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1999.10.10〜2018.04.28更新

文学作品における派生形容詞「〜っぽい」

萩原義雄
【凡例】
 日本近現代文学の作品資料に用いられている「〜っぽい」の語形を有する語を前後の一語文中を抜粋して、五〇音順に此等の語を採取した「〜っぽい」一覧表にしてまとめてみたものである。今後、更に見出せることからも、その使用状況をふまえておくことになろう。
 ?五〇音順に当該語を太字にして記載し、次に「○」印を冠して一文抜粋の語用例を示した。
 ?その語用例の作者名および作品資料名を明記し、使用した底本の頁数及び行数を記載しておいた。
 ?卷末部分には、引用した参考文献資料の所在をこれも五〇音にして一覧にした。
 
【語例一覧】
藍っぽい
○秩父銘撰の藍ぽい羽織を着て、下は瓦斯絲らしい。[尾崎紅葉・多情多恨・前編三六P]
青っぽい
青ッぽいカンテラの光が揺れるたびにゴミゴミとした棚の一部や脛の長い防水ゴム靴や支柱に掛けてあるドサや袢天、それに行李などの一部がチラ、チラッと光って消えた。[小林多喜二『蟹工船』二四J]
○演説者は、青っぽいくすんだ色のセルに、黄色の角帯をキチンと締めた、風采のよい、見たところ相当教養もありそうな四十男であった。[江戸川乱歩『白昼夢』一一G]
○少し青っぽくなるかもしれないけど。[干刈あがた「黄色い髪」六八N]
○鏡で見ると、頬の腫れは引いていたが、直美の言ったとおり青っぽくなっていた。[干刈あがた「黄色い髪」七二A]
赤っぽい
○「赤っぽい、ひげの長いやつだろう」[安部公房『砂の女』二七G]
○寒いのに、コ−トは手に持ち、ジ−パンに赤っぽいセ―タ―着て、こっちがお葬式の準備してるのに、うろちょろして邪魔だったんだよ。[加賀乙彦『湿原』下・星一一九O]
○田舎だけではない、フェズのような大都会でも、旧市街には赤っぽい灯りがポチポチ点くだけなんだ。[小川国夫『悲しみの港』六八]
赤茶っぽい
○史子に脱色の仕方を教えてくれた一人である彼女の髪も、明かりを吸って赤茶っぽく透けて見える。[干刈あがた「黄色い髪」二五六O]
垢っぽい〔〕
飽きっぽい
飽きっぽい彼は、三日目あたりになると、もう押入れの寝台にも興味がなくなって、所在なさに、そこの壁や、寝ながら手の届く天井板に、落書きなどをしていましたが、ふと気がつくと、ちょうど頭の上の一枚の天井板が、釘を打ち忘れたのか、なんだかフカフカと動くようなのです。[江戸川乱歩『屋根裏の散歩者』一五二G]
○・・・・・・雪森厚夫という男の性格は、表面上は人当りがよく、ちょっと理屈っぽいところが落ち着いて見え、初めは善人で学校の先生みたいに思われて信用されるのですが、元来飽きっぽく気が変りやすいのです。[加賀乙彦『湿原』上・闇三九二Q]
悪っぽい〔〕
浅っぽい[徳富蘆花「思出の記]
汗っぽい
○家の中にいても隣の家の話し声がどうかすると聞こえたりする。それは丁度動物同士肌をすり合わせる汗っぽい感じに似ていた。[大庭みな子『がらくた博物館』]
あだけっぽい〔〕
あだっぽい
○その人工の漆黒な眉は、小づくりな童顔の中で浮きあがっていて、まち子姐さんの面だちを実際よりもあだっぽくみせてしまう。[宮本輝『道頓堀川』五C]
仇っぽい
○「何だかまだ芝居に居るような気がして相済まないけど」とお糸さんが煙草を吸付けてフウと烟を吹きながら、「伯母さんの小言が台詞に聞えたり何かして、どんなに可笑しいでしょう」と微笑したところは、美しいというよりは仇っぽくて、男殺しというのはこういう人を謂うのかと思われた。[二葉亭四迷『平凡』一三七B]
婀娜っぽい
○ここでは酒を般若湯という。然もそうした家の主人はというと、まだ二十二三歳の婀娜っぽい美人なのだから驚かされる。――〔森銑三『明治東京逸聞史』趣味四一・六〕
厚っぽい〔〕
あぶらっぽい
○あたりにはサンダル、眼鏡、茶碗、箸などがころがり、あぶらっぽいような、淫らなような匂いがねっとりとよどんでいた。[開高健『夏の闇』一一六O]
脂っぽい
○私たちは毎日顔をあわせ、酒場の椅子に埋没して酒をすすりつつ、道をいく女たちの眼や腰を眺めて放埒な冗談をとばして脂っぽく笑ってばかりいた。[開高健『夏の闇』八六H]
○ひねったり、つねったり、集めたり、こねたりして頬をのぞくと、中年男の顔は脂っぽくて蒼白いもやもやである。[開高健『夏の闇』九八J]
○ショ−ウィンドウというショ−ウィンドウは淵の暗さがあらわれるまで磨きこまれ、その奥で脂っぽい頬が閃いたり、ゆっくりと影がうごいたりする。[開高健『夏の闇』九三D]
○私は脂っぽい、大きな袋に封じこめられ、顔をねっとりした脂と汗で蔽われてソファかヤクの皮にころがっている。[開高健『夏の闇』九七L]
○タバコの吸殻などが刺さったりしている脂っぽい肉や魚の冷めきった残飯からたちのぼってくるものであるはずだ。[開高健『夏の闇』一四六J]
○担架は血と汗と垢でずず黒く脂っぽく光り、厚布というよりはしたたかに使いこまれた革のような光沢で光っている。[開高健『怪物と爪楊枝』二四一G]
荒っぽい
○結婚しょう。どんな大きな悲哀がそのために後からやって来てもよい、荒っぽいほどの大きな歓楽を、生涯に、いちどでいい……[太宰治『人間失格』一〇五A]
○ごく荒っぽい形でなら、地球の皆さんも成功したようですが、複雑な構造をもった物質をいきなりつくり出す技術は、まだまだ無理なんでしょう。[安部公房『無関係な死』七二G]
○金光坊は生れてからこれほど荒っぽく自分の體を取り扱ったことはなかった。[井上靖『補陀落渡海記』五七三E]
○私はざっと一通り會場の八室を新聞記者らしい荒っぽさで廻って仕舞うと、再び、第五室に逆戻りして、その部屋の隅の方に陳列されてある“漆胡樽”と名札にかかれている異樣な形しつこそんをした大きい器物の前に立った。〔井上靖『漆胡樽』一三〇D〕
暴つぽい
○先刻番頭さんに云ふ通り、八右衛門と云ふ荷主が山口屋へ爲換を取りに往くと云ふから、さつきかわせ少しでもさう云ふ事を聞いちやア打捨ちやア置けねいから、暴つぽい仕事だが頭で突いて毒うつちやつあらを服ませ、生空を遣つて此方の店へ來た所が、山出しの多助の畜生に見顯はされた上からは、のなまぞらやこつち私ア繩にかゝつて出るのは承知サ。[三遊亭圓朝『鹽原多助一代記』一五〇上R]
わしや
あわれっぽい○すなわち、世之介の質問に答えた飛子のアワレっぽい身の上話もデタラメの作り話なら、それに対する世之介の、いや実は自分も金性なのだ、という返答も(遊びの席での、とっさの、つき合いの)嘘なのではなかろうか?[後藤明生『吉野大夫』一二五N]
哀れっぽい
○家全体が、むりやり捩じまげられたような、哀れっぽい悲鳴をあげた。[安部公房『砂の女』五一A]
○仔犬は、つれて来られるまえから、かなり乱暴なあつかいをうけていたらしく、最初からいかにも哀れっぽい悲鳴をあげていた。[安部公房『無関係な死』一四五C]
