ゼ ミ 日 誌 駒澤大学 経済学部 小林ゼミナール
科目名: 演習 I |
開催日: 2004年12月22日 水曜日 |
司会者: Aグループ(今西、原、森戸、渡辺) |
欠席者: なし |
日誌記録者: 尾島 |
次の日誌記録者: 鈴木君 |
Ver. 04/11/13
全体のテーマ |
『IT革命はまぼろしか?』と西垣『IT革命』のまとめ
報告者名、各報告の題名と要点/分担の範囲 |
1,IT革命とは何か
○内閣府経済社会総研『IT革命はまぼろしか』
・ IT革命は情報通信分野の技術革新
・ 90年代半ば以降、インターネットの普及により政府、企業から各家庭、社会に
・ 多くのビジネスチャンスによりベンチャーが躍進
Ø しかし、ネットバブルの崩壊により企業淘汰。楽天など大手企業が台頭。
・ ブローバンドインフラ整備により国の競争力を高める
○西垣『IT革命』
・ 21世紀前半の30〜50年にわたる長期的な文明史的事件。
・ 本質は生活革命であり、生活が変わる結果として経済効果が出現する。(3頁)
→消費者側の生活革命。経済的次元にとどまらない。誰もが情報を持てるようになること
・ 受動的な情報の受け取りから能動的に自ら情報を取捨、発信。人と人とのコミュニケーション様式の変化
・ デジタルデバイド問題
2,両者のIT革命像の違い
○『IT革命はまぼろしか』では、政府や企業からIT革命は進んでいった。
○西垣氏は生活が変わる結果として経済効果が出現すると言っている。
●両者の違いはマクロかミクロか、どちらにより重点を置いているかの違いであろう。
3,まとめ
A班は、IT革命はまぼろしでないと考える。それ自体の定義は曖昧だが、影響が顕著に現れているからだ。
インフラストラクチャーが整備されるようになったため店舗を持たなくてもインターネットで営業するということが可能となった。また通信環境に目をつけた多数のベンチャー企業も台頭している。さらにパソコンが普及することによって仕事において日本の慣習を打破し、欧米的な評価の仕方にシフトしつつある。経済的にはプラスの方向へ影響しているが、視点を変えると家庭にIT革命が波及し、その結果、企業にとってビジネスチャンスになっている。
しかし、古くからの雇用慣行によって企業が余分な人員を抱えたり、著作権や特許権、市場の独占、コンピューターウイルスやWeb上での不適切な表現などの負の側面も現れている。
このように良い点、悪い点ともに見受けられるが、IT革命自体が長期的な現象であるに加え、その影響も顕著であるならばIT革命はまぼろしでないといえる。これらを踏まえ、良い点は経済的、社会的にも更なる発展を目指し、悪い点、殊に権利の問題はできるだけ改善していくことが重要である。
提起された論点と討論の内容 |
鈴木;マクロとミクロの違いとは?
今西;マクロが社会全体、ミクロが企業・家計の合理的行動。IT革命とは何かと考えたときに出てきた言葉。
島津;西垣氏は未来のことを言っているからマクロに見えるのでは? 希望のようにも感じる。『IT革命はまぼろしか』は未来のことを書いているけれど、今から見ると過去のこと。
森戸;確かに西垣氏は「希望」が多い。
先生;「IT革命の中核は放送と通信が融合するメディアビックバンである」と西垣氏は言っているが、これはどういうことなのか?
原 ;始まっていると思う。
先生;『IT革命はまぼろしか』のIT革命は西垣氏の第2章にすぎないのでは? まぼろしにすぎないのか、それとも先に意味のあることなのだろうか? それは第3章に書かれている。西垣氏は今を考えるだけでは不十分と考えているのでは?
ここで総合的なまとめとなる「IT革命は本当にまぼろしだったのだろうか?」という討論へ…
大友;ITによって経済的にはプラスに。だが、それ以外で損害がかなり出ているから、まぼろしではないと思う。
寺平;ITによって良いことも悪いこともでているのでIT革命はおきたと思う。
島津・高橋;なぜ「まぼろしか?」というタイトルが付いているのか。
渡辺;ITがバブル的であるなら「まぼろしか」になるけれど、長期的に見たら起きたからだからだ。
先生;「まぼろしか?」はなぜだと思う?
