時事会計No.

海外投資家の株式保有が銀行の保有比率を上回る

:株主重視と会計

日経01年6月27日

Key words:機関投資家、株式保有比率、持ち合い株式、メーンバンク、株主重視

 

この記事で重要な点は、1つは外国人投資家の保有比率が1999年3月末に初めて10%台にのせ、銀行の保有比率を上回ったということであり、もう1つはその外国人投資家が米欧の年金などの機関投資家であるという点である。後者については別にふれるが、前者についてはその後、両者の差はさらにひらき、2001年3月末でそれぞれ18.8%と10.1%となっている(1986年から2000年までの@外国人、A銀行、B事業会社、C個人の各持ち株比率の推移比較図が参考になる)。

ここで、さらに重要な点は、そうした海外機関投資家が株主としての発言力を強めてきているという点である。このことは、会計問題と無縁ではないので、より具体的な点につては次回でふれることにする。いずれにしても、これまでの取引先やメーンバンクとの「持ち合い」構造が崩れ、それが年金基金などの米欧の機関投資家にシフトしている構図がみられるわけだ。したがって、合理的経済行動(運用利回りの追求)をその基礎におく機関投資家の動向が今日の会計問題に密接にかかわってくるということに注目しておく必要がある。

 

〈関連記事〉これに関連して、7月11日に「株主重視 流れ止まらず/企業の命運、海外投資家に」という記事が、「大量保有報告書」(「きょうのことば」での5%ルール参照)の分析をとおして報じられているのが注目される。要するに、今後、持ち合い解消がさらに進んでくると、ますます海外機関投資家、とりわけ筆頭株主になってきている海外機関投資家の株主としての発言力(株主価値の拡大)が高まり、経営陣とのパワーゲームが展開されるということである。投資家に有用な会計情報を提供するという会計の重要な機能からして、そうした投資家に応えるための会計がますます要請されるわけである。

〈さらなる学習〉機関投資家の動向については「株式会社を考える 制度を超えてB」(日経7月17日)、また米国公的年金最大手のカルフォルニア洲職員退職年金基金(カルパース)の日本の株主総会での行動が報じられている記事(日経1017日)が注目される。また、財務報告制度における機関投資家の位置づけに関しては、すでに英国で「キャドベリー報告書」(「コーポレート・ガバナンスの財務的側面」199212月)がでている。参考文献としては、『英国のコーポレート・ガバナンス』(八田・橋本共訳、白桃書房、2000年)および『コーポレート・ガバナンス−英国の企業改革−』(日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム編、商事法務研究会、2001年)をあげておく。

(以上、200110月)