○二人とも繰り返して読んだ。ひどく哀れっぽいゆう子である。[幸田文『きもの』三二八L]
憐れっぽい
○「あんな憐れっぽい事をお言いだがね、あれでもとはずいぶん酷かったんだよ」[夏目漱石『こころ』一四〇K]
いがらっぽい[上司小剣「石川五右衛門の生立」]
○トウモロコシ葉からつくった紙で巻いた、いがらっぽい塩漬の黒葉のタバコをふかしながらそれらを眺めていると、さめたばかりなのにまたうとうとしてくる。[開高健『夏の闇』六M]
○けれどいま、ラムの甘い匂いとタバコのいがらっぽい霧のなかでは、別れた日の遠景が小さく見えるだけである。[開高健『夏の闇』九O]
○久瀬は汗にまみれて蚊帳のなかによこたわり、いがらっぽい黒葉の兵隊タバコに火をつけた。[開高健『岸辺の祭り』九二G]
○この街道は広大なメコン・デルタとサイゴンをつなぐ大動脈で、交通量がもっとも多く、朝から夜まで、どの時刻にもいがらっぽい排気ガスと人声にみたされている。[開高健『怪物と爪柳枝』二三六H]
○私はいがらっぽい兵隊タバコをふかしながら感動していた。[開高健『輝ける闇』六九O]
いがらっぽい海水のなかを泳いでいるさなかによく冷えた真水をもらったようだった。[開高健『花終わる闇』五五F]
意地っぽい[]
いたずらっぽい
○彼女はいたずらっぽく微笑むと、あいつとふたりっきりになりたくないからだと言いました。[宮本輝『錦繍』四一M]
○早鐘の胸を隠して、アナはいたずらっぽく笑いました。[久美沙織『MOTHER』四三Q]
○「いや、そうであったのですよ」大貫検事は能勢警視に、いたずらっぽく片目を暝ってみせた。[加賀乙彦『湿原』上・闇四二四E]
○眼をいたずらっぽく輝かせ、のびのびと自身にあふれ、まるで舟のようにどっしりしている。[開高健『夏の闇』六四J]
○女はマ−ティニをすすって声にだして笑い、いたずらっぽく舌をだし、肩をすくめた。[開高健『夏の闇』二二九P]
○女は組んでいた手をほどいて何となくあたり一帯をさしてみせ、いたずらっぽく低い声で笑った。[開高健『夏の闇』二五八C]
○「あの橋の真ん中からこの店までの道を、マスタ―はいつも五十一から五十三までの間で歩いてくるんや」と邦彦がいたずらっぽく笑って言った。[宮本輝『道頓堀川』三五H]
○難波の地下鉄の駅の改札口の前で邦彦からリュックサックを受け取ると、由紀子はいたずらっぽく笑って、「こないだ、政夫さんからラブレタ−貰いましてん」[宮本輝『道頓堀川』二〇二I]
○彼女はいたずらっぽく微笑した。[川西蘭『ルームメイト』二六二P]
○真っ黒な虹彩がいたずらっぽくきらめいて、俺を映した。つやつやした唇が、にやっとこうさい笑いを象り、気まぐれな猫みたいな表情になった。〔三浦しをん『神去なあなあ日常』五一かたどJ〕
悪戯っぽい
○私は私の少々常規を逸した着物の選び方に、さすがのみどりさんも呆れなすったのだと思って、半ば惡戯っぽい氣持でわざと口を噤んで居りました。〔井上靖『獵銃』四五L〕○マダムは唇に指を当て、悪戯っぽい眼で微笑みかけ、「この時季になると、ムササビがやって来て、屋根裏に巣、つくるの」と言い、耳を澄まして、天井裏を走っている足音を聴いてみろと言う。[中上健次『軽蔑』]
○ここまで話した時、呉氏は悪戯っぽい笑みを浮かべて私の顔を窺った。[倉橋由美子『月の都』一五四Q]
色っぽい
○なにか色っぽいことをはじめるのですよ。[江戸川乱歩『防空壕』三二八N]
○とてもそれとは勝負にならないまでも、なんとか少しは色ッぽい返事がしたかったけれど生憎と信之には、全くなんの記憶も甦って来なかった。[多情仏心・初雪の夜、八九頁]
○「あら!」と寧ろ呆れた顔だったが、だんだんその色ッぽい目のうちに、(まアこの人は、なんて子供らしいんだろう)とでも云った気持の、さも好もしげな笑(えみ)が浮かんで来た。[多情仏心・初雪の夜、九一頁]
○詳しい話はとうとう出なかったけれど、何か少しぐらい色ッぽい場面もあったらしいから、その懐旧の情ですかな。・・・・・・[多情仏心・楽屋、一〇〇頁]
○一体男でも女でも、大勢のなかへ出て、なんとなく人目につくって云うような人なら、きっと色っぽい話が多いもんですが、紀尾井町さんは、どっちかと云やアくすんだ方でしょう?[多情仏心・楽屋、一一七頁]
/一三二頁]
○彼はその男の風貌や人柄を想像して見て、通俗小説にでもありそうな一つの色っぽい出来事と場面を描いて見たりしていた。[徳田秋声『仮装人物』二五一K]
○(困ちゃうな、もっと色っぽくお化粧でもしたらいいのに……)[田辺聖子『風をください』一四四E]
色っぺ。宙太は心の中で叫ぶ。[山浦弘靖『星子宙太二人旅』二四B]
浮かれっぽい嘘っぽい○他人の眼から見れば、どこか嘘っぽいか、あるいは思い込みにとらわれていて承服しがたい硬ばったものだからであろう。[大庭みな子「自分のむづかしさ」]
うたぐりっぽい[]
海っぽい
○それから予想外に、海っぽいタッチがあった。[吉本ばなな『N・P』一〇〇G]
恨みっぽい
○女の気持のわからない剣持の顔を恨みっぽく見ながら、聡子は自分で言うしかない。「天藤さんに、身をまかせよと」[筒井康隆『朝のガスパ―ル』七九]
浮気っぽい[]
えがらっぽい○黒い影は折れて故(もと)の如く低くなる。えがらっぽい咳(せき)が二つ三つ出る。[夏目漱石『虞美人草』二四五P]
Hっぽい
○「なんか変よ、あの二人。……うわあーHっぽい!!」[山浦弘靖『星子宙太二人旅』四〇C]
エロっぽい
遠慮っぽい
怒りっぽい
○しかし加世子は怒りっぽい庸三を、子供に直面させることを怖れて、いつも庸三を抑制した。[徳田秋声『仮装人物』二一C]
○ただ無暗に愚痴っぽく、怒りっぽくなり、なんでもないことに腹を立て怒って泪をながしたりすることが、おかしいと云えばおかしく感じられる程度だ。[安岡章太郎『海辺の光景』九〇E]
○もっとも、怒りっぽくなっているのは父親も信太郎も、そうだった。[安岡章太郎『海辺の光景』九〇M]
幼っぽい[]
男っぽい
○埠頭の尖端を荒彫りに作った人形の立つ台も、男っぽいものであった。[芝木好子「面影」]
○それでいて男っぽい頼り甲斐のあるところなんかを見抜いているかしら[田辺聖子『風をください』六七A]
○「そうね、善良そうな小父さま。頑丈で男っぽくて・・・・・・若いのね」[加賀乙彦『湿原』下・向日葵四二四E]
男の子っぽい
○「変なところが変に男の子っぽいのね。」[吉本ばなな『N・P』一六六K]
おとなっぽい
○ロイドのまだ中性めいて華奢な横顔に、フッとおとなっぽい翳が浮かんだのです。[久美沙織『MOTHER』三九F]
○妹尾由加子は、同年齢の女生徒と比べると、笑い方も、歩き方も足の組み方も、あらゆる点で垢抜けておとなっぽっく見えました。[宮本輝『錦繍』三七A]
○ロイドはしばらくぱちぱち瞬きをしていましたが、きりりとあげた顔つきは、なんだか急におとなっぽくなっています。[久美沙織『MOTHER』一七二J]
大人っぽい
