ヤフー成功の秘訣
経済学部商学科 小林ゼミ 原 啓之
ヤフー物語は、多くの面白い出来事とその実現に力を合わせた人々にちなんだエピソードの連続である。スタンフォード大学の工学専攻の大学院生ジェリー・ヤンとデイビット・フィロの2人が趣味としてスタートしたものが、今日では世界の最先端を行くインターネット・メディア企業の一つにランクされ、メディア、商取引、コミュニケーション事業のブランド・ネットワークを世界中の1億5600万を超えるユーザーに23のワールド・プロパティを含む伸び盛りのグローバル・ネットワーク経由で提供しているのである。
博士論文作成の代わりに道楽で始めた会社が何故このような素晴らしい実績を残したのであろうか。成功はまぐれだと言う人もいる。貧乏から金持ちへの代表的なアメリカ物語であり、シリコンバレー発足の神話と見る人もある。ヤフーはこの3つのシナリオのすべての側面を併せ持っている。ちょっぴり運もついていたと言えるが、もっと重要なことは、創業者の2人が確立し、社内の他のキープレイヤーも支持するヤフーを動かしている指導理念である。それこそが、このインターネット会社の経営に関する貴重なモデルとなる原動力なのだ。
「ヤフー」という言葉
・ヤフーとは一般に Yet Another Hierarchical Officious Oracle (もうひとつの気の利いた階層構造のデータベース)の頭文字として知られている。
・『ガリヴァー旅行記』に登場する野蛮で、外見は類人猿のような格好の生き物から、おろかで、騒々しく、時に乱暴者の代名詞として英語に入り込んだ。
・2人の開発者は、自らをならず者(yahoo)だと思っているからこの名にした。
指導理念
1、無料サービス
・新しい媒体の「成功の鍵」は、新しいユーザーをたえず引きつけること。
・絶えず進化するウェブの世界で「その用途は別に接続するには必ず通らなければならない唯一の場所」でなければならないという社是を守る一方で、独立営業を維持し、収入はすべて広告主から賄う。
2、ユーザーの心を完全に掴むこと
・サーチエンジンをめぐっての闘いは速度にあるのではない、人間性を加味すること。
→社員手作りの組織階層によりすべてのサイトを人に優しくし、ユーザーが留まりたいようにした。
・グローバルなコミュニティのプラットホーム拡大のためにローカル・サイトを創設。
→サーチエンジンからメディア・ポータルへ
3、ブランド確立
・強いブランドによって企業はプレミアム価格を設定することが可能になる。
・徹底的にPR。
→インターネット会社として初めてテレビ・コマーシャルにも打って出た。スローガンは「ヤフー!してますか?」
4、規模ではなくスピード。次に何をやるのか。
・市場への早期参入の必要性
→買収、しかしオフラインのハード資産の買収はしない。
・同社自体よりも、優秀さとスピードで勝負を挑む企業に対し、より早く、より抜け目なく、より素早く動くこと。
→ヤフーのロゴの解釈の変更
You always have other
options.(君たちは常に決めなければならないことがある)
まとめ
「ヤフー!」は創立以来、ユーザーのために無料サービスを続けるという目標を一貫して貫き、大企業に吸収されることなく独立営業を維持してきたからこそ、世界中の人々に利用されるインターネット業界トップの企業に成長したのであろう。ユーザー志向という単純で明快な指導理念を社員一人一人が守り、また実行することでサーチエンジンはスピード以上の価値が見出され、その人間味からユーザーの心を掌握するメディア・ポータルへと発展した。
ヤンの変更したロゴの解釈は「ヤフー!」を常により良いものへ進化させていくことを社員一人一人に自覚させたものであり、これからも日々変化するインターネット業界のトップに「ヤフー!」が立ち続けていく指標となるであろう。
参考文献
アントニー・ブラミス、ボブ・スミス『サーチエンジンのアクセス数を誇るヤフー』三修社 2004年