今西 朋彦 2005年6月21日
『IT資本論〜なぜ、IT投資の効果はみえないのか?〜』
2004年12月25日 株式会社毎日コミュニケーションズ
著 近 勝彦
学習パラドクス
・ 棄却学習→「学習しないこと」「忘れること」
ex)シングルループ・・・組織内での支配的考え方を容認した上で改善的に学習すること
ダブルループ・・・・体制的な知識ルールや価値体系そのものに疑問を感じ、その全部、または一部を棄却し自己変革をもたらすもの
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シングルループは組織内の構造や秩序の強化につながり、ダブルループは企業の構造や組織にイノベーションがもたらされ、成長・発展が期待される
不確実性のパラドクス
・情報の大きな役割のひとつは「不確実さの逓減」である
→社会科学が扱う自称は単純ではないし、アルゴリズムも明確ではない。そのため、情報量が増えても不確実性が逓減しないばかりか、むしろ増加することも考えられる
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情報収集・検索という用途では今後益々インターネットが中心となる。さらにインターネットには、情報発信機能やコミュニケーション機能もあるので情報の受信においては極めて有意義なメディアである
情報戦略のパラドクス
・初期的には情報投資も少なく、その応用領域も限定されていた
・次第に情報の蓄積量と応用領域が拡大
→情報戦略の意義と内容が不鮮明に
・情報戦略と経営戦略
→ビジネスモデル自体が情報戦略によって体現されたものとみなされ、経営戦略と情報戦略はITシステムを介して一致している
IT資本のパラドクス
・IT資本の変容・・・ITが基盤となりより一層高度化したものになるのは間違いないが、 その発展領域の原理性はこれまでと異なる
・知的資本が十分に形成されている必要性
→この知的資本をナレッジ・ワーカが使いこなして価値を生み出す
・組織関係性資本を再構築しなければならない
→ナレッジ・ワーカの力を発揮させるには、努力水準を引き出す必要がある
今後求められるのはどんなナレッジ・ワーカか?
・ IT関連の知識だけではなく、経済社会の知識や理論に精通している人々
・ IT関連の知識を基盤に、社会政策や経済プログラムを立案できる人々
なぜ、IT投資の効果がみられないか?
・IT関連の部門(情報通信産業など)の割合がマクロ的に小さい為
・8つのパラドクス
→IT経済は高度な知識が中心になる経済である。故に人的資本が重要であり、これが潤沢であってもこれまでの組織関係性資本などとうまく組み合わせ、且つ価値を生み出すような状況がつくられていなければならない
まとめ
IT投資の効果がみられないのは確かにマクロ的に小さいことや、IT基盤が充実していないという根本的な問題まであり、複合的な結果だと考えられる。しかし、IT関連産業の成長率は他の部門よりも良いという事実もある。今後、ナレッジ・ワーカの育成や、ITアフォーダンス(情報提供環境)を整えていく必要がある。