○いきなりこんなことをされるなんて、仲間なはずのロイドがやけに大人っぽい目つきになって自分を見るなんて、まったくショックです。[久美沙織『MOTHER』四三I]
○ただ元服した勘三郎が大人っぽく正月の挨拶をして侍を悦ばせた。[遠藤周作『侍』三九九A]
○「吉川の言葉が大人っぽくひびいた。」[三浦綾子『塩狩峠』六〇A]
お姉さんぽい
○詠子はやっと落ち着いたらしく、お姉さんぽい口調で聞いた。[干刈あがた「黄色い髪」別人ごっこ二八三J]
女っぽい
○ちょっとだけ女っぽいところがあるだけ。[宮本輝『道頓堀川』一八〇@]
○懐かしい印象だったが、前会ったときよりずっと、女っぽい迫力に満ちていた。[吉本ばなな『N・P』四〇J]
女っぽいふりしたり、強かったり、弱小だったり、大げんかして声をからした後並んで月見たり、同じことしてるのに日によって感じたり感じなかったり。[吉本ばなな『N・P』一五三K]
○「あんたって女っぽい性格してんね。顔も女っぽいと思ったけど……」[山浦弘靖『星子宙太二人旅』四九P]
○「ひゃーあお久しぶり!すっかり女っぽくなっちゃって。近よりがたいったらないわ。」[吉本ばなな『キッチン』一二七G]
ガキっぽい
○私もすごくガキっぽいとこあると思うけど・・・・・・」[干刈あがた『黄色い髪』別人ごっこ二八六P]
餓鬼っぽい
○こうした荒唐無稽な戦闘場面に遭遇し、武器を扱って敵をやっつけるなどという餓鬼っぽい遊びは久々のことだ。[筒井康隆『朝のガスパール45』朝日新聞一九九一年一二月二日(月)付]
学生っぽい
○というような学生っぽい言い方はしないのである。[田辺聖子『風をください』二三五N]
隠れ家っぽい
○しかしどことなく暗くさびれていて、隠れ家っぽい感じがした。[吉本ばなな『N・P』九九J]
影っぽい〔〕
かしょっぽい〔〕
風っぽい〔〕
軽っぽい[]
感じっぽい
○おまえさんは感じっぽい子だから、いろいろ思うだろうけれど、今お母さんは病人だからね。病人を相手にして、るつ子のほうが先に感じっぽくなっていたんじゃ、話にならない。この着物も紐も、あしたはさらっと着せなければいけないよ。[幸田文『きもの』一四一E]
○るつ子は持前の感じっぽさ、感覚の強さで、火の穴から這いあがろうとする脚に、ひらひらするものまつわる感じを想像し、そのおそろしさにふるえ、布裂(ぬのきれ)が皮膚へ残った考えると、胸ぐるしくなった。[幸田文『きもの』一五五F]
黄色っぽい
○何しろ、胸はむかつくし、目の前にはなんだか黄色ッぽいものがもやもやしているし、大苦しみの最中で、はっきりとは憶えてませんが、・・・・・・そうですか、その時にあなたもいらしやったんですか」[多情仏心・初雪の夜、九〇頁]
○カサカサに乾いた黄色っぽい肌、絶えず聞こえる軽いせき。[三浦綾子『塩狩峠』二五八I]
黄色っぽくつやのないまなざしを漁夫の上にじっと置いて黙っていた。[小林多喜二『蟹工船』一三P]
○壁は黄色っぽく塗られ、塗料をすかして無数の落書があるのが分る。[加賀乙彦『湿原』上・壁四六二@]
キザッぽい
○「高原のリゾートエクスプレス」というのだそうだが、そのキザッぽい名に恥じないゴージャスな雰囲気は、ヨーロッパのリゾート列車の風格がある。[内田康夫『湯布院殺人事件』六七O]
気障っぽい
○それは可かったけれど、お酒飲みだすと、あの人の態度何だか気障っぽくて、私忿って廊下へ飛び出しちゃったものなの。<葉子の会話>[徳田秋声『仮装人物』一四六N]
○ロイドは気障っぽく肩をすくめました。[久美沙織『MOTHER』二五二L]
金属っぽい
○しばらくじっと眼をこらすと、どれもみな同じ、だいたいお皿をひっくり返したような形の金属っぽい物体であることがはっきりわかりました。[久美沙織『MOTHER』一一一I]
ぐちっぽい
○これはぐちっぽい老人たちがあとで不首尾のときにいいがかりをつけてくることを防ぐ効果をもつはずだ。[開高健『巨人と玩具』九六L]
愚痴っぽい
○ただ無暗に愚痴っぽく、怒りっぽくなり、なんでもないことに腹を立て怒って泪をながしたりすることが、おかしいと云えばおかしく感じられる程度だ。[安岡章太郎『海辺の光景』九〇E]
くろっぽい
○アルバムをめくっていると突然、変にくろっぽい、陰影の濃い一葉の写真にぶつかる。[安岡章太郎『海辺の光景』三四P]
黒っぽい
○小男は黒っぽい舌の先を、唇の端にかるくすべらせ、喉の奥でおかしそうに笑った。[安部公房『無関係な死』二六M]
黒っぽい荒れ海だが、水平線のあたりから白い帯が伸びて、川のように蛇行しつつ間近かまで来ていた。[加賀乙彦『湿原』上・流氷二八四J]
○橋を渡る。荒川にかかった千住新橋だ。むこう岸に、黒っぽい異様な建造物が見えた。[加賀乙彦『湿原』上・壁五一六E]
黒っぽい背広を着て頬と顎がひげで埋っている。[加賀乙彦『湿原』上・壁五二六L]
○フケ性なのか黒っぽい法服の肩にフケが一つ二つ光っている。[加賀乙彦『湿原』下・門三七二K]
黒っぽい衣服を着た老人が壁にもたれて坐っていた。[倉橋由美子『生還』一二三G]
○そうだったでしょ、といわれてもるつ子は答えられない、ぼんやりとゆう子は白っぽくて和子は黒っぽかった、とだけしか記憶がないのだった。[幸田文『きもの』二二四O]
げすっぽい【下種―】
○そのむさぼりかたは夢中としかいいようがなくて、たったいま無言のうちに自分の好みに人間を従わせてやったという下種っぽい自負など、どこにもあらわれていない。[開高健『花終わる闇』四七G]
○あばずれの下司っぽい女たちしか知らなかった武内は、一見おきゃんそうに見えて、そのじつ言いたいことの半分も口に出せない、まだ娘っぽいところを残しているその女を好きになった。[宮本輝『道頓堀川』四一I]
けちっぽい[]
煙っぽい[]
恋っぽい
○若いうちは、なんでも恋っぽく考えがちだよ。[幸田文『きもの』三三九O]
ごそっぽい
○ぐっと理解のいくものがって、縫い直しのごそっぽい銘仙より、お古でもしなやかな縮緬めいせんちりめんのほうがいいと思うが、素直にはなれなかった。[幸田文『きもの』五八K]
こどもっぽい
○額に汗の玉、眼鏡が鼻の頭までずり落ちて、とてもこどもっぽい顔ですけれど、言うことはしっかりしていました。[久美沙織『MOTHER』二七C]
○おまけに、ジョーのそばにいると、ケンがなんだか頼りなくこどもっぽく見えてしまいます。[久美沙織『MOTHER』二六五B]
子供っぽい
○新宿の旅館から荷物を持こんで来た葉子は、その当時壁紙など自分で張りかえた下の部屋に落ちついて、窓に子供っぽいカアテンを張り、二つの電球をもった、北海道時代から持ち越しの、例の仏蘭西製のスタンドも、こて/\刺繍のある絹張りのシェイドに、異国の売淫窟を思わせる雰囲気を浮び出させるのであった。[徳田秋声『仮装人物』三一五I]
○津軽の北部に見受けられるような、子供っぽい悪あがきは無い。[太宰治『津軽』一四六O]
