駒澤大学 シラバス照会

 履修コード/科目名称  216801 / 日本の文化と社会
 開講年度・期  2020年 通年  開講曜日・時限  火曜日 5時限
 単位数  4
 付記  ◎予・〔文化人類学〕
 主担当教員氏名(カナ)  加藤 之晴(カトウ ユキハル)
 副担当教員氏名(カナ)  
 授業概要  文化人類学は19世紀のヨーロッパで生まれました。自分達とは全く違った生活習慣や価値観・世界観を持った人々(異文化に暮らす人々)のことをどうやったら理解することができるのか。文化人類学の問題意識はここからスタートします。生まれて百年ちょっとの若い学問分野ですが、これまで多くの文化人類学者が異文化理解のための多様な枠組み(理論)を提示してきました。
 本講義では、そうした先学によってもたらされた理論をもとに、あえて、いま自分達が暮らしている「日本」のなかにある様々な「文化」を俎上に乗せて考察を進めていきます。
 授業は講義形式でおこないます。
 到達目標(ねらい)  通俗的には「単一文化」「単一民族」といった言葉で括られがちな日本社会ですが、実際はじつに多様な文化のかたちがあり、そこには様々な価値観・世界観を持った人々が暮らしているのだ、ということを字面以上の深いレベルで理解出来るようになってください。
なお、 本科目の内容は「総合教育研究部の学士課程教育の方針」にもとづくものです。
 授業スケジュール
第 1 回
授業の計画・内容 ガイダンス
準備学習
(予習・復習等)
【予習】シラバスの内容を確認しておいてください。 60分
第 2 回
授業の計画・内容 「文化」とは何か
準備学習
(予習・復習等)
【復習】日常生活における「文化」と文化人類学における「文化」の違いについて正確に把握出来るように、レジュメを確認してください。 60分
第 3 回
授業の計画・内容 文化人類学の目的と対象①文化人類学とはどんな学問なのか
準備学習
(予習・復習等)
【復習】文化人類学の目的とは何か。レジュメと参考文献を参照して確認してください。 60分
第 4 回
授業の計画・内容 文化人類学の目的と対象②「異文化」とはなにか
準備学習
(予習・復習等)
【復習】「異文化」=「外国の文化」ではないことを、レジュメと参考文献を参照して確認してください。 60分
第 5 回
授業の計画・内容 フィールドワークで探る「異文化」①肘掛け椅子からフィールドへ
準備学習
(予習・復習等)
【復習】フィールドワークが文化人類学の主たる方法となっている理由について、レジュメと参考文献を参照しながら考えてみましょう。 60分
第 6 回
授業の計画・内容 フィールドワークで探る「異文化」②フィールドワーカーはつらいよ
準備学習
(予習・復習等)
【復習】マリノフスキー『西大西洋の遠洋航海者』『マリノフスキー日記』を読んで、フィールドワーカーの苦労に思いを馳せてみましょう。 60分
第 7 回
授業の計画・内容 「文化相対主義」という視点①「自文化中心主義」から「文化相対主義」へ
準備学習
(予習・復習等)
【復習】「自文化中心主義」「文化相対主義」について正確に把握できているか、レジュメをもとに確認してみましょう。 60分
第 8 回
授業の計画・内容 「文化相対主義」という視点②文化相対主義的なものの見方とは
準備学習
(予習・復習等)
【復習】ある物事に対するあなた自身の認識ははたして「自文化中心主義」的なものか、それとも「文化相対主義」的なものなのか改めて考えてみましょう。 60分
第 9 回
授業の計画・内容 「境界」のちから①境界の生まれる場所
準備学習
(予習・復習等)
【復習】あなたの身の回りにある「境界」的な存在は何なのか。いくつか取り上げてみましょう。 60分
第 10 回
授業の計画・内容 「境界」のちから②さまざまな境界
準備学習
(予習・復習等)
【復習】「境界」的な存在は文学・映像などさまざまなシーンに見つけ出すことができます。今週は「身の回り」ではなくそうした作品の中に「境界」を探してみましょう。 60分
第 11 回
授業の計画・内容 「境界」のちから③人生における境界
準備学習
(予習・復習等)
