、声いたう嗄れてさへづりゐたり。,十,ばかり,,,玉鬘,上接体言, 「その日ばかり」と言ふに、「この月は季の果てなり」など、田舎びたることを言ひ逃る。,日,ばかり,,,玉鬘,上接体言, 「おい、さり、さり」とうなづきて、「をかしき御口つきかな。なにがしら、田舎びたりといふ名こそはべれ、口惜しき民にははべらず。都の人とても、何ばかりかあらむ。みな知りてはべり。な思しあなづりそ」 とて、また、詠まむと思へれども、堪へずやありけむ、去ぬめり。,何,ばかり,,,玉鬘,上接体言, 「いかなる罪深き身にて、かかる世にさすらふらむ。わが親、世に亡くなりたまへりとも、われをあはれと思さば、おはすらむ所に誘ひたまへ。もし、世におはせば、御顔見せたまへ」 と、仏を念じつつ、ありけむさまをだにおぼえねば、ただ、「親おはせましかば」と、ばかりの悲しさを、嘆きわたりたまへるに、かくさしあたりて、身のわりなきままに、取り返しいみじくおぼえつつ、からうして、椿市といふ所に、四日といふ巳の時ばかりに、生ける心地もせで、行き着きたまへり。,時,ばかり,,,玉鬘,上接体言, 歩むともなく、とかくつくろひたれど、足のうら動かれず、わびしければ、せむかたなくて休みたまふ。この頼もし人なる介、弓矢持ちたる人二人、さては下なる者、童など三、四人、女ばらある限り三人、壷装束して、樋洗めく者、古き下衆女二人ばかりとぞある。,二人,ばかり,,,玉鬘,上接体言, からうして、 「おぼえずこそはべれ。筑紫の国に、二十年ばかり経にける下衆の身を、知らせたまふべき京人よ。人違へにやはべらむ」 とて、寄り来たり。,二十年,ばかり,,,玉鬘,上接体言, 「容貌などは、かの昔の夕顔と劣らじや」 などのたまへば、 「かならずさしもいかでかものしたまはむと思ひたまへりしを、こよなうこそ生ひまさりて見えたまひしか」 と聞こゆれば、 「をかしのことや。誰ばかりとおぼゆ。この君と」 とのたまへば、 「いかでか、さまでは」 と聞こゆれば、 「したり顔にこそ思ふべけれ。我に似たらばしも、うしろやすしかし」 と、親めきてのたまふ。,誰,ばかり,,,玉鬘,上接体言, 「あはれに、はかなかりける契りとなむ、年ごろ思ひわたる。かくて集へる方々のなかに、かの折の心ざしばかり思ひとどむる人なかりしを、命長くて、わが心長さをも見はべるたぐひ多かめるなかに、いふかひなくて、右近ばかりを形見に見るは、口惜しくなむ。思ひ忘るる時なきに、さてものしたまはば、いとこそ本意かなふ心地すべけれ」 とて、御消息たてまつれたまふ。,心ざし,ばかり,,,玉鬘,上接体言, 御車三つばかりして、人の姿どもなど、右近あれば、田舎びず仕立てたり。殿よりぞ、綾、何くれとたてまつれたまへる。,三つ,ばかり,,,玉鬘,上接体言, われはと思ひあがれる中将の君ぞ、 「『かねてぞ見ゆる』などこそ、鏡の影にも語らひはんべりつれ。私の祈りは、何ばかりのことをか」 など聞こゆ。,何,ばかり,,,初音,上接体言, いと睦ましくありがたからむ妹背の契りばかり、聞こえ交はしたまふ。,契り,ばかり,,,初音,上接体言, 常陸宮の御方は、人のほどあれば、心苦しく思して、人目の飾りばかりは、いとよくもてなしきこえたまふ。,飾り,ばかり,,,初音,上接体言, 御鼻の色ばかり、霞にも紛るまじうはなやかなるに、御心にもあらずうち嘆かれたまひて、ことさらに御几帳引きつくろひ隔てたまふ。,色,ばかり,,,初音,上接体言, 見わづらひたまひて、 「御衣どもの事など、後見きこゆる人ははべりや。かく心やすき御住まひは、ただいとうちとけたるさまに、含みなえたるこそよけれ。うはべばかりつくろひたる御よそひは、あいなくなむ」 と聞こえたまへば、こちごちしくさすがに笑ひたまひて、 「醍醐の阿闍梨の君の御あつかひしはべるとて、衣どももえ縫ひはべらでなむ。皮衣をさへ取られにし後、寒くはべる」 と聞こえたまふは、いと鼻赤き御兄なりけり。,うはべ,ばかり,,,初音,上接体言, 荒れたる所もなけれど、住みたまはぬ所のけはひは静かにて、御前の木立ばかりぞいとおもしろく、紅梅の咲き出でたる匂ひなど、見はやす人もなきを見わたしたまひて、 「ふるさとの春の梢に訪ね来て  世の常ならぬ花を見るかな」 と独りごちたまへど、聞き知りたまはざりけむかし。,木立,ばかり,,,初音,上接体言, 空蝉の尼衣にも、さしのぞきたまへり。うけばりたるさまにはあらず、かごやかに局住みにしなして、仏ばかりに所得させたてまつりて、行なひ勤めけるさまあはれに見えて、経、仏の御飾り、はかなくしたる閼伽の具なども、をかしげになまめかしう、なほ心ばせありと見ゆる人のけはひなり。,仏,ばかり,,,初音,上接体言, 上も一所におはしませば、御几帳ばかり隔てて聞こえたまふ。,御几帳,ばかり,,,初音,上接体言, さるは、高巾子の世離れたるさま、寿詞の乱りがはしき、をこめきたることを、ことことしくとりなしたる、なかなか何ばかりのおもしろかるべき拍子も聞こえぬものを。,何,ばかり,,,初音,上接体言, 「中将の声は、弁少将にをさをさ劣らざめるは。あやしう有職ども生ひ出づるころほひにこそあれ。いにしへの人は、まことにかしこき方やすぐれたることも多かりけむ、情けだちたる筋は、このころの人にえしもまさらざりけむかし。中将などをば、すくすくしき朝廷人にしなしてむとなむ思ひおきてし、みづからのいとあざればみたるかたくなしさを、もて離れよと思ひしかども、なほ下にはほの好きたる筋の心をこそとどむべかめれ。もてしづめ、すくよかなるうはべばかりは、うるさかめり」 など、いとうつくしと思したり。,うはべ,ばかり,,,初音,上接体言, 兵部卿宮はた、年ごろおはしける北の方も亡せたまひて、この三年ばかり、独り住みにてわびたまへば、うけばりて今はけしきばみたまふ。,三年,ばかり,,,胡蝶,上接体言, 午の時ばかりに、皆あなたに参りたまふ。,時,ばかり,,,胡蝶,上接体言, ものの便りばかりのなほざりごとに、口疾う心得たるも、さらでありぬべかりける、後の難とありぬべきわざなり。すべて、女のものづつみせず、心のままに、もののあはれも知り顔つくり、をかしきことをも見知らむなむ、その積もりあぢきなかるべきを、宮、大将は、おほなおほななほざりごとをうち出でたまふべきにもあらず、またあまりもののほど知らぬやうならむも、御ありさまに違へり。 その際より下は、心ざしのおもむきに従ひて、あはれをも分きたまへ。労をも数へたまへ」 など聞こえたまへば、君はうち背きておはする、側目いとをかしげなり。,便り,ばかり,,,胡蝶,上接体言, 「さらに人の御消息などは、聞こえ伝ふることはべらず。先々も知ろしめし御覧じたる三つ、四つは、引き返し、はしたなめきこえむもいかがとて、御文ばかり取り入れなどしはべるめれど、御返りは、さらに。聞こえさせたまふ折ばかりなむ。それをだに、苦しいことに思いたる」 と聞こゆ。,御文,ばかり,,,胡蝶,上接体言, ただ、母君の御叔父なりける、宰相ばかりの人の娘にて、心ばせなど口惜しからぬが、世に衰へ残りたるを、尋ねとりたまへる、宰相の君とて、手などもよろしく書き、おほかたも大人びたる人なれば、さるべき折々の御返りなど書かせたまへば、召し出でて、言葉などのたまひて書かせたまふ。,宰相,ばかり,,,蛍,上接体言, 妻戸の間に御茵参らせて、御几帳ばかりを隔てにて、近きほどなり。,御几帳,ばかり,,,蛍,上接体言, 人の上を難つけ、落としめざまのこと言ふ人をば、いとほしきものにしたまへば、 「右大将などをだに、心にくき人にすめるを、何ばかりかはある。近きよすがにて見むは、飽かぬことにやあらむ」 と、見たまへど、言に表はしてものたまはず。,何,ばかり,,,蛍,上接体言, 何ばかりのことにもあらねど、あはれと思したり。,何,ばかり,,,蛍,上接体言, む」と思ひおきし、忘れがたくて、正身ばかりには、おろかならぬあはれを尽くし見せて、おほかたには焦られ思へらず。,正身,ばかり,,,蛍,上接体言, 深き心とて、何ばかりもあらずながら、またまことに弾き得ることはかたきにやあらむ、ただ今は、この内大臣になずらふ人なしかし。,何,ばかり,,,常夏,上接体言, 「いで、弾きたまへ。才は人になむ恥ぢぬ。「想夫恋」ばかりこそ、心のうちに思ひて、紛らはす人もありけめ、おもなくて、かれこれに合はせつるなむよき」 と、切に聞こえたまへど、さる田舎の隈にて、ほのかに京人と名のりける、古王君女教へきこえければ、ひがことにもやとつつましくて、手触れたまはず。,「想夫恋」,ばかり,,,常夏,上接体言, 「さて、その劣りの列にては、何ばかりかはあらむ。わが身ひとつこそ、人よりは異なれ、見む人のあまたが中に、かかづらはむ末にては、何のおぼえかはたけからむ。異なることなき納言の際の、二心なくて思はむには、劣りぬべきことぞ」 と、みづから思し知るに、いといとほしくて、「宮、大将などにや許してまし。,何,ばかり,,,常夏,上接体言, 二返りばかり歌はせたまひて、御琴は中将に譲らせたまひつ。,二返り,ばかり,,,篝火,上接体言, 東の対の南の側に立ちて、御前の方を見やりたまへば、御格子、まだ二間ばかり上げて、ほのかなる朝ぼらけのほどに、御簾巻き上げて人々ゐたり。,二間,ばかり,,,野分,上接体言, いといたう心懸想したまひて、 「宮に見えたてまつるは、恥づかしうこそあれ。何ばかりあらはなるゆゑゆゑしさも、見えたまはぬ人の、奥ゆかしく心づかひせられたまふぞかし。いとおほどかに女しきものから、けしきづきてぞおはするや」 とて、出でたまふに、中将ながめ入りて、とみにもおどろくまじきけしきにてゐたまへるを、心疾き人の御目にはいかが見たまひけむ、立ちかへり、女君に、 「昨日、風の紛れに、中将は見たてまつりやしてけむ。かの戸の開きたりしによ」 とのたまへば、面うち赤みて、 「いかでか、さはあらむ。渡殿の方には、人の音もせざりしものを」 と聞こえたまふ。,何,ばかり,,,野分,上接体言, 童女など、をかしき衵姿うちとけて、心とどめ取り分き植ゑたまふ龍胆、朝顔のはひまじれる籬も、みな散り乱れたるを、とかく引き出で尋ぬるなるべし。 もののあはれにおぼえけるままに、箏の琴を掻きまさぐりつつ、端近うゐたまへるに、御前駆追ふ声のしければ、うちとけ萎えばめる姿に、小袿ひき落として、けぢめ見せたる、いといたし。端の方についゐたまひて、風の騷ぎばかりをとぶらひたまひて、つれなく立ち帰りたまふ、心やましげなり。,騒ぎ,ばかり,,,野分,上接体言, 「一昨年ばかりは、たまさかにもほの見たてまつりしに、またこよなく生ひまさりたまふなめりかし。まして盛りいかならむ」と思ふ。,一昨年,ばかり,,,野分,上接体言, 「小塩山深雪積もれる松原に  今日ばかりなる跡やなからむ」 と、そのころほひ聞きしことの、そばそば思ひ出でらるるは、ひがことにやあらむ。,日,ばかり,,,行幸,上接体言, かくてその日になりて、三条の宮より、忍びやかに御使あり。御櫛の筥など、にはかなれど、ことどもいときよらにしたまうて、御文には、 「聞こえむにも、いまいましきありさまを、今日は忍びこめはべれど、さるかたにても、長き例ばかりを思し許すべうや、とてなむ。あはれにうけたまはり、あきらめたる筋をかけきこえむも、いかが。御けしきに従ひてなむ。,例,ばかり,,,行幸,上接体言, かの殿の君達、中将、弁の君ばかりぞ、ほの知りたまへりける。,君,ばかり,,,行幸,上接体言, 今ぞ、かの御夢も、まことに思しあはせける。女御ばかりには、さだかなることのさまを聞こえたまうけり。,女御,ばかり,,,行幸,上接体言, かくて御服など脱ぎたまひて、 「月立たば、なほ参りたまはむこと忌あるべし。