李 リョウ 0476

新谷文夫 『図解IT経営』東洋経済新報社、2000

 

第四章 IT経営「7つの提言」

IT経営は現場でこそ、その価値が発揮されます。

第四章では、「IT経営を成功させるためには何を考え、どう行動すれば良いか」をお伝えしたいと思います。

 

1顧客中心主義を貫徹せよ!

誰のためのITかを常に問い続けることが重要

経営効率化のためにITを導入する場合、現場部門は管理部門の顧客と位置づけられる。

管理部門が現場部門を顧客として扱わないことより、外部顧客に対する商品・サービスにまで営業するのである。

 

2仲介機能を考え直せ!

過度に個人に情報が蓄積されることをなくすことが重要

少数の個人のノウハウを極大化しても、組織のノウハウが極大化されるとは限らない。

 

3決済権限を考え直せ!

実務執行者への権限委譲を徹底することが重要

例:ある部門で一ヶ月に使った経費を集計しようという場合、支払書類から集計データが一連のシステムとなっていれば、管理情報を得やすいことも事実です。しかし、現場のマネジャーがシステムの導入で、さらに、繁忙を極めたままでよいわけでもない。

そのような問題を解決するために、ITの導入に伴い、さらに、決済権限の委譲を進めることを提案したいと思う。

 

4ルール化を徹底せよ!

誰もがITを使いこなせるようにするための職場ルールが重要

ITをある程度使いこなせる若手人材を熟年人材のサポート役として任命すること、同時に、若手人材のサポート業務評価の対象とすることである。

 遠慮なく頼れる人間がいるということ、先輩にも遠慮なく教えることができるというのは、組織文化にとって大きなプラスとなるからです。

 

5組織力を最大化せよ!

ITを理解する若手人材を意図的に幹部候補として育成することが重要

ここでいう組織力の最大化とは、ビジネス・ノウハウを持ち、ITを使いこなせるという意味です。

組織という観点から見たときに、熟年人材は、この若手人材を牽引するために、どこまでもビジネス・ノウハウを高める必要があり、若手人材はITを武器に熟年人材に肉薄していく、このような関係が組織力を最大化していく。

 

6活用人員を生み出せ!

効率化によって生み出される人材という経営資源を生かすことが重要

 IT経営の導入によって経営が効率化され余剰人員が生まれるはず。労働力が過剰になると言われている。IT経営によって、活用人員を生み出せるのであれば、その人員を本社機構や管理部門にとどめるのではなく、顧客情報や商品情報を収集・調査・分析する第一線の業務へと職種転換することである。

 

7国際ビジネスを前提とせよ!

競争相手が国内企業だけではないことを認識することが重要

インターネットによる企業間取引の国際化の波がすぐそこまで押し寄せてきているからである。調達する側の企業は、企業系列やこれまでの商慣習にとらわれないオープンな調達を考え始めている。

 国際化の問題はウェブを構築する資金力とノウハウを持つ大企業よりも、中堅・中小企業にとっての課題と考えることができる。