2003年12月書評
評者:飯田(五期生)
小松俊明[2003]『成功する人材がしていること』アスペクト(ISBN4757209606)
(35×29=1015文字)
「自分のキャリアは自分で作る!!」このような言葉が、ビジネス雑誌などの表紙に大文字で大々的に書かれているのをみなさんはご存知だろうか?現在、日本は変化の時期にあるのは語らなくてもみなさん、嫌というほど聞いているだろう。終身雇用、年功序列、成果主義、年棒制…。この両極端の言葉を現在の企業が個々に採用している。ひと昔ならば、私たち雇用の身は自分のキャリアをひとつの企業に捧げるのがごく当たり前であり、自然のことであった。しかし、自分が勤めている企業が一生安泰というのはありえる話ではなくなっている。銀行が倒産する時代が"今"なのだから。上記の言葉が、叫ばれるのも納得がいくというものだ。したがって、転職というものが、私たちの身近なものになった。では、私たちは、良いキャリアを作るには、どのような"人材"になればいのかが、本書には12人の"成功している人材"の例が記載されている。筆者が、ヘッドハンターという職に就いているため、筆者の人材を見る視点がとても興味深いので注目してもらいたい。
特に、私が興味を持ったのは、CASE6の広告代理店の笹本氏の例である。コミュニケーション能力という言葉を、私たちは漠然と理解していないだろうか。筆者がここで述べるその意味は、「質問する力」ということである。詳しく述べると、「相手のニーズを理解する力」であり、「自分のニーズも誤解なく伝達する力」と本文にある。当たり前だと思う人は、実際に自分、もしくは周りの人がそのような行動をとれているか、是非確認してほしい。このよな、当たり前のことだと思われていることができない人が事実いるということを知ってほしい。そして、「質問する力」がある人物が、成功する人物になるための必須条件であるということを理解してもらいたい。
本書には、幸せなキャリアを作るためのたくさんのヒントがちりばめられている。どれも自分の力にするのは簡単なことではない。しかし、できないことでもない。本書を読んで、今の自分ができていることは伸ばしていけばいいし、もし、自分に足りないと思うのならば、本書を読んだ日から、実際に実践してほしい。最後に述べるが、本書を書いている筆者は、大勢の"成功している人材"に出会っていることを忘れないで欲しい。そこから、導き出した12の秘訣だということを。