日本アルミット
高性能ハンダの製造、技術極める。社員三分の一が研究開発
『日経ビジネス』2001年1月8日
日本アルミット(東京・中野区)
l アルミハンダ(アルミを付けるハンダ)のメーカー。
l 1956年創業。社長:澤村経夫。資本金 5000万円。従業員150人(05年一月も)。
l 売上高は(2000年9月期)約29.77億円
l アルミハンダのシェアは90%。とくに非塩素系ヤニ入りハンダ「KR-19」
同社のハンダの価格は他社の5〜6倍。
「携帯電話は品質が命だから、高価でも使わざるを得ない。」ソニー千厩(せんまや)社長。
ノキア、エリクソンも調達。
*電子回路が微細になるほど、少量で接合力が高いハンダが必要になる。
NASAがスペースシャトル「コロンビア」の打ち上げをたびたび延期。
原因は電子回路の不良。その原因は、ヤニ入りハンダに入れる塩素。
塩素はハンダの接合性を高めるが、空気中の水分と反応して塩酸になり電子回路を腐食させる。
NASAがMIL規格を採用している8社のハンダを比較検討。
日本アルミットの非塩素系ハンダ KR-19を採用(1982年1月)。
コロンビアの打ち上げに成功(1982年6月27日)。
KR-19が、ジャンボジェット機、衛星、ミサイル、携帯電話の電子回路に採用。
<開発の発端>
1975年、自動車の電装品メーカーから、不良の出ないハンダの開発を依頼された。
世界各地の松ヤニを調べ、塩素なしで接合力ある松ヤニ成分を研究。
1976年、塩素なしで接合力が高いKR-19を開発。自動車電装品メーカーには普及。
大手電機メーカーは「実績がない」としてまったく採用しなかった。
1980年11月、アメリカ市場での販売をめざして松本(当時33歳)を派遣。
松本は、英語に不慣れにもかかわらず英語版のカタログを持ってロッキード社を訪問し、製品を説明。数週間後、ハンダの性能を確かめたロッキードの担当者が採用を決定。
松本は、ヒューズ・エアクラフト社を訪問し、ロッキードで採用されたことを説明。ヒューズの社員がロッキード社に電話して確かめると、すぐに採用を決定。
ロッキードに薦められてMIL規格を取得。これがNASAの採用につながった。
<研究開発>
社員150人のうちの50人が従事。投入する資金は売上の15%。
日本アルミット・マイクロ接合研究所(東京・あきるの市)
25年間に製造したハンダを1ロットずつ保管。
事故が起きた時に原因がハンダではないことを証明するため。25年間、トラブルなし。
<今後の目標>
鉛なしのハンダ。銅の利用を研究中。
加熱不要のハンダ。ハンダを溶かす熱による電気部品の膨張が故障の原因になる。
掲示:2005/12/6