駒澤大学 シラバス照会

 履修コード/科目名称  203801 / 仏教と人間
 開講年度・期  2020年 通年  開講曜日・時限  木曜日 3時限
 単位数  4
 付記  
 主担当教員氏名(カナ)  松田 陽志(マツダ ヨウジ)
 副担当教員氏名(カナ)  
 授業概要  この授業は駒澤大学の建学の理念である「仏教の教義並びに曹洞宗立宗の精神」に基づいて行われるものである。宗教全般についての理解を深め、仏教および禅の基本的な歴史や教義について概説するとともに、仏教が広がった地域社会の生活や文化に与えた影響などについても学ぶ。また、これらの視点から、人間が生きてゆくうえで直面するさまざまな問題についても考える。なお、年1回、坐禅実習を行う。
 到達目標(ねらい)  宗教や仏教および禅に関する基本的な知識を修得するとともに、これらが人間社会や文化に与えたさまざまな影響を学ぶことによって、これらを自らの人生に活かし、現代社会の諸問題に対処し、さらには仏教や禅の教えを広く地域社会や世界に発信できる力を身につける。また、仏教の教えと禅の精神に基づき、自分をより高める自己形成と学問研究を密接に関連して行うことができる駒澤大学の学生としてのアイデンティティを備えることを目的とする。
 授業スケジュール
第 1 回
授業の計画・内容 ガイダンス
授業の内容説明と受講上の注意事項
仏教を学ぶことの意味
準備学習
(予習・復習等)
講義ノートまたはファイルを用意する。
毎回資料を配付するが、その他に自分でメモする用紙を用意し、散逸しないようにファイリングしておくこと。
60分
第 2 回
授業の計画・内容 インドの仏教を学ぶこと
仏教の伝播―受容とその展開―
伝播することで変化する仏教を学ぶ意味とは何か
準備学習
(予習・復習等)
講義内容を自分の文章でまとめておくこと 60分
第 3 回
授業の計画・内容 仏教以前―ヒンドゥー教とは―
アーリヤ人の侵入によるヒンドゥー教の成立
ヒンドゥー教の今日に到るまで最も根幹に置く考え方は何か
準備学習
(予習・復習等)
配布資料より講義内容を文章でまとめておくこと。 60分
第 4 回
授業の計画・内容 ヒンドゥー教の因果応報思想と出家①
ヒンドゥー教徒にとって輪廻が苦しみそのものであったのはなぜか
準備学習
(予習・復習等)
自分で講義内容を文章化しておくこと
60分
第 5 回
授業の計画・内容 カースト制度と仏教①―ヴァルナとジャーティ―
カースト制度の最も深刻な問題とは何か
準備学習
(予習・復習等)
ヒンドゥー社会の問題点を自分で指摘できるようにまとめておくこと
60分
第 6 回
授業の計画・内容 カースト制度と仏教②―ガンジーとアンベードカル―
ガンジーとアンベードカルの立場・主張について
準備学習
(予習・復習等)
配布資料に頼らず、講義内容を自分の文章でまとめること
60分
第 7 回
授業の計画・内容 初期仏教の平等主義とは
平等主義の前提とは何か
ヒンドゥー教と初期仏教とはどのように違うのか
準備学習
(予習・復習等)
初期仏教において釈尊はカースト制度に対しどのような立場を取ったのかをまとめておくこと。 60分
第 8 回
授業の計画・内容 小テスト
大乗仏教の性格 ―讃仏運動―
大乗仏教とはどのような仏教か
初期仏教とどのように違うのか
準備学習
(予習・復習等)
具体的な状況から、全体的にどのようなことが言えるのか、を自分でまとめること
60分
第 9 回
授業の計画・内容 大乗仏教の性格―供養と救済―
ヒンドゥー教の変容と大乗仏教の興起
大乗仏教の救済主義は、どのような仏教を作り上げることとなったのか
準備学習
(予習・復習等)
初期仏教からの変化を、配布資料からではなく、自分で考えて文章にしておくこと。 60分
第 10 回
授業の計画・内容 初期仏教と大乗仏教―中国・日本の死生観―
中国・日本の死生観の上に展開した大乗仏教の意味
準備学習
(予習・復習等)