十月ばかりに」 と思しのたまふを、内裏にも心もとなく聞こし召し、聞こえたまふ人々は、誰も誰も、いと口惜しくて、この御参りの先にと、心寄せのよすがよすがに責めわびたまへど、 「吉野の滝をせ堰かむよりも難きことなれば、いとわりなし」 と、おのおのいらふ。,十月,ばかり,,,藤袴,上接体言, 「心幼なの御消えどころや。さても、かの瀬は避き道なかなるを、御手の先ばかりは、引き助けきこえてむや」と、ほほ笑みたまひて、「まめやかには、思し知ることもあらむかし。世になき痴れ痴れしさも、またうしろやすさも、この世にたぐひなきほどを、さりともとなむ、頼もしき」 と聞こえたまふを、いとわりなう、聞き苦しと思いたれば、いとほしうて、のたまひ紛らはしつつ、,先,ばかり,,,真木柱,上接体言, 「かかるには、いかでか」 とのたまふものから、 「なほ、このころばかり。心のほどを知らで、とかく人の言ひなし、大臣たちも、左右に聞き思さむことを憚りてなむ、とだえあらむはいとほしき。思ひしづめて、なほ見果てたまへ。ここになど渡しては、心やすくはべりなむ。かく世の常なる御けしき見えたまふ時は、ほかざまに分くる心も失せてなむ、あはれに思ひきこゆる」 など、語らひたまへば、 「立ちとまりたまひても、御心のほかならむは、なかなか苦しうこそあるべけれ。よそにても、思ひだにおこせたまはば、袖の氷も解けなむかし」 など、なごやかに言ひゐたまへり。,ころ,ばかり,,,真木柱,上接体言, 心のうちにも、「このころばかりだに、ことなく、うつし心にあらせたまへ」と念じたまふ。,ころ,ばかり,,,真木柱,上接体言, 一夜ばかりの隔てだに、まためづらしう、をかしさまさりておぼえたまふありさまに、いとど心を分くべくもあらずおぼえて、心憂ければ、久しう籠もりゐたまへり。,一夜,ばかり,,,真木柱,上接体言, 殿に渡りたまふ時も、異方に離れゐたまひて、君達ばかりをぞ呼び放ちて見たてまつりたまふ。,君達,ばかり,,,真木柱,上接体言, 女一所、十二、三ばかりにて、また次々、男二人なむおはしける。,十二、三,ばかり,,,真木柱,上接体言, 御兄弟の君達、兵衛督は、上達部におはすれば、ことことしとて、中将、侍従、民部大輔など、御車三つばかりしておはしたり。「さこそはあべかめれ」と、かねて思ひつることなれど、さしあたりて今日を限りと思へば、さぶらふ人々も、ほろほろと泣きあへり。,三つ,ばかり,,,真木柱,上接体言, 次の君は、八つばかりにて、いとらうたげに、姫君にもおぼえたれば、かき撫でつつ、 「あこをこそは、恋しき御形見にも見るべかめれ」 など、うち泣きて語らひたまふ。宮にも、御けしき賜はらせたまへど、 「風邪おこりて、ためらひはべるほどにて」 とあれば、はしたなくて出でたまひぬ。,八つ,ばかり,,,真木柱,上接体言, 西に宮の女御はおはしければ、馬道ばかりの隔てなるに、御心のうちは、遥かに隔たりけむかし。,馬道,ばかり,,,真木柱,上接体言, さては、中納言、宰相の御女二人ばかりぞさぶらひたまひける。,二人,ばかり,,,真木柱,上接体言, ほのぼのとをかしき朝ぼらけに、いたく酔ひ乱れたるさまして、「竹河」謡ひけるほどを見れば、内の大殿の君達は、四、五人ばかり、殿上人のなかに、声すぐれ、容貌きよげにて、うち続きたまへる、いとめでたし。,五人,ばかり,,,真木柱,上接体言, 「九重に霞隔てば梅の花  ただ香ばかりも匂ひ来じとや」 異なることなきことなれども、御ありさま、けはひを見たてまつるほどは、をかしくもやありけむ。,香,ばかり,,,真木柱,上接体言, 「香ばかりは風にもつてよ花の枝に  立ち並ぶべき匂ひなくとも」,香,ばかり,,,真木柱,上接体言, 内の大殿の頭中将、弁少将なども、見参ばかりにてまかづるを、とどめさせたまひて、御琴ども召す。,見参,ばかり,,,梅枝,上接体言, かかる所の儀式は、よろしきにだに、いとこと多くうるさきを、片端ばかり、例のしどけなくまねばむもなかなかにやとて、こまかに書かず。,片端,ばかり,,,梅枝,上接体言, 妙にをかしきことは、外よりてこそ書き出づる人々ありけれど、女手を心に入れて習ひし盛りに、こともなき手本多く集へたりしなかに、中宮の母御息所の、心にも入れず走り書いたまへりし一行ばかり、わざとならぬを得て、際ことにおぼえしはや。,一行,ばかり,,,梅枝,上接体言, 御前に人しげからず、女房二、三人ばかり、墨など擦らせたまひて、ゆゑある古き集の歌など、いかにぞやなど選り出でたまふに、口惜しからぬ限りさぶらふ。,人,ばかり,,,梅枝,上接体言, 歌も、ことさらめき、そばみたる古言どもを選りて、ただ三行ばかりに、文字少なに好ましくぞ書きたまへる。,三行,ばかり,,,梅枝,上接体言, とあり。「けしきばかりもかすめぬ、つれなさよ」と、思ひ続けたまふは憂けれど、 「限りとて忘れがたきを忘るるも  こや世になびく心なるらむ」 とあるを、「あやし」と、うち置かれず、傾きつつ見ゐたまへり。,けしき,ばかり,,,梅枝,上接体言, 宰相、盃を持ちながら、けしきばかり拝したてまつりたまへるさま、いとよしあり。,けしき,ばかり,,,藤裏葉,上接体言, 御子とも見えず、すこしがこのかみばかりと見えたまふ。,このかみ,ばかり,,,藤裏葉,上接体言, 対の上、御阿礼に詣うでたまふとて、例の御方々いざなひきこえたまへど、なかなか、さしも引き続きて心やましきを思して、誰も誰もとまりたまひて、ことことしきほどにもあらず、御車二十ばかりして、御前なども、くだくだしき人数多くもあらず、ことそぎたるしも、けはひことなり。,十,ばかり,,,藤裏葉,上接体言, わざとの御覧とはなけれども、過ぎさせたまふ道の興ばかりになむ。,興,ばかり,,,藤裏葉,上接体言, 「賀王恩」といふものを奏するほどに、太政大臣の御弟子の十ばかりなる、切におもしろう舞ふ。,十,ばかり,,,藤裏葉,上接体言, 夕風の吹き敷く紅葉の色々、濃き薄き、錦を敷きたる渡殿の上、見えまがふ庭の面に、容貌をかしき童べの、やむごとなき家の子どもなどにて、青き赤き白橡、蘇芳、葡萄染めなど、常のごと、例のみづらに、額ばかりのけしきを見せて、短きものどもをほのかに舞ひつつ、紅葉の蔭に返り入るほど、日の暮るるもいと惜しげなり。,額,ばかり,,,藤裏葉,上接体言, そのほど、御年、十三、四ばかりおはす。,十三、四,ばかり,,,若菜上,上接体言, 上をおきたてまつりて、また真心に思ひきこえたまふべき人もなければ、おのらは、仕うまつるとても、何ばかりの宮仕へにかあらむ。わが心,何,ばかり,,,若菜上,上接体言, ろしかるべき人、誰ばかりかはあらむ。,誰,ばかり,,,若菜上,上接体言, 昔も、かうやうなる選びには、何事も人に異なるおぼえあるに、ことよりてこそありけれ。ただひとへに、またなく待ちゐむ方ばかりを、かしこき,方,ばかり,,,若菜上,上接体言, 右衛門督の下にわぶなるよし、尚侍のものせられし、その人ばかりなむ、位など今すこしものめかしきほどになりなば、などかは、とも思ひ寄,人,ばかり,,,若菜上,上接体言, べらねど、げに、こと限りあれば、公けとなりたまひ、世の政事御心にかなふべしとは言ひながら、女の御ために、何ばかりのけざやかなる御,何,ばかり,,,若菜上,上接体言, と、せめておとなび聞こえたまふ。沈の折敷四つして、御若菜さまばかり参れり。御土器取りたまひて、,御若菜さま,ばかり,,,若菜上,上接体言, もの一つばかり弾きたまふに、ことことしからねど、限りなくおもしろき夜の御遊びなり。,一つ,ばかり,,,若菜上,上接体言, 尚侍の君も、まことの親をばさるべき契りばかりに思ひきこえたまひて、ありがたくこまかなりし御心ばへを、年月に添へて、かく世に住み果,契り,ばかり,,,若菜上,上接体言, 「今宵ばかりは、ことわりと許したまひてむな。これより後のとだえあらむこそ、身ながらも心づきなかるべけれ。また、さりとて、かの院に聞こ,今宵,ばかり,,,若菜上,上接体言, 「異なることなの御返りや」と思す。「院に聞こし召さむこともいとほし。このころばかりつくろはむ」と思せど、えさもあらぬを、「さは思ひしことぞ,ころ,ばかり,,,若菜上,上接体言, 「花といはば、かくこそ匂はまほしけれな。桜に移しては、また塵ばかりも心分くる方なくやあらまし」,塵,ばかり,,,若菜上,上接体言, 宵過ぐして、睦ましき人の限り、四、五人ばかり、網代車の、昔おぼえてやつれたるにて出でたまふ。和泉守して、御消息聞こえたまふ。かく,五人,ばかり,,,若菜上,上接体言, 障子のしりばかりは固めたれば、,障子のしり,ばかり,,,若菜上,上接体言, 未の時ばかりに楽人参る。「万歳楽」、「皇じやう」など舞ひて、日暮れかかるほどに、高麗の乱声して、「落蹲」舞ひ出でたるほど、なほ常の,時,ばかり,,,若菜上,上接体言, 例の、「万歳楽」、「賀王恩」などいふ舞、けしきばかり舞ひて、大臣の渡りたまへるに、めづらしくもてはやしたまへる御遊びに、皆人、心を入,けしき,ばかり,,,若菜上,上接体言, ざうしきものから、うれしく思さるるに、まだいとあえかなる御ほどに、いかにおはせむと、かねて思し騒ぐに、二月ばかりより、あやしく御けしき,二月,ばかり,,,若菜上,上接体言, この近き年ごろとなりては、京に異なることならで、人も通はしたてまつらざりつ。これより下したまふ人ばかりにつけてなむ、一行にても、尼,人,ばかり,,,若菜上,上接体言, 「昨日も、大殿の君の、あなたにありと見置きたまひてしを、にはかにはひ隠れたらむも、軽々しきやうなるべし。身ひとつは、何ばかりも思ひ,何,ばかり,,,若菜上,上接体言, 正身の御ありさまばかりをば、いとよく教へきこえたまふに、すこしもてつけたまへり。,ありさま,ばかり,,,若菜上,上接体言, は、人の御ほどを思ふにも、限りなく心ことなる御ほどに、取り分きたる御けしきしもあらず、人目の飾りばかりにこそ」,飾り,ばかり,,,若菜上,上接体言, 弥生ばかりの空うららかなる日、六条の院に、兵部卿宮、衛門督など参りたまへり。大殿出でたまひて、御物語などしたまふ。,弥生,ばかり,,,若菜上,上接体言, がはしさかなとおぼゆれ、見る目は、人よりけに若くをかしげにて、桜の直衣のやや萎えたるに、指貫の裾つ方、すこしふくみて、けしきばかり,けしき,ばかり,,,若菜上,上接体言, 髪のすそまでけざやかに見ゆるは、糸をよりかけたるやうになびきて、裾のふさやかにそがれたる、いとうつくしげにて、七、八寸ばかりぞ余り,七,八寸,ばかり,,,若菜上,上接体言, ぼれ取り食ふ。さるべき乾物ばかりして、御土器参る。,乾物,ばかり,,,若菜上,上接体言, 「たいだいしきこと。いかでかさはあらむ。こなたは、さま変はりて生ほしたてたまへる睦びのけぢめばかりにこそあべかめれ。宮をば、かたが,けぢめ,ばかり,,,若菜上,上接体言, 「深き窓のうちに、何ばかりのことにつけてか、かく深き心ありけりとだに知らせたてまつるべき」,何,ばかり,,,若菜上,上接体言, ことわりとは思へども、「うれたくも言へるかな。いでや、なぞ、かく異なることなきあへしらひばかりを慰めにては、いかが過ぐさむ。かかる人伝てならで、一言をものたまひ聞こゆる世ありなむや」と思ふにつけて、おほかたにては、惜しくめでたしと思ひきこゆる院の御ため、なまゆがむ心や添ひにたらむ。,あへしらひ,ばかり,,,若菜下,上接体言, さ言ひつつも、二年ばかりになりぬれば、かかる方に心づきなく、いとど昔を恋ひきこえたまひつつ、故里にうち眺めがちにのみおはします。