2003年12月書評                      
評者:宿利(5期生)
小松俊明『外資系で結果が出せるストリート・ワイズなヤツになれ!!』総合法令。
ISBN4-89346-749-2
35×31=1085文字

 本書は社長が欲しがるストリート・ワイズな人材、つまり「仕事が出来るヤツ」とはどういう人材かを伝授するというハウツー本である。私が思うにハウツー本は小説や普通のビジネス本に比べて著者の力量がとても重要になってくる。それは必ずしも高学歴で現在バリバリ活躍していれば良いという意味だけではなくて、著者の様々な物事に対する視点がどれだけ読者の興味をそそれるかということである。さて、本書の目次を見てみるとそこには「おや?」と思うような題目がずらりと並ぶ。《不景気なのに求人広告がたくさんある理由》、《不採用、その本当の理由》など。中でも《今でも外国人が認める日本の強み》というものが気になったのでそこのページを読んでみることにした。すると、まず本文に入る前に《外資系ヘッドハンターの視点》という簡単な前書きがあり、そこには今多くの企業で起こっていること、社会の変化など著者が仕事で実感した物事が題目に沿うように書かれていた。他の題目のところを見てみてもすべてに《外資系ヘッドハンターの視点》は記されていて、これが本文を読むにあたりとても役に立つ。題目だけでは読み取れない本文の焦点が簡単にチェックすることができるからだ。これにより読者は自分の必要なアドバイスや情報を簡単に探しあてることができ、優先的チェックすることができる。
 それから本書が他のハウツー本と少し違うのは必ずしもバリバリ働くためのアドバイスだけではなく、ゆとりある働き方や考え方も伝授してくれるところだ。つまり様々なタイプの人それぞれにあった「幸せな働き方」を提供してくれるのである。実際に著者は大手商社から外資系ヘッドハンターへと転職して、収入は減ったが休みが増えて好きなこともできて充実していると本文で述べていた。著者の場合はゆとりを手に入れつつも実力があって社会で活躍しているのでバリバリ働くアドバイスもゆとりある働き方のアドバイスもどちらも説得力がある。それからおもしろいのはヘッドハンターである著者がヘッドハンターという仕事に就く人の問題点を本文で述べているということ。普通の人は自分の成功した職を褒めるものではないのか?自分の活躍する職にまで厳しい視点が向けられているところにも著者の鋭さが伺える。