・配当(株主)優先か、雇用(従業員)優先か?
・会社は誰のものか?
・戦前の日本企業(1)
・戦前の日本企業(2)
・主要鉱業・製造業における資金調達状況 の変遷 (1935/1943/1950)
・我国の主要企業における 利益処分状況の変遷(1931-1970)

出資者多数の企業の特徴
@ 全社員における出資の有限責任制
A 譲渡自由な等額株式制
  ⇒資本の証券化
  ⇒人的基盤を越える広い範囲から資本を集中する手段を創出。
B 会社機関の存在
 ⇒三権分立型の経営システム

B 会社機関の存在  ⇒三権分立型の経営システム
【三権分立型経営システム】
会社の最高経営機関を、民主主義国の政治システム(立法、司法、行政)に準じ、多数化した出資者を経営機能に関与させるシステム。
    @1株1票による資本的多数決原理
    A代議制(Representative System)
   @とAを柱とした【民主主義的機構】
 
B 会社機関の存在  ⇒三権分立型の経営システム
【会社の機構】
@ 《株主総会》=出資者全員で構成する法的最高意思 決定機関。
   ⇒取締役・監査役の選任
A 《取締役》=その意思を執行する全般管理者。
  (執行機関)
   ⇒取締役の合議により、経常的意思決定を行う。
B 《監査役》=取締役の業務執行を株主総会のために監督する。(監督・監査機関)

株式会社の機関:商法上
⇒三権分立の公式機関(図で提示)

伝統的株式会社(19世紀〜1920年代) = 資本的私企業
・『営利性』と『利潤追求』重視。
・『利益追求組織体』という企業観
  =(19世紀企業観)が定着
・【規模の経済】、【範囲の経済】、高度の生産技術を求めて拡大・成長を図る。
 ⇒【成長の経済】  ⇒【学習の経済】

事業努力による4つの経済効果
【規模の経済】=生産量がある水準を超えると、生産量の 増加につれて、製品1単位当りの費用が減少。
【範囲の経済】=事業範囲が拡大すると、それぞれの事業 を単独で行うより、各事業での製品1単位当りの 費用が減少。
【成長の経済】=生産技術、サービスの質が上がり、売上・利益が増加するにつれて、製品1単位当りの費用が減少。
【学習の経済】=事業活動の継続的な経験によって企業 全体の学習量が大きくなると、製品1単位当りの 費用が減少。

〜1920年代に設立された日本の会社(一例)
・株式会社資生堂   創業1872年(明治5年)  
・日本電気株式会社 創立1899年(明治32年)
・阪急電鉄株式会社 創立1907年(明治40年)
・シャープ株式会社 創業1912年(大正元年)
           設立1935年(昭和10年)
・松下電器産業株式会社 創業1918年(大正7年)
                設立1935年(昭和10年)
・ヤマト運輸株式会社 創立1919年(大正8年)
・株式会社日立製作所 設立1920年(大正9年)
               創業1910年(明治43年)
・味の素株式会社 設立1925年(大正14年)
           創業1909年(明治42年)

資本的私企業の限界
営利追求の結果、巨大企業が出現
⇒ 質的変化を生み出す
 @資本的側面=株式所有の分散による所有と 経営 の分離
 A経営的側面=専門経営者による支配
 B環境的側面=主体性をもち社会責任を負う制度

@ 資本的側面
株式会社の巨大化 = 株主の多数化株式所有の分散現象
             ⇒株式所有の分散現象
⇒ 株式が多数の株主に分散して所有される結果、各株主の持ち株比率が低下し、極端な場合、最大株主でさえも持ち株比率が1%にも達しないような現象。

株式所有の分散現象
★特定株主が過半数株式を保有するのは困難になる。
★経営に参加する意思も能力も持たない大衆株主が占める。
⇒株主総会の出席者は減少
★『観客なき喜劇』と形容されるほど、形骸化の一途
★いかなる株主(群)も、有効に株式会社を支配していない&支配し得ない。
  ⇒所有と経営の分離

A経営的側面
株主の支配からの後退⇒経営者支配(Management Control)へ
【論理】
【株主の多数化】⇒【株式所有の分散化】⇒【持株比率の減少化】⇒【経営者支配】へ

A経営者支配とは…
大規模化、複雑化した生産組織体を指導し、調整する技術、能力、経験を備えた専門経営者(MBA取得者)などが、企業の最高意思決定を左右する。
【最大の理由】
・経営的技術・能力・経験が複雑巨大な高度化した企業の存続にとって、専門経営者の経営能力は、決定的重要性をもつ。
・単なる所有経営者(出資者)では手に負えないほど、 企業は発展してしまった。

B環境的側面   =利害者集団との関わり
【株主】:支配者として企業内部に存在したが、支配からの後退によって、環境主体の一種に外部化。
【巨大化した企業】:社会的影響力、権力が強まり、株主以外の多くの環境主体との相互作用を深め、それらの利害を配慮した行動を要請される。
⇒《権力・責任均衡の原理》=普遍的原則

B環境的側面
・企業に社会的責任が生じる 《企業の社会的責任論》
・企業は、利潤追求ないし営利性という株主(出資者)のための経営目的を掲げるだけでは不十分となり、それを内包する多元的目的を同時的に追求しつつ、自己の存続・成長をはかることが必要になる。

