論理的な日本語の文章を書くために
1.
「横たわる」と「横たえる」
彼女は病人をベッドに横たえた。
She laid the patient on the bed.
* laidはlayの過去形。"the patient"が目的語。layは他動詞。
日本語でも「…を」が必要。「病人を」がないと無意味。
父は長椅子の上に横たわった。
「…を」は不要(ある方が無意味)。
My father lay down on the sofa.
* layはlieの過去形。downは副詞(目的語ではない)。lieは自動詞。
ただし、「彼女は病人を病院まで連れてきて、ベッドに横たえた。」は可能。
日本語では、文脈でわかる「目的語」はあえてくり返さず、省略される。
英語では、She took the patient to the hospital and laid him/her on the bed.
*takeやlay>laidなどは他動詞だから、あとに目的語(patientまたはhim/her)が必要。
2.
「集める」と「集まる」(人について)
彼らはたくさんの人を(公園に)集めた。
They gathered many people (in the park). |* "many people"が目的語。
たくさんの人が(学校に)集まった。
Many people gathered (in the school). |* 目的語なし。
日本語では文脈でわかるときは「目的語」は省略できる。
例:彼らはたくさんの人に呼びかけて、公園に集めた。
英語では、他動詞を使ったときは目的語を省略できない。
例: They made an appeal to many people and gathered them in the park.
参考)〔形式目的語のit〕 I consider it impossible for her to marry him.
3.
日本語の他動詞形と自動詞形
英語では、同じ動詞が他動詞にも自動詞にもなることが多い。
例:run, wait, start,
日本語では、他動詞形と自動詞形は語尾が異なることが多い(ただし日本語には自動詞、他動詞という概念はない)。
例:増やす/増える;伸ばす/伸びる;及ぼす/及ぶ;変える/___;___/加わる;始める/___
日本語の他動詞形の動詞で、それに対応する自動詞形がない動詞も多い。「目的語」がないときでもそれは省略にすぎない。
例:私は自動車の免許を持っていないが、兄は持っている。
参考)「権利の濫用は之を許さず」民法第一条(3)
練習問題:次の文章を校正しなさい。(二通りある)
1. 荷物を届いた。
2. 作品を完成した。
3. 利益を増加する。
4. 売り上げが伸ばした。
5. 影響が及ぼした。
練習問題:
6. 「変化する」の他動詞形は何か。(「…を変化する」とは言わない)
7. 「競争する」の他動詞形は何か。(「…を競争する」とは言わない)
8. 「延期する」の自動詞形は何か。(「…が延期する」とは言わない)
練習問題:次の文中の、下線付けた動詞の目的語は何か。
9. 企業は資金と人材を集めて、市場で評価され、しかも企業に利益をもたらす事業に投入する。
10. 彼とは10時に会う約束をしたので、早めに行って出口で待った。
11. 企業はさまざまな手段でコストを削減しているが、時代とともに変化させている。
練習問題:次の文章を校正しなさい。〔主語に注意して、あいまいさを取る〕
12. A社は長年にわたり新製品の開発に取り組んできたが、今年ようやく完成した。
13. むだなコストの削減に努めることが、株式の上場も可能である。
14. B社は事業の再構築をすすめる過程で、組織形態を一変した。
以上
次の文章の主語は何か。
私は桜が好きだ。
*昔々あるところにおじいさんとおばあさんはいました。おじいさんが芝刈りに、おばあさんが洗濯に行きました。