今西;読者のひきつけは?
島津;売るためのコピーでは?
先生;本書は2003年1月に出版された。そして2002年1月にサロンをやったのにはわけがある。2000年はITバブルが盛んなときで、日本経済の将来はバラ色かと言われていた。しかしそれが崩れたことにより多くの批判が出た。本当はどうだったのか、ITバブル崩壊後にあれはなんだったのか、ということで実際に活躍していた人から直接講演を聞き、それが本になった。
今西;開いた人がまぼろしだと思ったから開いたのか、それともこけたから開いたのか? 自分は、おきていいにせよ悪いにせよ、後にいろいろ残ったのだからまぼろしではないと思う。まぼろしならば何も残らない。
先生;IT革命のとらえ方にズレがある。仕事としてのITはとらえにくい。だが、崩壊後も事実は着々と進む。まとめには影響しか書いてないが?
今西;IT革命自体がわからないから影響を書いた。先生はどう思いますか?
先生;難しい。インターネットの普及による即時の情報共有の実現がIT革命という視点で物事を見ているから。(ITベンチャーもネットバブルもブロードバンドもすべてこれを根本要因として発生した現象ないし影響)
今西;自分もそう思った。
島津;インターネットの発端は、技術が先か、それとも思考が先か?
今西;考えてからでは?
島津;そうだとしてもここまで広げようとしていなかったのでは?
先生;「I」をインターネットと解釈する人もいるのでITのはじまりはインターネットという人もいる。だが、印刷技術から始まるとすることもできる。われわれは強制的に(現代的な意味を意識して)インターネットから始まるとしているだけ。
今西;それならばアメリカなのでは?
先生;1967-8年ごろから国防総省で実験が開始された。一般が使用できるようになったのは95年頃から。商業利用はもう少し前から。95年より前は技術発達。一般に開放すべきだと言った人がいたので広がった。開始当初は国民の0.0何%しか利用していなかった。Windows95が最初からインターネットに対応していたので広がったが、それよりも前にアップルが発売していた。そして現代に至る。
ここで時間が来たので討論終了。
教員の発言 |
上記。
ITそのものはみんな考えておいて。一番奥にあるものを考えてほしい。
特記事項 |
感想/問題点/提案 |
次から次へと話が変わるので、ついていくのに大変だった…。それから、「『事件』というのは起きたすぐ後に名前が付けられ、『革命』というのは未来の人たちが名前(フランス革命など)をつける、要するに、革命を起こしている人たちは、今、自分たちが革命をしているとは思ってもいない」と中学生くらいのときにある先生が言っていた気がする。それが本当だとしたら、IT革命はどうなのだろう…と思いながら必死にメモをとっていました。
コバマサ:紆余曲折した討論をよくぞここまでまとめきりました。2年生最後のゼミにふさわしい記録ですよ(拍手!)。ただし数字は半角で書いてほしかった…
革命について。政治革命を主導した人々が自分のやっていることを革命だと自負していたことも多い(たとえばロシア革命)。一方、経済上の革命はかなり時間がたってから、こんな変化はいつから始まったのかとあとから気がつくことが多いと思う(たとえば産業革命)。IT革命の場合、アメリカで1990年代の半ばになってそういう言葉が使われるようになったようだ(最初はIT innovation
[IT革新]。IT revolutionはあとで)。日本は不況であえいでいたので、アメリカの1990年代の景気拡大とネットバブルの進行に刺激され、1990年代後半から「IT革命」という言葉が日本のマスコミをにぎわすことになったと思われる。
自由カキコミ |
遅くなって本当にすみませんm(_ _)m やっぱりパソコンを持ってないと不便ですね…。お父さーん!早く買ってよ!!と言いつつも、もっと広くて上の住人の足音がしない静かな部屋へ引越ししたいです。。。どうやら1月は運勢がよくないと感じることが多いので気をつけます。毎日テストでも…オフって最高(*>o<*)
コバマサ:オフというのはブルペガの練習がないという意味かな。箱根駅伝四連覇のときには応援にかけつけたという噂を耳にしたけど…
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掲載日(自動): 2005年1月17日