誌  駒澤大学 経済学部 小林ゼミナール

科目名: 演習 II

開催日: 20061017日、火曜日

司会者: 渡部

欠席者: 長嶋、呉

日誌記録者: 石塚

次の日誌記録者: 岡村

Ver. 04/11/13

全体のテーマ

「窓際族が世界規格を作った−VHS、執念の逆転劇−」

  NHKビデオ「プロジェクトX 第2巻」2001

 

報告者名、各報告の題名と要点/分担の範囲

日本ビクターの家庭用VHS 開発の過程

l         ビクターは業務用VHS の開発を中心にしていたが2台に1台が返品と、業績は最悪だった。この頃、VHS事業部は本社に10億円の借金をしていた。

l         日本ビクターは家庭用VHSの開発でソニーに大きく遅れをとっていた。

l         ビクターの高野事業部長は若い技術者を集めソニーが大きくリードしていた家庭用VHSの開発に取り組んだ。

l         しかし、ビクターが中心として取り組んでいた業務用VHSは毎月5千万の在庫という状況だった。本社への借金は30億円に膨れ上がっていた。

  →高野事業部長は本社から人員の3割の削減を言い渡される。

l         高野部長はリストラをせずに4年かけてVHSの新技術を開発し画質の改良を果たした。

l         その新しく開発した技術を他社に貸し出し技術を提供した。→海外でも同じように技術を提供した

l         VHSの内部は多くのメーカーの技術が結集された。

l         VHSは世界標準規格へと上り詰めた。

 

提起された論点と討論の内容

1、 日本ビクターが自力で開発したVHS方式を、松下電器、日立、三菱電機などの競争相手に無償で公開したのはなぜか

村田:ビクターだけではVTRを世界規格にすることはできなかったが、無償公開することで、松下など他社の技術を導入し、より高い完成度を実現したために、世界規格として広まった。

2、 上記の無償公開が成功した理由は何か。

湯元:技術を無償公開し、運命共同体という意識を強く持っていたことで成功したと思う。

 

教員の発言

 この日のゼミは、私が公務のため、渡部君に司会を任せて、ゼミ生同士で自由に議論してもらった。どうだったかな。

 上の設問の1についてだが、日本ビクターが無償で公開した要因には、ソニーとの競争に生き残るという危機感があったと考えている。それまでにカラーテレビなどさまざまな製品でソニーに先を越された日本ビクターが、ベータ方式のVTRでまたしてもソニーに先を越された。だからVHS方式がいくら優れていても、日本ビクターだけで開発生産していては、市場で大きなシェアを取れず、コストと価格を下げられない。それを克服するには、同じようにソニーに先を越された、ソニー以外の家電メーカーと連合するしかない。これが無償公開の理由だと考えている。

 

特記事項

 

感想/問題点/提案

 高野部長は技術者として業績を上げること以前に、純粋にVHSの成功を願っていたと感じた。今の時代では珍しくリストラを断行せずに業績を上げたことは並大抵の努力ではなかったと思う。こういった人物が日本の経済界に存在したことは非常に重要だった。

 

自由カキコミ

 

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 掲載日(自動): 20061017