駒澤大学 シラバス照会

 履修コード/科目名称  003511 / 漢文講読Ⅰ
 開講年度・期  2020年 通年  開講曜日・時限  木曜日 3時限
 単位数  4
 付記  ◎予
 主担当教員氏名(カナ)  小川 隆(オガワ タカシ)
 副担当教員氏名(カナ)  
 授業概要 禅宗の有名な故事を選読しながら、漢文読解の基礎を学ぶ。
本科目は講義だけでなく、一人一人の学生に実際に声を出して読み、自分で訳解することを求める。したがって授業は【講義】と【演習】を併用するかたちで進めていく。 
 到達目標(ねらい) 仏教学部の教育課程の編成方針(CP)に挙げられた「その後の研究の基礎となる語学」の一つとして、漢文読解の基礎的訓練を行う。3年次以上の講読・演習等の科目において各自が自力で漢文の原典読解を行えるようになることが目標。
 授業スケジュール
第 1 回
授業の計画・内容 漢文入門1 漢字と漢語
準備学習
(予習・復習等)
『漢辞海』の附録、「漢字について」「漢字音について」を読んでおく 60分
第 2 回
授業の計画・内容 漢文入門2 語順
準備学習
(予習・復習等)
・プリンでト配布する例文の字音・字義を『漢辞海』で調べておく
・奥平卓『漢文の読みかた』(岩波ジュニア新書)を読む
90分
第 3 回
授業の計画・内容 漢文入門3 助字
準備学習
(予習・復習等)
・プリントで配布する例文の字音・字義を『漢辞海』で調べておく。
・奥平卓『漢文の読みかた』(岩波ジュニア新書)を読む
90分
第 4 回
授業の計画・内容 文語文の読解1 拈華微笑と西天二十八祖(『無門関』)
準備学習
(予習・復習等)
・拈華微笑と西天二十八祖の故事について、字音・字義を『漢辞海』で調べておく。
・授業と並行して加藤徹『白文攻略 漢文法ひとり学び』(白水社)を読み進める
90分
第 5 回
授業の計画・内容 文語文の読解2 祖師西来(『碧巖録』)
準備学習
(予習・復習等)
・祖師西来の故事について、字音・字義を『漢辞海』で調べておく
・授業と並行して加藤徹『白文攻略 漢文法ひとり学び』(白水社)を読み進める
90分
第 6 回
授業の計画・内容 文語文の読解3 恵可断臂(『無門関』)
準備学習
(予習・復習等)
・恵可断臂の故事について、字音・字義を『漢辞海』で調べておく
・授業と並行して加藤徹『白文攻略 漢文法ひとり学び』(白水社)を読み進める
90分
第 7 回
授業の計画・内容 文語文の読解4 六祖の物語(1)発心(『禅林類聚』)
準備学習
(予習・復習等)
・六祖の発心の故事について、字音・字義を『漢辞海』で調べておく
・授業と並行して加藤徹『白文攻略 漢文法ひとり学び』(白水社)を読み進める
90分
第 8 回
授業の計画・内容 文語文の読解5 六祖の物語(2)五祖との出逢い(『禅林類聚』)
準備学習
(予習・復習等)
・六祖と五祖の出逢いの故事について、字音・字義を『漢辞海』で調べておく
・授業と並行して加藤徹『白文攻略 漢文法ひとり学び』(白水社)を読み進める
90分
第 9 回
授業の計画・内容 文語文の読解6 六祖の物語(3)偈の競作(『禅林類聚』)
押韻について
準備学習
(予習・復習等)
・六祖と神秀の偈の競作の故事について、字音・字義を『漢辞海』で調べておく
・授業と並行して加藤徹『白文攻略 漢文法ひとり学び』(白水社)を読み進める
90分
第 10 回
授業の計画・内容 古典と注釈
『論語』の「朝聞道夕死可矣」を旧注(何晏『集解』)と新注(朱熹『集注』)で読み比べる
準備学習
(予習・復習等)
土田健次郎訳『論語集注』(平凡社・東洋文庫)で該当箇所を下調べしておく 90分
第 11 回
授業の計画・内容 典故
黄庭堅「吾無隠乎爾」の問答を教材として、典故をふまえて文を読み解く練習を行う
準備学習
(予習・復習等)
・『大漢和辞典』をひいて、この話の典故を探してみる
・配布資料、小川「吾れ爾に隠すこと無し―禅と論語」を読んでおく
90分
第 12 回
授業の計画・内容 漢詩入門1 七言絶句 押韻と平仄 
・李白「早発白帝城」ほか
準備学習
(予習・復習等)
『漢辞海』附録「中国古典の文体・詩律」を読む 90分
第 13 回
授業の計画・内容 漢詩入門2 五言絶句 対句
・李白「秋浦歌」 ほか
準備学習
(予習・復習等)
・教材の詩の字音・字義を『漢辞海』で調べておく
・授業と並行して一海知義『漢詩入門』(岩波ジュニア新書)または佐藤保『精講 漢詩入門』(ちくま学芸文庫)を読み進める
90分
第 14 回
授業の計画・内容 漢詩入門3 律詩
・杜甫「春望」ほか
準備学習
(予習・復習等)
・教材の詩の字音・字義を『漢辞海』で調べておく
・この詩の二通りの解釈について考えてみる
・授業と並行して一海知義『漢詩入門』(岩波ジュニア新書)または佐藤保『精講 漢詩入門』(ちくま学芸文庫)を読み進める
90分
第 15 回