○最初は、部落全体に火をかけてやるとか、井戸に毒を入れてやるとか、罠を仕掛けて、責任者を端から穴のなかに引きずり込んでやるとか、そんな直接的な手段で、もっぱら空想に鞭うち、自分をはげまして来たものだが、いざ実行の機会をあたえられてみると、そう子供っぽいことばかりも言っていられない。[安部公房『砂の女』一八二E]
○年若い西だけが子供っぽいほどの好奇心をみせ、はじめての船旅に胸をはずませながら、私に船の構造や羅針盤の機能をたずねたり、エスパニヤ語を教えてほしいなどと話しかけてきた。[遠藤周作『侍』八〇C]
○「いい年をして子供っぽいことをいってるわ。弁解にしても三流だわよ。」[開高健『夏の闇』二四一P]
○彼らの陽気さ、多血質、おとなの体と子供っぽい衝動。そんなことについて話しあったあげく人びとは彼らもまた遠からず畦道で撲殺される運命にあることをかぞえてみじめに自分を暗がりにむかって解放するのだ。[開高健『流亡記』二二八D]
○同年の友達が街中で群れ集っているのが、子供っぽい、莫迦げたことに[加賀乙彦『湿原』下・寒郷一六六R]
○「隨分、子供っぽい・・・・・・いや、失礼、変った希望ですね。[加賀乙彦『湿原』下・門三八七S]
○ベッドのはしに腰をおろして手近の竿をとりあげてリ−ルをまわしていた蔡は、写真と私を見くらべ、はじめてその眼から鋭さを消して子供っぽい驚愕をみなぎらせた。[開高健『貝塚をつくる』一八七L]
○いつまでも子供っぽい印象をあたえていた額は渋紙色に変って深い縦皺がきざまれ、ゴム鞠のようにふくらんでいた頬を内側からすっかりえぐりとられたように凹んで、前歯一本だけをのこして義歯をはずされた口はくろぐろとホラ穴のようにひらかれたままだ。[安岡章太郎『海辺の光景』一六A]
子供っぽい表情で彼女は手を伸ばした。[吉本ばなな『血と水』]
○単純で子供っぽい奴みたいです。あんまり頭は良くないかもしれません。[久美沙織『MOTHER』一〇@]
子供っぽい茶目っ気を感じて、彼女も思わず微笑を返した。[川西蘭『ルームメイト』二五F]
○「なによ、それじゃ子供っぽいってことじゃない」[山浦弘靖『星子宙太二人旅』三三J]
○私はホッとしながら、われながら子供っぽく思える言い方で、俺には行く手の自爆がはっきり見えた、だからこれは義務だった、俺は義務を果した、と呟きながら、歩いていたのです。[小川国夫『悲しみの港』八七]
○顔を覗き込まれるほど、なおなお深く首垂れて、滝十郎は、子供ッぽく二三度合点々々をうなだした。[多情仏心・初雪の夜、六三頁]
○「それがお友達ってものなの?」と女はつい誘われて子供っぽく言ったが、後はまた吐き出すように、「えらいと思うわ。よくそんなことが私にお頼めになれますわ。」[川端康成『雪国』一八E]
○「そう、変?あれが私の子供っぽさの最後のとりでだったんだろうけれど、あれを隠してることに酔いながら、街を歩いてたような気がして。」[吉本ばなな『N・P』一七〇P]
粉っぽい
○林檎畑があって、白い粉っぽい花が満開である。[太宰治『津軽』一五六I]
○家の近所の薬屋は、入口のガラス戸に黄ばんだカーテンを引いていて、中はいつも秋の夕暮れのようにひんやりしていた。そして粉っぽく乾いたにおいが満ちていた。[小川洋子『冷めない紅茶』一〇A]
五味っぽい
○それと同時に五味っぽいような、酸っぱいような、胸の悪い匂いが篭み上げて来て、目の前に緑色の輪が見えた。[森?外・『諸国物語』馬丁三六四A]
サーファーっぽい
○きっちりスクエアにスーツを着たひと、サーファーっぽく陽にやけたひと、カウボーイ・ファッションのひともいます。[久美沙織『MOTHER』二二〇B]
寒っぽい
ざらっぽい
○埃は北風にのって、うしろの駄馬隊へふりかかった。私は、堀口と交代していたので、照銀を牽いていたが、埃が眼に入って困った。口もざらっぽくなったが、常歩にうっって私はへとへとになった。[水上勉『日本の戦争』二六一頁]
○大黒屋とは較べるべくもない粗末な宿で、自分と同じ年恰好の小女が汲んでくれたすすぎの水で足を洗い、ふすまきしむ音のするざらっぽい階段を昇ると、褸仕切りの[津村節子『津村節子著作集』第五卷二〇六頁]
塩っぽい
しめっぽい
○こちらの隅にはりついているのは、しめっぽいベッドの中で、タバコの灰が落ちかけているのに、まだ薄目のまま身じろぎしょうともしない、裸のあいつである。[安部公房『砂の女』二二四L]
○「晩方は池の方はしめっぽうございますね」と、アレクサンドラが云った。[森鴎外『諸国物語』馬丁三四二F]
○知の上の暗黒が次第に濃く、温かに、しめっぽくなって来た。[森鴎外『諸国物語』センツァマニ二四〇D]
○お客がしめっぽくなっちゃうでしょうね。[開高健『夏の闇』一五〇B]
○ふとんは、ますますしめっぽく、砂は、ますます肌にべたつく。[安部公房『砂の女』四一J]
○「こんな話ばっかりじゃ、しめっぽくなっちゃうわ!ほんと」星子が叫んだ。[山浦弘靖『星子宙太二人旅』二一C]
濕っぽい
○鹿が少なくても五六疋、湿っぽいはなづらをずうっと延ばして、しずかに歩いているらしいのでした。[宮沢賢治『鹿踊りのはじまり』一一〇B]
○彼の今まで居た所は北向きの湿っぽい臭いのする汚ない室でした。[夏目漱石『こころ』二〇五N]
○彼は冷たい風の吹き通す土蔵の戸前の湿っぽい石の上に腰を掛けて、古くから家にあった江戸名所図会と江戸砂子という本を珍しそうに眺めた。[夏目漱石『門』一四四A]
○光沢のある髪で湿っぽく圧し付けられていた空気が、弾力で膨れ上がると、枕の位置が畳つやの上で一寸廻った。[夏目漱石『虞美人草』五一D]
○とうとう上映時間の終了まで、バネのぬけた湿っぽい椅子の上に坐ったまま、動くことができずにしまった。[安岡章太郎『海辺の光景』九〇E]
○手はポケットの中の湿っぽい紙幣をにぎりしめながら、古い堀割にそって歩いて行った。[安岡章太郎『秘密』二〇三O]
○が、僕がつかみ出したのはあの湿っぽい紙幣ばかりだ。[安岡章太郎『秘密』二一〇N]
○真夏にしては光の衰えた空に鼠色の膜をかぶった臓物のような雲が低く垂れ込め、羊水のような海は暗く騒ぐ気配を見せて、その間を吹いてくる風はひどく湿っぽい。[倉橋由美子『獣の夢』五一K]
○急に、麻子は湿っぽい声を出した。[内田康夫『湯布院殺人事件』五二E]
○帝大農学部のすぐ脇のここら辺りは、二年前の震災で起こった火事からも運よく逃れ、明治のころの落ち着いた家々の佇まいがしっとり残っていると言われているが、ほんとうのところは、家の床から天井まで年中湿っぽくて、風通しも悪く、その上あたしには、この建物が坂下へ向っていくらか傾いているように思われてならない。[久世光彦『蕭々館日録』頁下R]
378○小さな無人駅で、ホームに降り立つと空気が湿っぽく寒かった。〔三浦しをん『神去なあなあ日常』一五K〕
○あ、話がそれたな。俺とヨキと繁ばあちゃんは、湿っぽい空気のなかを家に戻った。〔三浦しをん『神去なあなあ日常』一五五C〕
じゃがらっぽい〔〕
少女っぽい