,二年,ばかり,,,若菜下,上接体言, るに、紅深き衵の袂の、うちしぐれたるにけしきばかり濡れたる、松原をば忘れて、紅葉の散るに思ひわたさる。,けしき,ばかり,,,,上接体言, 「参りたまはむついでに、かの御琴の音なむ聞かまほしき。さりとも琴ばかりは弾き取りたまひつらむ」,琴,ばかり,,,,上接体言, 御子二所おはするを、またもけしきばみたまひて、五月ばかりにぞなりたまへれば、神事などにことづけておはしますなりけり。十一日過ぐし,五月,ばかり,,,,上接体言, とか。この御琴の音ばかりだに伝へたる人、をさをさあらじ」,音,ばかり,,,,上接体言, 二十一、二ばかりになりたまへど、なほいといみじく片なりに、きびはなる心地して、細くあえかにうつくしくのみ見えたまふ。,二十一、二,ばかり,,,,上接体言, 正月二十日ばかりになれば、空もをかしきほどに、風ぬるく吹きて、御前の梅も盛りになりゆく。おほかたの花の木どもも、皆けしきばみ、霞,日,ばかり,,,,上接体言, 宮の御方にも、かく集ひたまふべく聞きたまひて、童女の姿ばかりは、ことにつくろはせたまへり。青丹に柳の汗衫、葡萄染の衵など、ことに,姿,ばかり,,,,上接体言, 廂の中の御障子を放ちて、こなたかなた御几帳ばかりをけぢめにて、中の間は、院のおはしますべき御座よそひたり。今日の拍子合はせに,御几帳,ばかり,,,,上接体言, 「なほ、掻き合はせばかりは、手一つ、すさまじからでこそ」,掻き合はせ,ばかり,,,,上接体言, 調べ果てて、をかしきほどに掻き合はせばかり弾きて、参らせたまひつ。この御孫の君達の、いとうつくしき宿直姿どもにて、吹き合はせたる,掻き合はせ,ばかり,,,,上接体言, しく、二月の中の十日ばかりの青柳の、わづかに枝垂りはじめたらむ心地して、鴬の羽風にも乱れぬべく、あえかに見えたまふ。,日,ばかり,,,,上接体言, 高麗の青地の錦の端さしたる茵に、まほにもゐで、琵琶をうち置きて、ただけしきばかり弾きかけて、たをやかに使ひなしたる撥のもてなし、,けしき,ばかり,,,,上接体言, 和琴は、かの大臣ばかりこそ、かく折につけて、こしらへなびかしたる音など、心にまかせて掻き立てたまへるは、いとことにものしたまへ、を,大臣,ばかり,,,,上接体言, に、けしきばかりにて、大将の君には、宮の御方より、杯さし出でて、宮の御装束一領かづけたてまつりたまふを、大殿、,けしき,ばかり,,,,上接体言, 「内裏の御方の御後見は、何ばかりのほどならずと、あなづりそめて、心やすきものに思ひしを、なほ心の底見えず、際なく深きところある人,何,ばかり,,,,上接体言, さらに思ひかけぬことなり。ただ一言、物越にて聞こえ知らすばかりは、何ばかりの御身のやつれにかはあらむ。神仏にも思ふこと申すは、罪,何,ばかり,,,,上接体言, 「いとほのかに御衣のつまばかりを見たてまつりし春の夕の、飽かず世とともに思ひ出でられたまふ御ありさまを、すこし気近くて見たてまつ,つま,ばかり,,,,上接体言, 四月十余日ばかりのことなり。御禊明日とて、斎院にたてまつりたまふ女房十二人、ことに上臈にはあらぬ若き人、童女など、おのがじしも,日,ばかり,,,,上接体言, 近くさぶらふ按察使の君も、時々通ふ源中将、責めて呼び出ださせければ、下りたる間に、ただこの侍従ばかり、近くはさぶらふなりけり。よ,侍従,ばかり,,,,上接体言, 御髪下ろしてむと切に思したれば、忌むことの力もやとて、御頂しるしばかり挟みて、五戒ばかり受けさせたてまつりたまふ。御戒の師、忌む,しるし,ばかり,,,,上接体言, など思しやすらひて、なほ情けなからむも心苦しければ、止まりたまひぬ。静心なく、さすがに眺められたまひて、御くだものばかり参りなどし,御くだもの,ばかり,,,,上接体言, 「帝と聞こゆれど、ただ素直に、公ざまの心ばへばかりにて、宮仕へのほどもものすさまじきに、心ざし深き私のねぎ言になびき、おのがじし,心ばへ,ばかり,,,,上接体言, 近くうち語らひきこえたまふさまは、いとこよなく御心隔たりて、かたはらいたければ、人目ばかりをめやすくもてなして、思しのみ乱るるに、この,人目,ばかり,,,,上接体言, いにしへより本意深き道にも、たどり薄かるべき女方にだに、皆思ひ後れつつ、いとぬるきこと多かるを、みづからの心には、何ばかり思しま,何,ばかり,,,,上接体言, 心苦しと思ひし人々も、今はかけとどめらるるほだしばかりなるもはべらず。女御も、かくて、行く末は知りがたけれど、御子たち数添ひたまふ,ほだし,ばかり,,,,上接体言, 廂の御簾の内におはしませば、式部卿宮、右大臣ばかりさぶらひたまひて、それより下の上達部は簀子に、わざとならぬ日のことにて、御饗,大臣,ばかり,,,,上接体言, わきて、空酔ひをしつつかくのたまふ。戯れのやうなれど、いとど胸つぶれて、盃のめぐり来るも頭いたくおぼゆれば、けしきばかりにて紛らは,けしき,ばかり,,,,上接体言, と、御かたはらに御几帳ばかりを隔てて見たてまつりたまふ。,御几帳,ばかり,,,,上接体言, 「いでや、この煙ばかりこそは、この世の思ひ出でならめ。はかなくもありけるかな」と、いとど泣きまさりたまひて、御返り、臥しながら、うち休みつつ書いたまふ。言の葉の続きもなう、あやしき鳥の跡のやうにて、「行く方なき空の煙となりぬとも思ふあたりを立ちは離れじ夕はわきて眺めさせたまへ。咎めきこえさせたまはむ人目をも、今は心やすく思しなりて、かひなきあはれをだにも、絶えずかけさせたまへ」など書き乱りて、心地の苦しさまさりければ、「よし。いたう更けぬさきに、帰り参りたまひて、かく限りのさまになむとも聞こえたまへ。今さらに、人あやしと思ひ合はせむを、わが世の後さへ思ふこそ口惜しけれ。いかなる昔の契りにて、いとかかることしも心にしみけむ」と、泣く泣くゐざり入りたまひぬれば、例は無期に迎へ据ゑて、すずろ言をさへ言はせまほしうしたまふを、言少なにても、と思ふがあはれなるに、えも出でやらず。,煙,ばかり,,,柏木,上接体言, 「などかく頼もしげなくはなりたまひにける。今日は、かかる御喜びに、いささかすくよかにもやとこそ思ひはべりつれ」とて、几帳のつま引き上げたまへれば、「いと口惜しう、その人にもあらずなりにてはべりや」とて、烏帽子ばかりおし入れて、すこし起き上がらむとしたまへど、いと苦しげなり。,烏帽子,ばかり,,,柏木,上接体言, 御前近き桜のいとおもしろきを、「今年ばかりは」と、うちおぼゆるも、いまいましき筋なりければ、「あひ見むことは」と口ずさびて、「時しあれば変はらぬ色に匂ひけり,今年,ばかり,,,柏木,上接体言, 何ばかりのことにてか、思ひさますべからむ」と、空を仰ぎて眺めたまふ。,何,ばかり,,,柏木,上接体言, 卯月ばかりの卯の花は、そこはかとなう心地よげに、一つ色なる四方の梢もをかしう見えわたるを、もの思ふ宿は、よろづのことにつけて静かに心細う、暮らしかねたまふに、例の渡りたまへり。,卯月,ばかり,,,柏木,上接体言, 「春の野山、霞もたどたどしけれど、心ざし深く堀り出でさせてはべるしるしばかりになむ。,しるし,ばかり,,,横笛,上接体言, たきを見たてまつりたまふにつけては、「など、かうはなりにしことぞ」と、罪得ぬべく思さるれば、御几帳ばかり隔てて、またいとこよなう気遠,御几帳,ばかり,,,横笛,上接体言, と、をりをり聞こえごちたまひしを思ひ出でたまふに、今すこしあはれ多く添ひて、試みに吹き鳴らす。盤渉調の半らばかり吹きさして、,半ら,ばかり,,,横笛,上接体言, 女御の御方におはしますほどなりけり。三の宮、三つばかりにて、中にうつくしくおはするを、こなたにぞまた取り分きておはしまさせたまひけ,三つ,ばかり,,,横笛,上接体言, とのたまへば、「さかし。人の上の御教へばかりは心強げにて、かかる好きはいでや」と、見たてまつりたまふ。,御教へ,ばかり,,,横笛,上接体言, き心地する仮の御しつらひに、所狭く暑げなるまで、ことことしく装束きたる女房、五、六十人ばかり集ひたり。,人,ばかり,,,鈴虫,上接体言, と諌めたまひて、十余人ばかりのほどぞ、容貌異にてはさぶらふ。,人,ばかり,,,鈴虫,上接体言, 御土器二わたりばかり参るほどに、冷泉院より御消息あり。御前の御遊びにはかにとまりぬるを口惜しがりて、左大弁、式部大輔、また人々,わたり,ばかり,,,鈴虫,上接体言, 「何ばかり所狭き身のほどにもあらずながら、今はのどやかにおはしますに、参り馴るることもをさをさなきを、本意なきことに思しあまりて、お,何,ばかり,,,鈴虫,上接体言, 直衣にて、軽らかなる御よそひどもなれば、下襲ばかりたてまつり加へて、月ややさし上がり、更けぬる空おもしろきに、若き人々、笛などわ,下襲,ばかり,,,鈴虫,上接体言, 八月中の十日ばかりなれば、野辺のけしきもをかしきころなるに、山里のありさまのいとゆかしければ、,日,ばかり,,,夕霧,上接体言, と、おほかたにぞ聞こえて出でたまふ。御前、ことことしからで、親しき限り五、六人ばかり、狩衣にてさぶらふ。ことに深き道ならねど、松が,人,ばかり,,,夕霧,上接体言, しの隔てばかりに、あなたには渡したてまつりたまはず。,隔て,ばかり,,,夕霧,上接体言, 「いと心憂く、若々しき御さまかな。人知れぬ心にあまりぬる好き好きしき罪ばかりこそはべらめ、これより馴れ過ぎたることは、さらに御心許,罪,ばかり,,,夕霧,上接体言, 固めばかりをなむ、すこしこと添へて、けざやかに聞こえさせつる。もし、さやうにかすめきこえさせたまはば、同じさまに聞こえさせたまへ」,固め,ばかり,,,夕霧,上接体言, 「いと乱りがはしげにはべれば、渡らせたまふも心苦しうてなむ。この二、三日ばかり見たてまつらざりけるほどの、年月の心地するも、かつ,日,ばかり,,,夕霧,上接体言, 一夜ばかりの宿を借りけむ」,一夜,ばかり,,,夕霧,上接体言, 大宮の亡せたまへりしを、いと悲しと思ひしに、致仕の大臣のさしも思ひたまへらず、ことわりの世の別れに、公々しき作法ばかりのことを孝,作法,ばかり,,,夕霧,上接体言, 正身は強う思し離るとも、かの一夜ばかりの御恨み文をとらへどころにかこちて、「えしも、すすぎ果てたまはじ」と、頼もしかりけり。,一夜,ばかり,,,夕霧,上接体言, 紛れに、尊き読経の声かすかに、念仏などの声ばかりして、人のけはひいと少なう、木枯の吹き払ひたるに、鹿はただ籬のもとにたたずみつ,声,ばかり,,,夕霧,上接体言, 「女ばかり、身をもてなすさまも所狭う、あはれなるべきものはなし。もののあはれ、折をかしきことをも、見知らぬさまに引き入り沈みなどすれ,女,ばかり,,,夕霧,上接体言, と思ひ得たまうて、一条に渡りたまふべき日、その日ばかりと定めて、大和守召して、あるべき作法のたまひ、宮のうち払ひしつらひ、さこそ,日,ばかり,,,夕霧,上接体言, 捨てまほしう思さるる御髪を、かき出でて見たまへば、六尺ばかりにて、すこし細りたれど、人はかたはにも見たてまつらず、みづからの御心に,六尺,ばかり,,,夕霧,上接体言, 障子ばかりを隔てつつしたり。,障子,ばかり,,,御法,上接体言, 髪ばかりをやつさせたまひても、異なるかの世の御光ともならせたまはざらむものから、目の前の悲しびのみまさるやうにて、いかがはべるべ,髪,ばかり,,,御法,上接体言, ず悲しきことたぐひなきに、まことに心惑ひもしぬべし。御髪のただうちやられたまへるほど、こちたくけうらにて、露ばかり乱れたるけしきもな,露,ばかり,,,御法,上接体言, 所々の御とぶらひ、内裏をはじめたてまつりて、例の作法ばかりにはあらず、いとしげく聞こえたまふ。