駒澤大学 シラバス照会

 履修コード/科目名称  094601 / アジア経済論a
 開講年度・期  2020年 前期  開講曜日・時限  金曜日 3時限
 単位数  2
 付記  ◎予
 主担当教員氏名(カナ)  鄭 章淵(チヨン チヤンヨン)
 副担当教員氏名(カナ)  
 授業概要  前期開講のアジア経済論aは、後期開講のアジア経済論bが「各論」であるのに対し 「総論」に相当する。授業内容の概略は以下の通りである。まず、アジア経済にアプローチする際の基本的な視座と「東アジア」(北東アジア+東南アジア)という地域的範疇の重要性について確認し、東アジアの地域的な特徴である「多様性」に注目して、経済をはじめ、政治、社会、宗教、民族など各分野の実情について解説する。そして、日本と東アジアの関係史を時系列的に捉えた後、経済発展の特徴や要因を分析することによって東アジア経済の全体的な発展像を把握できるようにする。また、東アジアの経済発展についてこれまで経済学はどのように理解してきたのか、開発経済学の諸議論を中心にそれぞれの学派の理論的内容についても紹介する。  
 アジアNIEs(韓国・台湾・香港・シンガポール)の出現から本格化した東アジアの経済発展(工業化)は、表向きは輸出指向工業化戦略を採用した各国経済の連鎖的な発展という形態をとりながらも、背景には域内外の企業による海外直接投資を媒介とする国境を越えた重層的な生産ネットワーク(グローバル・バリューチェーン)の形成が存在してきた。その工業化のダイナミズムは、製造業以外の分野にも波及して東アジア各国の経済全体の底上げを可能にしたばかりか、世界有数の人口を擁する東アジアを一大消費地に変貌させた。ところが、かつて「雁行形態」と形容された東アジア諸国の秩序ある経済発展も1997年のアジア通貨危機を機に変調を来すようになり、2008年の世界金融危機の後遺症や保護貿易主義の台頭に直面する今日では、各国の経済状況は総じて困難に直面するに至っている。
 講義では、リージョナル(地域的)な視点とともに、発展と矛盾を統一的に捉えるアプローチを重視して、東アジア経済の実体に迫ってみることにしたい。
 到達目標(ねらい)  この科目のねらいは、アジア経済論の総論として、受講生の皆さんが東アジアという 地域概念と東アジア経済発展の全体像をイメージできるようにし、各論である後期授業に備えることである。まず、東アジアにおける経済発展の特徴や要因について歴史的に把握し、その理論的含意について理解してもらう。
 また、グローバリゼーションの貫徹する今日の世界経済では、各国が直面する諸問題を根本的に解決するにはすぐれて国民経済の枠組みを超えた地域的発想が求められており、日本において「東アジア」という地域概念の重要性が増している事実をあわせて認識してもらう。このような地域的視座の共有は、東アジアにおける共存共栄関係の形成と発展に大いに資するものと思われる。
 この科目は、経済学部の学位授与方針のDP2と特に関連が強く、DP5にも関連する。
 授業スケジュール
第 1 回
授業の計画・内容 アジア経済論の基本的視座(「東アジア」の範疇)
準備学習
(予習・復習等)
シラバスの事前確認、配付資料(地図)の復習 90分
第 2 回
授業の計画・内容 東アジアの「多様性」1(歴史・民族・宗教・文化)
準備学習
(予習・復習等)
教科書・参考書該当箇所の予習、講義ノート内容および配付資料(多様性1)の復習 90分
第 3 回
授業の計画・内容 東アジアの「多様性」2(経済・政治・社会)
準備学習
(予習・復習等)
教科書・参考書該当箇所の予習、講義ノート内容および配付資料(多様性2)の復習 90分
第 4 回
授業の計画・内容 東アジアと日本の関係史1(第二次世界大戦以前:近代、植民地期)
準備学習
(予習・復習等)
教科書・参考書該当箇所の予習、講義ノート内容および配付資料(年表1:戦前)の復習 90分
第 5 回
授業の計画・内容 東アジアと日本の関係史2(第二次世界大戦以降)
準備学習
(予習・復習等)
教科書・参考書該当箇所の予習、講義ノート内容および配付資料(年表2:戦後)の復習 90分
第 6 回
授業の計画・内容 経済発展の特徴1(雁行形態的発展)
準備学習
(予習・復習等)
教科書・参考書該当箇所の予習、講義ノート内容および配付資料(レジュメ:特徴)の復習 90分
第 7 回
授業の計画・内容 経済発展の特徴2(輸出指向工業化)