○由加子の机の上には、電気スタンドと小さな木箱、それに陶製の人形がひとつ置かれていて、私はいまでもそれらのどこか少女っぽい配置を思い出すことがあります。[宮本輝『錦繍』四一D]
少年っぽい
○昨日のどんよりした濁りや、こわばった石灰質の殻はどこにもなく、すこし少年っぽい体つきはそのままだけど、会釈ぶりはもう娘ではなかった。[開高健『花終わる闇』五八K]
○彼女は淡々としたそぶりで、しかしとらえようのない執拗さをこめて一箇ずつとりだし、カ−ペットへ順々に並べていった。少年っぽい、とがった、白い裸の尻の割れ目から漆黒の毛の穂さきをちらつかせつつ彼女があちらこちらと歩きまわる姿には、悪戯の精のようなところがあったが、とうとう部屋の床が眼鏡で足の踏み場もなくなってしまった。[開高健『花終わる闇』六五F]
素人っぽい[]
白っぽい
○この男の白っぽい顔や黄いろい髪と、死だのなんのと云う、深刻な、偉大な思想とは、いかにも不吊合いに感ぜられたからである。森鴎外・『諸国物語』死三〇二I]
○海女の裸身が、底の方にある時は、青い水の層の複雑な動揺のために、そのからだがまるで海草のように、不自然にクネクネと曲がり、輪郭もぼやけて、白っぽいお化けみたいに見えているが、それが、スーッと浮き上がってくるにしたがって、水の層の青さがだんだん薄くなり、形がハッキリしてきて、ポッカリと水上に姿を現わすその瞬間、ハッと眼が覚めたように、水中の白いお化けが、たちまち人間の正体を暴露するのである。[江戸川乱歩『押絵と旅する男』二八一F]
○がそこへ、突然、花火でも打ち上げた様に、白っぽい大空の中を、赤や青や紫の無数の玉が、先を争って、フワリフワリと昇って行ったのでございます。[江戸川乱歩『押絵と旅する男』○ふと南の浦のほうを見たら一羽の鴨が白っぽい胸をみせて低く舞っていた。[中勘助『島守』一〇八H]
○トラックがまきあげる埃のために、紳士服御用と書いたペンキも、ショオウィンドオの硝子もすっかり白っぽい。[遠藤周作『海と毒藥』四A]
白っぽい、ふわふわする球形の心が針の山に乗り、傷つけられ血を流している。[加賀乙彦『湿原』上・闇三八一K]
○ただ一つ残っているのは、多年の風雨に木材の白っぽくささくれた、ささやかな鐘楼ばかりである。[江戸川乱歩『もくず塚』三六四A]
○帽子のない頭は毛が薄くて白っぽく、それが日焼した顔に特殊な帽子をかぶせたようで愛敬があった。[加賀乙彦『湿原』上・流氷二九二D]
○脣を固く結んだレオの顔は、そそけ立ったような頬が白っぽく、艶を失くしている。[森茉莉『枯葉の寝床』一九〇N]
○木目が黒く浮き上がって、低いところは白っぽくけばだっている廊下は、人が歩くたびにみしみし言ったりしている。[森茉莉『ボッチチェリの扉一〇F』]
○分厚く層になった部分は、擦れて白っぽくなりツヤを失っているが、そのまわりには濡れたままのような光沢のある個所をのこしている。[安岡章太郎『海辺の光景』七〇F]
○そうだったでしょ、といわれてもるつ子は答えられない、ぼんやりとゆう子は白っぽくて和子は黒っぽかった、とだけしか記憶がないのだった。[幸田文『きもの』二二四O]
○三好が故意と足もとをひょろつかして立ち上がりながら、「どうしても、門弟何の某だな。わざ白ッぽい袴の下から向脛を出してる輩だな」[尾崎紅葉『多情仏心』初雪の夜、七一頁]
てあい○私たちはかなり忙しく汽車に乘ったり降りたりして、その地方特有の白っぽい砂地の上に秋の陽の散っている、何處となく海に近い感じの播磨、備前の小さい驛々に降り立っては、ノはりまートに書き込んである生前の桂岳の謂わばパトロンであった舊家、素封家を一軒一軒經廻ったのであった。[井上靖『ある僞作家の生活』一八七G]
皺っぽい[]
煤っぽい[]
砂っぽい
○夏の終りの午後の光の中で、東大の赤い煉瓦と、砂っぽい舗道とが乾いている。[森茉莉『日曜日には僕は行かない』二五一E]
戦争っぽい
○もともと、こんな乱暴っぽい、戦争っぽい雰囲気は好きじゃありません。[久美沙織『MOTHER』二六五@]
先輩っぽい
○少年野球チームでも、だんだん先輩っぽくなって来るじゃん。[久美沙織『MOTHER』一八二J]
俗っぽい
○雪森厚夫と結婚の話しなどしたことがなかったし、それを母に対して口にすることで、結婚という言葉が、ひどく俗っぽい響きを帯びてきたからだ。[加賀乙彦『湿原』下・門四〇九A]
それっぽい
○わぁん、ないない。鞄の中身くらい整頓しておいてよぉ。あ…さわった…それっぽい……あった!」[久美沙織『MOTHER』四九F]
探険っぽい
○私は言った。「探険っぽいわ。」[吉本ばなな『N・P』一四七E]
茶色っぽい
○三人とも化粧をしていて、一人は髪が茶色っぽい。[干刈あがた『黄色い髪』夏休み五九B]
茶っぽい
茶っぽい色をした、濃いが周囲のぼやけた眉である。[森茉莉『ボッチチエリの扉』]
○妙に茶っぽい顔付で風采あがらぬのはいいとして、勤務態度がよい加減、とくに時間を守らないのが、親弁たる彼の気に触っていた。[加賀乙彦『湿原』下三六四A]
○艶のある茶っぽい髪が、犬が臥た跡の草むらのように、なっている。[森茉莉『恋人たちの森』八〇L]
○仲間の少年といたずらにペイ煙草をやったために、茶っぽい瞳の中の黒褐色の瞳孔が、どこか夢みるように定まらないところがある。[森茉莉『枯葉の寝床』一六九I]
ちゃらっぽい
チャラっぽい男にばっかなぜか惚れちゃうわたし……何度も泣いた心配だった他のどこかに行かないで♪〜〔つんく作詞「浮気なハニーパイ」2003年7月15日発売〕
中年女っぽい
○ちょっと中年女っぽい抑揚でいい、それもいやらしい拗ねてひがんだ。[田辺聖子『風をください』二八J]
艶っぽい
○脱顛子少しもひるまず、古今獨歩一流の艶ッぽい所を聞てからの御評判、浪花節ごとき野鄙のもにあらず、歌は八宗兼学の妙文句、サア初まッたり/\。[幸田露伴『日ぐらし物語』四四@]
○無論小六よりも御米の方が年上であるし、又従来の関係から云っても、両性を絡み付ける艶っぽい空気は、箝束的な初期に於てすら、二人の間に起り得べき筈のものではなかった。[夏目漱石『門』八九E]
○二人とも私に比べると、一時代前の因襲のうちに成人したために、そういう艶っぽい問題になると、正直に自分を開放するだけの勇気がないのだろうと考えた。[夏目漱石『こころ』三五J]
○何気ないらしいが、胸の苦悩が現れた、白眼に剥いた鋭い眼が偶然陳のいる辺りに止められ、脣じりは上ったままのギランのひどく艶っぽくもみえるかおに、陳は狼狽え、吃りながら、「宝石の御用はどうぞ、今まで通り……」ギランははっと気がついたように、陳の顔に焦点を当てた。[森茉莉『枯葉の寝床』一八五C]
露っぽい[]
逃避っぽい
○「ちょっとゴッシク調で、うんざりするようなシリアスさで、ロマンチックで、逃避っぽくもあり。結局、染ったものとしては咲のアプローチが一番まともじゃないかしら。」[吉本ばなな『N・P』九七H]
毒っぽい[]
とっぽい