思しめしたる心のほどには、さらに何ご,作法,ばかり,,,御法,上接体言, とありけるを、ものおぼえぬ御心にも、うち返し、置きがたく見たまふ。「いふかひあり、をかしからむ方の慰めには、この宮ばかりこそおはしけ,宮,ばかり,,,御法,上接体言, 「人に向かはむほどばかりは、さかしく思ひしづめ、心収めむと思ふとも、月ごろにほけにたらむ身のありさま、かたくなしきひがことまじりて、,ほど,ばかり,,,幻,上接体言, 宮は、仏の御前にて、経をぞ読みたまひける。何ばかり深う思しとれる御道心にもあらざりしかども、この世に恨めしく御心乱るることもおはせ,何,ばかり,,,幻,上接体言, 「おほかたの人目に、何ばかり惜しげなき人だに、心のうちのほだし、おのづから多うはべるなるを、ましていかでかは心やすくも思し捨てむ。,何,ばかり,,,幻,上接体言, 「夏衣裁ち替へてける今日ばかり,日,ばかり,,,幻,上接体言, など、一人ばかりをば思し放たぬけしきなり。,人,ばかり,,,幻,上接体言, 「何ばかり、世の常ならぬことをかはものせむ。かの心ざしおかれたる極楽の曼陀羅など、このたびなむ供養ずべき。経などもあまたありける,何,ばかり,,,幻,上接体言, を、見ずなりぬべきよ」と思せば、かひなくて、疎からぬ人びと、二、三人ばかり、御前にて破らせたまふ。,人,ばかり,,,幻,上接体言, 「御仏名も、今年ばかりにこそは」と思せばにや、常よりもことに、錫杖の声々などあはれに思さる。行く末ながきことを請ひ願ふも、仏の聞き,今年,ばかり,,,幻,上接体言, 母宮は、今はただ御行ひを静かにしたまひて、月の御念仏、年に二度の御八講、折々の尊き御いとなみばかりをしたまひて、つれづれにお,御いとなみ,ばかり,,,,上接体言, 貌をやつしたまひて、何ばかりの御道心にてか、にはかにおもむきたまひけむ。かく、思はずなりけることの乱れに、かならず憂しと思しなるふ,何,ばかり,,,,上接体言, 「いかがはせむ。昔の恋しき御形見には、この宮ばかりこそは。仏の隠れたまひけむ御名残には、阿難が光放ちけむを、二度出でたまへる,宮,ばかり,,,紅梅,上接体言, 六条院の御末に、朱雀院の宮の御腹に生まれたまへりし君、冷泉院に、御子のやうに思しかしづく四位侍従、そのころ十四、五ばかりにて、,十四、五,ばかり,,,竹河,上接体言, 所々もありかで、おはしあひたり。浅香の折敷、二つばかりして、くだもの、盃ばかりさし出でたまへり。,二つ,ばかり,,,竹河,上接体言, ただ香ばかりに移りしもせじ」,香,ばかり,,,竹河,上接体言, などあるを、持て参りて見れば、姫君二所うち語らひて、いといたう屈じたまへり。夜昼もろともに慣らひたまひて、中の戸ばかり隔てたる西東,中の戸,ばかり,,,竹河,上接体言, さすがに、広くおもしろき宮の、池、山などのけしきばかり昔に変はらで、いといたう荒れまさるを、つれづれと眺めたまふ。,けしき,ばかり,,,橋姫,上接体言, 、同じ心に見はやしたまひしにこそ、慰むことも多かりけれ、いとどしく寂しく、寄りつかむ方なきままに、持仏の御飾りばかりを、わざとせさせた,飾り,ばかり,,,橋姫,上接体言, いて今さらに」とのみ、年月に添へて、世の中を思し離れつつ、心ばかりは聖になり果てたまひて、故君の亡せたまひにしこなたは、例の人の,心,ばかり,,,橋姫,上接体言, 仏の御隔てに、障子ばかりを隔ててぞおはすべかめる。好き心あらむ人は、けしきばみ寄りて、人の御心ばへをも見まほしう、さすがにいか,障子,ばかり,,,橋姫,上接体言, やかなるさまにも、心寄せ仕うまつりたまふこと、三年ばかりになりぬ。,三年,ばかり,,,橋姫,上接体言, 「この御簾の前には、はしたなくはべりけり。うちつけに浅き心ばかりにては、かくも尋ね参るまじき山のかけ路に思うたまふるを、さま異にこ,心,ばかり,,,橋姫,上接体言, 何ばかりをかしきふしは見えぬあたりなれど、げに、心苦しきこと多かるにも、明うなりゆけば、さすがにひた面なる心地して、,何,ばかり,,,橋姫,上接体言, と、人びと騒がしきこゆれば、宿直人ばかりを召し寄せて、,人,ばかり,,,橋姫,上接体言, しと聞くあたりも、何ばかり心にもとまらざりけり。,何,ばかり,,,橋姫,上接体言, ばへあり。手一つばかりにてやめたまひつ。,一つ,ばかり,,,橋姫,上接体言, や。心にまかせて、おのおの掻きならすべかめるは、川波ばかりや、打ち合はすらむ。論なう、物の用にすばかりの拍子なども、とまらじとな,川波,ばかり,,,橋姫,上接体言, つ、六つばかりなりしほどにや、にはかに胸を病みて亡せにきとなむ聞く。かかる対面なくは、罪重き身にて過ぎぬべかりけること」などのたま,六つ,ばかり,,,橋姫,上接体言, 宇治に参うでで久しうなりにけるを、思ひ出でて参りたまへり。七月ばかりになりにけり。都にはまだ入りたたぬ秋のけしきを、音羽の山近く、,七月,ばかり,,,椎本,上接体言, 「無からむほど、心細くな思しわびそ。心ばかりはやりて遊びなどはしたまへ。何ごとも思ふにえかなふまじき世を。思し入られそ」,心,ばかり,,,椎本,上接体言, 「この夜中ばかりになむ、亡せたまひぬる」,夜中,ばかり,,,椎本,上接体言, 中納言殿の御返りばかりは、かれよりもまめやかなるさまに聞こえたまへば、これよりも、いとけうとげにはあらず聞こえ通ひたまふ。御忌果,御返り,ばかり,,,椎本,上接体言, 「かならず御みづから聞こしめし負ふべきこととも思うたまへず。それは、雪を踏み分けて参り来たる心ざしばかりを、御覧じ分かむ御このか,心ざし,ばかり,,,椎本,上接体言, 「つてに見し宿の桜をこの春は  霞隔てず折りてかざさむ」 と、心をやりてのたまへりけり。「あるまじきことかな」と見たまひながら、いとつれづれなるほどに、見所ある御文の、うはべばかりをもて消たじとて、 「いづことか尋ねて折らむ墨染に  霞みこめたる宿の桜を」,うはべ,ばかり,,,椎本,上接体言, かくほどもなきものの隔てばかりを障り所にて、おぼつかなく思ひつつ過ぐす心おそさの、「あまりをこがましくもあるかな」と思ひ続けらるれ,隔て,ばかり,,,総角,上接体言, とて、屏風をやをら押し開けて入りたまひぬ。いとむくつけくて、半らばかり入りたまへるに、引きとどめられて、いみじくねたく心憂ければ、,半ら,ばかり,,,総角,上接体言, て、「尋ばかりの隔ても対面しつるとや、この君も思すらむ」と、いみじく恥づかしければ、心地悪しとて、悩み暮らしたまひつ。人びと、,尋,ばかり,,,総角,上接体言, 「さらば、物越などにも、今はあるまじきことに思しなるにこそはあなれ。今宵ばかり、大殿籠もるらむあたりにも、忍びてたばかれ」,今宵,ばかり,,,総角,上接体言, なほ、いかがはせむに思し弱りね。この御障子の固めばかり、いと強きも、まことにもの清く推し量りきこゆる人もはべらじ。しるべと誘ひたま,固め,ばかり,,,総角,上接体言, 「隔てなき心ばかりは通ふとも,心,ばかり,,,総角,上接体言, おほかた恥づかしげに、もてしづめたまへるあたりなれば、上べこそ心ばかりもてしづめたれ、心々なる世の中なりければ、色めかしげにすす,心,ばかり,,,総角,上接体言, 限り、「いと忍びて」と思せど、所狭き御勢なれば、おのづからこと広ごりて、左の大殿の宰相の中将参りたまふ。さては、この中納言殿ばかり,中納言殿,ばかり,,,総角,上接体言, 世人のなびきかしづきたてまつるさま、かく忍びたまへる道にも、いとことにいつくしきを見たまふにも、「げに、七夕ばかりにても、かかる彦星,七夕,ばかり,,,総角,上接体言, 御几帳ばかり隔てて、御物語聞こえたまふ。限りもなくあてに気高きものから、なよびかにをかしき御けはひを、年ごろ二つなきものに思ひき,御几帳,ばかり,,,総角,上接体言, 「また、この御ありさまになずらふ人世にありなむや。冷泉院の姫宮ばかりこそ、御おぼえのほど、うちうちの御けはひも心にくく聞こゆれど、,宮,ばかり,,,総角,上接体言, て、こぼれ出でたるかたそばばかり、ほのかに見たてまつりたまふが、飽かずめでたく、「すこしももの隔てたる人と思ひきこえましかば」と思す,かたそば,ばかり,,,総角,上接体言, 「ここには、ともかくも聞こえたまはざめり。亡き人の御諌めはかかることにこそ、と見はべるばかりなむ、いとほしかりける」,見はべる,ばかり,,,総角,上接体言, またの朝に、「すこしもよろしく思さるや。昨日ばかりにてだに聞こえさせむ」とあれば、,日,ばかり,,,総角,上接体言, 上べには、何ばかりことことしくもの深げにももてなさせたまはで、下の御心の限りなく、何事も思すめりしに、故宮の御戒めにさへ違ひぬるこ,何,ばかり,,,総角,上接体言, 右の大殿には急ぎたちて、「八月ばかりに」と聞こえたまひけり。二条院の対の御方には、聞きたまふに、,八月,ばかり,,,,上接体言, さるは、この五月ばかりより、例ならぬさまに悩ましくしたまふこともありけり。,五月,ばかり,,,,上接体言, 故院の亡せたまひて後、二、三年ばかりの末に、世を背きたまひし嵯峨の院にも、六条の院にも、さしのぞく人の、心をさめむ方なくなむはべ,三年,ばかり,,,,上接体言, よき若人ども三十人ばかり、童六人、かたほなるなく、装束なども、例のうるはしきことは、目馴れて思さるべかめれば、引き違へ、心得ぬま,人,ばかり,,,,上接体言, 「さても、いつばかり思し立つべきにか。いとしげくはべし道の草も、すこしうち払はせはべらむかし」,いつ,ばかり,,,,上接体言, 近くさぶらふ女房二人ばかりあれど、すずろなる男のうち入り来たるならばこそは、こはいかなることぞとも、参り寄らめ、疎からず聞こえ交は,二人,ばかり,,,,上接体言, 外の方を眺め出だしたれば、やうやう暗くなりにたるに、虫の声ばかり紛れなくて、山の方小暗く、何のあやめも見えぬに、いとしめやかなる,虫の声,ばかり,,,,上接体言, 寄りはべる人形の願ひばかりには、などかは、山里の本尊にも思ひはべらざらむ。なほ、確かにのたまはせよ」,願ひ,ばかり,,,,上接体言, 宇治の宮を久しく見たまはぬ時は、いとど昔遠くなる心地して、すずろに心細ければ、九月二十余日ばかりにおはしたり。,日,ばかり,,,,上接体言, 「このたびばかりこそ見め」と思して、立ちめぐりつつ見たまへば、仏も皆かの寺に移してければ、尼君の行なひの具のみあり。いとはかなげ,このたび,ばかり,,,,上接体言, かの君の年は、二十ばかりになりたまひぬらむかし。いとうつくしく生ひ出でたまふがかなしきなどこそ、中ごろは、文にさへ書き続けてはべ,十,ばかり,,,,上接体言, なつかしきほどの御衣どもに、直衣ばかり着たまひて、琵琶を弾きゐたまへり。黄鐘調の掻き合はせを、いとあはれに弾きなしたまへば、女,直衣,ばかり,,,,上接体言, 中納言の君は、宮の思し騒ぐに劣らず、いかにおはせむと嘆きて、心苦しくうしろめたく思さるれど、限りある御訪らひばかりこそあれ、あまり,御訪らひ,ばかり,,,,上接体言, けむ」と思ひやれば、あながちに皆もたづね書かず。上の町も、上臈とて、御口つきどもは、異なること見えざめれど、しるしばかりとて、一つ、,しるし,ばかり,,,,上接体言, 目も心もとまらず、あまり人にもどかるるまでものしたまふ心地に、ただ今は、何ばかりすぐれて見ゆることもなき人なれど、かく立ち去りがた,何,ばかり,,,,上接体言, など、をかしき方に言ひなして、心を尽くし合へる中に、左近少将とて、年二十二、三ばかりのほどにて、心ばせしめやかに、才ありといふ方,二十二、三,ばかり,,,,上接体言, と思ひ立ちて、八月ばかりと契りて、調度をまうけ、はかなき遊びものをせさせても、さまことにやうをかしう、蒔絵、螺鈿のこまやかなる心ば,八月,ばかり,,,,上接体言, と、二、三人ばかりして、西の廂の北に寄りて、人げ遠き方に局したり。