駒澤大学 シラバス照会

 履修コード/科目名称  051601 / 西洋史特講Ⅲ
 開講年度・期  2020年 通年  開講曜日・時限  火曜日 2時限
 単位数  4
 付記  ◎予
 主担当教員氏名(カナ)  長沢 優子(ナガサワ ユウコ)
 副担当教員氏名(カナ)  
 授業概要  われわれは世界について考えるとき、今日のようなかたちの国境や、「〇〇人」という各国民の存在を自明のものとして思いがちである。しかし現在の国境や各国民は、歴史のなかに含まれていた幾多の選択肢のうちの一つとして成立したに過ぎない。
 ドイツの場合も、中世以来の小国分立が解消されたとき、統一ドイツの国境が全く別のかたちをとることも可能性としては大いにあったが、オーストリアに住むドイツ系住民を排除した「小ドイツ的」統一が行われ、1871年にドイツ帝国が成立した。しかし、地理的にどこからどこまでをドイツとして統一するべきかという「ドイツ問題」は、このドイツ帝国成立をもって解決したわけでは決してなかった。ナチ・ドイツの主要な政策の一つがドイツ国外に住むドイツ系住民のドイツ本国への統合(「回収」)だったことや、1990年の東西ドイツ統一の際の周辺国の反応からも明らかなように、「ドイツ問題」は少なくとも19世紀初めから20世紀末までの200年間にわたって、ヨーロッパ安定の鍵を握る重大な問題であった。
 本講義ではこの「ドイツ問題」について論じ、「ドイツ人」ないし「ドイツ系」と考えられた人々の統合を試みたナショナリズムが、いかに近現代のドイツ、ひいてはヨーロッパの歴史を動かしてきたかを考える。前期は、ドイツ・ナショナリズムが勃興した19世紀初めからナチスの政権掌握直前までの時期を、後期はナチ時代から現在までを扱う。
 なお、1871年のドイツ帝国成立後のオーストリアの歴史は、「ドイツ史」の叙述からは除外されてしまうのが通例である。しかしオーストリア人はドイツ国外に住むドイツ系住民の最大の集団であり、ナチ・ドイツが最初に行った領土拡張もオーストリア併合(合邦)であった。よって本講義では、オーストリアの問題を「ドイツ問題」の重要な一角として重点的に扱う。
 ドイツの統一をめぐる各時代の議論においては、「ドイツ人」や「ドイツ的」とは何かということが論じられてきた。それは裏を返せば、「非ドイツ的」なものを排除しようとする動きと一体であった。ナショナリズムには、人々を統合し社会を安定させる働きもある一方で、国内外で人々の対立を煽る面もある。本講義が、現在、世界各国で高まる自国(民)第一主義や排外主義について、各自が考える一助になればと思う。
 到達目標(ねらい) 本科目は、文学部の学位授与方針DP2およびDP3と特に関連が強い。

