2003書評(第4回)
評者:佐藤(5期生)
小松俊明[2002]『「売れる人材」「売れない人材」の見分け方』PHP出版社。
35×24=840
ISBN4569623743
売れる人材と売れない人材。この両極端の定義のうち誰もが自分の評価価値を計りたいと思うのは、日々自分の知恵を形にして仕事をするビジネスマンなら必至である。著者は普段、人を"売る"立場の外資系ヘッドハンターだ。さまざまな経営者と優秀なビジネスマンの間に立ち人を見極めるプロだ。著者曰く、誰もが、今からでも「売れる人材」になれるという。ちょっとした気持ちの持ち方、日々の過ごし方、仕事への取り組み方を変えていくことで、この変化の時代には「売れる人材」になれると断言している。
この本書は、もうちょっとで「売れる人材」になれるはずの多くのビジネスマンを対象に書かれたものだが、今はまだ社会で働いていない学生にもぜひ読んでいただきたい一冊である。この変化の時代のなかでまた刻一刻と変化する、求められる人材の指標を常に見極めているいわば人材のプロの、働いていく上での知恵、しいては幸せな人生へのヒントが凝縮されている。著者の豊かな経験をもとに描かれた具体的なエピソードが新たな視点で惜しみなく紹介されている。今は働いていない学生でも、他人のキャリアを一瞬間借りするような感覚で読み進められ、働いている実感が沸かないことはきっとない。
また、各章の項目ごとの終わりにその章のポイントを「売れる人材」と「売れない人材」の二つの文に二極化して表記することによって、章の最後にフィードバックして理解しやすかった。その要点の数は38個にも及ぶ。いま、自分で判断し決断できない大人が多いと言われるなかで、本書は今の自分の売れる度合いを判断できるいい機会になると思う。○×質問形式で、その項目ごとの要点の箇所を利用して自分が売れる人材かを判定するのもよいかもしれない。