【自社株買い】=自己株
・会社が自身の発行した株を持つこと。
・または、その株式のこと。
・自己株式は、【金庫株】ともいい、会社がいったん発行した株式を再取得することをいう。

・自社株取得(自社株保有)は
@資本充実の原則に反する。    
A会社支配の手段に利用されやすい。    
Bインサイダー取引の温床となり投資家保護の面で問題が生じる恐れがある。
・1994年 商法改正  
 原則禁止の枠組みは変えないものの、「株式の消却」、「従業員持ち株会への譲渡」など一部が認められた。
・1996年 アサヒビール(株)が消却を目的とした自社株取得に踏み切った。

自己株式取得の会計処理
・自己株式を取得したときは、取得原価によって貸借対照表のその他の流動資産に『自己株式』という科目で計上する。
【会計理論上】
株式に対する資本の払い戻し。
実質的には『減資』と同じ。
資本の部から控除する形式で表示すべきだとするのが通説。
・『減資』:
@ 資本金を減少させること。         
A 株主総会の特別決議が必要。        
B 資本金は【会社の顔】であり、会社が資本金を減少させることはめったにない。

自己株式取得:自己株式の消却 戦略的意味
(1)配当対象となる株式数が減少することにより、キャッシュ・フロー上のメリットを期待できる。  
 〔⇒手持ち資金にゆとりがでる。〕
(2)1株あたり利益(EPS)の向上を期待できる。ひいては株価収益率(PER)の改善につながる。
(3)ストック・オプション用の株式を確保できる。
(4)相対的に市場に流通する株式が減少することによって、市場における評価(株価)が上昇し、社会的に高い評価を得ることが期待できる。
    〔⇒企業イメージや、ブランド・イメージといった定性的な評価の側面の改善も可能となる。〕

自己株式取得:自己株式の消却 戦略的意味
(5)発行済株式総数が減少することによって、浮動株式の把握・管理が比較的容易になり、M&Aのターゲットになりにくくなる可能性が高くなる。
@EPS: Earning Per Share=1株当たり利益  
 1株当たり当期純利益ともいい、会社の配当能力を示す指標。
 1株当たり利益=当期純利益/発行済株式数
APER: Price Earning Ratio =株価収益率
 株価収益率=株価/1株当たり税引き利益(EPS)

株価収益率(PER)
株価収益率(PER)が小さければ…=収益力に対して株価が相対的に低いことを意味する。
株価収益率(PER)が大きければ…=収益力に対して株価が相対的に高い。
◎アメリカでは最もポピュラーな株価指標。   
その平均はここ20年間11〜12。 20を超える株価収益率を持つ企業は急成長企業といわれる。
◎日本では、PERの平均はアメリカに比べて異常に高く、どのくらいのPERが適当かについての基準はない。

・アサヒビール株式会社  参照:日経ネット
・アサヒビール株式会社 第79期決算広告

U事業展開と株価上昇  P.95
【株式の評価】
=企業の事業展開に伴う累積利益の増加を評価すること。
=1株あたり利益〔EPS:Earnings Per Share〕
の上昇が、株価の上昇につながる。  ⇒利益とリスクに注目

U事業展開と株価上昇  P.95
【企業のなすべきこと】
★事業の業績を理論的に推定
★投資家が満足するような
『ローリスク・ハイリターン』となる事業投資戦略を徹底すること
   P.96 投資可能領域の選択
   P.97 PPMによるキャッシュ・カウの戦略

W リスク管理と株価
【株価は、企業のリスク管理のあり方を評価】
@原価変動リスク:管理可能性が最も高い。
企業としては、回避しなければならない事象。
A資産評価変動リスク:BS上にでる。
Bファイナンシャル・リスク:@&Aを回避している企業に発生する。
Cビジネス・リスク:現状は安定している企業対象

X 自己株式の償却
 ★資本構成の改善の為の一つの手段
 ★利益による余剰資金を償却源資とする。
 ★1994年商法改正:株式公開買付による自己株式の取得・償却が認められる。
 ⇒【公開会社の特性の一つ】
*1972年商法改正(M&A活動に伴う株式の公開買付の法制化を目指したもの)

自己株式とは?@
=Treasury Stock
=金庫株
=会社がいったん発行した株式を再取得したもの。⇒『減資』にあたる。
=商法第210条で、原則禁止。(資本維持の原則、株主平等の原則、株価操縦の可能性の回避)

自己株式の会計的処理
【会計理論上】
=株式に対する資本の払い戻し
=実質的に『減資』と同じ
=資本の文から控除する形式で表示すべき
【日本の商法】
=貸借対照表の流動資産の部に表示している。
⇒売却損益は、「営業外損益」として処理

株式の公開買付(TOB)
@ 証券取引市場の外において
A 一定の株式数について
B 一定の株価で
C 一定の期間内に
D 不特定多数の株主に対して
⇒買付の申し込みを行うことをいう (証券取引法27条の2)

自己株式の償却:戦略的意味
@ 配当対象となる株式数が減少することにより、キャッシュ・フロー上のメリットを期待できる。
A 1株あたり利益(EPS)の向上を期待できる。⇒株価収益率(PER)の改善につながる。
B ストック・オプション用の株式を確保できる。
C 相対的に市場に流通する株式が減少⇒市場における株価が上昇し、社会的に高い評価を得られる。
D発行済株式総数の減少で、浮動株式の把握・管理が容易になる。

Z 企業成長と市場評価
株式公開⇒市場からの高い評価⇒自己資本比率の上昇⇒資本コストの低下
⇒株式会社の本来の姿

★企業は、株式を公開することにより、公正で自由な市場において、投資家による適切で、正当な評価を享受できる。