*参考:第4章,図4-1, 私企業体制の発展と機能分化
 
*2001年分の会社形態と資本金別企業数(前回配布資料より作成)

V 「法人成り」と商法改正
「法人成り」=法人会社(会社形態)に変更すること。
 【現実】 ⇒資本面では【単独出資】で足りるはずの組織が、【株式会社】や【有限会社】という会社形態をとっている。
 ⇒実質としては【個人企業】であっても、形式としては【法人会社】形態をとる場合がわが国では多い
 ⇒合名会社、合資会社の形態は、極端に少ない現実。
実質としての経済形態と、形式としての法律形態とのギャップ

「法人成り」のメリットT
 ⇒債務責任上のメリット
@ 【有限責任】 =出資者は出資範囲での有限責任を負えば済む。
A 【節税対策】=所得税率・法人税率の違い 
B 【社会的信用】=ネームバリュー
            ⇒事業資金を集めやすい。
★【個人】には必ず死が訪れる。⇒【法人】は永続性を保持。
★法律上の【会社】は経営者個人の死生に依存せず【制度】として存続。

【個人企業】と【法人】:税金の違い

個人所得税と法人税の税額

個人所得税と法人税の税額(事例)

「法人成り」のメリットU
C 【会社の継続】
  =個人事業では子息への継承に相続税が発生。法人は、社長交代のみ。
D 【決算期の自由】
  =個人事業では、毎年2〜3月に確定申告。
   法人は、税務署の申告窓口の混雑時期と、本業の繁忙期を回避できる。

現実は…?
@ 【有限責任】=金融機関から融資を受けるとき、経営者個人の土地建物に抵当権を設定する場合が多い。
A 【節税対策】=利益額が少ない場合、メリットは少ない。帳簿・書類整理等、かえって面倒。
B 【社会的信用】=法人に変更しても、中小零細経営では、経営者個人の信用度、経営能力の方が重要視される。

改正商法(1991年4月1日施行)
@ 【一人会社】
=(従来)株式会社設立時、7人以上の発起人が必要。
⇒(改正後)一人の発起人による会社設立を認める。
〔意図:現実追認による法律形骸化の回避〕

【概念の矛盾】
⇒会社は、複数の出資を得る手段として歴史的に発展。最も高度な形態としてT付けられるのが株式会社。
⇒法律形態としての会社、経済形態としては「集団企業」と呼ばれ、それは単独出資者による個人企業とは対概念。

改正商法(1991年4月1日施行)
A 【最低資本金制度】
=(従来)株式会社設立時、最低資本金額は、 35万円以上(1株5万円×7人)
⇒(改正後)最低払い込み資本金額は、
 1000万円必要となる。
〔意図:一定額以上の資本金を会社に課することは、『債権者保護』に通じる。〕

2003年2月1日施行
【最低資本金制度の特例措置】
⇒法人設立時に必要な最低資本金制度の適用が緩和。
〔従来、株式会社の場合1000万円、有限会社の場合300万円の資本金が必要だった。〕
⇒最低資本金未満の資本金で設立が認められ、設立から5年間は資本金の額が最低資本金未満でもよい。

【最低資本金制度の特例措置】 の目的と背景
・わが国の雇用は、その6割以上が『新規開業』によってもたらされていること。
・創業の促進は、雇用創出や経済活性化のために大変重要であること。
・『個人事業主』の開業率が1975年以降、連続低下傾向にあること。
・1989年以降、廃業率が開業率を上回る逆転現象がおきていること。  etc.

事業所数による開廃業率の推移(グラフ提示)
出所:総務省「事業所・企業統計調査」より(非一次産業、年平均)

中小企業庁による『中小企業挑戦支援法』
今回の法律改正の目的と概要

特例措置を利用して設立された法人:【確認会社】
【確認会社(確認法人)】とは
中小企業挑戦支援法により、法人設立の際の最低資本金規制の制約を受けない特例措置を用いて設立された法人のことで、有限会社を【確認有限会社】、株式会社を【確認株式会社】という。

確認会社の特徴
T 資本金1円でも設立可能
U 従来の会社との運営方法の違い
@ 設立報告の義務:  設立後、商号などの会社の基本情報を経済産業局に報告する必要がある。
   経済産業局はこの情報を広く一般に公表する。
A 計算書類の提出と貸借対照表の公開義務:
   会社債権者保護の観点から、毎営業年度経過後3ヶ月以内に、その営業年度の貸借対照表2通、損益計算書1通、利益処分案1通を、
   会社の本店所在地を管轄する経済産業局に提出する必要がある。

確認会社の特徴
B 5年以内に増資しなければならない。
  株式会社の場合、1000万円以上、有限会社の場合、300万円以上に資本金を積み上げる必要。
C 配当は制限されている。
  会社債権者保護の観点から、会社の資産を意図的に外部に流出させることのないよう、純資産額が最低資本金を超えるまで、利益配当ができない。
D 資本を最低資本金以上とした場合の登記義務:
  資本を最低資本金以上とした場合、法務局に発行済み株式数、資本の額について、変更の登記申請を行う必要がある。
E 最低資本金規制の特例の終了の届出
  資本が最低資本金以上に増資し、合名会社等に組織変更し、または合併、破産その他の事由により解散することにより、最低資本金規制の特例が終了する場合には、届出書を経済産業局に提出する必要がある。

E-中小企業庁&ネットワーク http://www. chusho.meti.go.jp/chu_top.html

経済産業省・新規産業室による調査 平成15年5月16日現在
最低資本金制度の特例措置による創業数

平成15年2月1日〜平成15年5月16日
申請数 2,171件
成立数 1,374件

個人企業の概念によるまとめ
【個人企業の限界】
・資本の小ささ
・信用の未確立による負債の限界
・総資本の小規模性に由来する
    利益機会の小ささ
【克服のためには】⇒出資者の複数化

第5回講義内容 教科書の範囲:p.40- p.49 引用箇所
 P.40 Vから、L1-5, 6-7, 表2-3
 P.41 L10-18, 21-24, 26-29
 P.42 L1-4, 10-15
 P.43 L2-3, 8-9, 12-14
 P.44 L13-20,
 P.45 L1-2, L8-9, 10-18,23-24, 25-29
 P.46 L9-18
 P.47 表2-6,
 P.48 L3-6, Wから、L4-5,
 P.49 L3-12