2003書評
評者:堀口(5期生)
小松俊明〔2002〕『「売れる人材」「売れない人材」の見分け方』PHP研究所
ISBN4−569―62374−3 
27×35=945

 売れる人材。この言葉を、学生の私が使うとしたら、今ではなく遥か遠い未来、もし自分が目まぐるしく活躍しているビジネスマンだったらとその時のみ使う言葉なのかなと考えた。しかし、著者ははじめの言葉で、はっきりさせたいことと題して"誰でも今から「売れる人材」になれる"と語っている。また、"ちょっとした気持ちの持ち方、日々の過ごし方、そして仕事への取り組み方を変えていくことで、少なくともヘッドハンターから見て、この変化の時代に「売れる人材」になれると断言したい"とも語っている。
 本書の内容は、様々な新しい事例、新しい視点でヘッドハンターとして著者が、企業の経営者たちとの対話の中より学んだものを惜しみなく紹介されている。第一章では、"ヘッドハンターとはどういった人々なのか"という紹介、第二章では、"こんな人に「買い注文」が殺到しているという会社が欲しがる人物像について、ヘッドハンターの視点で書かれている。第三章は"「引く手あまたの人材」になるために"という企業がどの様な人物に注目しているかという視点で書かれていて、第四章は"「キャリア」をアピールする能力をつける"とビジネス人の視点で書かれている。最後に第五章は、著者が遭遇したビジネス人の成功サクセスストーリーの事例が書かれている。学生の立場で言えば、ヘッドハンティングされるというまだ早い話、いまいちピンとこないといった手応えだったが、もちろん吸収すべき所は十分過ぎるほどあった。これから、就職の面接を受ける私にとっては、以下の三つ、第一章の"ヘッドハンターは、企業と転職者の間にミスマッチが起きないように細心の注意を払っている"、第三章の"面接官の本音は「実力」より「相性」"、そして第四章の"売れる人材は「自分の幸せ」をあくまで追求している"と書かれていたことが印象的であった。これはつまり、会社のHPや会社案内、メディアに雑誌など表面的なものだけではなく、OBやOG訪問をしっかりして生の声を聞き、会社と自分のミスマッチをなくす。そして、自分の好きな仕事をし、自分の幸せを追求することが大切ということ。それこそが今の私にとって大切にしていきたいと思ったことだ。そう本書によって気づくことが出来た。