,人,ばかり,,,,上接体言, と思ふには、かくしひて睦びきこゆるもあぢきなし。ここには、御物忌と言ひてければ、人も通はず。二、三日ばかり母君もゐたり。こたみは、,日,ばかり,,,,上接体言, 憂く推し量りきこえさせつらむあさましさよ。この御ありさま容貌を見れば、七夕ばかりにても、かやうに見たてまつり通はむは、いといみじかる,七夕,ばかり,,,,上接体言, ど思して、さし覗きたまふ。中のほどなる障子の、細目に開きたるより見たまへば、障子のあなたに、一尺ばかりひきさけて、屏風立てたり。そ,一尺,ばかり,,,,上接体言, 障子一間ばかりぞ開けたるを、右近とて、大輔が娘のさぶらふ来て、格子下ろしてここに寄り来なり。,一間,ばかり,,,,上接体言, 人ばかりして参りたまふ。,人,ばかり,,,,上接体言, と思ほす。いと多かる御髪なれば、とみにもえ乾しやらず、起きゐたまへるも苦し。白き御衣一襲ばかりにておはする、細やかにてをかしげな,一襲,ばかり,,,,上接体言, と、二人ばかりぞ、御前にてえ恥ぢたまはねば、見ゐたりける。物語いとなつかしくしたまひて、,二人,ばかり,,,,上接体言, 「あはれ、この御身一つを、よろづにもて悩みきこゆるかな。心にかはなぬ世には、あり経まじきものにこそありけれ。みづからばかりは、ただ,みづから,ばかり,,,,上接体言, 「人びとのかく恐ろしくすめる道に、まろこそ古りがたく分け来れ。何ばかりの契りにかと思ふは、あはれになむ」,何,ばかり,,,,上接体言, 「明後日ばかり、車たてまつらむ。その旅の所尋ねおきたまへ。ゆめをこがましうひがわざすまじきを」,日,ばかり,,,,上接体言, 「何ばかりの親族にかはあらむ。いとよくも似かよひたるけはひかな」と思ひ比ぶるに、「心恥づかしげにてあてなるところは、かれはいとこよ,何,ばかり,,,,上接体言, 難ければ、「京には求め騒がるとも、今日ばかりはかくてあらむ。何事も生ける限りのためこそあれ」。ただ今出でおはしまさむは、まことに死,日,ばかり,,,,上接体言, 「あなかま、あなかま。下衆などの、ちりばかりも聞きたらむに、いといみじからむ」,ちり,ばかり,,,,上接体言, 「昨夜より穢れさせたまひて、いと口惜しきことを思し嘆くめりしに、今宵、夢見騒がしく見えさせたまひつれば、今日ばかり慎ませたまへとて,日,ばかり,,,,上接体言, 知り始めなどしたる過ちばかりに、おぼえ劣る身にこそ」と思し続くるも、よろづ悲しくて、いとどらうたげなる御けはひなり。,過ち,ばかり,,,,上接体言, なつかしきほどなる白き限りを五つばかり、袖口、裾のほどまでなまめかしく、色々にあまた重ねたらむよりも、をかしう着なしたり。常に見た,五つ,ばかり,,,,上接体言, 雪の降り積もれるに、かのわが住む方を見やりたまへれば、霞の絶え絶えに梢ばかり見ゆ。山は鏡を懸けたるやうに、きらきらと夕日に輝き,梢,ばかり,,,,上接体言, ろづ隠れなき世なりければ、あやしかりし夕暮のしるべばかりにだに、かう尋ね出でたまふめり。,しるべ,ばかり,,,,上接体言, 「さればよ。心細きことは聞こえたまひけり。我に、などかいささかのたまふことのなかりけむ。幼かりしほどより、つゆ心置かれたてまつることなく、塵ばかり隔てなくてならひたるに、今は限りの道にしも、我を後らかし、けしきをだに見せたまはざりけるがつらきこと」 と思ふに、足摺りといふことをして泣くさま、若き子どものやうなり。いみじく思したる御けしきは、見たてまつりわたれど、かけても、かくなべ,塵,ばかり,,,,上接体言, 「ただ今、ものおぼえず。起き上がらむ心地もせでなむ。さるは、今宵ばかりこそ、かくも立ち寄りたまはめ、え聞こえぬこと」,今宵,ばかり,,,,上接体言, 月たちて、「今日ぞ渡らまし」と思し出でたまふ日の夕暮、いとものあはれなり。御前近き橘の香のなつかしきに、ほととぎすの二声ばかり鳴,二声,ばかり,,,,上接体言, 何ばかりのものとも御覧ぜざりし人も、睦ましくあはれに思さるれば、,何,ばかり,,,,上接体言, その後、音にも聞こえじ、と思してやみにしを、いかでか聞かせたまひけむ。ただ、この如月ばかりより、訪れきこえたまふべし。御文は、いと,如月,ばかり,,,,上接体言, 氷をものの蓋に置きて割るとて、もて騒ぐ人びと、大人三人ばかり、童と居たり。唐衣も汗衫も着ず、皆うちとけたれば、御前とは見たまはぬ,人,ばかり,,,,上接体言, 悲しさをものたまひ出づべき人さへなきを、対の御方ばかりこそは、「あはれ」などのたまへど、深くも見馴れたまはざりける、うちつけの睦びな,御方,ばかり,,,,上接体言, てさぶらひたまふ。限りあれば、宮の君などうち言ひて、裳ばかりひきかけたまふぞ、いとあはれなりける。,裳,ばかり,,,,上接体言, 兵部卿宮、「この君ばかりや、恋しき人に思ひよそへつべきさましたらむ。父親王は兄弟ぞかし」など、例の御心は、人を恋ひたまふにつけて,君,ばかり,,,,上接体言, そのころ、横川に、なにがし僧都とか言ひて、いと尊き人住みけり。八十余りの母、五十ばかりの妹ありけり。古き願ありて、初瀬に詣でたり,十,ばかり,,,,上接体言, けるに、とどめて、今日ばかり休めたてまつるに、なほいたうわづらへば、横川に消息したり。,日,ばかり,,,,上接体言, 「狐の仕うまつるなり。この木のもとになむ、時々妖しきわざなむしはべる。一昨年の秋も、ここにはべる人の子の、二つばかりにはべしを、取,二つ,ばかり,,,,上接体言, 二日ばかり籠もりゐて、二人の人を祈り加持する声絶えず、あやしきことを思ひ騒ぐ。そのわたりの下衆などの、僧都に仕まつりける、かくて,日,ばかり,,,,上接体言, と、いみじきことどもを誓ひたまひて、夜一夜加持したまへる暁に、人に駆り移して、「何やうのもの、かく人を惑はしたるぞ」と、ありさまばかり,ありさま,ばかり,,,,上接体言, とて、ただ頂ばかりを削ぎ、五戒ばかりを受けさせたてまつる。心もとなけれど、もとよりおれおれしき人の心にて、えさかしく強ひてものたま,五戒,ばかり,,,,上接体言, 「秋の野の露分け来たる狩衣  葎茂れる宿にかこつな となむ、わづらはしがりきこえたまふめる」 と言ふを、内にも、なほ「かく心より外に世にありと知られ始むるを、いと苦し」と思す心のうちをば知らで、男君をも飽かず思ひ出でつつ、恋ひわたる人びとなれば、 「かく、はかなきついでにも、うち語らひきこえたまはむに、心より外に、よにうしろめたくは見えたまはぬものを。世の常なる筋に思しかけずとも、情けなからぬほどに、御いらへばかりは聞こえたまへかし」 など、ひき動かしつべく言ふ。,御いらへ,ばかり,,,,上接体言, 尼、左衛門とてある大人しき人、童ばかりぞ留めたりける。,童,ばかり,,,,上接体言, 「夜中ばかりにやなりぬらむ」と思ふほどに、尼君しはぶきおぼほれて起きにたり。火影に、頭つきはいと白きに、黒きものをかづきて、この君,夜中,ばかり,,,,上接体言, 地すれど、何ばかりも衰へず、いと多くて、六尺ばかりなる末などぞ、いとうつくしかりける。筋なども、いとこまかにうつくしげなり。,何・六尺,ばかり,,,,上接体言, 大尼君の孫の紀伊守なりける、このころ上りて来たり。三十ばかりにて、容貌きよげに誇りかなるさましたり。,十,ばかり,,,,上接体言, うつし人になりて、末の世には、黄なる泉のほとりばかりを、おのづから語らひ寄る風の紛れもありなむ。我がものに取り返し見むの心地、ま,ほとり,ばかり,,,,上接体言, 助けて、京に率てたてまつりて後も、三月ばかりは亡き人にてなむものしたまひけるを、なにがしが妹、故衛門督の北の方にてはべりしが、尼になりてはべるなむ、一人持ちてはべりし女子を失ひて後、月日は多く隔てはべりしかど、悲しび堪へず嘆き思ひたまへはべるに、同じ年のほどと見ゆる人の、かく容貌いとうるはしくきよらなるを見出でたてまつりて、観音の賜へると喜び思ひて、この人いたづらになしたてまつらじと、惑ひ焦られて、泣く泣くいみじきことどもを申されしかば。,三月,ばかり,,,,上接体言, 小野には、いと深く茂りたる青葉の山に向かひて、紛るることなく、遣水の蛍ばかりを、昔おぼゆる慰めにて眺めゐたまへるに、例の、遥かに見やらるる谷の軒端より、前駆心ことに追ひて、いと多う灯したる火の、のどかならぬ光を見るとて、尼君たちも端に出でゐたり。,蛍,ばかり,,,,上接体言, そればかりや、また心もとなからむ。,それ,ばかり,,,賢木,代名詞, その後、とざまかうざまに思ひ続くれど、さらにはかばかしくもおぼえぬに、ただ一人ものしたまひし人の、いかでとおろかならず思ひためりしを、まだや世におはすらむと、そればかりなむ心に離れず、悲しき折々はべるに、今日見れば、この童の顔は、小さくて見し心地するにも、いと忍びがたけれど、今さらに、かかる人にも、ありとは知られでやみなむ、となむ思ひはべる。,それ,ばかり,,,,代名詞, とほのかなるを、いとめづらしと見たまふに、みづからはあはれを知りぬべき御けしきにかけたまひつれば、つゆばかりなれど、いとうれしかりけり。,つゆ,ばかり,,,藤袴,程度副詞, ものまめやかに、むべむべしき御物語は、すこしばかりにて、花の興に移りたまひぬ。,すこし,ばかり,,,藤裏葉,程度副詞, やりたまへりしかば、とみにも乾かねど、つゆばかりうちふくみ、まよふ筋もなくて、いときよらにゆらゆらとして、青み衰へたまへるしも、色は真,つゆ,ばかり,,,,程度副詞, て、つゆばかりの物もきこしめさねば、,つゆ,ばかり,,,,程度副詞, と、いとまめだちて言ふ。「あはれとて、言ひやるべき方なきことなり。かの慰めたまふらむ御さま、つゆばかりうれしと思ふべきけしきもなけ,つゆ,ばかり,,,竹河,程度副詞, と思し沈むに、心地もまことに苦しければ、物もつゆばかり参らず、ただ、亡からむ後のあらましごとを、明け暮れ思ひ続けたまふにも、心細く,つゆ,ばかり,,,総角,程度副詞, のかして、御湯など参らせたてまつりたまへど、つゆばかり参るけしきもなし。「いみじのわざや。いかにしてかは、かけとどむべき」と、言はむ,つゆ,ばかり,,,総角,程度副詞, 「さやうなるつゆばかりのけしきにても漏りたらば、いとわづらはしげなる世なれば、はかなきことも、えほのめかし出づまじ。かくよろづに何や,つゆ,ばかり,,,,程度副詞, つゆばかりの湯をだに参らず。,つゆ,ばかり,,,,程度副詞, 「上もしかなむ。『わが御心ながら、あながちに人目おどろくばかり思されしも、長かるまじきなりけりと、今はつらかりける人の契りになむ。世にいささかも人の心をまげたることはあらじと思ふを、ただこの人のゆゑにて、あまたさるまじき人の恨みを負ひし果て果ては、かううち捨てられて、心をさめむかたなきに、いとど人悪ろうかたくなになり果つるも、前の世のゆかしうなむ』とうち返しつつ、御しほたれがちにのみおはします」と語りて尽きせず。泣く泣く、「夜いたう更けぬれば、今宵過ぐさず、御返り奏せむ」と急ぎ参る。 月は入り方の、空清う澄みわたれるに、風いと涼しくなりて、草むらの虫の声々もよほし顔なるも、いと立ち離れにくき草のもとなり。,おどろく,ばかり,,,桐壷,動詞, 狭き家の内の主人とすべき人一人を思ひめぐらすに、足らはで悪しかるべき大事どもなむ、かたがた多かる。