駒澤大学 シラバス照会

 履修コード/科目名称  127801 / 民法(総則・物権法) 127802 / 民法Ⅰ(総則・物権法) 127803 / 民法Ⅰ
 開講年度・期  2020年 通年  開講曜日・時限  金曜日 5時限
 単位数  4
 付記  ◎予
 主担当教員氏名(カナ)  石口 修(イシグチ オサム)
 副担当教員氏名(カナ)  
 授業概要  本講義は、民法第1編総則、第2編物権の授業です。
 前期15回で、「第1編 民法総則」を講義します。
 民法総則は、民法の基本原則、財産権の主体(人)と客体(物)、法律行為の総論(意思表示、代理、無効・取消、条件・期限)、時効について規定しています。

 後期15回で、「第2編 物権」を講義します。物権は、物権法ともいい、所有権を中心とする物の上の権利関係を扱います。総論では主として物権の変動と第三者への対抗について規定しています。占有権以下は、個々の物権に関する法律です。占有権は、時効、物権変動と密接に関係するので、それらの箇所において説明します。
 所有権は物権の代表格であり、物権としては完全な姿を有しています(完全権)。
 所有権以外の物権(地上権、永小作権、地役権、入会権、留置権、先取特権、質権、抵当権)は、いずれも所有権から派生する物権であり、いずれも不完全な物権に過ぎません。したがって、制限物権といいます。
 本講義は、教科書と六法を使いつつ、以上の内容を分かりやすく講義します。
 到達目標(ねらい)  民法の社会的意義、財産権の意義、性質、効力、を始めとして、物権を中心とする権利関係の本質を理解する。
 授業スケジュール
第 1 回
授業の計画・内容 民法総則講義-『民法要論Ⅰ民法総則』を使って講義する。
序章 民法の基礎
①民法とは何か
②民法の適用
③民法の解釈。
準備学習
(予習・復習等)
①民法の意義は、教科書・民法要論Ⅰの1頁から13頁(以下、教科書の表示を省略し、頁のみ記載する)。
②民法の適用は、14頁から25頁。
③民法の解釈は、26頁から31頁。
60分
第 2 回
授業の計画・内容 第1章 民法の基本原則
①民法の一般原理
②民法1条の基本原則-私権の社会性、信義誠実の原則、権利濫用の禁止
準備学習
(予習・復習等)
①は、32頁から34頁。
②は、35頁から54頁。
60分
第 3 回
授業の計画・内容 第2章 権利の主体
①権利の主体たる人―自然人と法人
②権利能力、意思能力、行為能力
③制限行為能力総論、④未成年、⑤成年後見、⑥保佐、⑦補助、⑧住所、居所、⑨不在者の財産管理、⑩失踪宣告
準備学習
(予習・復習等)
①権利の主体は、主に自然人に関して学習する。
②を含めて、予習は、教科書55頁から61頁まで。
③以下は、全体として、61頁から83頁まで。
60分
第 4 回
授業の計画・内容 ①法人の意義、設立
②法人の行為能力・不法行為能力
準備学習
(予習・復習等)
①は、84頁から100頁。
②は、100頁から112頁まで。
60分
第 5 回
授業の計画・内容 第4章 法律行為
法律行為の基礎―①契約自由の原則、②契約など、法律行為の有効要件
準備学習
(予習・復習等)
法律行為の基礎は、142頁から157頁。 60分
第 6 回
授業の計画・内容 公序良俗違反の法律行為

前期の中間試験を実施する(7月前半)。
準備学習
(予習・復習等)
公序良俗違反は、158頁から171頁。 60分
第 7 回
授業の計画・内容 第5章 意思表示
第1節 意思と表示の不一致
①心裡留保
②虚偽表示
準備学習
(予習・復習等)
意思と表示の不一致の意義は、172頁、173頁。
①心裡留保は、173頁から177頁。
②虚偽表示は、177頁から194頁。
60分
第 8 回
授業の計画・内容 (続き)
④錯誤