ドイツおよびオーストリア近現代史についての基本的事項や新しい研究成果について知るとともに、歴史的事象および現在の出来事について多角的な視点から考える能力を身に着けられる。
 授業スケジュール
第 1 回
授業の計画・内容 「ドイツ問題」とは・ナショナリズム概論
準備学習
(予習・復習等)
シラバスに目を通して、授業の概要を把握しておくこと。 60分
第 2 回
授業の計画・内容 ドイツ統一運動のはじまり:ナポレオン戦争の衝撃
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 3 回
授業の計画・内容 1848年革命:ドイツ統一の方式をめぐる議論
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 4 回
授業の計画・内容 ドイツ帝国の成立
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 5 回
授業の計画・内容 ドイツ帝国成立以後のオーストリア
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 6 回
授業の計画・内容 第一次世界大戦
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 7 回
授業の計画・内容 敗戦と革命:ドイツ帝国とハプスブルク帝国の崩壊
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 8 回
授業の計画・内容 ヴェルサイユ体制:第一次世界大戦後のヨーロッパ
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 9 回
授業の計画・内容 修正主義外交とマイノリティ問題
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 10 回
授業の計画・内容 ユダヤ人問題:同化ユダヤ人と東方ユダヤ人
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 11 回
授業の計画・内容 戦間期のヨーロッパ統合計画
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 12 回
授業の計画・内容 独墺合邦問題①:ドイツ、オーストリア、周辺諸国の各事情
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 13 回
授業の計画・内容 独墺合邦問題②:独墺関税同盟計画ほか
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 14 回
授業の計画・内容 独墺合邦問題③:「ドイツ性」、「オーストリア性」をめぐる議論
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 15 回
授業の計画・内容 前期のまとめ
準備学習
(予習・復習等)
それまでの授業の内容の振り返り 60分
第 16 回
授業の計画・内容 戦間期のドイツとオーストリアの政治状況の概観
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 17 回
授業の計画・内容 ドイツにおけるナチ党の政権掌握
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 18 回
授業の計画・内容 オーストリアにおけるナチ党の勢力拡大
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 19 回
授業の計画・内容 ナチ・ドイツによるオーストリア併合
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 20 回
授業の計画・内容 ナチ・ドイツのヨーロッパ侵略
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 21 回
授業の計画・内容 ナチスの民族政策①:国内における政策
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 22 回
授業の計画・内容 ナチスの民族政策②:「民族ドイツ人の回収」とホロコースト
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 23 回
授業の計画・内容 ナチ支配下のオーストリア:積極的加担・順応・抵抗
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 24 回
授業の計画・内容 第二次世界大戦後における「ドイツ問題」:東西ドイツの分裂とオーストリアの中立国化
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 25 回
授業の計画・内容 第二次世界大戦後の国境の変更と人の移動:被追放民問題
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 26 回
授業の計画・内容 東西ドイツそれぞれにおける国民意識形成の試みとナチ時代の過去との取り組み
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 27 回
授業の計画・内容 オーストリアにおける独自の国民意識形成の試みとナチ時代の過去との取り組み
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 28 回
授業の計画・内容 東西ドイツ統一と「ドイツ問題」
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 29 回
授業の計画・内容 現在のドイツおよびオーストリアにおけるナショナリズム:EU、移民・難民問題
準備学習
(予習・復習等)
該当する時代について参考書による予習と、配布資料による復習 60分
第 30 回
授業の計画・内容 全体のまとめ
準備学習
(予習・復習等)
それまでの授業の内容の振り返り 60分
 履修上の留意点等 前提知識として、ドイツ・オーストリア史やヨーロッパ史について高校世界史程度の知識を持っていることが望ましい。シラバスや授業で指示する参考書や、その他のドイツ・オーストリア近現代史に関する概説書や専門書を積極的に読んだ上で、講義に出席すること。

質問や授業に対する要望は、授業後の時間やリアクションペーパーで受け付けます。
 成績評価の方法
60 % 試験
レポート
小テスト
40 % 平常点




平常点は、授業中に適宜リアクションペーパーを提出してもらい、評価します。
 教科書/テキスト
毎回、プリントを配布しますので、教科書は用いません。
 参考書
 図書館蔵書検索 図書館蔵書検索
さしあたり以下の参考文献をあげておくが、講義に関係する文献リストは適宜配布する。
石田勇治編著『図説 ドイツの歴史』、河出書房新社、2007年、1,850円+税、ISBN:978-4-309-76105-3
増谷英樹, 古田善文著『図説 オーストリアの歴史』、 河出書房新社、2011年、1,800円+税、ISBN:978-4-309-76175-6
木村靖二編『ドイツ史』(新版世界各国史 13)、山川出版社、2001年、3500円+税、ISBN: 978-4-634-41430-3
南塚信吾編『ドナウ・ヨーロッパ史』(新版世界各国史 19)、山川出版社、1999年、3500円+税、ISBN: 978-4-634-41490-7
木村靖二ほか編『世界歴史大系 ドイツ史2』、山川出版社、1996年、5,343円 + 税、ISBN:978-4-634-46130-7
木村靖二ほか編『世界歴史大系 ドイツ史3』、山川出版社、1997年、5,619円 + 税、ISBN:978-4-634-46140-6
木村靖二編『ドイツの歴史 新ヨーロッパ中心国の軌跡』、有斐閣アルマ、2000年、2,100円+税、ISBN 4-641-12084-6
 学生による授業アンケート結果等による授業内容・方法の改善について 担当者交代のため、前年度アンケート実績なし。
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