とあればかかり、あふさきるさにて、なのめにさてもありぬべき人の少なきを、好き好きしき心のすさびにて、人のありさまをあまた見合はせむの好みならねど、ひとへに思ひ定むべきよるべとすばかりに、同じくは、わが力入りをし直しひきつくろふべき所なく、心にかなふやうにもやと、選りそめつる人の、定まりがたきなるべし。,とす,ばかり,,,帚木,動詞, 容貌きたなげなく、若やかなるほどの、おのがじしは塵もつかじと身をもてなし、文を書けど、おほどかに言選りをし、墨つきほのかに心もとなく思はせつつ、またさやかにも見てしがなとすべなく待たせ、わづかなる声聞くばかり言ひ寄れど、息の下にひき入れ言少ななるが、いとよくもて隠すなりけり。なよびかに女しと見れば、あまり情けにひきこめられて、とりなせば、あだめく。これをはじめの難とすべし。,聞く,ばかり,,,帚木,動詞, 簀子の中のほどに立てたる小障子の上より仄かに見えたまへる御ありさまを、身にしむばかり思へる好き心どもあめり。,む,ばかり,,,帚木,動詞, 忍びたまへど、御涙もこぼれて、いみじく思したれば、 「何人ならむ。その人と聞こえもなくて、かう思し嘆かすばかりなりけむ宿世の高さ」 と言ひけり。,思し嘆かす,ばかり,,,夕顔,動詞, 御几帳の帷子引き下ろし、御座などただひき繕ふばかりにてあれば、東の対に、御宿直物召しに遣はして、大殿籠りぬ。,繕ふ,ばかり,,,若紫,動詞, いかで、ことことしきおぼえはなく、いとらうたげならむ人の、つつましきことなからむ、見つけてしがなと、こりずまに思しわたれば、すこしゆゑづきて聞こゆるわたりは、御耳とどめたまはぬ隈なきに、さてもやと、思し寄るばかりのけはひあるあたりにこそは、一行をもほのめかしたまふめるに、なびききこえずもて離れたるは、をさをさあるまじきぞ、いと目馴れたるや。,思し寄る,ばかり,,,末摘花,動詞, 「心ばへ容貌など、深き方はえ知りはべらず。かいひそめ、人疎うもてなしたまへば、さべき宵など、物越しにてぞ、語らひはべる。琴をぞなつかしき語らひ人と思へる」と聞こゆれば、 「三つの友にて、今一種やうたてあらむ」とて、「我に聞かせよ。父親王の、さやうの方にいとよしづきてものしたまうければ、おしなべての手にはあらじ、となむ思ふ」とのたまへば、 「さやうに聞こし召すばかりにはあらずやはべらむ」 と言へど、御心とまるばかり聞こえなすを、 「いたうけしきばましや。このころの朧月夜に忍びてものせむ。まかでよ」 とのたまへば、わづらはしと思へど、内裏わたりものどやかなる春のつれづれにまかでぬ。,とまる,ばかり,,,末摘花,動詞, 「いと、かたはらいたきわざかな。ものの音澄むべき夜のさまにもはべらざめるに」と聞こゆれど、 「なほ、あなたにわたりて、ただ一声も、もよほしきこえよ。むなしくて帰らむが、ねたかるべきを」 とのたまへば、うちとけたる住み処に据ゑたてまつりて、うしろめたうかたじけなしと思へど、寝殿に参りたれば、まだ格子もさながら、梅の香をかしきを見出だしてものしたまふ。よき折かな、と思ひて、 「御琴の音、いかにまさりはべらむと、思ひたまへらるる夜のけしきに、誘はれはべりてなむ。心あわたたしき出で入りに、えうけたまはらぬこそ口惜しけれ」と言へば、 「聞き知る人こそあなれ。百敷に行き交ふ人の聞くばかりやは」 とて、召し寄するも、あいなう、いかが聞きたまはむと、胸つぶる。,聞く,ばかり,,,末摘花,動詞, 絶えて見たてまつらぬ所に、かけ離れなむも、さすがに心細く思ひ乱れたり。 君たちは、ありつる琴の音を思し出でて、あはれげなりつる住まひのさまなども、やう変へてをかしう思ひつづけ、「あらましごとに、いとをかしうらうたき人の、さて年月を重ねゐたらむ時、見そめて、いみじう心苦しくは、人にももて騒がるばかりや、わが心もさまあしからむ」などさへ、中将は思ひけり。この君のかう気色ばみありきたまふを、「まさに、さては、過ぐしたまひてむや」と、なまねたう危ふがりけり。,騒がる,ばかり,,,末摘花,動詞, 「似つかはしからぬ扇のさまかな」と見たまひて、わが持たまへるに、さしかへて見たまへば、赤き紙の、うつるばかり色深きに、木高き森の画を塗り隠したり。,うつる,ばかり,,,紅葉賀,動詞, 折ふしに従ひては、御遊びなどを好ましう、世の響くばかりせさせたまひつつ、今の御ありさましもめでたし。,響く,ばかり,,,葵,動詞, 「つれなながら、さるべき折々のあはれを過ぐしたまはぬ、これこそ、かたみに情けも見果つべきわざなれ。なほ、ゆゑづきよしづきて、人目に見ゆばかりなるは、あまりの難も出で来けり。対の姫君を、さは生ほし立てじ」と思す。,見ゆ,ばかり,,,葵,動詞, 人にも言はで、手づからといふばかり、里にてぞ、作りゐたりける。,いふ,ばかり,,,葵,動詞, 御文、常よりもこまやかなるは、思しなびくばかりなれど、またうち返し、定めかねたまふべきことならねば、いとかひなし。,思しなびく,ばかり,,,賢木,動詞, 御位を去らせたまふといふばかりにこそあれ、世のまつりごとをしづめさせたまへることも、我が御世の同じことにておはしまいつるを、帝はいと若うおはします、祖父大臣、いと急にさがなくおはして、その御ままになりなむ世を、いかならむと、上達部、殿上人、皆思ひ嘆く。,いふ,ばかり,,,賢木,動詞, 「いづこを面にてかは、またも見えたてまつらむ。いとほしと思し知るばかり」と思して、御文も聞こえたまはず。,知る,ばかり,,,賢木,動詞, 御前にいと人少なにて、うち休みわたれるに、一人目を覚まして、枕をそばだてて四方の嵐を聞きたまふに、波ただここもとに立ちくる心地して、涙落つともおぼえぬに、枕浮くばかりになりにけり。,枕浮く,ばかり,,,須磨,動詞, 「ただ、例の雨のを止みなく降りて、風は時々吹き出でて、日ごろになりはべるを、例ならぬことに驚きはべるなり。いとかく、地の底徹るばかりの氷降り、雷の静まらぬことははべらざりき」 など、いみじきさまに驚き懼ぢてをる顔のいとからきにも、心細さまさりける。,徹る,ばかり,,,明石,動詞, 忍びて吉しき日見て、母君のとかく思ひわづらふを聞き入れず、弟子どもなどにだに知らせず、心一つに立ちゐ、かかやくばかりしつらひて、十三日の月のはなやかにさし出でたるに、ただ「あたら夜の」と聞こえたり。,かかやく,ばかり,,,明石,動詞, 「さらば、形見にも偲ぶばかりの一琴をだに」 とのたまひて、京より持ておはしたりし琴の御琴取りに遣はして、心ことなる調べをほのかにかき鳴らしたまへる、深き夜の澄めるは、たとへむ方なし。,偲ぶ,ばかり,,,明石,動詞, 「なほかかる御住まひなれど、年ごろといふばかり馴れたまへるを、今はと思すは、さもあることぞかし」 など見たてまつる。,いふ,ばかり,,,明石,動詞, 女君、顔はいと赤く匂ひて、こぼるばかりの御愛敬にて、涙もこぼれぬるを、よろづの罪忘れて、あはれにらうたしと御覧ぜらる。,こぼる,ばかり,,,澪標,動詞, 二条院にも、同じごと待ちきこえける人を、あはれなるものに思して、年ごろの胸あくばかりと思せば、中将、中務やうの人々には、ほどほどにつけつつ情けを見えたまふに、御いとまなくて、他歩きもしたまはず。,胸あく,ばかり,,,澪標,動詞, とく参りなむと急ぎ苦しがれば、思ふことどもすこし聞こえ続けて、 「ひとりして撫づるは袖のほどなきに  覆ふばかりの蔭をしぞ待つ」 と聞こえたり。,覆ふ,ばかり,,,澪標,動詞, 聞きどころある世の物語などして、大臣の君の御ありさま、世にかしづかれたまへる御おぼえのほども、女心地にまかせて限りなく語り尽くせば、「げに、かく思し出づばかりの名残とどめたる身も、いとたけくやうやう思ひなりけり。,出づ,ばかり,,,澪標,動詞, 若き人の御目にとどまるばかりと、心してつくろひたまへる、いと目もあやなり。,とどまる,ばかり,,,澪標,動詞, 「かうかうのことをなむ、思うまへわづらふに、母御息所、いと重々しく心深きさまにものしはべりしを、あぢきなき好き心にまかせて、さるまじき名をも流し、憂きものに思ひ置かれはべりにしをなむ、世にいとほしく思ひたまふる。この世にて、その恨みの心とけず過ぎはべりにしを、今はとなりての際に、この斎宮の御ことをなむ、ものせられしかば、さも聞き置き、心にも残すまじうこそは、さすがに見おきたまひけめ、と思ひたまふるにも、忍びがたう。おほかたの世につけてだに、心苦しきことは見聞き過ぐされぬわざにはべるを、いかで、なき蔭にても、かの恨み忘るばかり、と思ひたまふるを、内裏にも、さこそおとなびさせたまへど、いときなき御齢におはしますを、すこし物の心知る人はさぶらはれてもよくやと思ひたまふるを、御定めに」 など聞こえたまへば、 「いとよう思し寄りけるを、院にも、思さむことは、げにかたじけなう、いとほしかるべけれど、かの御遺言をかこちて、知らず顔に参らせたてまつりたまへかし。今はた、さやうのこと、わざとも思しとどめず、御行なひがちになりたまひて、かう聞こえたまふを、深うしも思しとがめじと思ひたまふる」,忘る,ばかり,,,澪標,動詞, 絵描くことのみなむ、あやしくはかなきものなから、いかにしてかは心ゆくばかり描きて見るべきと、思ふ折々はべりしを、おぼえぬ山賤になりて、四方の海の深き心を見しに、さらに思ひ寄らぬ隈なく至られにしかど、筆のゆく限りありて、心よりはことゆかずなむ思うたまへられしを、ついでなくて、御覧ぜさすべきならねば、かう好き好きしきやうなる、後の聞こえやあらむ」 と、親王に申したまへば、 「何の才も、心より放ちて習ふべきわざならねど、道々に物の師あり、学び所あらむは、事の深さ浅さは知らねど、おのづから移さむに跡ありぬべし。筆取る道と碁打つこととぞ、あやしう魂のほど見ゆるを、深き労なく見ゆるおれ者も、さるべきにて、書き打つたぐひも出で来れど、家の子の中には、なほ人に抜けぬる人、何ごとをも好み得けるとぞ見えたる。院の御前にて、親王たち、内親王、いづれかは、さまざまとりどりの才習はさせたまはざりけむ。その中にも、とり立てたる御心に入れて、伝へ受けとらせたまへるかひありて、『文才をばさるものにて言はず、さらぬことの中には、琴弾かせたまふことなむ一の才にて、次には横笛、琵琶、箏の琴をなむ、次々に習ひたまへる』と、主上も思しのたまはせき。世の人、しか思ひきこえさせたるを、絵はなほ筆のついでにすさびさせたまふあだこととこそ思ひたまへしか、いとかう、まさなきまで、いにしへの墨がきの上手ども、跡をくらうなしつべかめるは、かへりて、けしからぬわざなり」 と、うち乱れて聞こえたまひて、酔ひ泣きにや、院の御こと聞こえ出でて、皆うちしほれたまひぬ。,心ゆく,ばかり,,,絵合,動詞, 「めぐり来て手に取るばかりさやけきや  淡路の島のあはと見し月」,取る,ばかり,,,松風,動詞, 女も、かかる御心のほどを見知りきこえて、過ぎたりと思すばかりのことはし出でず、また、いたく卑下せずなどして、御心おきてにもて違ふことなく、いとめやすくぞありける。,思す,ばかり,,,薄雲,動詞, 寝殿の御しつらひ、いとど輝くばかりしたまひて、今はむげの親ざまにもてなして、扱ひきこえたまふ。,輝く,ばかり,,,薄雲,動詞, 「はかばかしき方の望みはさるものにて、年のうち行き交はる時々の花紅葉、空のけしきにつけても、心の行くこともしはべりにしがな。春の花の林、秋の野の盛りを、とりどりに人争ひはべりける、そのころの、げにと心寄るばかりあらはなる定めこそはべらざなれ。 唐土には、春の花の錦に如くものなしと言ひはべめり。大和言の葉には、秋のあはれを取り立てて思へる。いづれも時々につけて見たまふに、目移りて、えこそ花鳥の色をも音をもわきまへはべらね。 