中国・日本の死生観を自分でまとめておくこと。特にそれがヒンドゥー教や初期仏教とどのように異なるのかを意識すること。 60分
第 11 回
授業の計画・内容 盂蘭盆会について
中国・日本の死生観の上に展開した盂蘭盆会の行事の由緒について
準備学習
(予習・復習等)
『仏説盂蘭盆経』の説話の持つ宗教的意味をよく理解し、自分で問題を提起してそれに応えるようにまとめておくこと。 60分
第 12 回
授業の計画・内容 釈尊の誕生①―誕生まで―
右脇腹からの誕生伝説の持つ意味とは何か
準備学習
(予習・復習等)
配布資料に内容がまとめられているからといって、小テストには不十分である。
後で配布資料をみれば、授業内容を具体的に思い出せるように自分の理解したことをノートに残しておくこと
60分
第 13 回
授業の計画・内容 釈尊の誕生② ―天上天下唯我独尊―
天上天下唯我独尊の語の、ヒンドゥー教的意味と仏教的意味について
準備学習
(予習・復習等)
いくつかの立場・視点を変えた解釈について検討する。資料に書かれていない重要な考え方も自分でノートにまとめておくこと。 60分
第 14 回
授業の計画・内容 〈小テスト〉
青年時代―出家の要因―
繊細なる気質のみが出家の要因であったのか
準備学習
(予習・復習等)
仏教以前のヒンドゥー教の宗教的通念の上の釈尊の出家の意味について、講義を聞いた上で自分のことばで考えたことをまとめておくこと 60分
第 15 回
授業の計画・内容 出家するまで―結婚とラーフラの誕生―
ヒンドゥー教の宗教的通念の上で、ラーフラが誕生したのは、どのような意味を持つか
出家とはどのような生活をするのか
準備学習
(予習・復習等)
出家を前にした釈尊の葛藤について、まとめて考えること。 60分
第 16 回
授業の計画・内容 釈尊の禅定体験
二人の禅定を行う出家修行者の指導を受け高い禅定を達成しながら、その下を去ったのという逸話は、どのようにつくられていったのか。
準備学習
(予習・復習等)
配布資料にまかせることなく、重複するとしても同じ内容を異なる自分の文章でまとめておくこと 60分
第 17 回
授業の計画・内容 苦行と悪魔の誘惑
苦行を行いながらそれをやめたという伝承の持つ意味とは何か
釈尊の前にあらわれた悪魔とは何か
準備学習
(予習・復習等)
初期仏教と大乗仏教との受けとめ方の違いについて注目し、双方を分けてまとめておくこと 60分
第 18 回
授業の計画・内容 坐禅実習
坐禅堂で坐禅を実習する
準備学習
(予習・復習等)
服装などの注意事項を確認しておくこと
食事・睡眠を適切にとっておくこと
坐禅をするぞ、という積極的な姿勢を持つこと
60分
第 19 回
授業の計画・内容 小テスト
初期仏教の五蘊非我説と大乗仏教の五蘊無我説
非我説と無我説との違いは何か
準備学習
(予習・復習等)
配布資料に書かれていないことを、自分で補足して資料を完成させること 60分
第 20 回
授業の計画・内容 『般若心経』における「五蘊皆空」
「五蘊皆空」を観ずることによって「一切の苦厄」を救うことができるとは、どのような考え方によるものか。
準備学習
(予習・復習等)
『般若心経』の「五蘊皆空」について、自分で説明できるようにまとめておくこと。 60分
第 21 回
授業の計画・内容 成道の内容① ―さとりとは何か―
大乗仏教における成道の意義と、初期仏教における釈尊の経験について
準備学習
(予習・復習等)
成道の経験と、成道の内容とを区別してまとめること 60分
第 22 回
授業の計画・内容 成道の内容② ―梵天勧請と初転法輪
初期仏教教団における梵天勧請の逸話の持つ意味について
準備学習
(予習・復習等)
配布資料に挙げる経典の中から、重要な引用箇所を見いだしてまとめておくこと。 60分
第 23 回
授業の計画・内容 成道の内容③ ―十二因縁と無明―
釈尊が成道の時さとったとされる縁起説とは何か
十二因縁の最初(最後)の項目である無明について、どのように受けとめるべきか。