授業の計画・内容 課題学習 前期の復習 
準備学習
(予習・復習等)
・配布プリントを使って前期の内容を復習する
・夏休みに前野直彬『精講 漢文』(ちくま学芸文庫)を熟読する
90分
第 16 回
授業の計画・内容 禅籍と漢詩
漢詩の知識を応用して禅籍を解読する練習
前期復習の小テスト
準備学習
(予習・復習等)
鏡島元隆『如浄禅師語録の研究』(春秋社)で如浄「風鈴」詩の下調べをする 90分
第 17 回
授業の計画・内容 禅籍読解入門1 禅籍の基本口語語彙
準備学習
(予習・復習等)
・教材文の字音・字義を『漢辞海』で調べておく 90分
第 18 回
授業の計画・内容 禅籍読解入門2 六祖の故事「冷暖自知」(『無門関』)
準備学習
(予習・復習等)
・「禅籍の基本語彙」のプリントと対照しながら教材文のなかの口語語彙について調べておく 90分
第 19 回
授業の計画・内容 禅籍読解入門3 大梅「即心是仏」(1)(『祖堂集』)
準備学習
(予習・復習等)
教材文の字音・字義を『漢辞海』で調べておく 90分
第 20 回
授業の計画・内容 禅籍読解入門4 大梅「即心是仏」(2)(『祖堂集』)
準備学習
(予習・復習等)
教材文の字音・字義を『漢辞海』で調べておく 90分
第 21 回
授業の計画・内容 禅籍読解入門5 黄檗と臨済「黄檗仏法無多子」(1) (『臨濟録』)
・版本のコピーを使い、昔の訓点にしたがって文を読む練習をする
準備学習
(予習・復習等)
入矢義高『臨濟録』(岩波文庫)で該当箇所を下調べしておく 90分
第 22 回
授業の計画・内容 禅籍読解入門6 黄檗と臨済「黄檗仏法無多子」(2) (『臨濟録』)
・昔の訓点によらず、中国語として原文を解読する
準備学習
(予習・復習等)
入矢義高『臨濟録』(岩波文庫)で該当箇所を再読する 90分
第 23 回
授業の計画・内容 禅籍読解入門7 巌頭と雪峰「鰲山成道」(1) (『五家正宗賛』)
準備学習
(予習・復習等)
教材文の字音・字義を『漢辞海』で調べておく 90分
第 24 回
授業の計画・内容 禅籍読解入門8 巌頭と雪峰「鰲山成道」(2) (『五家正宗賛』)
準備学習
(予習・復習等)
無著道忠『五家正宗賛助桀』で該当箇所を調べてみる 90分
第 25 回
授業の計画・内容 禅籍読解入門9 四祖と牛頭 (『祖堂集』)
・四祖と牛頭に関する複数の問答をつきあわせて共通の問題意識を読み取る
準備学習
(予習・復習等)
小川『「禅の語録」導読』(筑摩書房・禅の語録20)の第1章を読んで、禅宗と神異の関係について考える 90分
第 26 回
授業の計画・内容 禅籍読解入門10 禅問答のしかけ
・語学的読解をふまえつつ、禅の問答の内実を読み解く方法を解説する
準備学習
(予習・復習等)
配布資料「禅問答のしかけ」を下読みしておく 90分
第 27 回
授業の計画・内容 禅籍読解入門11 兜率と清素「可能入仏 不能入魔」(1) (『五家正宗賛』)
準備学習
(予習・復習等)
教材文の字音・字義を『漢辞海』で調べておく 90分
第 28 回
授業の計画・内容 禅籍読解入門12 兜率と清素「可能入仏 不能入魔」(2) (『五家正宗賛』)
準備学習
(予習・復習等)
この話をふまえて「婆子焼庵」の話の意味を考えてみる 90分
第 29 回
授業の計画・内容 後期の総まとめと小テスト
準備学習
(予習・復習等)
後期の要点を復習する 90分
第 30 回
授業の計画・内容 課題学習
準備学習
(予習・復習等)
・1年間の教材の詩文を再読する
・教場で紹介する禅の語録の入門書からいくつか気に入ったものを読んでみる
90分
 履修上の留意点等 遅刻・欠席をしない。私語・携帯電話の操作などをせず授業に集中すること。
出席が4分の3に達しない者は成績評価の対象にならない。
授業進行のためのルールとマナーを守れない者(他の受講生の学習の妨げとなる者)は、学期途中でも履修をやめてもらう。
 成績評価の方法
試験
30 % レポート
30 % 小テスト
40 % 平常点





 教科書/テキスト
教材はプリント配布。
授業中の説明に使うので、毎回必ず下記『漢辞海』(三省堂)を持参すること。
 参考書
 図書館蔵書検索 図書館蔵書検索
戸川芳郞監修、佐藤進・濱口富士雄編『全訳・漢辞海』三省堂 ISBN: 978-4-385-14048-3
*授業では2016年秋に出た第4版を使用するが、第3版をもっている人はそれでもよい。
 学生による授業アンケート結果等による授業内容・方法の改善について アンケートでは授業の内容・進度に関する満足度は高かった。しかし授業外の自習時間がたいへん少ないことが分かったので、今年度は課題を利用してその点を強化する。
 関連リンク
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 アクティブラーニング型の授業科目