狭き垣根のうちなりとも、その折の心見知るばかり、春の花の木をも植ゑわたし、秋の草をも堀り移して、いたづらなる野辺の虫をも棲ませて、人に御覧ぜさせむと思ひたまふるを、いづ方にか御心寄せはべるべからむ」 と聞こえたまふに、いと聞こえにくきことと思せど、むげに絶えて御応へ聞こえたまはざらむもうたてあれば、 「まして、いかが思ひ分きはべらむ。げに、いつとなきなかに、あやしと聞きし夕べこそ、はかなう消えたまひにし露のよすがにも、思ひたまへられぬべけれ」 と、しどけなげにのたまひ消つも、いとらうたげなるに、え忍びたまはで、 「君もさはあはれを交はせ人知れず  わが身にしむる秋の夕風 忍びがたき折々もはべりかし」 と聞こえたまふに、「いづこの御応へかはあらむ、心得ず」と思したる御けしきなり。,知る,ばかり,,,薄雲,動詞, 女君に、 「女御の、秋に心を寄せたまへりしもあはれに、君の、春の曙に心しめたまへるもことわりにこそあれ。時々につけたる木草の花によせても、御心とまるばかりの遊びなどしてしがなと、公私のいとなみしげき身こそふさはしからね、いかで思ふことしてしがなと、ただ、御ためさうざうしくやと思ふこそ、心苦しけれ」 など語らひきこえたまふ。,とまる,ばかり,,,薄雲,動詞, げに、人のほどの、をかしきにも、あはれにも、思し知らぬにはあらねど、 「もの思ひ知るさまに見えたてまつるとて、おしなべての世の人のめできこゆらむ列にや思ひなされむ。かつは、軽々しき心のほども見知りたまひぬべく、恥づかしげなめる御ありさまを」と思せば、「なつかしからむ情けも、いとあいなし。よその御返りなどは、うち絶えで、おぼつかなかるまじきほどに聞こえたまひ、人伝ての御いらへ、はしたなからで過ぐしてむ。年ごろ、沈みつる罪失ふばかり御行なひを」とは思し立てど、「にはかにかかる御ことをしも、もて離れ顔にあらむも、なかなか今めかしきやうに見え聞こえて、人のとりなさじやは」と、世の人の口さがなさを思し知りにしかば、かつ、さぶらふ人にもうちとけたまはず、いたう御心づかひしたまひつつ、やうやう御行なひをのみしたまふ。,失ふ,ばかり,,,朝顔,動詞, 「おどろかしき光見えば、宮も覗きたまひなむ。わが女と思すばかりのおぼえに、かくまでのたまふなめり。人ざま容貌など、いとかくしも具したらむとは、え推し量りたまはじ。いとよく好きたまひぬべき心、惑はさむ」 と、かまへありきたまふなりけり。,思す,ばかり,,,蛍,動詞, 艶も色もこぼるばかりなる御衣に、直衣はかなく重なれるあはひも、いづこに加はれるきよらにかあらむ、この世の人の染め出だしたると見えず、常の色も変へぬ文目も、今日はめづらかに、をかしくおぼゆる薫りなども、「思ふことなくは、をかしかりぬべき御ありさまかな」と姫君思す。,こぼる,ばかり,,,蛍,動詞, 思し沈みつる年ごろの名残なき御ありさまにて、心ゆるびたまふことも多かるに、「同じくは、人の疵つくばかりのことなくてもやみにしがな」と、いかが思さざらむ。,疵つく,ばかり,,,蛍,動詞, 「なぞ、かくあいなきわざをして、やすからぬもの思ひをすらむ。さ思はじとて、心のままにもあらば、世の人のそしり言はむことの軽々しさ、わがためをばさるものにて、この人の御ためいとほしかるべし。限りなき心ざしといふとも、春の上の御おぼえに並ぶばかりは、わが心ながらえあるまじく」思し知りたり。,並ぶ,ばかり,,,常夏,動詞, 少将の、 「かの西の対に据ゑたまへる人は、いとこともなきけはひ見ゆるわたりになむはべるなる。兵部卿宮など、いたう心とどめてのたまひわづらふとか。おぼろけにはあらじとなむ、人々推し量りはべめる」 と申したまへば、 「いで、それは、かの大臣の御女と思ふばかりのおぼえのいといみじきぞ。人の心、皆さこそある世なめれ。かならずさしもすぐれじ。人々しきほどならば、年ごろ聞こえなまし。,思ふ,ばかり,,,常夏,動詞, 大臣、この北の対の今姫君を、 「いかにせむ。さかしらに迎へ率て来て。人かく誹るとて、返し送らむも、いと軽々しく、もの狂ほしきやうなり。かくて籠めおきたれば、まことにかしづくべき心あるかと、人の言ひなすなるもねたし。女御の御方などに交じらはせて、さるをこのものにしないてむ。人のいとかたはなるものに言ひおとすなる容貌はた、いとさ言ふばかりにやはある」 など思して、女御の君に、 「かの人参らせむ。見苦しからむことなどは、老いしらへる女房などして、つつまず言ひ教へさせたまひて御覧ぜよ。若き人々の言種には、な笑はせさせたまひそ。うたてあはつけきやうなり」 と、笑ひつつ聞こえたまふ。,言ふ,ばかり,,,常夏,動詞, 「などか、いとさことのほかにははべらむ。中将などの、いと二なく思ひはべりけむかね言に足らずといふばかりにこそははべらめ。かくのたまひ騒ぐを、はしたなう思はるるにも、かたへはかかやかしきにや」 と、いと恥づかしげにて聞こえさせたまふ。,いふ,ばかり,,,常夏,動詞, 「葦垣のま近きほどにはさぶらひながら、今まで影踏むばかりのしるしもはべらぬは、勿来の関をや据ゑさせたまへらむとなむ。知らねども、武蔵野といへばかしこけれども。あなかしこや、あなかしこや」 と、点がちにて、裏には、 「まことや、暮にも参り来むと思うたまへ立つは、厭ふにはゆるにや。いでや、いでや、あやしきは水無川にを」 とて、また端に、かくぞ、 「草若み常陸の浦のいかが崎  いかであひ見む田子の浦波 大川水の」 と、青き色紙一重ねに、いと草がちに、いかれる手の、その筋とも見えず、ただよひたる書きざまも下長に、わりなくゆゑばめり。,む,ばかり,,,常夏,動詞, おほふばかりの袖は、秋の空にしもこそ欲しげなりけれ。,おほふ,ばかり,,,野分,動詞, 女もねびととのひ、飽かぬことなき御さまどもなるを、身にしむばかりおぼゆれど、この渡殿の格子も吹き放ちて、立てる所のあらはになれば、恐ろしうて立ち退きぬ。,む,ばかり,,,野分,動詞, 初霜むすぼほれ、艶なる朝に、例の、とりどりなる御後見どもの、引きそばみつつ持て参る御文どもを、見たまふこともなくて、読みきこゆるばかりを聞きたまふ。,読みきこゆる,ばかり,172,,藤袴,動詞,セイゼイ、ソレグライヲ かれは、知らぬさまにて生ひ出でたまへる人の、末の世に、かく人の親だちもてないたまふつらさをなむ、思ほしのたまふなれど、ここにはともかくも思はずや。もてないたまはむさまを見るばかり」 とのたまへば、 「いとようのたまふを、例の御心違ひにや、苦しきことも出で来む。大殿の北の方の知りたまふことにもはべらず。いつき女のやうにてものしたまへば、かく思ひお落とされたる人の上までは知りたまひなむや。人の御親げなくこそものしたまふべかめれ。かかることの聞こえあらば、いとど苦しかるべきこと」 など、日一日入りゐて、語らひ申したまふ。,見る,ばかり,,,真木柱,動詞, 折にあひたる調子、雲居とほるばかり吹きたてたり。,とほる,ばかり,,,梅枝,動詞, 御土器参るに、宮、 「鴬の声にやいとどあくがれむ  心しめつる花のあたりに 千代も経ぬべし」 と聞こえたまへば、 「色も香もうつるばかりにこの春は  花咲く宿をかれずもあらなむ」,うつる,ばかり,,,梅枝,動詞, く、かかやくばかり調へさせたまへり。,かかやく,ばかり,,,若菜上,動詞, さるは、いとさ言ふばかりにもあらずかし。六十五、六のほどなり。尼姿、いとかはらかに、あてなるさまして、目艶やかに泣き腫れたるけしき,言ふ,ばかり,,,若菜上,動詞, 「唐猫の、ここのに違へるさましてなむはべりし。同じやうなるものなれど、心をかしく人馴れたるは、あやしくなつかしきものになむはべる」など、ゆかしく思さるばかり、聞こえなしたまふ。,思さる,ばかり,,,若菜下,動詞, 「尼君をば、同じくは、老の波の皺延ぶばかりに、人めかしくて詣でさせむ」,皺延ぶ,ばかり,,,,動詞, 「院にも見えたてまつりたまはで、年経ぬるを、ねびまさりたまひにけりと御覧ずばかり、用意加へて見えたてまつりたまへ」,御覧ず,ばかり,,,,動詞, ゆゑあるたそかれ時の空に、花は去年の古雪思ひ出でられて、枝もたわむばかり咲き乱れたり。ゆるるかにうち吹く風に、えならず匂ひたる,む,ばかり,,,,動詞, 「さらに、今日の御遊びのさしいらへに、交じらふばかりの手づかひなむ、おぼえずはべりける」,交じらふ,ばかり,,,,動詞, などか、なのめにて、なほこの道を通はし知るばかりの端をば、知りおかざらむ。調べ一つに手を弾き尽くさむことだに、はかりもなきものなな,知る,ばかり,,,,動詞, よし、今は、この罪軽むばかりのわざをせさせたまへ。修法、読経とののしることも、身には苦しくわびしき炎とのみまつはれて、さらに尊きこ,む,ばかり,,,,動詞, 蓮の露のかかるばかりを」,かかる,ばかり,,,,動詞, むばかりはあらじとこそ思ひはべれ。誰が聞こえたるにかあらむ」,む,ばかり,,,,動詞, 「かたはらいたき御座なれども」とて、御帳の前に、御茵参りて入れたてまつりたまふ。宮をも、とかう人々繕ひきこえて、床のしもに下ろしたてまつる。御几帳すこし押しやらせたまひて、「夜居加持僧などの心地すれど、まだ験つくばかりの行なひにもあらねば、かたはらいたけれど、ただおぼつかなくおぼえたまふらむさまを、さながら見たまふべきなり」とて、御目おし拭はせたまふ。,験つく,ばかり,,,柏木,動詞, 「かれ、なほさらば、声に伝はることもやと、聞きわくばかり鳴らさせたまへ。ものむつかしう思うたまへ沈める耳をだに、明きらめはべらむ」,聞きわく,ばかり,,,横笛,動詞, 『子と名のり出でくる人だになきこと。形見に見るばかりの名残をだにとどめよかし』,見る,ばかり,,,横笛,動詞, 「かの想夫恋の心ばへは、げに、いにしへの例にも引き出でつべかりけるをりながら、女は、なほ、人の心移るばかりのゆゑよしをも、おぼろ,心移る,ばかり,,,横笛,動詞, 「しか、人の恨みとまるばかりのけしきは、何のついでにかは漏り出でけむと、みづからもえ思ひ出でずなむ。さて、今静かに、かの夢は思ひ,とまる,ばかり,,,横笛,動詞, 「かう参り来馴れ承ることの、年ごろといふばかりになりにけるを、こよなうもの遠うもてなさせたまへる恨めしさなむ。かかる御簾の前にて、,いふ,ばかり,,,夕霧,動詞, 「こは、宮の御消息か」とゐ直りて、「心苦しき御悩みを、身に代ふばかり嘆ききこえさせはべるも、何のゆゑにか。かたじけなけれど、ものを,代ふ,ばかり,,,夕霧,動詞, 「にはかにと思すばかりには、何ごとか見ゆらむ。いとうたてある御心の隈かな。よからずもの聞こえ知らする人ぞあるべき。あやしう、もとより,思す,ばかり,,,夕霧,動詞, 大将殿は、日々に訪らひきこえたまふ。寂しげなる念仏の僧など、慰むばかり、よろづの物を遣はし訪らはせたまひ、宮の御前には、あはれ,む,ばかり,,,夕霧,動詞, とて、中にひき破りて入れたる、「目には見たまうてけり」と、思すばかりのうれしさぞ、いと人悪ろかりける。そこはかとなく書きたまへるを、,思す,ばかり,,,夕霧,動詞, 秋待ちつけて、世の中すこし涼しくなりては、御心地もいささかさはやぐやうなれど、なほともすれば、かことがまし。さるは、身にしむばかり思,む,ばかり,,,御法,動詞, いふばかりとどめきこえたまへる人だにものしたまはぬこそ、口惜しうはべれ」,いふ,ばかり,,,幻,動詞, 翁は、とりたてて習ふものはべらざりしかど、そのかみ、盛りなりし世に遊びはべりし力にや、聞き知るばかりのわきまへは、何ごとにもいと,知る,ばかり,,,紅梅,動詞, おほふばかりの袖はありやは,おほふ,ばかり,,,竹河,動詞, まめなる君にて、いとほしと思へり。