2003年12月書評(第4回)
評者:松島(5期生)
小松俊明[2002]『外資系で結果を出せるストリート・ワイズなヤツになれ!!』総合法令出版
ISBN4893467492
35×27=945文字
「ストリートワイズ」とは現場で結果を出せる人物、すなわち「やり手」という意味である。東西冷戦が終結した1990年代以降、世界では国境がなくなりつつあり、急速にグローバル化が進んでいる。ビジネスの世界においてもグローバル化の流れには逆らえず、企業も国内はもとより世界を視野に入れてビジネスをせざるをえなくなってきた。そのため、世界の舞台で通用する能力が必要になってきている。終身雇用や年功序列などの日本的雇用制度に従って忠誠心を会社に対して示していれば将来は安泰と信じ込んできた日本人ビジネスマンにとっては非常に過酷な現状だ。年を取れば自然とエスカレーター式で役職が保障されるわけでもないし、高学歴だからといって必ずしも会社で重宝されるわけでもない。自分の力量だけが評価される欧米型システムが多くの日本の企業においても導入されつつある。つまりは雇用が安定している時代は終わり、会社都合で辞めざるを得ない状況は誰にでも起きうる時代なのである。であるから誰もが自分のキャリアプランのための対策を考える必要がある。自分のキャリアプランが描けている人こそ「ストリートワイズなヤツ」なのである。
本書はそんな「ストリートワイズなヤツ」になるための聖書である。毎章の終わりに〔社長が欲しがる人材とは〕と締めくくってあるので、ざっと読んでしまうとハウツー本っぽい印象を受けてしまうかもしれないが、そう思った貴方はすでにストリートワイズなヤツになるのに黄色信号だ。業界本に近いものがある。例えばリストラを行っている会社や、業績不振であるはずの会社の求人広告がなぜ掲載されていることがあるのかなどといった普通の人だと知りもしないような裏事情を述べている箇所が多々あるので雑学としても役に立つ。
会社に依存するのではなく、自分でキャリアプランを立て、やりがいのある仕事で自分を切磋琢磨して、周りに常に必要とされるスキルを身につけて、世界をもまたにかける、そんな自分に将来なりたいなと思っている人にも、今まで散々落ちこぼれてきて、人生を投げ捨てている人にも、ぜひ読んでもらいたい一冊だ。読んだらなんだか元気が出てきて勇気が沸いてくる、そんな気持ちにさせてくれるこの本自体が「ストリートワイズなヤツ」だと私は思った。