駒澤大学 シラバス照会

 履修コード/科目名称  129001 / アフリカ政治論
 開講年度・期  2020年 後期  開講曜日・時限  火曜日 4時限
 単位数  2
 付記  ◎予
 主担当教員氏名(カナ)  森口 岳(モリグチ ガク)
 副担当教員氏名(カナ)  
 授業概要  アフリカというと皆さん、なにを思い起こすでしょうか。紛争、飢餓、疫病、低開発、治安の悪さ、そんな否定的なイメージが大部分かもしれません。本講義では、そのようなネガティブなイメージとはまた別に、どのようなことが現代アフリカ諸国で起きていて、人々はどのようなことを考えて、自分たちの国の政治に関わっているのかについて考えていこうと思います。そしてアフリカという場所から、どのように世界(グローバル・サウス)や国際政治・経済の現状について、どのように考えていけばいいのか、手法としての地域研究を紹介するものでもあります。
 到達目標(ねらい)  第一の到達目標は「アフリカ」の各国の政治体制、経済状況の多様な現状について一定の理解に達することです。日本において「アフリカ」は、私たちの属する社会から程遠いものとして語られることが多いのですが、アフリカはその実、三千二十二万平方キロメートル(日本の約80倍)の広さを持つ大陸で、サハラ以北の北アフリカを含めると全56カ国を有する地域です。それらをひとくくりにいくつかのイメージでまとめてしまうにはあまりに乱暴なことでしょう。本講義は、まず否定的なイメージが作られた背景としてのアフリカの状況や近代史を学ぶとともに、その背後にある多様性に少しでも近づくことにあります。
 授業スケジュール
第 1 回
授業の計画・内容 オリエンテーション:授業の目的、概要、講師の紹介、授業スケジュール、および評価の仕方の確認など。
準備学習
(予習・復習等)
シラバスを熟読のこと。 60分
第 2 回
授業の計画・内容 現代アフリカの地理学・地政学、そして地域研究の方法論:アフリカ(特にサハラ以南)の地勢や経済事情についての講義を行う。
準備学習
(予習・復習等)
教科書の一章、および参考資料として論文を一篇熟読のこと。 120分
第 3 回
授業の計画・内容 国家/社会① アフリカにおける国家と「部族主義」、および地域対立:アフリカにおける国家と民族(部族主義)の関係を、地域間対立という枠組みで捉え、古典的なアフリカの地域政治についての特徴を講義する。事例国:ナイジェリア
準備学習
(予習・復習等)
参考資料として論文を一篇熟読のこと。また前回の参考資料の再読。 90分
第 4 回
授業の計画・内容 国家/社会② アフリカ国家とパトロン・クライアント関係:アフリカ国家内の政治的な汚職の氾濫、また激しい民族を基盤にした政治対立などを考慮した上で、「パトロンークライアント関係」についての解題を行う。事例国:ケニア
準備学習
(予習・復習等)
参考資料として論文を一篇熟読のこと。また前回の参考資料の再読。 90分
第 5 回
授業の計画・内容 国家/社会③ 現代アフリカにおける新家産制国家:前回、前々回の地域間対立やパトロンークライアント関係の問題を踏まえながら、武内の主張する「新家産制国家」についての説明を行う。事例国:ルワンダ
準備学習
(予習・復習等)
教科書の一章、および参考資料として論文を一篇熟読のこと。また前回の参考資料の再読。 120分
第 6 回
授業の計画・内容 近代史と植民地主義:植民地主義、特に間接統治(Divide & Rule)がどのように現代のアフリカ国家に影響を与えたかについての説明を行う。事例国:ウガンダ
準備学習
(予習・復習等)
参考資料として論文を一篇熟読のこと。また前回の参考資料の再読。 90分
第 7 回
授業の計画・内容 リーディング・ウィーク:映画上映①『ルムンバの叫び』
準備学習
(予習・復習等)
前回の参考資料の再読。 60分
第 8 回
授業の計画・内容 映画上映②『ルムンバの叫び』(続)/コンゴ民主共和国の近代史:これまでの現代アフリカの底流をなす民族対立と植民地主義の問題を考慮しながら、映画『ルムンバの叫び』(監督:ラウル・ペック,公開:2000年,製作:仏・白・独・ハイチ)を基に考える。
準備学習
(予習・復習等)
参考資料として論文を一篇熟読のこと。また前回の参考資料の再読。 90分
第 9 回
授業の計画・内容 紛争と政治①「部族紛争」という神話とアフリカの紛争の実際:90年代のアフリカの紛争の激化について焦点を当て、グローバルな流れの中での、アフリカでの紛争の特徴を考える。事例国:ルワンダ、コンゴ民主共和国
準備学習
(予習・復習等)
教科書の一章、および参考資料として論文を一篇熟読のこと。また前回の参考資料の再読。 90分
第 10 回
授業の計画・内容 紛争/政治② 資源と内戦:内戦の原因としての資源・歴史について考える。石油やレアメタルなどの鉱物資源がどのように近代においてアフリカの政治に影響を与えたか、どのように民族対立的な政治状況が作られていったかをスーダン、南スーダンの事例を考察していく。事例国:南スーダン・スーダン
準備学習
(予習・復習等)
教科書の一章、および参考資料として論文を一篇熟読のこと。また前回の参考資料の再読。 90分
第 11 回
授業の計画・内容 紛争/政治③ 難民と移民について:現代アフリカでの内戦の結果、難民などが生まれ、新たな内戦、もしくはテロなどの状況が生まれていく状況について講義を行う。事例国:ナミビア、ウガンダ
準備学習
(予習・復習等)
教科書の一章、および参考資料として論文を一篇熟読のこと。また前回の参考資料の再読。 90分
第 12 回
授業の計画・内容 音楽と政治:アフリカの政治文化の一側面:アフリカの政治(選挙やデモなど)で外せない、音楽と踊りについての講義を行う。事例国:ウガンダ、セネガル、南アフリカ
準備学習
(予習・復習等)
参考資料として論文を一篇熟読のこと。また前回の参考資料の再読。 60分
第 13 回
授業の計画・内容 経済/開発① アフリカにおける開発政策:国際政治社会の中におけるアフリカの問題、特に「貧困」とその取り組みとしての「開発」について講義を行う。事例国:南スーダン、レソト
準備学習
(予習・復習等)
教科書の一章、および参考資料として論文を一篇熟読のこと。また前回の参考資料の再読。 90分
第 14 回
授業の計画・内容 経済/開発② 新自由主義とアフリカ:冷戦後の構造調整を経て、「グローバル化」したアフリカにおける経済問題と、拡散するそこでの新自由主義的な傾向についての講義を行う。事例国:南アフリカ、ジンバブエ
準備学習
(予習・復習等)
教科書の一章、および参考資料として論文を一篇熟読のこと。また前回の参考資料の再読。 90分
第 15 回
授業の計画・内容 課題授業:アフリカ政治に関する映像資料(YouTube上にアップロードされているもの)を視聴することで、いままでの講義で議論された命題を再考し、小レポートを作成する。
準備学習
(予習・復習等)
参考資料として論文を一篇熟読のこと。また教科書、およびいままでの参考資料の再読。 120分
 履修上の留意点等
 成績評価の方法
60 % 試験
レポート
小テスト
40 % 平常点