いと心惑ふばかりは思ひ焦られざりしかど、口惜しうはおぼえけり。,惑ふ,ばかり,,,竹河,動詞, しのぶばかりの節はなけれど」,しのぶ,ばかり,,,竹河,動詞, 宰相中将も、御前にさぶらひたまひて、「われこそ、世の中をばいとすさまじう思ひ知りながら、行ひなど、人に目とどめらるばかりは勤めず、,とどめらる,ばかり,,,橋姫,動詞, また、その人ならぬ仏の御弟子の、忌むことを保つばかりの尊さはあれど、けはひ卑しく言葉たみて、こちなげにもの馴れたる、いとものしく,保つ,ばかり,,,橋姫,動詞, 「いで、あな、さがなや。しか御耳とまるばかりの手などは、何処よりかここまでは伝はり来む。あるまじき御ことなり」,とまる,ばかり,,,橋姫,動詞, を、君だに世の常にもてなしたまひて、かかる身のありさまもおもだたしく、慰むばかり見たてまつりなさばや」,む,ばかり,,,総角,動詞, 「一言聞こえさすべきが、また人聞くばかりののしらむはあやなきを、いささか開けさせたまへ。いといぶせし」,聞く,ばかり,,,総角,動詞, 「いと聞きにくくぞ思しのたまふや。多くは人のとりなすことなるべし。世に咎めあるばかりの心は、何事にかは、つかふらむ。所狭き身のほど,咎めある,ばかり,,,総角,動詞, 御とぶらひなりけり。いと心地惑ふばかりの御悩みにもあらねど、ことつけて、対面したまはず。,惑ふ,ばかり,,,総角,動詞, なめるかし。さりながらも、ものに心えたまひて、嘆かしき心のうちもあきらむばかり、かつは慰め、またあはれをもさまし、さまざまに語らひたま,む,ばかり,,,,動詞, わがいと口惜しく、人におされたてまつりぬる宿世、嘆かしくおぼゆる代はりに、「この宮をだに、いかで行く末の心も慰むばかりにて見たてまつらむ」と、かしづききこえたまふことおろかならず。,む,ばかり,,,宿木,動詞, 今宵はまだ更けぬに出でたまふなり。御前駆の声の遠くなるままに、海人も釣すばかりになるも、「我ながら憎き心かな」と、思ふ思ふ聞き,釣す,ばかり,,,,動詞, 慰めばかりに、ここにもかしこにも行きかかづらひて、人のありさまを見むにつけて、紛るることもやあらむなど、思ひ寄る折々はべれど、さらに,慰め,ばかり,,,,動詞, づるばかりにて、琴、琵琶の師とて、内教坊のわたりより迎へ取りつつ習はす。,づる,ばかり,,,,動詞, 手一つ弾き取れば、師を立ち居拝みてよろこび、禄を取らすること、埋むばかりにてもて騒ぐ。はやりかなる曲物など教へて、師と、をかしき夕,む,ばかり,,,,動詞, いふばかりになし上げてむ』とこそ仰せらるなれ。何事も、ただこの君ぞ、帝にも親しく仕うまつりたまふなる。,いふ,ばかり,,,,動詞, ざまにのみ思ひきこえたるを、かくもありけり、と思ふばかりの御幸ひおはしませ、とこそ念じはべれ。あが君は、人笑はれにては、やみたまひ,思ふ,ばかり,,,,動詞, 「いとさ言ふばかりの幼さにはあらざめるを。うしろめたげにけしきばみたる御まかげこそ、わづらはしけれ」,言ふ,ばかり,,,,動詞, 「形見ぞと見るにつけては朝露の  ところせきまで濡るる袖かな」 と、心にもあらず一人ごちたまふを聞きて、いとどしぼるばかり、尼君の袖も泣き濡らすを、若き人、「あやしう見苦しき世かな」。,しぼる,ばかり,,,,動詞, れ。わがかくすぞろに心弱きにつけても、もし心得たらむに、さ言ふばかり、もののあはれも知らぬ人にもあらず。世の中の常なきこと惜しみて,言ふ,ばかり,,,,動詞, 「今さらに、人もあやしと言ひ思はむも慎ましく、参りても、はかばかしく聞こし召し明らむばかり、もの聞こえさすべき心地もしはべらず。この,む,ばかり,,,,動詞, む親の心に、なほこのゆかりこそおもだたしかりけれ、と思ひ知るばかり、用意はかならず見すべきこと」と思す。,知る,ばかり,,,,動詞, 宮よりは、右近がもとに、白銀の壷に黄金入れて賜へり。人見とがむばかり大きなるわざは、えしたまはず、右近が心ざしにてしたりければ、,む,ばかり,,,,動詞, 大将、「もどかしきまでもあるわざかな。昨日今日といふばかり、春宮にやなど思し、我にもけしきばませたまひきかし。かくはかなき世の衰,いふ,ばかり,,,,動詞, 「わが母宮も劣りたまふべき人かは。后腹と聞こゆばかりの隔てこそあれ、帝々の思しかしづきたるさま、異事ならざりけるを。なほ、この御,聞こゆ,ばかり,,,,動詞, 衣を引き脱がせむとすれば、うつ臥して声立つばかり泣く。,声立つ,ばかり,,,,動詞, なほ、すこし思し知るばかり教へなさせたまへ。忍ばれぬべくは、好き好きしきまでも、何かは」,知る,ばかり,,,,動詞, まして、いとはかなきことにつけてしも、重き罪得べきことは、などてか思ひたまへむ。さらにあるまじきことにはべり。疑ひ思すまじ。ただ、いとほしき親の思ひなどを、聞きあきらめはべらむばかりなむ、うれしう心やすかるべき」 など、昔より深かりし方の心を語りたまふ。,む,ばかり,,,,動詞, 帝の御子といふばかりにこそあれ、我も、同じ大臣と聞こゆれど、御おぼえことなるが、皇女腹にてまたなくかしづかれたるは、何ばかり劣るべき際と、おぼえたまはぬなるべし。,いふ。何,ばかり,,,紅葉賀,動詞。上接体言, 「覆ふばかりの袖求めけむ人よりは、いとかしこう思し寄りたまへりしかし」など、この宮ばかりをぞもてあそびに見たてまつりたまふ。,覆ふ。宮,ばかり,,,幻,動詞。上接体言, よろづのことに、などかは、さても、とおぼゆる折から、時々、思ひわかぬばかりの心にては、よしばみ情け立たざらむなむ目やすかるべき。,ぬ,ばかり,69,,帚木,否定助動詞連体形,ホド・グライ 障子をひきたてて、「暁に御迎へにものせよ」とのたまへば、女は、この人の思ふらむことさへ、死ぬばかりわりなきに、流るるまで汗になりて、いと悩ましげなる、いとほしけれど、例の、いづこより取う出たまふ言の葉にかあらむ、あはれ知らるばかり、情け情けしくのたまひ尽くすべかめれど、なほいとあさましきに、 「現ともおぼえずこそ。数ならぬ身ながらも、思しくたしける御心ばへのほども、いかが浅くは思うたまへざらむ。いとかやうなる際は、際とこそはべなれ」 とて、かくおし立ちたまへるを、深く情けなく憂しと思ひ入りたるさまも、げにいとほしく、心恥づかしきけはひなれば、 「その際々を、まだ知らぬ、初事ぞや。なかなか、おしなべたる列に思ひなしたまへるなむうたてありける。おのづから聞きたまふやうもあらむ。あながちなる好き心は、さらにならはぬを。さるべきにや、げに、かくあはめられたてまつるも、ことわりなる心まどひを、みづからもあやしきまでなむ」 など、まめだちてよろづにのたまへど、いとたぐひなき御ありさまの、いよいようちとけきこえむことわびしければ、すくよかに心づきなしとは見えたてまつるとも、さる方の言ふかひなきにて過ぐしてむと思ひて、つれなくのみもてなしたり。,ぬ,ばかり,,,帚木,否定助動詞連体形, いとあさましくつらし、と思ひて、 「いかにかひなしと思さむ」と、泣きぬばかり言へば、 「かく、けしからぬ心ばへは、つかふものか。,ぬ,ばかり,,,帚木,否定助動詞連体形, ありさま聞こえて、 「いとかう、もて離れたる御心ばへは、見たまふる人さへ、心苦しく」 など、泣きぬばかり思へり。,ぬ,ばかり,,,末摘花,否定助動詞連体形, つとめて、出でたまふところにさしのぞきたまひて、御装束したまふに、名高き御帯、御手づから持たせてわたりたまひて、御衣のうしろひきつくろひなど、御沓を取らぬばかりにしたまふ、いとあはれなり。,ぬ,ばかり,285,,紅葉賀,否定助動詞連体形,自制デキルコトトイッタラ、セイゼイ……取ラナイコトグライダトイッタラ持テナシ方 「藤波のうち過ぎがたく見えつるは  松こそ宿のしるしなりけれ 数ふれば、こよなう積もりぬらむかし。都に変はりにけることの多かりけるも、さまざまあはれになむ。今、のどかにぞ鄙の別れに衰へし世の物語も聞こえ尽くすべき。年経たまへらむ春秋の暮らしがたさなども、誰にかは愁へたまはむと、うらもなくおぼゆるも、かつは、あやしうなむ」 など聞こえたまへば、 「年を経て待つしるしなきわが宿を  花のたよりに過ぎぬばかりか」 と忍びやかにうちみじろきたまへるけはひも、袖の香も、「昔よりはねびまさりたまへるにや」と思さる。,ぬ,ばかり,,,蓬生,否定助動詞連体形, 年月の積もりを数へて、うち思しけるままのあはれを、え忍びたまはぬばかりの、をかしうおぼゆるも、はかなしや。,ぬ,ばかり,,,少女,否定助動詞連体形, 「かくてものしたまふは、つきなくうひうひしくなどやある。ことしげくのみありて、訪らひまうでずや」 とのたまへば、例の、いと舌疾にて、 「かくてさぶらふは、何のもの思ひかはべらむ。年ごろ、おぼつかなく、ゆかしく思ひきこえさせし御顔、常にえ見たてまつらぬばかりこそ、手打たぬ心地しはべれ」 と聞こえたまふ。,ぬ,ばかり,88,,常夏,否定助動詞連体形,セイゼイ、物思イトシテハ、……オ顔ヲ常ニ見申シアゲナラレナイコトグライ 「何とかや今日のかざしよかつ見つつ おぼめくまでもなりにけるかなあさまし」とあるを、折過ぐしたまはぬばかりを、いかが思ひけむ、いともの騒がしく、車に乗るほどなれど、「かざしてもかつたどらるる草の名は桂を折りし人や知るらむ博士ならでは」と聞こえたり。,ぬ,ばかり,260,,藤裏葉,否定助動詞連体形,セイゼイ時機ヲ失セズニ歌ヲ下サッタコトグライナノダガ 「などかく、ほどもなくしなしつる身ならむ」と、かきくらし思ひ乱れて、枕も浮きぬばかり、人やりならず流し添へつつ、いささか隙ありとて、,ぬ,ばかり,,,柏木,否定助動詞連体形, と、泣きぬばかりに聞こゆれど、,ぬ,ばかり,,,夕霧,否定助動詞連体形, 御調度などは、そこらし置かせたまへれば、人びとの装束、何くれのはかなきことをぞいそぎたまふ。これを聞くに、蔵人少将は、死ぬばかり,ぬ,ばかり,,,竹河,否定助動詞連体形, など申すに、君もいみじう泣きたまふ。かの世にさへ妨げきこゆらむ罪のほどを、苦しき御心地にも、いとど消え入りぬばかりおぼえたまふ。,ぬ,ばかり,,,総角,否定助動詞連体形, 心得がたく思されて、と言ひかく言ひ、怨みたまふ。心づきなげにけしきばみてももてなさねど、ただいみじう死ぬばかり思へるがいとほしけ,ぬ,ばかり,,,,否定助動詞連体形, 常よりもわりなきまれの細道を分けたまふほど、御供の人も、泣きぬばかり恐ろしう、わづらはしきことをさへ思ふ。しるべの内記は、式部少,ぬ,ばかり,,,,否定助動詞連体形, と少将の尼に告げたりければ、惑ひて来て見るに、わが御上の衣、袈裟などを、ことさらばかりとて着せたてまつりて、,ことさら,ばかり,,,,副詞, 君達は、世を照らしたまふべき光しるければ、しばし、かかる山賤の心を乱りたまふばかりの御契りこそはありけめ。,たまふ,ばかり,,,松風,補助動詞, 君の御身には、かの一節の別れより、あなたこなた、もの思ひとて、心乱りたまふばかりのことあらじとなむ思ふ。后といひ、ましてそれより,たまふ,ばかり,,,,補助動詞, れて、眺めさせたまふらむ御心の紛らはしには、さしも、驚かせたまふばかり聞こえ馴れはべらば、いかに思ふさまにはべらむ」,たまふ,ばかり,,,橋姫,補助動詞, ひわたりし年ごろよりも、心苦しうて過ぎたまひにけむいにしへざまの思ひやらるるに、罪軽くなりたまふばかり、行ひもせまほしくなむ。かの老,たまふ,ばかり,,,椎本,補助動詞, 「思ひきこゆるさまことなるものを、我こそ先になど、かやうにうち背く際はことにこそあれ。また御心おきたまふばかりのほどやは経ぬる。思,たまふ,ばかり,,,,補助動詞,