第2節 瑕疵ある意思表示
①詐欺による意思表示
②強迫による意思表示
準備学習
(予習・復習等)
④錯誤は、195頁から206頁。

第2節 瑕疵ある意思表示
①詐欺による意思表示は、209頁から214頁。
②強迫による意思表示は、214頁から217頁。
60分
第 9 回
授業の計画・内容 第6章 代理制度
①代理制度総説
②有権代理―代理の本質、代理の前提要件、代理権(授権行為)
準備学習
(予習・復習等)
①代理法総論は、230頁から238頁。
②有権代理は、239頁(代理の法律関係)から258頁あたりまで。
60分
第 10 回
授業の計画・内容 ②有権代理(続き)-代理権の消滅、代理行為の当事者、代理行為の効果帰属、復代理
準備学習
(予習・復習等)
258頁(代理権の消滅)から281頁まで。 60分
第 11 回
授業の計画・内容 第4節 無権代理
①無権代理の意義ほか
②無権代理と相続
準備学習
(予習・復習等)
281頁から304頁まで。
②無権代理と相続は、292頁から304頁(重要)。
代理権のない者の「代理行為」の意義、問題点を理解する。
60分
第 12 回
授業の計画・内容 第5節 表見代理
①表見代理総説
②代理権授与表示(109条表見代理)
③越権行為(110条表見代理)
④代理権消滅後(112条表見代理)
準備学習
(予習・復習等)
305頁から343頁。
①総説は、305頁から311頁
②109条は、311頁から317頁。
③110条は、317頁から338頁。
④112条は、338頁から343頁。
109条、110条、112条の各種の表見代理制度の意義と類似点、相違点を中心に理解する。
60分
第 13 回
授業の計画・内容 第7章 法律行為の無効と取消
①総説
②無効
③取消
第8章 条件と期限
①総説
②条件
③期限
準備学習
(予習・復習等)
無効と取消、条件と期限をそれぞれ簡単に説明する。

無効・取消は、344頁から371頁。
条件・期限は、372頁から389頁。
90分
第 14 回
授業の計画・内容 第10章 時効制度
①時効制度の意義、存在理由
②時効の効力
③時効障害事由
準備学習
(予習・復習等)
①時効制度総論は、393頁から404頁。
②時効の効力は、405頁から421頁。
③時効障害事由は、422頁から441頁。
90分
第 15 回
授業の計画・内容 〈前回からの続き〉
④取得時効
⑤消滅時効(以上で、時効制度が終了)

第3章 権利の客体
①権利の客体としての「物」―有体物制度(以上、『民法要論Ⅰ民法総則』が終了)
準備学習
(予習・復習等)
④取得時効は、442頁から453頁。
⑤消滅時効は、454頁から460頁。

第3章 権利の客体
①権利の客体=物は、122頁から141頁。物権法に繋がる箇所なので、民法総則の最後に講義する。
60分
第 16 回
授業の計画・内容 物権法講義-『民法要論Ⅱ物権法』を使って講義する。
第1章 物権法総論
①物権の意義、性質、目的、物権法定主義などの基本原理
②物権の効力総論
準備学習
(予習・復習等)
①物権の意義・目的などは、1頁から15頁。
②物権の効力・総論は、15頁から17頁。
60分
第 17 回
授業の計画・内容 ③物権的請求権(意義、性質、要件、相手方)
④物権的請求権と人格権の侵害に対する保護・差止請求
準備学習
(予習・復習等)
③物権的請求権は、18頁から40頁。
④人格権侵害は、40頁から48頁。
60分
第 18 回
授業の計画・内容 第2章 物権の変動
①物権変動の意義、公示の原則と公信の原則
②意思表示による物権変動―民法第176条論
③不動産登記制度
準備学習
(予習・復習等)
①物権変動の意義、公示・公信原則は、49頁から54頁。
②176条論は、54頁から73頁。
③不動産登記制度は、73頁から106頁だが、授業では簡単に説明するので、予習は不要。
60分
第 19 回
授業の計画・内容 登記なくして対抗しえない第三者―民法第177条総論
準備学習
(予習・復習等)
106頁から150頁。 90分
第 20 回
授業の計画・内容 第177条各論〔1〕意思表示の失効に関連する物権変動
①法律行為の取消と登記
②法律行為の解除と登記
準備学習
(予習・復習等)
①取消と登記は、150頁から162頁。
②解除と登記は、162頁から165頁。
60分
第 21 回
授業の計画・内容 第177条各論〔2〕相続と登記
準備学習
(予習・復習等)
165頁から179頁。 60分
第 22 回
授業の計画・内容 後期中間試験(昨年は12月初めに実施した。)
準備学習
(予習・復習等)
中間試験の内容を復習する。 60分
第 23 回
授業の計画・内容 ①第177条各論〔3〕取得時効と登記
②第177条各論〔4〕公権力の関与する物権変動、その他の物権変動と登記
準備学習
(予習・復習等)
①取得時効と登記は、179頁から194頁。
②は、194頁から203頁。
60分
第 24 回
授業の計画・内容 ①動産に関する物権変動―民法第178条論
②即時取得(公信の原則)
準備学習
(予習・復習等)
①動産物権変動は、204頁から207頁。
②即時取得は、208頁から233頁。
60分
第 25 回
授業の計画・内容 第3章 占有権
占有権〔1〕占有権の意義、種類、占有権の取得
準備学習
(予習・復習等)
249頁から276頁。 60分
第 26 回
授業の計画・内容 占有権〔2〕占有権の効力、占有訴権、その他
準備学習
(予習・復習等)
277頁から312頁。 60分
第 27 回
授業の計画・内容 第4章 所有権
①所有権の意義、社会的作用、性質
②内容
③所有権の取得
  なお、時間が足りない場合には、独立の授業時間を設けず、随所で説明することで替える。
準備学習
(予習・復習等)
①は、313頁から320頁。
②は、320頁から337頁。
③は、337頁から356頁。
60分
第 28 回
授業の計画・内容 所有権(続き)―④共有、建物の区分所有