○いいかげんあことをいっているぜ、雪がとけてみたら木がまる裸になってたんでびっくりしたなんてトッポイことをヌケヌケ書いている。[開高健『パニック』三二E]
ドラマっぽい
○「〜ドラマっぽいのと、おもわせぶりなのは苦手なんだから。」[吉本ばなな『N・P』七〇L]
夏っぽい
○「もう、夕空が夏っぽいわね。」咲が言った。[吉本ばなな『N・P』四一H]
涙っぽい[]
苦っぽい
○味が舌先から苦っぽくなってきたが、栄養をつけたいという一心で最後の一滴まで飲みこんだ。[加賀乙彦『湿原』上・闇三七〇K]
濁りっぽい
○夜来の雨に潤った新緑の鮮やかな庭木が、きら/\光って、底ふかい空の青さにも翳しがなかったが、心臓の弱い庸三はいつもこう云う場合の癖で、ひどく濁りっぽい気持になっていた。[徳田秋声『仮装人物』二一八M]
濡れっぽい〔〕
鼠っぽい
○両耳が押し曲げられるほど深く阿弥陀に被り、鼠っぽい厚羅沙の、やっと膝まであるかならしやしの外套(オーヴア)に、やや流行おくれの空色がかった背広を着た美少年だった。[里見とん『多情仏心』一二一頁]
熱っぽい
○郊外のホテルの或る一夜その物狂わしい場面を思い出す前に、庸三は或日映画好きの彼女に誘われて、ちょうど其日は雨あがりだったので、高下駄を穿いて浅草へ行く時、電車通りまでの間を、背の高い彼女と並んで歩くのも気がひけて「僕は自動車に乗りませんから」と断って電車に乗ってからも、葉子が釣革に垂下りながら先生々々と口癖のように言って何かと話かけるのに辟易したことだの、映画を見ているあいだ、そっと外套の袖の下をくゞって来る彼女の手に触れたときの狼狽だの、或日ふらりと彼女の部屋を訪ねると、真中に延びた寝床のなかに、熱っぽい顔をした彼女がいて、少し離れて座った庸三が、今にも起き出すかと待っていると、彼女は赤い毛の肌著だけで、起きるにも起きられないことが漸と解って照れているうちに、畳のうえに延べられた手に顔をもって行くと、彼女は微声で耳元に「行くところまで……」とか何とか言ったのであったが、彼はそういう風にして悪戯半分に彼女に触れたくはなかった事、一夜彼女が自分が果して世間でいうような悪い女か何うかの判断を求めるために、初めから不幸であった結婚生活の破滅に陥った事情や、実家からさえも見放されるようになった経緯、それに最近の草葉との結婚の失敗などについて、哀訴的に話しながら、止度もなく嗚咽いた後で、英国の或る老政治家と少女とのロオマンスについて、彼女独特の薔薇色の感傷と熱情とで、恰かもぽっと出の田舎ものの老爺に、若い娘がレヴュウをでも案内するような塩梅で長々と説明して聴かした事なども思い合されるのであったが、或日の午後彼はふと原稿紙やペンやインキを折鞄につめて、差当っての仕事を片著けるために、郊外の其のホテルへ出ようとして、ちょうど遊びに来ていた葉子を誘ってしまったのであった。[徳田秋声『仮装人物』二七K]
○さき子は闘牛そのものにはなんの興味も抱かなかったが、毎日の紙面のそうした紙面企畫の中に、津上の冷たいが、それでいて熱っぽい憑かれたような眼を感じることができた。〔井上靖『闘牛』八三L〕○凶暴なものがふとちらつくことのある彼の眼の底に、熱っぽい人懐っこさが隠れているのを、由里は見付けていた。[森茉莉『ボッチチェリの扉』一三G]
熱っぽい蒲団の中で彼の頭にうかぶのは、実行には決してうつらないさまざまな自殺の方法や、それについての夢のような考えばかりだった。[安岡章太郎『海辺の光景』五六B]
○いかにそれが真剣な熱っぽい思いであったにしても、私はまだ十四歳の子供でしかなかった。[宮本輝『錦繍』三七@]
○家全体が疲労の色に包まれ、日常生活のあらゆるディテ−ルは混沌として、無秩序にくっつき合いながら重苦しく、熱っぽく流れて行った。[安岡章太郎『海辺の光景』七七J]
○案の定、翌朝は少し熱っぽく、のどが痛んでいた。[川西蘭『ルームメイト』七四C]
○この場合も桑島之獨特の話術の熱っぽさに半ばあおられた形で、「見たいね、邪魔でなかったらその日連れて行って貰おうか」と私は言った。[井上靖『玉碗記』一六六N]
ねむっぽい[]
ノイローゼっぽい
○「ちょっとノイローゼっぽくなるときがあったでしょ、全員が。」[吉本ばなな『N・P』二一G]
腹立ちっぽい
ひがみっぽい
○そうひがみっぽくてはこまるわねえ。[田辺聖子『風をください』一三C]
僻みっぽい
○彼は自身の子供じみた僻みっぽい魂情を、いくらか悔いてもいたが、兎角苦悩と煩いの多い此の生活を、一気に叩きつけるのも、彼女に新らしい恋愛もまだ初まっていない、こんな時だという気もしていた。[徳田秋声『仮装人物』二一九A]
○「ところで、細君の実家はどこだったかな」「紀州の新宮だ」「佐藤春夫と同郷か。僻みひがっぽいだろ」迷々さんは、人の話をはぐらかすのが趣味である。[久世光彦『蕭々館日録』三八〇上K]
皮肉っぽい
○真子は皮肉っぽく言い、人形に打ち込んでいる夏は炎暑にも気付かなかったほどなのにと思った。[芝木好子『面影』]
○「礼には及ばぬ。かねて申した通り、ただ当方も大船を造るからには望みがある」と白石さまは皮肉っぽく笑われた。[遠藤周作『侍』三七O]
○「もともと人間どもには大したことなんかできはしません」とヘルメ―スは皮肉っぽく笑って言った。[倉橋由美子『発狂』八三P]
○ロイドの唇が皮肉っぽく震えます。[久美沙織『MOTHER』三〇四G]
秘密っぽい[]
ピンク色っぽい
○スノーマンの教会の部屋では、ベッド・カバーだってカーテンだってピンク色っぽい生地を使っていました。[久美沙織『MOTHER』一五八B]
不機嫌ぽい
○膨らんだ唇を小生意気に結んで、不機嫌っぽい顔で譲次をみてゐたのが[森茉莉『或殺人』]
不良っぽい
○その眼は不良っぽい、気の無いものを浮べて、傍見をしてゐた。[森茉莉『恋人たちの森』]
○私より少し背が高くて、ふつうのショートカットの髪で、紺色のダッフルコートを着た子で、不良っぽくは見えなかった。[干刈あがた『黄色い髪』二〇三A]
○梨枝の眼がパウロに還った時、パウロはナフキンで脣を拭いていたが、不良っぽい、気の無いものを浮べて、傍見をしていた。[森茉莉『恋人たちの森』一一八B]
ブルースっぽい
○少しカントリーがかったかわいい部屋、もしくはブルースっぽい乾いた部屋、このどっちかだろうと歩きながら推測した。[吉本ばなな『N・P』九九E]
勉強の虫っぽい
○ひとりっ子で、勉強の虫っぽくて、かなり、おかあさんっ子だったからね。[久美沙織『MOTHER』三二四D]
変なひとっぽい
○馬締は変なひとっぽいから、真面目そうでいて案外キレやすいかもしれない。[三浦しをん『舟を編む』一九六頁2]
保護者っぽい
保護者っぽいあなた。[吉本ばなな『N・P』一九七I]
ほこりっぽい
○ビルの設計に関する私の交渉相手、総務部長、製本のいい古本のような男、角ばっていてほこりっぽい男。[安部公房『無関係な死』一二〇A]
○私は、ある場末の、見るかぎりどこまでも、どこまでも、まっすぐにつづいている、広い、ほこりっぽい大通りを歩いていた。[江戸川乱歩『白昼夢』九I]
