2003年12月書評(第5回)
評者:福永(6期生)
小松俊明[2003]『成功する人材がしていること』アスペクト。
ISBN4-7572-0960-6
40×23=920字
本書を読む際に、ページをめくっただけで他の本とは異なる魅力を感じるだろう。そのことは目次を開くと明らかだ。この著書は、ヘッドハンターである著者自身の経験から「成功する人材」について語られてあり、その経験談が12話に区切って述べられてある。その事を目次を読んだ時点で知る事となるのだが、非常にユニークであり、興味をそそられる。では、その経験談が何を語っていたかは以下の通りである。
著者は外資系ヘッドハンターという仕事を通して、さまざまな業界の人間に携わっているようである。その業種は本書の中だけでも12もの数である。アパレル会社、広告代理店、輸入自動車販売会社…などである。中でも私が面白みを感じた部分を紹介し、本書の内容についてイメージして頂きたい。その部分は5話目の製薬会社関連の話である。では、その内容とは、二十年近く製薬会社で働いて早期退職した四十歳の男が、転職を希望する際に、三社の外資系企業から欲しがられているというケースである。その男性本人の希望は医療機器メーカーに転職してみたいとの事だった。そして、三社のうち二社は医療機器メーカー、残りの一つは製薬会社だったらしい。しかし、その男性は製薬会社を選んだという。二社の医療機器メーカーは初めの年収の提示こそ製薬会社より低かったが、希望するなら年収のアップも検討していたらしいのだが、彼は入社後に求められる成果も考慮して結論を出したと言う事だ。自分のことに置き換えて考えるとどうであろう?希望する職と待遇に惑わされて彼のような結論には至らないのではなかろうか。むしろ、彼の様な選択はしないことだろう。この話は、自分の将来を冷静に考えることが成功に繋がった事だと教えている。
上記のように、本書では著者の経験をもとにした話を語ることによって、成功するにはどうしたらよいかと言う秘訣を読者に訴えかけている。その話の一つ一つの状況が細かく描写されていて頭に残りやすく、飽きがこないのである。そのあたりが本書の最大の魅力ではないかと思っている。