ゼミ日誌 駒澤大学・小林ゼミナール
科目名: 演習II |
開催日: 2003年12月3日、水曜日 |
司会者: 間明田 |
欠席者: 宮地 |
日誌記録者: 杉浦 |
次の日誌記録者: 生知 |
全体的なテーマ: B班(小林、武宮、間明田、三浦) 日本興業銀行産業調査部編『日本産業読本』東洋経済新報社、1997年 第5章第1節 住宅産業、 第7章第6節 医療・シルバー産業 |
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報告者名、各報告の題名と要点/分担の範囲: <住宅産業> 【住宅産業の果たす役割とその特徴】 ・
企業を顧客とする建設業に対し、住宅産業は個人を顧客とする ・
住宅設備機器、住宅部材供給など幅広い関連業界を持つ ・ 住宅産業の特色:@大手の市場占有率が小さい A地場産業的色彩が非常に強い B政府による指導色が強い ・
住宅供給業としての分類 @ハウスメーカー A地域専門のハウスメーカー B地場中小工務店 Cマンション・デベロッパー ・
多種多様な住宅産業手法:@プレハブ Aツーバイフォー B在来木造工法 【課題と展望】 ・ ハウスメーカー ➀比較的堅調な推移が見こまれる建替え需要への注力 ➁リフォームや中古住宅ストックに着目した業務への注力 ・ 規制緩和・住宅産業の近代化による住宅価格の引き下げ ・
新規参入により競争が活発化 →住宅価格低下によりコストパフォーマンスの良い優良な住宅の供給が活発化 【第8期住宅建設五箇年計画について】 ・ 住宅建設の目標 @ 国民の多様なニーズに対応した良質な住宅ストックの整備 A いきいきとした少子・高齢社会を支える居住環境の整備 B 都市居住の推進と地域活性化に資する住宅・住環境の整備 C 消費者がアクセスしやすい住宅市場の環境整備の推進 【問題提起&考察】 これからの住宅産業では、住宅単体を建設するだけではなく、人々に安心感を提供できるように、建設後のケアや地域における様々な生活サービスとの密接な結びつきが重要になり、「住生活総合産業」としての発展を目指すことになるであろう。そうなれば、新築戸数の減少が確実視される成熟時代を迎えても、安定した産業分野として発展すると考えられる。 <医療・シルバー産業> 【成長期待される医療サービス・シルバー産業】 ・ 急速な高齢化に伴う医療・介護サービス需要の増大 ・ 施設から在宅医療サービスへのシフト ・ 病院効率化のためのアウトソーシングの進展 【医療サービス産業を取り巻く環境】 病院経営 ・ 病院数の減少 ・ 若年層の急性疾患から高齢者を中心とした慢性疾患へシフト 医療保険 ・ 患者の自己負担増加という形で収入増加を図る 医療制度改革 ・ 医療保険からの保険給付金で収入を得る ・ 民間営利企業の活動範囲の拡大 ⇒病院業務のアウトソーシング化 【今後の医療サービス産業の課題】 ・ 多様化する医療サービス需要への対応(患者中心の医療サービス供給体制) ・ 病院等と関連産業の機能分化と相互連携(高齢者、在宅医療サービス増加) 【シルバー産業をめぐる環境】 ・ シルバー市場に量的拡大と質的変化 量的拡大 →出生率の低下、高齢者人口の増大 質的変化 →高齢者が資産面、所得面でも豊かになった。介護ビジネスの増大 【シルバー産業の現状】 ・ シルバー産業の種類:@在宅ケア A施設ケア B福祉(介護)機器・用品関連サービス C金融サービス D住宅 【成長するシルバー産業分野】 @ホームヘルプサービス A福祉(介護)機器販売・レンタル B有料老人ホーム 【成長のための課題】 (1)行政の課題 ・ 監視、指導体制の整備 ・ サービス利用者への情報提供 ・ 介護従事者の人材育成 (2)民間サービス事業者 ・ サービスの総合化⇒多様化するニーズに対応 ・ サービス地盤の広域化 【民間事業者が参入できるサービス】 ・ グループホーム、有料老人ホーム 【民間事業者が参入できないサービス】 ・ 老人保健施設 【問題提起&考察】 医療産業は公共福祉に対応せねばならないという命題が課せられている。医療産業の特性をふまえ、知識経営の視点から社会にあった経営が必要である。シルバー産業に対しては、行政は高齢者が安心してサービスを利用することができるように、事業者の育成、管理・監督をしていかなければならない。 |
