靖国神社に関する梅原猛氏の発言

『朝日新聞』2005年1月7日


哲学者 梅原猛(うめはらたけし)

(対)神戸大学教授 五百旗頭真(いおきべまこと)の対談

「戦後60年 日本・アジア・世界」より

 
前略

梅原 靖国神社というのは
日本の神道の伝統ではないん
ですよ。出雲大社のように、
征服された敵方を、味方より
も大きな神社でまつるという
のが伝統です。勝った方だけ
まつるのは伝統に反してい
る。しかも靖国神社には戦争
への反省がない。東条英機元
首相がまつられている靖国神
社に行って戦争はしませんか
らと言うのはおかしい。ま
た、人情として戦争で死んだ
人の冥福を祈るのは分かる
が、そのなかにはたくさんの
隣人を殺した人間も含まれ
る。隣人の気持ちを考えるの
が義理です。小泉首相はあれ
はど歌舞伎を鑑賞していなが
ら、義理と人情の別がまった
く分かっていない。

後略