東国の中世城郭
中世城郭研究会, 2010年 発売
品切

更新 2013-08-12  正誤表 (2010-08-05)
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中世城郭の多様性が一目瞭然!
東日本の 105 城を集めた縄張図集
ISSN 0914-3203
表紙(中世城郭研究 別冊)
表紙図: 目黒公司「犬飼城」
105 城 / 174 ページ / 2,000 円
 見本:  犬飼城 犬飼城 縄張図タブ山チャシ タブ山チャシ 縄張図

このページの下部に掲載した城のリストがあります.

刊行にあたって

全国城郭研究者セミナーは,私たち中世城郭研究会が運営に携わる研究集会として,現在まで 26 年間にわたって毎年夏に開かれてきた.内容について,批判的な意見もあるのは重々承知しているが,もしこの「セミナー」がなかったらどういう研究状況になっていたかを考えれば,続けてきたことそれ自体にひとつの意義があることも,認めていただけるのではなかろうか.

2006 年,京都府の木津で行われたその「セミナー」の,確か二次会の席で,藤木久志さんから,中心になってきた中城研の主力メンバーが近く還暦を迎えるから,節目として論文集を出してはどうか,というご提案をいただいた.草創期以来,本会の屋台骨を担ってきた八巻孝夫さん・藤井尚夫さん・藤本正行さん・池田誠さん・佐伯正廣さん・中井正代さんは,実際,気づけばほぼ同年で,その後次々と還暦を迎えられたのだった.

とはいえ,会誌『中世城郭研究』と並行してもう1冊の論文集というのは,現実的には大変むずかしい.さりとて外部メンバーがたくさん入った論文集では,還暦を迎えた方々に対して,どこかよそよそしさを否めない.例会での相談を経て,私たちは,中城研らしい図面集を基本とした1冊を作る,という方針を定めた.

本書は名城集ではない.直接思い出を記すことはしないが,会として例会や合宿で訪ね,あるいはさまざまな談話の中で関心を刺激されて個人で行った城を広く取り上げた.このため,会員の日常的活動の範囲として身近な東日本のみを対象にした.ただし,既発表の図は一切載せていない.よく知られている城でも,この人の縄張図は初めて,というものばかりである.通覧していただければ,東国の中世城郭の奥深い魅力と,それに惹かれて歩き続けてきた本会の軌跡とを見てとれると思う.また,これまで会誌を含め執筆の機会がなかった若手会員に少しでも原稿を書いてもらい,これからの活動につなげたいとも考えた.
 終わりには,ベテラン会員の未刊の口頭報告や,目に触れる機会のほとんどない初期論考も収録した.本書の行間には,本会の過去・現在・未来が凝縮されているともいえる.

中城研の原点は,やはり「近世城郭でなく,中世城郭の魅力をきわめよう」という志だと思う.そうした原点を,この作業を通じて,私たち自身も再確認したい.それが,長く研究状況をリードしてきた先達の方々に,何より深い敬意を表すことにもなると信じる.

2010 年春  『東国の中世城郭』編集委員会

凡例
(1) 所在地
(2) 標高/比高(単位 m)
(3) 主要参考文献
(4) 掲載した国土地理院発行 1/25,000 地形図の図名
もくじ
項目ページ
刊行にあたって1
目次/凡例2
第1部 東日本の城郭縄張図集
県名城郭名執筆者ページ
北海道タブ山チャシ タブ山チャシ 縄張図西股 総生6
アオシマナイチャシ西股 総生8
倉栄チャシ西股 総生9
桂ヶ丘チャシ西股 総生10
アッテウシのチャシ三島 正之11
青森県湯口茶臼館関口 和也12
黒土館関口 和也13
真言館松岡 進14
岩手県座主館三島 正之15
秋田県一ッ森館松岡 進16
宮城県盛館小山 文好17
丸山館三島 正之18
三分一所城大久保 健司19
七尾城大久保 健司20
山形県志田館松岡 進22
松ノ木館三島 正之23
福島県舘ノ越遺跡松岡 進24
蛭館関口 和也25
檜原城三島 正之26
勝蔵山城田嶌 貴久美28
小林館西股 総生29
久川城大久保 健司30
宮本館関口 和也32
茨城県飯塚館 飯塚館 縄張図西村 和夫33
竹原城松岡 進34
坂戸城小山 文好35
塙城大久保 健司36
花畑城関口 和也38
三階城三島 正之39
徳宿城三島 正之40
栃木県芦野城渡邉 昌樹41
杉渡土要害関口 和也42
小志鳥城渡邉 昌樹43
東戸田城渡邉 昌樹44
鞍ヶ崎城渡邉 昌樹45
市花輪城関口 和也46
雨乞山城関口 和也47
石那田城関口 和也48
犬飼城 犬飼城 縄張図目黒 公司49
岡本城渡邉 昌樹50
田中城関口 和也51
群馬県宮野城関口 和也52
尻高城新井 正治53
権現山城新井 正治54
中山古城新井 正治56
磯部城目黒 公司58
譲原城大久保 健司59
千葉県前ヶ崎城池田 光雄60
寺崎城中井 正代61
太田要害西股 総生62
大篠塚城西股 総生63
馬渡大内城田嶌 貴久美64
生谷城池田 光雄65
下岩橋城中井 正代66
名古屋城の腰城中井 正代67
村田城三島 正之68
栄福寺館松岡 進70
宍倉城三島 正之71
萱落城中井 正代72
烏山城松岡 進73
埼玉県上杉館松岡 進74
足利基氏塁関口 和也75
三ツ木城関口 和也76
東京都鶴川城三島 正之77
神奈川県小机城 小机城 縄張図西村 和夫78
一升桝の塁西股 総生80
早川城佐藤 旺82
岡津古久城西股 総生83
上ノ山城西股 総生84
真田城佐藤 旺86
高麗山城松岡 進87
浜居場城田嶌 貴久美88
足柄城田嶌 貴久美89
足柄城支城群田嶌 貴久美90
進士ヶ城田嶌 貴久美92
塔ノ峰城田嶌 貴久美93
新潟県大葉沢城八巻 孝夫94
石間城西股 総生96
荒戸城田嶌 貴久美97
堀之内城目黒 公司98
今井城三島 正之99
安田城関口 和也100
宮浦城松岡 進101
山梨県旭山城西股 総生102
獅子吼城大久保 健司104
長野県楽厳寺城松岡 進106
耳取城松岡 進107
松尾古城大久保 健司108
天白城関口 和也110
藤沢城西股 総生111
的場城大久保 健司112
山田城大久保 健司113
蟻塚城堀 謙作114
守屋山城堀 謙作116
春日城松岡 進118
静岡県南一色城田嶌 貴久美119
下田城八巻 孝夫120
山中城八巻 孝夫122
大畑城西股 総生124
丸子城大久保 健司126
小長井城 正誤表西股 総生128
堀田城三島 正之130
天方城松岡 進131
社山城大久保 健司132
飯田城大久保 健司134
第2部 再録旧稿・未公刊報告集
記事 (*)執筆者ページ
古城散策藤井 尚夫141
陣城三島 正之147
中世城郭をどう見るか本田 昇153
執筆者一覧・編集後記174