埃りっぽい
○店に入ってみると埃りっぽくもなく、垢じみてもいず、開店してあまり時間がたっていないらしい気配である。[開高健『珠玉』一一九J]
埃っぽい
○私は埃っぽい丸善の中の空気が、その檸檬の周囲だけ変に緊張しているような気がした。私はしばらくそれを眺めていた。[梶井基次郎『檸檬』一四M]
○勿論あたりはトラックの往來が繁く埃っぽい感じなのですが、この川に沿って上って行くと、妙に平和な隱やかな印象を受けるのです。[井上靖『川の話』三六二B]
○けれど格子からのぞいてみると、薄暗く埃っぽい闇のなかに、ひげを土まで垂らした関羽が稚拙に怒ったまなざしで佇んでいた。[開高健『岸辺の祭り』一一八E]
○千メ−トル林道は、埃っぽい。車がちょうど擦れ違えるくらいの幅で、車に出会うと腹が立ってしまう。[後藤明生『吉野大夫』一一四D]
○こゝは水に臨んでいるというだけでも、部屋へ入った瞬間、誰でもちょっと埃っぽい巷から遠ざかった気分になるのであったが、庸三達には格別身分不相応というほどの構えでもなく、文学にもいくらか色気のある小夜子を相手に無駄口をきゝながら、手軽に食事などしていると、葉子事件に絡む苦難が、いくらか紛らわせるのであった。[徳田秋声『仮装人物』一四三J]
○白く粉をふいた黒い肌をふるわせて立っているゴム長靴、埃っぽいラシャ地の上にウジャウジャとでたらめに置かれながら同じ時刻に針を指しうごいている時計の山、そのとなりには、魚の卵、タクワン、樽の中にぶつぶつ泡をふいて澱むイカのハラワタ、……そんなものに僕は蹴つまずきそうになるのだが、何ひとつ僕に呼びかけてはこない。[安岡章太郎『秘密』二〇四P]
○そして店店の飾窓には、いつもの流行おくれの商品が、埃っぽく欠伸をして並んでいるし、珈琲店の軒には、田舎らしく造花のア−チが飾られて居る。[萩原朔太郎『猫町』]
○そのうえ窓が書棚でふさがっているものだから、ひといきれと大量の紙が発する(ほこり)っぽさとインクのにおいとが混じりあって空気が淀(よど)んでいる。[三浦しをん『舟を編む』二九八頁8]
骨っぽい
骨っぽいからだをボキボキ鳴らしながら降りてきたのは、白い眉、白い髭、見るからに元飛行機乗りのかっこうをしたおじいさんだったのです。[久美沙織『MOTHER』一二六M]
○私利私欲のためではなく、是々非々の筋を通して自己の主張を枉げない骨っぽい人物が、土佐から輩出している。[萩谷朴『おもしろ奇語辞典』三〇上D]
○司書は、背の高い痩せた中年女性だった。皺だらけで骨っぽい指には不似合いの、ローズ色のマニュキュアが生々しく光っていた。[小川洋子『冷めない紅茶』七四@]
ほれっぽい
○地体浮気で男にほれっぽい女だとは知らないから、わたしも姶めての晩、御用さえ済めば別にはなしのある訳もなし、急いで帰ろうとすると、「兄さん、お願いだから、もう一度お目にかゝらせてね。」と寝乱れ髪に憂いのきく淋しい眼元。袖にすがっていきなり泣き落しと来たんだから、こたえられません。〔永井荷風『あぢさゐ』〕○本当にいつになっても星子のほれっぽい性格は直らないようだ。[山浦弘靖『星子宙太二人旅』三八A]
惚れっぽい
本当っぽい
○なにも知らないみきさんが加わったことで、芝居は格段に本当っぽくなった。〔三浦しをん『神去なあなあ日常』二八二B〕
まじっぽい
みじめっぽい
○ふざけんない!おいらあ人間だい!どんなにみじめっぽくたっていためつけられたっておいらあ人間だぞ!人間だぞ!人間だぞ!バカヤロ―ッ〔手恷。虫『どろろ』頁〕26
 
 
 
 
 
 
 
水商売っぽい○踊り子になって三か月目の頃、今は別のトップレス・バーに移った悠子たちと店の踊り子五人で香港へ食べ歩きの旅行をしたり、熱海や大島に一泊旅行をよくしたが、取りまとめ役の悠子が他所に移ったし、残りの踊り子の出身がクラブやキャバレーのホステスだったので、電車の中も旅館に着いてからも話題は水商売ぽっく歌舞伎町のクラブのママの話や客筋の品定めに終始し、あげく出かけていった熱海の温泉宿の芸者たちから、「お客さんたち、おミズでしょう」と言われ、真知子や順子は鼻白んだ。[中上健次『軽蔑』朝日新聞連載一九九一年三25月九日(土)]
水っぽい
○その水っぽい鼻声は、男をまぶしがらせた。[安部公房『砂の女』一九七C]
○肉の入っていない、水っぽいカレ―ライス。実にカレ−ライスの多い所だ。[加賀乙彦『湿原』上・壁四七三E]
○影に細い手と足がついたといいたくなるような枯れかただが、穢れた壁にもたれたところを見ると、青い瞳が薄れて水っぽくなり、淡い輪郭の線がのこっているだけである。[開高健『珠玉』九〇L]
○あちらこちらに水っぽい贅肉のついた、ぶざまに腹のせりだした初老の体をそのかたわらによこたえる。[開高健『珠玉』一四六B]
未亡人っぽい
○何でだか未亡人っぽく見えた。昔から、そういう外見をしていた。[吉本ばなな『N・P』一三三I]
むかっぽい[]
娘っぽい
○その娘っぽい眼や頬にのぼる哀傷を見て久瀬は頽れろ冷酷をおぼえ、はげしく踏みこんだ。[開高健『岸辺の祭り』九二C]
○あばずれの下司っぽい女たちしか知らなかった武内は、一見おきゃんそうに見えて、そのじつ言いたいことの半分も口に出せない、まだ娘っぽいところを残しているその女を好きになった。[宮本輝『道頓堀川』四一K]
○敷居際で三つ指ついて、「いらっしゃいませ」とお辞儀をする様子は、いかにも日本的で落ち着いてみえるけっれど、視線を上げると瞳がキラキラ輝いて、娘っぽさがおの見えるような、陽気で少しやんちゃな感じもする女性だった。[内田康夫『湯布院殺人事件』七八K]
咽せっぽい
○どうも咽せぽくて実に弱った。[夏目漱石『吾輩は猫である』]
紫っぽい
紫っぽい錦紗である。[田辺聖子『風をください』二五七@]
無理っぽい
○「やめてくれよ。縁起でもない」ロイドが、少々無理っぽい声で笑いました。[久美沙織『MOTHER』八八I]
暝想っぽい
○「無心にね……読経とか暝想っぽいのかな。」[吉本ばなな『N・P』一三八@]
やくざっぽい
○管理人が留守を伝えると居留守にちがいないとさんざん嫌味を言い、約束を破ったとかなんとか、思いっきりやくざっぽい調子でわめくのだ。[安部公房『無関係な死』一七九N]
○無理矢理やくざっぽい品を作ろうとしているようだった。[宮本輝『道頓堀川』一九C]
安っぽい
○「ワハハハハ。そうよ、この蓋はあまり安っぽいようだな」と和尚はたちまち余に賛成ふたおしようした。〔夏目漱石『草枕』九〕
○宗助は次の間にある亜鉛の落しの付いた四角な火鉢や、黄な安っぽい色をした真鍮の薬鑵や、古びた流しの傍に置かれた新し過ぎる手桶を眺めて、門へ出た。[夏目漱石『門』一五〇K]
○安っぽいくらいあたりまえに哀しい、内面の物語を。[吉本ばなな『N・P』一五二L]
○言葉って安っぽい。[吉本ばなな『N・P』一九六I]