準備学習
(予習・復習等)
教科書・参考書該当箇所の予習、講義ノート内容および配付資料(レジュメ:特徴)の復習 90分
第 8 回
授業の計画・内容 経済発展の特徴3(政府主導型の経済発展ほか)
準備学習
(予習・復習等)
教科書・参考書該当箇所の予習、講義ノート内容および配付資料(レジュメ:特徴)の復習 90分
第 9 回
授業の計画・内容 経済発展の要因1(分析方法と諸要因)
準備学習
(予習・復習等)
教科書・参考書該当箇所の予習、講義ノート内容および配付資料(レジュメ:分析方法と要因)の復習 90分
第 10 回
授業の計画・内容 経済発展の要因2(諸要因)
準備学習
(予習・復習等)
教科書・参考書該当箇所の予習、講義ノート内容および配付資料(レジュメ:分析方法と要因)の復習 90分
第 11 回
授業の計画・内容 東アジア経済と経済理論1(新古典派開発経済学)
準備学習
(予習・復習等)
教科書・参考書該当箇所の予習、講義ノート内容および配付資料(レジュメ:理論系譜図)の復習 90分
第 12 回
授業の計画・内容 東アジア経済と経済理論2(その他の理論)
準備学習
(予習・復習等)
教科書・参考書該当箇所の予習、講義ノート内容および配付資料(レジュメ:理論系譜図)の復習 90分
第 13 回
授業の計画・内容 経済発展の前提条件(農地改革ほか)
準備学習
(予習・復習等)
教科書・参考書該当箇所の予習、講義ノート内容および配付資料(レジュメ:前提条件)の復習 90分
第 14 回
授業の計画・内容 東アジア経済の全体像の把握
準備学習
(予習・復習等)
教科書・参考書該当箇所の予習、講義ノート内容および配付資料(レジュメ:経済発展全体像)の復習 90分
第 15 回
授業の計画・内容 まとめ(授業全体の振り返り、試験準備)
準備学習
(予習・復習等)
レジュメの復習 90分
 履修上の留意点等 ・試験およびレポートの際に自筆のノートおよび配布プリントを参照条件とするので、授業を欠席せずに講義内容のノート整理に努めてもらいたい。
・アジア経済論は前期(アジア経済論a)と後期(アジア経済論b)の講義内容が体系化されたものなので、受講生の皆さんには特段の理由がない限り通年で履修してもらいたい。
・テキスト・参考書の該当箇所と新聞・雑誌・WEBサイト(例えば世界銀行、アジア開発銀行、ASEANのホームページ)のアジア経済に関する記事をよく読むこと。
 成績評価の方法
80 % 試験
20 % レポート
小テスト
平常点




 レポートは1回提出してもらう。
 教科書/テキスト
書籍名 東アジアの開発経済学
著者名 大野健一・桜井宏二郎 出版年 1997年 価格 2,420円
出版社 有斐閣アルマ ISBN 4-64112044-7
備考 価格については変動あり。
 特に定めないが、準テキストとして記載した文献を購読してもらいたい。
 参考書
 図書館蔵書検索 図書館蔵書検索
・鄭章淵著『韓国財閥史の研究』日本経済評論社、2007年、ISBN 978-4-1920-7
・和田春樹ほか編『岩波講座 東アジア近現代通史』全10巻、岩波書店、2011年、ISBN 978-4-00-011281-9ほか
・上原一慶ほか著『東アジア近現代史』〔新版〕有斐閣Sシリーズ、2015年、ISBN 9784-641-15945-7
・宮城大蔵編著『戦後日本のアジア外交』ミネルヴァ書房、2015年、ISBN 978-4-62307216-3
・藤田和子ほか編著『新自由主義下のアジア』(「グローバル・サウスはいま」第2巻) ミネルヴァ書房、2016年、ISBN 978-4-623-07626-0
・遠藤環ほか編『現代アジア経済論』有斐閣ブックス、2018年、ISBN 978-4-64118442-8
・後藤健太著『アジア経済とは何か』中公新書、2019年、ISBN 978-4-12-102571-5 C1233
 学生による授業アンケート結果等による授業内容・方法の改善について  授業アンケート結果は総じて好評であったが、受講生の皆さんにとってより分かりやすい授業にするために、話し方・板書・教場の静謐さに注意を払うとともに、充実した資料作りに努めることにしたい。とくに皆さんの板書の労を軽減するために更なるレジュメ資料の作成にも取り組みたい。
 関連リンク
 実務経験がある教員による授業科目
 アクティブラーニング型の授業科目