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(*) 第2部稿の解説

藤井 尚夫「古城散策」 『小さなつぼみ』1983年7月〜1984年6月.
 古美術の雑誌『小さなつぼみ』に,1983 年 7 月から 1984 年 6 月まで,12 回にわたって連載されたエッセイである.
 この当時,こうした文章を発表する媒体はきわめて少なく,在野の研究者が多い中城研のメンバーが活字にした数少ない作品として貴重である. 内容的にも,下田城の評価など,後に藤井氏が力説する論点がいち早く見えるほか,最終回で遠慮気味に語られるような独自の工学的発想を活かし,示唆に富む指摘がいくつも見られる. それらはここで解説するよりは,読者おのおのの自由な読み取りにゆだねたい.
 また,掲載誌の性格から古美術への言及が多いが,単にリップサービスというのではなく,城の研究の特徴を掘り下げる上で有効に活かされており,総じてくだけた調子で書かれた方法論としても味わうべきものがある.(松岡)
三島 正之「陣城」 中世城郭研究会 月例会, 1986年2月16日.
 1986 年 2 月 16 日,峰岸純夫氏をお迎えし,栃木県特集として実施した例会での報告レジュメである.
 その後,千田嘉博氏の織豊系城郭の編年において,年代の明確な遺構として陣城が注目され,全国城郭研究者セミナーでも,陣城・臨時築城をテーマにしてシンポジウムがもたれたように,陣城は縄張研究の重要な研究テーマになった.
 陣城の研究史上,画期的な意義をもつ多田暢久氏「陣城プランの特徴について」(『近江の城』32)が発表されたのは,この報告の3年後の 1989 年である. その意味で,報告末尾の「陣城の遺構上の特徴」の内容の先見性には改めて驚かされる. その背後に,例として多数あげられている城を三島氏が自身で踏査してきた,いわば「足へんの学問」の重みを見るべきであろう.(松岡)
本田 昇「中世城郭をどう見るか」 第4回全国城郭研究者セミナー,渋谷, 1987.
 1987 年に渋谷区のヒルポートホテルで開催された第4回全国城郭研究者セミナーでの報告を活字化したものである(テープ起こしは関口和也が行った)
 この報告は,「城郭研究の方法論をめぐって」というテーマのシンポジウムの一報告である. 当日は,この報告の前に橋口定志氏と市村高男氏が報告を行っており,その内容を意識した報告となっていることに留意してほしい. 前日(初日)には池田誠氏が「長宗我部氏の築城術」と題した報告を行っており,それについての言及も見られる.
 言うまでもなく,本田氏は縄張り図を緻密に描くことによって,縄張り研究発展の基礎を築いたパイオニアの一人である. 当時は,現在のように城郭研究を専門とする研究誌が年に何冊も発行されるような状況ではなく,執筆した論考があまりないので,その理論は口伝的な方法で伝えられてきた. そのため,氏の確立した方法論を体系的に理解する手段がほとんどないのが現実である. 本稿によって,その一端が明らかになれば幸いであるし,草創期の縄張り研究がいかにして発展してきたかを確認していただければありがたいと思う.(関口)

(Excel) ページごとの記事・図面と執筆者.xls

お詫びと訂正

 P. 128 の下段本文(執筆者名も含む)に欠落がありました.正誤表を 3 種類の形式で掲載いたします.
 ご不便をおかけして,誠に申し訳ありません.

2010年8月5日 『東国の中世城郭』編集委員会

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管理人 (nishimura@komazawa-u.ac.jp)