ER3209 原 啓之 2004年9月7日作成
西垣通『IT革命』岩波新書2001年
第3章 メディア・ビッグバンで変わる
IT革命のもたらす近未来の生活空間の姿はメディア・ビッグバンにより大きく変化するだろう。光ファイバーによる光通信技術により放送と通信とを融合させ、一般個人同士でテレビ放送並みの情報の発信、伝達が出来るようになるだろう。
その先駆けとして始まっているのが、ストリーミングという、インターネットからパソコンに映像や音声を取り込むと同時に再生していくソフト技術を使用したインターネット放送である。企業だけでなく一般の個人のなかで放送を始めている人もいる。こういったネット放送の長所は、双方向(対話)機能があることである。視聴者は自分のパソコンからいつでも感想や質問などを局宛に電子メールで即座に送ることが出来るのである。こういったネット放送局の便利さ、利点は多くの広告主の企業にとって魅力的であろう。したがってテレビ放送がインターネットと融合して行くことは必然である。
このように技術が発達し、企業や各個人、社会にIAが行き渡り電脳化されてしまうと便利になる反面多くの問題も生じてくる。これはIT革命の落とし穴と言えるだろう。
人々がIAに頼りきってしまうと、それにシステムやプログラムのエラーが起こった場合、我々の生活は交通機関など至るところでマヒしてしまう。またインターネット取り引きにおける、詐欺行為や、企業や個人のデータをハッキングクラッキングするなどのサイバー犯罪が増加することも予想される。これらにどう対処していくかも重要な問題となるであろう。
情報を際限なく摂取できる環境におかれた場合、個々の欲望は際限なくかき立て続けられる。個々人がモラル、責任を持ち自己に必要な情報を取捨選択していくことが、これからのIT化された社会では必要となるだろう。