・1909年(明治42年)、三井家は自分達の営業資産をもって持ち株会社である【三井合名会社】を設立。銀行・物産・鉱山・倉庫の直系4社を株式会社とし、4社の株式を三井合名が所有し、これに基いて三井合名は4社に社長、取締役、監査役を派遣。いわゆる財閥コンツェルンが完成。
・三井合名の資本金は5000万円。三井家の同族11名のみを無限責任出資社員とした。
・三井広報委員会 http://www.mki.co.jp/三井グループの理念を浸透させる
2.三菱合資会社の誕生
・1893年(明治26)、【三菱合資会社】設立。
・明治20年代前半までは三菱系の事業はすべて岩崎一家の所有とされていたが、1891年から家政改革が始められ、岩崎家が経営する事業を結集させて、単一の会社を設立し、この会社の持分を岩崎家が保有することになった。
・会社の目的は、「鉱山稼行、鉱山売買、鉱物売買、船舶所有、船舶機関機会鉄工物ノ新造修理、土地家屋の賃貸」
・資本金は500万円とし、出資者は岩崎弥之助(岩崎弥太郎の弟)と、岩崎久弥(弥太郎の長男)の二人(それぞれ250万円ずつ出資)
2.三菱合資会社の誕生
・合資会社形態をとった理由は明らかではないが、商法の合資会社に関する規定は三菱に焦点をあわせて制定されたといわれ、「企業に法人たる性格を与え、利益、財産、責任の帰属を個人と区別し、しかも事業の所有と経営を一致させて、あくまで個人事業たる特色を保つためには、合資会社組織が最適であると考えた結果であろう。」と言われる。
・1893年施行の会社法では、『合名』『合資』『株式』の3種の会社形態を規定していたが、そのうち合名会社だけが全員無限責任であった。
・そこで、責任の面で有利な会社形態は、株式、合資会社のいずれかであるが、株式会社は株式の流通によって同族以外の者が株主となる危険があるので、合資会社を選択したといわれる。
・三菱グループのポータルサイトhttp://www.mitsubishi.com/j/index.html
★法律基本用語まとめ (See p.53-60)
団体=2人以上の集団で活動するもの
1.【社団】(人的組織としての結合体) ⇒『商法』
・営利(社団)法人⇒【合名会社・合資会社・有限会社・株式会社】
・公益法人
・財団法人=財産結合体(寄付行為)
*匿名組合(リミテッド・パートナーシップ/Limited Partnership)
2.【組合】(契約自由の原則に基き出資者間の合意で 成立する関係。)⇒『民法』
・構成員を重視。構成員相互の契約を基礎とした考えに基く。 =ジェネラル・パートナーシップ(General Partnership)
少数集団企業の法律形態
P.63 表3−1
★民 法 = 「私法の原則法」※原則法:人である限り、いつでも、どこでも行われる生活関係の法を定めたもの。
・私法 = 平等な個人間の関係を規律する法 という意味。
= 自由・平等を旨とする生活関係に関する法
= 六法のうちでは『民法』と『商法』
・公法 = 国家と個人というような上下公権力関係を取扱う法。
= 六法のうちでは『憲法』,『刑法』,『刑事訴訟法』,『民事訴訟法』
★ 商 法 (1899年:明治32年施行)
= 社会に利益追求のために営まれる商という生活関係が発達してきた事情に鑑み、その組織・手段等を規定したものであって、民法に対しては、特別法を形成し、その関係については、民法に優先して適用されることになる。
一章 法 例
一条 商業に関することがらについては、まず商法の規定が適用される。それに当てはまる規定が商法にないときは商慣習法が適用され、商慣習法もないときは、民法の規定が適用される。
V 有限会社の制度と本質
= 株式会社の中小企業向け簡素化形態
= 株式会社のメリットを中小企業も享受
= 1938年(昭和13年)ドイツの有限責任会 社法(1892年)にならって採用。*商法1899年(明治32年施行)