制度的私企業の出現
 【定義】 営利性を経営目的の一部としながらも、社会性・公益性を強め、同時に環境に対して独自の主体性と責任をもって行動するようなレベルに発展した企業。
(1930年代以降の産業社会の特質を反映した現代企業)

制度的私企業
★『制度』(INSTITUTION)
=一定の目的をもち、一定の意思と行動原理に規制された活動を営む継続的事業体【GOING CONCERN】・利害者が多いため、簡単に企業をやめることはできない。
・社会の一員として活動する宿命をもつ
・企業自体が、「良き市民(CORPORATE CITIZEN)」という性格をもつ社会的存在。
・いかにして利害関係者と共存するかがポイント。

Q.《株価に影響を与える3つのニュース》
(1)個々の企業の業績や商品などに関するニュース 企業の業績が良ければ(利益が出れば)、その企業の株主はたくさんの配当がもらえるので、株を買いたい人が増え、株価が上がる。  
 ●決算結果が増収増益/減収減益だったというニュース  
 ●業績見込みを上方修正/下方修正したというニュース  
 ●製品の売行きが好調/不調であるというニュース  
 ●製品に欠陥が見つかったというニュース

(2)経済全体や景気の動きに関するニュース 個々の企業がどんなにがんばっても、日本全体の景気が悪くなればたいてい売上が減りますから、株価が下がる可能性も高いでしょう。逆に景気がよくなれば、ほとんどの企業の利益が増えるので、株価が上がる確率も高い。 
 ●経済成長率(GDP成長率)が増えた/減ったというニュース  
 ●個人消費が増えた/減ったというニュース  
 ●失業率が増えた/減ったというニュース

(3)投資家(株式を売り買いしている人たち)や金融機関の動き、株価そのものの動きなどのニュース。 株価は企業の業績と関係なく動くこともある。例えば、銀行に預金するときの金利が上がり、「株を売って銀行に預けたほうがトクだな」と思う人が増えれば、株価は下がる。 また、日本の景気がそこそこ回復していても、ヨーロッパ諸国がもっと急速に好景気に向かっていれば、「日本の株を売って、そのお金でヨーロッパの株を買ったほうがいい」と考える投資家が増えるので、日本株は下がる。こういう投資家の動きもチェックする必要がある。
 ●日経平均株価が急騰/急落したというニュース
 ●景気が回復に向かうと予想して株を買う人が増えたというニュース
 ●税金のしくみが変わり、株を売って儲けたときの税金が安くなる(つまり株式投資が前よりトクになる) というニュース

・日経を上手に拾い読みする方法(表提示)

《重大ニュースの背景を深く読み取るために》
日経の中で、解説記事が一番充実しているのは「総合3面(3ページめ)」。 「景気がわかる」、「ニュースがわかる」という2つのテーマで、重要ニュースの背景をわかりやすく説明していますから、日経を読み始めたばかりの人には特にお薦め。
・新聞記事には、「何があったのか?(出来事の事実関係)」を伝えるものと、「なぜこうなった?これからどうなる?(出来事の分析)」を伝えるものがある。出来事の事実だけを知っても「なぜ?」がわからなければ、その出来事を十分に理解できない。

・1面には前日の重要なニュースをまとめて載せるので、事実関係だけをコンパクトにまとめてある。そして総合3面では、特に重要なニュースを選んで「何がどう問題なのか」を詳しく解説し、分析や予想を加えている。
・1面ニュースに新しい言葉が登場した場合には、3面の「きょうのことば」欄に解説が載る。
・新聞は1面(第1ページ目)から読むのが普通ですが、最初は1面よりも、この3面のほうが中身がわかりやすいので、1面を飛ばして、ここから読んでもいいぐらいです。
・難しい言葉もたくさん出てきますが、その出来事のどこが大事なのかがちゃんと説明されていますから、案外簡単に内容がわかるでしょう。

《経済を左右する重大ニュースをチェック》
・日経の「総合1面(1ページめ)」は、特に重大なニュース。
もちろんどんな新聞でも1面には大事な記事が載りますが、日経は「経済にどのくらい影響を与えそうか」という観点でニュースが選ばれているのが特徴です。
だから、ほかの新聞では扱わない出来事でも、経済への影響が大きければ、日経では1面に載る。逆に他の新聞で大きく扱われるような出来事でも、経済への影響が小さければ日経の1面には載らないこともある。
・1面ニュースはすべて重要ですが、前項で見たようにニュースのポイントだけが書かれていて背景の説明が少ない。
・そこでまず、見出しとリード(見出しのすぐ後ろの部分)にだけ全部目を通してください。興味をひかれるニュースがあったら、その記事だけもう少し詳しく読んでみましょう。
・そのときも全部を熟読しようとせず、「なぜこうなったのかな?今後はどうなるのかな?」と考えながら、そのヒントになる文を探すと良い。
・1面のほとんどのニュースは、ほかのページに関連記事や解説が載っている。その関連記事を眺めてみると、内容がグッとわかりやすくなる。
・「興味を持った記事について、関連記事の助けを借りながらポイントを探していく」という読み方をすれば、難しい記事もだんだん深く読み取れるようになる