日本アルミット

高性能ハンダの製造、技術極める。社員三分の一が研究開発

『日経ビジネス』200118

 

日本アルミット(東京・中野区)

l         アルミハンダ(アルミを付けるハンダ)のメーカー。

l         1956年創業。社長:澤村経夫。資本金 5000万円。従業員150人(05年一月も)。

l         売上高は(20009月期)約29.77億円

l         アルミハンダのシェアは90%。とくに非塩素系ヤニ入りハンダ「KR-19

 

同社のハンダの価格は他社の56倍。

「携帯電話は品質が命だから、高価でも使わざるを得ない。」ソニー千厩(せんまや)社長。

ノキア、エリクソンも調達。

*電子回路が微細になるほど、少量で接合力が高いハンダが必要になる。

 

NASAがスペースシャトル「コロンビア」の打ち上げをたびたび延期。

 原因は電子回路の不良。その原因は、ヤニ入りハンダに入れる塩素。

 塩素はハンダの接合性を高めるが、空気中の水分と反応して塩酸になり電子回路を腐食させる。

NASAMIL規格を採用している8社のハンダを比較検討。

 日本アルミットの非塩素系ハンダ KR-19を採用(19821月)。

 コロンビアの打ち上げに成功(1982627日)。

KR-19が、ジャンボジェット機、衛星、ミサイル、携帯電話の電子回路に採用。

 

<開発の発端>

1975年、自動車の電装品メーカーから、不良の出ないハンダの開発を依頼された。

世界各地の松ヤニを調べ、塩素なしで接合力ある松ヤニ成分を研究。

1976年、塩素なしで接合力が高いKR-19を開発。自動車電装品メーカーには普及。

 大手電機メーカーは「実績がない」としてまったく採用しなかった。

 

 198011月、アメリカ市場での販売をめざして松本(当時33歳)を派遣。

 松本は、英語に不慣れにもかかわらず英語版のカタログを持ってロッキード社を訪問し、製品を説明。数週間後、ハンダの性能を確かめたロッキードの担当者が採用を決定。

 松本は、ヒューズ・エアクラフト社を訪問し、ロッキードで採用されたことを説明。ヒューズの社員がロッキード社に電話して確かめると、すぐに採用を決定。

 ロッキードに薦められてMIL規格を取得。これがNASAの採用につながった。

 

<研究開発>

社員150人のうちの50人が従事。投入する資金は売上の15%。

日本アルミット・マイクロ接合研究所(東京・あきるの市)

 25年間に製造したハンダを1ロットずつ保管。

 事故が起きた時に原因がハンダではないことを証明するため。25年間、トラブルなし。

 

<今後の目標>

鉛なしのハンダ。銅の利用を研究中。

加熱不要のハンダ。ハンダを溶かす熱による電気部品の膨張が故障の原因になる。

 

掲示:2005/12/6