(特色)
・設立手続きが株式会社より容易
・役員の任期は無制限
・社員は間接有限責任を負う(有17条)ことなど。
間接有限責任とは…〔有限会社法17条〕
・形式的には会社債権者に対して全く責任を負わないが、社員(出資者)の出資義務の履行によって会社に提供された財産が会社の責任財産として、会社債権者に対する弁済の財源となるという意味。
・社員は、会社を通じて会社債権者に対して間接的に責任を負うということになる。
・社員は会社に対して一定の限度で出資義務を負うだけで、会社債権者に対しては直接の責任を負わない。
・会社に対する出資義務は、社員になる前に履行しなければならないので(『全額払込制』)、社員になった時点では会社に対する出資義務も履行済みとなる。
有限会社における『資本』の概念
・有限会社においては、株式会社と同様に資本という概念を設け、資本の額を定款で定め(有限会社法6条3号)、それを均等の出資単位に分ける(有10条、18条)。
・1990年、有限会社法の改正により
有限会社の出資の一口の金額は株式会社と同じく5万円となり(有10条)、最低資本金は従来の10万円が300万円に引き上げられた(有9条)。
有限会社における『資本』の概念
・資本額の増減には定款変更の手続き(有48条、49条)が必要。
・以上のように、有限会社でも資本の充実・維持が重視される(有46条1項、商290条)。
・【資本】とは、会社財産を確保するための基準である一定の抽象的な金額であり、実質的には会社が事業を行うために法律の規定に従い、株主(出資者)から集めた財産の総額であって、会社自身の有する財産の最低限とは一線を画するもの。
・【資本】は、登記事項であり、貸借対照表に公示される(商188条2項6号)。
有限会社における【社員】と【会社の組織】
・有限会社は、閉鎖的な中小企業を目的とするものであるから、社員数が50名以下(有8条)であり、社員の地位を有価証券化することや、社員を公募することが禁止される(有21条、52条2項)。
・1990年、有限会社法の改正により
有限会社の社員が1人となっても、解散事由とはならないことになった。
⇒株式会社において発起人1人でも設立可能としたことによる。
有限会社における【社員】と【会社の組織】
・有限会社の組織は、中小会社らしく簡単である。
・取締役は1人以上(有25条、27条)。
・取締役会の制度はなく、また監査役の選任は任意。
・社員総会の手続きを省略したり(有38条)、会議の開催そのものを省略することも認められる(有42条)。
・資本多数決は厳格に貫かれず、議決権の数を制限したり、あるいは頭数による多数決をすることが認められる(有39条)。
【公開会社】と【非公開会社】P.66-67
=『株式』の流通性に着目した分類。
【公開会社】=株式の流通市場をもつ会社
【非公開会社】=株式の流通市場をもたない会社
【証券取引所】=株式を流通させる「市場」
:東京、大阪、名古屋、福岡、札幌の5ヶ所
【上場】=「株式」を取引所で売買される目的物として取り扱われるようにすること。
:『上場』するためには、各証券取引所が定める上場基準(上場審査基準)による審査を受けてパスしなkればならない。
【公開会社】と【非公開会社】
会社の支配構造を探る方法⇒【株主構成】
【公開会社】⇒『日経会社情報』、『会社四季報』
【非公開会社】⇒『会社総鑑』(日本経済新聞社刊行)
・大企業ほ大株主には法人が並ぶ
・中小企業の大株主には同じ姓をもつ一族の個人名が並ぶ
・株式を公開している大企業の多くは、株式を持ち合い、互いに支配しあっていることもわかる。
【大企業】であり【非公開会社】の例
【サントリー】
資本金 300億円
株主数 53人
【竹中工務店】
資本金 500億円
株主数 73人
【西部鉄道】 (一部上場)
株式の5割を所有するコクド(非公開)
コクドの代表取締役:西武鉄道会長・堤義明氏