2003年12月書評
評者:榎本(5期生)
小松俊明[2002]『「売れる人材」「売れない人材」の見分け方』PHP研究所
ISBN=4569623743
35×29=1015文字

 世の中は自分自身、売れるか売れないかという判断しかしなくなってしまった。負け組や勝ち組という言葉まで登場した。誰もが売れる人材になりたい。本書は、誰でも売れる人材に、少しでも近づけるように向上心溢れるビジネスマン向けのものである。仕事を通じ出会った人々数多くの事例を紹介すると同時にそれぞれ売れる人材、売れない人材の特徴が書かれている。筆者は外資系会社に日本のビジネスマンの転職をサポートするヘッドハンターである。ヘッドハンターという仕事の武器である洞察力を活かし、私たちが考え付かない新しい視点から売れる人材、売れない人材を紹介している。始めに時間単価を上手く活用できる人は売れる人材であるということだ。時間単価とは本人の活性力、人生の豊かさを測るものであり、時間を上手く活用できる人は仕事のクオリティーが高いという。逆にいつも残業をしている人は生産性が悪くコストもかかる事から売れない人材である。私は時間単価という基準で評価されることに衝撃を受けた。そして残業は課せられた仕事が多いという原因があるからだと勘違いしていた。自分自身が計画性を持って効率よく時間を使うことで売れる人材になれるのである。二つ目は、リストラに遭いやすい人材は体育系である。体育会系というと好印象でありどの企業も適用であると思うはずである。しかし、先輩のいうことは絶対であり、それ以外の少数意見は聞かず、自分の意志は持たない。また、新しい勢力であるとか、異種は快く思わないという特徴から、時代遅れとなっているのである。気力や体力に自信があるだけでは世の中通用しない時代である。自分のキャリアは自分で切り開くものだと思った。外資系で働く筆者は日本の古い企業体制を批判している所もこの本の特徴であり、面白いところでもある。本書では外資系、日本企業に関わらず売れる人材とはコミュニケーション力があり人間関係を大事にする。そして失敗を恐れず、積極的に行動する。自分の幸せは自分次第であり、将来の方向性を意識し日々努力を惜しまない人材あると述べてあるが大いに賛成である。私は、売れる人材になるためにと考える前に自分自身を見つめ直し、人としての当たり前のこと、例えば人の話は聞くなど挨拶をするなどの人間関係を大切にすることであると思う。この本を読めば、売れる人材になるための人としての原点に帰れると同時に、日本人が敬遠しがちな外資系で働く面白さを知る事が出来る。売れる人材になれるヒントが知りたい人、ヘッドハンターという仕事が何か知りたい、外資系で働いてみたいという人にお勧めする一冊である。