・試験問題は試験日の三カ月前に公開される。公開された試験問題を、試験当日においては60分の時間において、持ち込みなしで回答することが求められる。・「平常点」については、毎回行うリアクションペーパー(講義時に問われた問いに答えるかたちのもの)を点数化するかたちとなる。なお第15回の課題授業で行う小レポートは平常点(40%)の中に組み込まれる。
 教科書/テキスト
書籍名 『地域研究へのアプローチ:グローバル・サウスから読み解く世界情勢』(仮題)
著者名 児玉谷史朗・嶋田晴行・佐藤章 出版年 2020 価格 2,800円
出版社 ミネルヴァ書房 ISBN
備考 2020年8月に出版予定。
 参考書
 図書館蔵書検索 図書館蔵書検索
・北川勝彦・高橋基樹編(2014)『現代アフリカ経済論』ミネルヴァ書房.
・川端正久・落合武彦(2006)『アフリカ国家を再考する』晃洋書房.
・武内進一(2009)『現代アフリカの紛争と国家:ポストコロニアル家産制国家とルワンダ・ジェノサイド』明石書店.
・佐藤章(2015)『ココア共和国の近代:コートジボワールの結社史と統合的革命』アジア経済研究所.

 学生による授業アンケート結果等による授業内容・方法の改善について 前年度は未実施につき該当なし。
 関連リンク
 実務経験がある教員による授業科目 講師は2008年から2年間在ウガンダ日本大使館にて、草の根・人間の安全保障無償資金協力プログラムの業務に従事。
 アクティブラーニング型の授業科目  毎回の授業でリアクション・ペーパーを取ることで、各授業ごとのフィードバックを図る。また履修者の人数によってはディベートなどのセッションを組むことも考えている。