用益物権
①地上権
②永小作権
 なお、時間が足りない場合には、独立の授業時間を設けず、随所で説明することで替える。
準備学習
(予習・復習等)
所有権(続き)④は、356頁から406頁(かい摘まんで講義する)。

用益物権
①地上権は、408頁から438頁。
②永小作権は、438頁から444頁。
 
60分
第 29 回
授業の計画・内容 第5章 用益物権
③地役権
④入会権
 なお、時間が足りない場合には、独立の授業時間を設けず、随所で説明することで替える。
準備学習
(予習・復習等)
③地役権は、444頁から464頁。
④入会権は、464頁から474頁。
60分
第 30 回
授業の計画・内容 所有権(完全権)と制限物権(用益物権、担保物権)との関係・再説
準備学習
(予習・復習等)
物権の代表―完全権たる所有権
所有権の存在下における制限物権(所有権の権能の委譲)
これらの関係について、復習する。
120分
 履修上の留意点等  必ず、六法と教科書を持参して授業を受けます。
 教科書は。前期と後期で異なるので注意してください。
 板書をノートにとり、復習時に参照しつつ、理解に努めてください。
 授業内容は、基本から応用までのレベルを維持するので、内容が難しいと思ったら、必ず質問してください。疑問を残したままだと理解できないことが多いです。
 法律の勉強は、まず第一に条文からなので、説明が分からないと思ったら、すぐに条文を参照し、説明と照らし合わせて理解します。
 当然のことですが、授業時間中の出入りを禁止します。
 授業時間中の飲食を禁止します。机上に飲み物を置かないでください。
 成績評価の方法
70 % 試験
レポート
30 % 小テスト
平常点




 総合評価によって評価します。
 具体的には、上記のように、年度の途中で実施する中間試験(小テスト、前・後期1回ずつ)と学年末に実施する定期試験によって評価します。 
 例年、中間試験、期末試験ともに、六法と教科書の持ち込みを可としています。
 教科書/テキスト
書籍名 『民法要論Ⅰ 民法総則』
著者名 石口 修 出版年 2019 価格 4,400円
出版社 成文堂 ISBN 978-4-7923-2733-0
備考 前期に使用する。価格は税込み。
書籍名 『民法要論Ⅱ 物権法』
著者名 石口 修 出版年 2017 価格 4,400円
出版社 成文堂 ISBN 978-4-7923-2702-6
備考 後期に使用する。価格は税込み。

 六法は、家庭学習用として、模範小六法(三省堂、平成31年版)を推薦する。但し、判例付きなので、試験の際には、デイリー六法やポケット六法をなど、別の六法を用意する必要がある。
 参考書
 図書館蔵書検索 図書館蔵書検索
特になし。
 学生による授業アンケート結果等による授業内容・方法の改善について  アンケートの回答数は少ないが、熱心に受講する学生が多い。
 出席は採らないが、出席率は高い。毎回、80パーセント以上の出席がある。中間試験もほとんどの学生が受験した。
 アンケートの回答は、高評価であった。わかりやすいと言ってもらえたので、やりがいを感じる。本年度も丁寧に授業を実施し、質問にも丁寧に応対する。質問は積極的にして欲しい。
 私は、字が下手なので、板書が見にくいかも知れないが、できるだけ丁寧に書くつもりでいる。
 関連リンク
 実務経験がある教員による授業科目
 アクティブラーニング型の授業科目