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提起された論点と討論の内容: <住宅産業> 大江:プレハブについて詳しい説明をしてください。 →2インチ×4インチの木材を積み立てて壁を造り、壁全体で荷重を支える工法。もともとはアメリカでの手法。特徴は従来木造工法より、生産性が2倍で、耐震性など品質がよく丈夫である。日本ではあまり盛んではなく、その理由は、価格は抑えることができるが、既得権益などを利用するので価格がアメリカの2、3倍になってしまう。住宅メーカーはプレハブや従来木造工法と合わせて行っている。 生知:「第一次住宅ブームで、様々な業界から住宅業界に新規参入した」とあるが、どのような業界か。 →積水ハウス分離独立後の積水化学工業、大成建設、旭化成、トヨタ自動車などが住宅業界に参入してきた。 飯泉:問題提起に「21世紀前半の住宅市場」とあるが、それは一戸建だけではなくマンションなどの賃貸も含めるのか。 →含める 飯泉:マンション建設などに対し、地域住民の反対などがあるが、地域住民や地域環境を守るという点で住宅産業はどのような対策をしているのか。 →具体的な対策は分からない。計画の段階からアンケートなどをとり、すべての人が納得できるように要件を相談して計画を進めていくべきだと思う。 小池:スケルトン住宅とは具体的にはどのようなものか。 →構造などのスケルトン部分と内部のインフィル部分を分離してつくり、リフォームしやすいようにした住宅のこと。 <医療・シルバー産業> 稲葉:病院業務のアウトソーシング化とはどのようなことか。 →清掃や食事などを病院の経営効率化のためにアウトソーシングしている。 生地:住宅ケアなどは保険で安くなるのか。 →2000年4月からの介護保険制度の導入で、少しは負担が軽くなった。 大江:行政の課題で、監視、指導体制の整備とあるが、行政を監視、指導するのか、もしくは行政が監視、指導するのか。 →行政が監視、指導していく体制を整備すべき。 飯泉:グループホームや有料老人ホームは入居の契約期間はあるのか。 →行政の老人保健施設は、自宅で生活できるようになったら自宅に帰すが、個人で生活できない人や、家族が世話できない人は期限がない。死ぬまで居られるところもあり、家族の面会ができ、ケアなどを行っている。 稲葉:「行政は高齢者が安心してサービスを利用することができる育成、管理・監督をしていかなければならない」とあるが、そのような体制がとられている国はどこか。 →ドイツでは1995年から公的介護保険制度の導入をして、イギリスでは緊急通報サービスの整備をしている。 |
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教員の発言: ・ 跛行性とは、良いところと悪いところの差が大きいこと。 ・ ツーバイフォーはパネルを組み合わせる。骨格で支えるのではなく面で支える。湿気がこもりやすい。プレハブは規格が決まっているため、自由度がない。 ・ アメリカの病院では診療の部屋を優秀な医者にアウトソーシングしている。医者でチームを組み、みんなで監視するので、医療ミスを隠すことはむずかしい。またアメリカでは医療保険は整っていない。 ・ 在宅ケアなどは医療保険ではなく介護保険が適用。 ・ 老人ホームのパンフレットに「どのようなサービスが受けられるのか」があまり書いてなく、情報開示の規制が弱い。また、「実際に行なわれているかどうか」のチェックも弱い。 ・ シルバー産業の事業者の育成、管理・監督を行政がする体制はスウェーデンやデンマークなどの北欧が進んでいる。老人ホームは個室が当たり前で、介護保険は税金なので行政の監視は厳しい。 コバマサ:簡潔で的確なまとめです。 |
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特記事項: 春の特別ゼミ(3月26日、27日)について 12月17日は臨時ゼミで、卒論作成プランについて |
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感想/問題点/提案: 高齢化が進むなかで、シルバー産業とともに、住宅産業も高齢化に対応していかなければならないと感じた。高齢者はほとんど家の中で過ごすため、高齢者にとって住みやすい環境作りをしなければならない。なにかあったときのために、すぐに人や救急車が呼べる設備を備えたり、高齢者用に設備を低く配置するなどしていく必要があると思う。 |
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自由カキコミ: 先日初めてプレエントリーをしました。面接まで進めれば、後は自分の作品でプレゼンをしようかなと思っています。就活、定期試験、卒論とがんばっていきましょう! |
Ver. 02/10/06