○「この男、『小説を自分の頭の中で映画を撮るようにして読む』というとんでもない男で、まあ最近そういう読み方で充分という小説がたくさんあるからこれはいいとして、そういう読み方をした時、パ―ティ・シ―ンにリアリティがない、登場人物に動きが少ない、安っぽい書き割りしか浮かんでこないなどと難癖をつけはじめた。[筒井康隆『朝のガスパール』一〇三]
○「楽屋に対する興味」などと云う言葉が、安っぽく考えられた。[多情仏心・前編八、三七頁]
易っぽい
○其の晩の擧動なり、………あの餘り………貴方の前ぢやけれどもが、風采の上らん、?せそばんきよどうあまあなたまへふうさいあがやた、薄鬚のある、背の屈んだ、恁う、突くとひよろひよろつとしさうな、人に口を利くにおどうすひげせかがかつひとくちき?する、初心らしい、易つぽい、容子と云ふのがぢやね、人品備はらんですぢやらうが、何うしよしんやすようすいじんぴんそなどですかね、………きやッ、きやッ、きやッ。」空咳きに咳入る如く、肩を搖つて高笑ひをする。からせせきいごとかたゆすたかわら[泉鏡花『日本橋』二〇九I]
幼稚っぽい
○こんな幼稚っぽくなってしまった髪に、せめて、小さな花のいくつかくらいオトメチックに飾りたい。[久美沙織『MOTHER』七一B]
汚れっぽい[]
乱暴っぽい
○もともと、こんな乱暴っぽい、戦争っぽい雰囲気は好きじゃありません。[久美沙織『MOTHER』二六五@]
理屈っぽい
○・・・・・・雪森厚夫という男の性格は、表面上は人当りがよく、ちょっと理屈っぽいところが落ち着いて見え、初めは善人で学校の先生みたいに思われて信用されるのですが、元来飽きっぽく気が変りやすいのです。[加賀乙彦『湿原』上・闇三九二R]
○それはパ―ティというより十八世紀のサロンか平安朝の宮中の花の宴か、あるいはアテナイ人のシュンポシオンのようなものだなと麻衣子さんが理屈っぽいことを言ったはずはないので、そんな風に木原氏の想像が勝手に働いただけのことかもしれない。[倉橋由美子『幽霊屋敷』六三B]
○そこで飛び出すことになっている。何事も理屈っぽく、数学的に物を考える末造が為めには、お常の言っている事が不思議でならない。[森鴎外『雁』八〇M]
○理屈っぽく言えば、地球ぐらい大きくなれば、もう三次元の世界じゃなく、本当は四次元の世界で、その形を目で見るように想像すること自体がもう不可能かもしれないのだ。[安部公房『無関係な死』五四H]
ロリータっぽい
○「単にロリータっぽいっていうんじゃなくって、おしまいのほうなんて、薬やお酒のせいなのか、ものすごく幻想的でしょう?」[吉本ばなな『N・P』三一C]
忘れっぽい
○「ハハハハまさか、それほど忘れっぽくもならないでしょう」と寒月君が笑うと、[夏目『吾輩は猫である』]
○女はすかさず、「そんな忘れっぽい人に、いくら実をつくしても駄目ですわねえ」と嘲けるごとく、恨じつあざうらむがごとく、また真向から切りつけるがごとく二の矢をついだ。〔夏目漱石『草枕』九〕まつこう
○「あいつは、過去のことをよく覚えてないんで、言うことがふわふわ変り、つまり根は忘れっぽいんであります。努力して覚えようしたとこだけ、記憶しちょる。アリバイ工作のあとで歴然で」[加賀乙彦『湿原』上・闇三九二Q]
○私はいそいでいた。「忘れっぽい小説家ですよ、私は」スン氏はいたずらっ子のように微笑した。[開高健『飽満の種子』一六〇K]
忘れっぽいモズがあちらこちらの枝につき刺した子ネズミの死骸に彼は眼を奪われたのだった。[開高健『パニック』二三A]
○「そんな風に云われちア恥入りますよ。……一体あたしは忘れッぽい質のところへもって来て、何しろ旧いはなしですからね。……どうもすみません」[尾崎紅葉『多情仏心』初雪の夜、八九頁]○「どうしてあたしはこう忘れッぽいかな」[尾崎紅葉『多情仏心』初雪の夜、九一頁]
 
参考文献
安部公房砂の女[新潮文庫]、無関係な死・時の崖[新潮文庫]
泉鏡花日本橋(「日本橋」大正三年九月十八日発行・名著復刻全集近代文学館)
井上靖獵銃[名作自選日本現代文學館・ほるぷ出版]
闘牛[名作自選日本現代文學館・ほるぷ出版]漆胡樽[名作自選日本現代文學館・ほるぷ出版]
玉碗記[名作自選日本現代文學館・ほるぷ出版]
ある僞作家の生活[名作自選日本現代文學館・ほるぷ出版]
川の話[名作自選日本現代文學館・ほるぷ出版]
補陀落渡海記[名作自選日本現代文學館・ほるぷ出版]
内田康夫湯布院殺人事件[中央公論社]
江戸川乱歩屋根裏の散歩者、押絵と旅する男、防空壕、もくず塚[ちくま日本文学全集・筑摩書房〇一九]
遠藤周作、侍[新潮文庫]
遠藤周作、海と毒藥[新潮文庫]
小川国夫悲しみの港[朝日新聞社]
小川洋子冷めない紅茶[ベネッセ]
海燕一九九〇年五月尾崎紅葉多情多恨[岩波文庫]
開高健、夏の闇、巨人と玩具、歩く影たち(飽満の種子、岸辺の祭り、怪物と爪柳枝)パニック・裸の王様、花終わる闇[新潮社文庫]
開高健、珠玉[文藝春秋]
加賀乙彦湿原〔上・下〕[朝日新聞社]
梶井基次郎檸檬[新潮文庫]
川西蘭ルームメイト[集英社文庫]
川端康成雪国[新潮文庫]
久世光彦蕭々館日録[雑誌「中央公論」一九九九(平成一一)年月号]
11久美沙織MOTHER[新潮文庫]
倉橋由美子倉橋由美子の怪奇掌篇(発狂、幽霊屋敷、獣の夢、月の都)[新潮文庫]
幸田文きもの[新潮文庫]一九六五(昭和四〇)年「新潮」幸田露伴日ぐらし物語[岩波文庫]
後藤明生吉野大夫[中公文庫]
小林多喜二蟹工船[岩波文庫]
里見ク多情仏心[岩波文庫]
三遊亭圓朝鹽原多助一代記[明治文学全集・筑摩書房]
10太宰治、人間失格[新潮文庫]
太宰治、津軽[新潮文庫]
田辺聖子風をください[集英社文庫]
筒井康隆朝のガスパ―ル[朝日新聞社]
津村節子津村節子自選作品集・第五巻[岩波書店]
手恷。虫どろろ[手恷。虫漫画全集二]
徳田秋声仮装人物[講談社文芸文庫]
中上健次軽蔑[朝日新聞社]
中勘助島守[岩波文庫]
永井荷風あぢさゐ[中央公論、昭和六年]
夏目漱石吾輩は猫である[複製]
夏目漱石、門[新潮文庫]
夏目漱石、虞美人草[新潮文庫]
夏目漱石、草枕[新潮文庫]
夏目漱石、こころ[ちくま文庫]
萩原朔太郎猫町干刈あがた黄色い髪[朝日新聞社]
三浦綾子塩狩峠[新潮文庫]
三浦しをん『神去なあなあ日常』〔徳間文庫2012年〕水上勉日本の戦争[新日本出版社]
三浦しをん『舟を編む』〔光文社文庫二〇一五年刊〕
宮沢賢治注文の多い料理店(鹿踊りのはじまり)[新潮文庫]
宮本輝道頓堀川[新潮文庫]
宮本輝、錦繍[新潮文庫]
森?外雁[新潮文庫]
森?外、諸国物語〔上下〕[筑摩文庫]
森茉莉恋人たちの森(ボッチチェリの扉,枯葉の寝床,日曜日には僕は行かない)[新潮文庫]
山浦弘靖星子宙太二人旅[集英社]
安岡章太郎海辺の光景(秘密)[新潮文庫]
吉本ばななN・P[角川文庫]
吉本ばなな、キッチン[福武文庫]
吉本ばなな、血と水[]
 

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