2003年11月書評
評者:高田(6期生)
小松俊明『「売れる人材」「売れない人材」の見分け方』PHP研究所。
ISBN:4569623743
40×24=960字

 「売れる人材」「売れない人材」の見分け方、初めて見たときこのタイトルはものすごくインパクトのあるタイトルだと思った。自分は売れる人材なのか、はたまた売れない人材なのか、少し読み始めるのに勇気がいる気がしてしまう。しかし本書はもうちょっとで「売れる人材」になれるはずの多くの、向上心溢れるビジネスマンを対象にかいたもので、読めば「売れる人材」になるための具体的なヒントを手に入れることができるという内容の本になっているのだ。外資系ヘッドハンターである著者が、実体験をもとに、一、二章はヘッドハンターからの視点、三章は企業の視点、四章はビジネスマンの視点で紹介している。さらに個々の話の終わりには「売れる人材」「売れない人材」をまとめとしてわかりやすく紹介していて、「え?なんでこれが売れない人材なの?」といったような内容もあり、まとめだけを拾って読んでいくだけでもおもしろいと思う。まとめを見ただけでは一見わからないもので私がとくに面白いと感じたものを紹介したいと思う。
 リストラにあいやすい人は体育会系の人間である。このまとめは一見しただけでは本当に理解できないと思う。まず体育会系の人間とはどのような特徴を持っているのだろう。先輩、後輩のけじめを身につけている。体力があり行動力がある。チームプレーができて、指導力もある。声が大きくて、元気がある。性格がさっぱりしていて明るい好人材が多い。このように体育会系はいい面が多いように思える。しかし著者はこれらがマイナスに働くと指摘している。例えば先輩の言うことをよく聞く事は、先輩の言うことは絶対であると思う傾向がある。チームプレーを重視することは逆に少数意見に耳を傾けないということ。人間関係の信頼を重視するがゆえに、信頼できる仲間で周りを固めようとする。さらに合理的な人材評価制度より、自らが築いた社内の人脈、そして先輩・後輩との信頼関係を優先する。これは企業が変革期にあるときに、経営者がまっさきに「リストラ」や「不当な人事」を行う標的になる人間だという。
 私が紹介したのは極一部に過ぎないがそのほかにも著者の経験に基づいたまとめが約35個も紹介されている。売れる人材になりたい、ヘッドハンティングされたい、と思っている人は読むべきだと思う。