準備学習
(予習・復習等)
難しい箇所なので、聞き取ったことを自分の言葉でまとめておくこと。 60分
第 24 回
授業の計画・内容 禅とは何か ―禅宗以前
禅宗初祖としての「ボダイダルマ」
準備学習
(予習・復習等)
禅に関心を寄せたポイント二点をまとめておくこと 60分
第 25 回
授業の計画・内容 禅の立場 ―菩提達磨の禅―
『二入四行論』にみる禅の立場
藉教悟宗・凝住壁観
準備学習
(予習・復習等)
達磨の言葉にみる、禅という仏教の受け取り方を文章にしてまとめておくこと。 60分
第 26 回
授業の計画・内容 禅の理解―慧可と東山法門―
『伝法宝紀』『楞伽師資記』などにみる禅宗教団の伝法
準備学習
(予習・復習等)
各文献の特徴などをまとめて理解しておくこと。 60分
第 27 回
授業の計画・内容 禅の伝灯①―荷沢神会の北宗禅批判①―
『菩提達磨南宗定是非論』における「嗣承は是れ傍」
「達磨無功徳」の因縁について
準備学習
(予習・復習等)
北宗禅批判としての「達磨無功徳」の意味と禅の立場を示す意味とを分け、文章にてまとめておくこと。 60分
第 28 回
授業の計画・内容 禅の伝灯②―荷沢神会の北宗禅批判②―
『菩提達磨南宗是非論』における「法門は是れ漸」
観心の修行批判
準備学習
(予習・復習等)
南頓北漸といわれる南宗と北宗の違いを、よく理解し、自分の文章でまとめておくこと。 60分
第 29 回
授業の計画・内容 禅の日常―弘忍と慧能―
『六祖壇経』における南宗禅の立場
準備学習
(予習・復習等)
弘忍と慧能のやりとりを通じて示される南宗禅の特質についてまとめておくこと。 60分
第 30 回
授業の計画・内容 〈小テスト〉
禅の修行―馬祖道一の「平常心是道」―
『馬祖道一禅師語録』による南宗禅の展開
『百丈清規』
準備学習
(予習・復習等)
禅問答を、より現実的に理解すること。 60分
 履修上の留意点等  毎回出席し、配布資料を整理保存すること。自分にとっての重要なメッセージは何かを考えながら、講義を聞いてください。そのため、重要だと思った事柄、意義ある内容を自分自身で見つけ出し、それを自分の文章でノートに簡潔にまとめてください。試験のために最も有効な方法です。
私語・遅刻・早退厳禁。
 授業時間内に授業内容に基づく小テストを実施するので、小テストは必ず受験してください。
 成績評価の方法
60 % 試験
10 % レポート
小テスト
30 % 平常点




   
 教科書/テキスト
 配布資料にしたがって講義する。
 参考書
 図書館蔵書検索 図書館蔵書検索
・早島鏡正監修・高崎直道編集代表 『仏教・インド思想辞典』
(春秋社、1987年4月、本体価格9,300円 ISBN 4-393-10102-2)
・田上太秀・石井修道編著 『禅の思想辞典』
(東京書籍、2008年6月、本体価格12,000円 ISBN 978-4-487-73334-7)
・星野英紀・池上良正・氣多雅子・島薗進・鶴岡賀雄編 『宗教学事典』
(丸善株式会社、2010年10月、本体価格20,000円 ISBN 978-4-621-08255-3)
・世界宗教百科事典編集委員会編・編集委員長:井上順孝 『世界宗教百科事典』
(丸善出版株式会社、2012年12月、本体価格20,000円 ISBN 978-4-621-08577-6)
・水野弘元著 『仏教の基礎知識』〈新版〉
(春秋社、2009年4月、本体価格1,700円 ISBN:978-4-393-10608-2)
・曹洞宗宗務庁教学部編 『仏教概論』850円
※これらはいずれも本学図書館で参照が可能であり、購入の必要はない
 学生による授業アンケート結果等による授業内容・方法の改善について 配布資料に基づいて講義するが、できるだけわかりやすく講義したい。
 関連リンク
 実務経験がある教員による授業科目 寺院住職
 アクティブラーニング型の授業科目