ワーキングプアは641万人=給付付き税額控除提言-厚労省研究班が初の推計
時事通信 2010年8月1日

 働いているのに貧困層に属するワーキングプアが、2007年時点で推計641万人に上ることが1日、厚生労働省研究班(代表・阿部彩国立社会保障・人口問題研究所部長)の調査で分かった。現役世代(20~64歳)の男性労働者の9.85%、女性労働者の13.39%が該当し、深刻な雇用環境が裏付けられた形だ。
 ワーキングプアの概数を明らかにした研究班の報告は初めて。阿部氏は低所得者に限定した給付付き税額控除が貧困解消に効果的だとした上で、必要な予算額も試算した。
 調査は厚労省の「国民生活基礎調査」のデータを基に、学生のアルバイトや主婦のパートなどは除き、一日の主な活動を「仕事」とした人の世帯所得額を抽出。年金や公的扶助の収入を加味した上で、貧困層に属する人の割合を算出した。
 国はワーキングプアの定義を定めていないため、「貧困」の基準は経済協力開発機構(OECD)の慣行に従い、標準的な世帯所得の半分(1人世帯で約124万円)以下とした。
 その結果、働く人の中でワーキングプアに当たる07年時点の割合(ワーキングプア率)は、高齢者(65歳以上)の女性が最も高く23.94%。男性高齢者は15.84%だった。現役世代も男性9.85%に対し、女性が13.39%と上回った。
  いずれも04年時点の推計値より悪化しており、貧困層は拡大していた。特に女性の高齢者は増加幅が3.02ポイントと大きく、研究班は「年金制度の改革が不可欠」としている。
 07年時点の推計人数は現役世代が555万人、高齢者が86万人。家族構成は子どものいない世帯が約65%を占め、このうち約13%は単身世帯だった。
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