1998年度 大学院演習問題(No.1

1998/8/11

氏名(        )

 

[問題T]

次の説明文を読んで、以下の問いに答えよ。(50)

出所:L.T. Johnson, C. L. Reither and R. J. Swieringa, "Toward Reporting Comprehemsive Income", Accounting Horizons, December 1995.

 

  1. 3つの下線箇所(特にwithout, forth, betweenに注意)を1つの主題の下にまとめて何が問題になっいるかを説明してみよ。
  2. ここには直接説明はないが、包括利益プロジェクトはなにを契機にして行われるようになったか簡単に答えよ。

 

A few years ago, this journal included an article entitled “The Time Has Come to Report Comprehensive Income” (Robinson 1991).

It stated that “the increasing complexity of business, the diversity of businesses reported on, the controversial nature of the items on the FASB’s agenda, and the sophistication of the user community all argue for a full, comprehensive income presentation” (Robinson 1991,109).

 

More recently, Michael H. Sutton, now Chief Accountant of the Securities and Exchange Commission, co-authored an article (Sutton and Johnson 1993) that urged the creation of a new statement to accommodate fair value measures in a balance sheet without having to report changes in those fair values in an income statement:

 

Our framework would retain the essential structure of the current accounting model, but would provide for greater recognition of market values in the financial statements. Financial assets that have ready markets would be carried at market value on the balance sheet.

Unrealized changes in the values of these assets would be excluded from the traditional measurement of earnings. Rather, these changes in values, which are provisional until the asset is sold, would be captured and reported in a new, fourth financial statement. ...(Sutton and Johnson 1993,39)

 

The approach proposed would interpose a new statement between an income statement and a balance sheet:

 

 

 

[問題U]

次の説明文を読んで、以下の問いに答えよ。(50点) 出所:問題Tと同じ

  1. aとbの下線箇所につき、両者が問題とするものの基本的相違につき簡単に説明せよ。また、bの問題として議論することになった理由を推測せよ。
  2. 3つの問題(what, where, how)につき、後の文章を読んでその要点をそれぞれ列挙せよ。

 

Although a broad project on comprehensive income is not practical, the Board concluded that a project on reporting comprehensive income is practical. Instead of focusing on (a)recognition and measurement, the project takes as givens the existing requirements for the recognition and measurement of items of comprehensive income and focuses on issues of (b)presentation. The Board decided that the project on reporting comprehensive income should answer three general questions: (1) what constitutes comprehensive income, (2) where should comprehensive income be displayed, and (3) how should the components of comprehensive income be displayed?

 

 

大学院演習問題(No.2)

98//

氏名(        )

 

[問題T] 50点)

企業会計審議会「金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書(公開草案)」(1998年6月16)における「売却目的の有価証券」の規定は次のとおりである。以下の問いに答えよ。

 時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券については、投資者にとって有用な情報及び企業にとっての財務活動の成果は有価証券の期末時点での時価に求められると考えられる。したがって、貸借対照表価額は時価によることとする。また、企業が当期中に売却を行うにあたっての事業遂行上等の制約がなかったと認められることから、評価差額は、当期純利益に反映させることとする。

 

(1)まず全体を2つに区分してそれぞれがいかなる問題か、そのポイントを簡潔に述べよ。

(2)企業会計の2つの目的について述べよ。

(3)下線箇所につき解説せよ。

(4)評価差額が純利益を構成しない場合(その他の包括利益)の基準は何か。

(5)現行企業会計原則が改正ないし削除される箇所はどこかを示せ。

 

 

*参考問題 (問い5に係わって)

 「金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書(公開草案)」が現行企業会計原則の部分的改正ないし修正ではなく、それとは別個に「金融商品に係る会計基準(案)」および「金融商品に係る会計基準注解(案)」として出てきていることについて、とりわけそれが意味するであろうことについて論評せよ。

 

 

大学院演習問題(No.3

1998/10/

氏名(        )

 

[問題T]

 次の説明文(但し、下線は石川)につき、以下の問いに答えよ。

 

「以上のように、派遣分のうち利息の獲得を企図した割引債・貸付金・売掛金等については、統一的に狭義発生主義という時間的損益の認識基準のもとに、アキュムレーション法による処理が妥当なのである。他方、有価証券の場合には、その資本貸与の目的が異なっているので、その時間的損益額の内容も異なってくるが、しかし、本質的には、貸付金等とまったく同じ測定規約が作用する。すなわち、有価証券は、証券市場における価格差の享受を企図した資本貸与であるから、証券価格の変動に伴う時価差額を、狭義発生主義により保有利得として認識するとともに、アキュムレーション法に従って、その額だけ有価証券勘定を増価させる(つまり有価証券を時価で測定する)のである。」(笠井「有価証券と実現概念との関係()」『税経セミナー』1998年9月号、10頁)

 

  1. この説明文は2つの論点についての論拠づけの説明である。その2つの論点とは何か。
  2. 2つの論点を借方・貸方の仕訳の形式で示せ。
  3. なぜ有価証券にアキュムレーション法が適用されうるのか。その論理の展開について説明せよ。
  4. 有価証券の時価評価を「増価」と捉える根拠はどこにあるか。

 

 

大学院演習問題(No.4)

1998/10/24

 

[T]以下の説明はそれぞれ財務業績の報告のあり方についての2つのアプローチ(BとD)に関するものである。

出所:L. T. Johnson & A. Lennard, Reporting Financial Performance: Current Development and Future Direction (G4+1, FASB 1998)

 

  1. それぞれにおける伝統的な原価・実現主義による成果計算の位置づけ、ならびにその位置づけにおける2つのアプローチの基本的相違について論ぜよ(対比図も参照)。
  2. 5.15 Because of the difficulties they see with the multicolumn format, they believe that a reconciliation format is preferable. That format entails reporting certain items that have not been deemed to have been "earned," "realized," or "matched" within a statement of financial performance but outside earned-realized-matched income when they arise. Later, after they have been earned, realized, or matched, those items are recycled out of the component in which they were initially reported and into earned-realized-matched income. The adjustments required for that recycling appear in the statement of financial performance and are labeled as "recycling adjustments" or "reclassification adjustments." Those adjustments are needed to avoid double counting in the overall measure of performance.

