書評2003(第5回)
評者:望月(5期生)
小松俊明[2002]『「売れる人材」「売れない人材」の見分け方』PHP研究所
ISBN4569623743
35×27=945
転職は今や珍しいことではない。不況で転職を余儀なくされた人、スキルアップを考えて転職する人など理由はさまざまあるが、どうせなら幸せな転職がしたいであろう。そのためにはどこの会社でも通用する人材になる必要がある。本書は、売れる人材とはどんな人であるか、売れる人材になるにはどうしていくべきかが36の項目に分けて書かれている。この本にどれだけ共感できたか=どれだけ売れる人材であるかという目安となる本である。
売れる人材とは「短時間で効率よく成果を出せる」「決断のスピードが速い」「今でなければという意識をもつ」など時間を意識して行動することが大切である。どれだけ仕事をしたかという判断基準は、年功序列が薄れてきた現在、時間の長さではなく時間価値である。短時間の中でどれだけクオリティーの高い仕事をこなしたかが重要だ。そのためには、仕事の重要性だけでなく、「いつまでにやるか」などの緊急性を意識する必要がある。どんなにいい案を考えていたとしても、言うタイミングを逃せばまったく意味の無いものとなってしまう。時間何かを決断するときにも、タイミングを考え、常に自分の中に時間軸を持つことが必要である。
また、売れる人材はコミュニケーションをとることが得意である。自分の考えをうまく伝えることはもちろん、時には聞き上手になり、相手が聞きたいであろうことを話す。理性ではなく感情に訴えることのほうが、人の気持ちを動かすことにつながるのだ。その他に、信頼関係のネットワークを築くことが役立つこと、自分自身の幸せをあくまで追求すべきであることなどが挙げられている。個人的に驚いたのは、体育会系の人は売れないということであった。先輩の言うことは絶対だという考えが抜けきれないため、会社の悪い流れをも引き継いでしまい、上の人にはNOと言えないからである。
本書はビジネスマン・ビジネスウーマンむけの本である。しかし、売れる人材になるためのアドバイスは、仕事以外の生き方のヒントでも同じことが言える点が多かった。現在の自分に不満を感じている人には特に、現段階でどれだけ売れる人材なのか、本書で判定してみてはどうだろうか。