     

    5.41 Figure 5 illustrates one possible way to implement that approach to performance reporting, using the same data as in Figures 2, 3, and 4. The statement is divided into three main components. One is for operating or trading activities, which generally are the primary value-adding activities of most entities. That component reflects items that, for the most part, are measured in terms of historical costs and entail the matching of revenues and expenses.

     

  3. アプローチDに関する次の説明の下線箇所を説明せよ。

5.42 The second component is for financing and other treasury activities. All financing and treasury activities are reported as part of this component, including gains and losses from revaluation of long-term debt. Moreover, if all financial instruments ultimately are measured at current value, gains and losses from revaluation would be included and, assuming final revaluation were made immediately before disposal, no realized gains or losses would be included. As a result, the financing and other treasury activities component would reflect the results associated with items measured at current values rather than at a mixture of historical costs and current values. That would have the effect of further heightening the differences between this component and the others, and particularly with trading or operating.





大学院演習問題(No.)

1998/12/2

 

[T] FASBの(その他の包括利益項目としての)保有損益の考え方は、財務会計基準書第130号「包括利益の報告」における「再分類調整」(reclassification adjustments)にあらわれている。次の説明文を読んで、以下の問いに答えよ。

 

18. その期間の純利益の一部として表示される包括利益項目のうち、その期間あるいはそれ以前の期間において、その他の包括利益の一部としてすでに表示された項目の二重計上を避けるため、調整がおこなわれなければならない。例えば、当期中に実現し純利益に含められたが、発生した年度にも未実現保有利得としてその他の包括利益にすでに含められている有価証券投資による利得は、包括利益に二度計上されることを避けるため、純利益に含められた年度にその他の包括利益から控除されなければならない。このような調整は当基準書では「再分類調整」と呼ばれる。」

(第18パラグラフ、但し下線および傍点は筆者)

 

  1. 株式有価証券の価格が、$100(第1期中に購入)→$120(第1期末時価)→$150(第2期中に売却)であるとき、上記の説明に即した一連の仕訳を示せ。
  2. その仕訳に基づいて、「その期間」と「それ以前の期間」との違いがあれば説明せよ。
  3. 「実現」と「発生」との関連について説明せよ。もし可能なら、「実現可能」(販売目的有価証券)との関連についても説明せよ。

 

[U]企業会計審議会「金融商品に係る会計基準の設定に関する意見書」(1999年1月)では、@評価差額が純利益となる「売買目的有価証券」とA評価差額を売却されるまでいったん資本の部に計上する「その他の有価証券」に区分している。次のような単純な数値例を用いて、以下の問いに答えよ。

 

 数値例:第1期中の購入原価=100, 第1期末時価=110, 第2期末時価=130、第3期中の売却時価=160

 

  1. 売買目的有価証券のケースについては、「評価差額については、当期の損益として処理する」と説明されている。考えられる一連の仕訳を示せ。
  2. その他有価証券のケースについては、「評価差額については、毎期末の時価と取得原価との比較により算定することとした。したがって、期中に売却した場合には、取得原価と売却価額との差額が売買損益として当期の損益に含まれることになる」と説明している。同じく考えられる一連の仕訳を示せ。

 

[V] 次の説明文(但し、下線は筆者)を読んで、以下の問いに答えよ。

 出所:笠井昭次「有価証券・貸付金等の測定規約(2)」『三田商学研究』第41巻第2号、1998年6月

 

(i)「すなわち、有価証券を保有したということは、有価証券発行企業に(資本の肩代わり等を通して)資本を貸与したことを意味している。したがって、保有利得というのは、既に履行された資本の貸与、つまり一定の期間だけ有価証券を保有した、という事実に対する報酬に他ならない。そこでは、既に『保有した』ということが重要であり、そのかぎりでは、現在保有しているか、(売却により)現在は保有していないか、ということはさしたる問題ではない」(57頁)

 

(ii)「実現可能基準によれば、現に保有されている資産の(経営者の特別の努力を必要としないほどに)売却が容易であるという性格により損益の計上が認められ、その損益が『保有損益』と名づけられるのである。…実現可能基準に基づく『保有損益』とは、資産を保有したことに基因するというより、将来の実際売却時とほぼ同じ条件が具備されているがゆえに、認められるのではないだろうか。その損益は、将来の売却損益のいわば前取りに他ならず、保有損益といった性格のものではないように思われるのである」(60頁)

 

  1. 問題[1]での数値例を用いて笠井説に基づく保有損益の仕訳を示し、FASBの見解との相違につき説明せよ。
  2. 実現可能基準説における評価差額の性格について述べよ。
  3. 実現可能基準説と笠井説の基本的相違について説明せよ。