【復習】人生における「境界」について、自分の過去・未来に思いをめぐらせて考えてみてください。 60分
第 12 回
授業の計画・内容 創られた「伝統」①伝統が「創られる」とは
準備学習
(予習・復習等)
【復習】ホブズボウム、E.・レンジャー、T.編『創られた伝統』を読んで、この本の著者たちが考える「二つの伝統」について正確に把握出来るようになりましょう。 60分
第 13 回
授業の計画・内容 創られた「伝統」②その伝統、本当に昔からあるものですか
準備学習
(予習・復習等)
【復習】自分の身の周りにある「創られた「伝統」」をいくつかピックアップしてみましょう。 60分
第 14 回
授業の計画・内容 創られた「伝統」③伝統を「創る」ひとたち
準備学習
(予習・復習等)
【復習】先週ピックアップした「創られた「伝統」」を創りだしたのは誰なのか・どのような意図があったのか、先週の考察をより発展させてみましょう。 60分
第 15 回
授業の計画・内容 創られた「伝統」④あれもこれも、「創られて」いた
準備学習
(予習・復習等)
【復習】現代の日本には、『創られた伝統』に刺激されて生まれた「伝統」批判の文献がたくさんあります。授業中に参考文献として挙げたものでも結構ですが、そうした文献(論文でも単行本でも)を一篇読んでみましょう。 60分
第 16 回
授業の計画・内容 文化変容|文化とは変化してゆくもの
準備学習
(予習・復習等)
【復習】レジュメ・参考文献を参照・参考にして「文化変容」の意味を把握しましょう。 60分
第 17 回
授業の計画・内容 疫病と文化変容
準備学習
(予習・復習等)
【復習】「ナポリ病」「スペイン病」について参考文献・webを使って調べてください。 60分
第 18 回
授業の計画・内容 反文化変容運動①ゴースト・ダンスとカーゴ・カルト
準備学習
(予習・復習等)
【復習】レジュメ・参考文献を参照・参考にして「ゴースト・ダンス」「カーゴ・カルト」発生の背景を確認しましょう。 60分
第 19 回
授業の計画・内容 反文化変容運動②日本と反文化変容運動
準備学習
(予習・復習等)
【予習】可能であれば映画『セデック・バレ』を見ておいてください。前後編合わせて4時間を超える長編ですが、AmazonやApple「TV」などの各種配信サービスから見ることができます(有料です)。 240分
第 20 回
授業の計画・内容 日本人とアニミズム①アニミズムとはなにか
準備学習
(予習・復習等)
【復習】「アニミズム」という言葉の意味を正確に把握出来ているかどうか、レジュメをもとに確認してください。 60分
第 21 回
授業の計画・内容 日本人とアニミズム②アニミズムは「平和の宗教」か
準備学習
(予習・復習等)
【復習】「アニミズム=平和の宗教」というニュアンスが含まれた言説を書籍・webから拾い上げてみましょう。それらはどういう立場の人物から発信されているのか考えてみるのもいいでしょう。 60分
第 22 回
授業の計画・内容 日本人とアニミズム③機械は「たましい」をもつのか
準備学習
(予習・復習等)
【復習】YouTubeなどを使って、『マジンガーZ』などの昭和に制作されたロボットアニメを見てみましょう。「アニミズム的な感性」がそのなかにどのように描かれているのか、考えてみましょう。 60分
第 23 回
授業の計画・内容 呪術と宗教|呪術はあなたのそばにある
準備学習
(予習・復習等)
【復習】「宗教」と「呪術」の関係を、レジュメや参考文献をもとに確認しましょう。 60分
第 24 回
授業の計画・内容 呪術①邪術
準備学習
(予習・復習等)
【復習】邪術の意味と機能について、レジュメや参考文献をもとに確認しましょう。 60分
第 25 回
授業の計画・内容 呪術②妖術
準備学習
(予習・復習等)
【復習】レジュメや参考文献をもとに、文化人類学における「妖術」という概念を確認しましょう。 60分
第 26 回
授業の計画・内容 病いと憑依 日本人の身心①シャーマニズムとはなにか
準備学習
(予習・復習等)
【復習】レジュメや参考文献をもとに、文化人類学における「シャーマン」「シャーマニズム」という概念を確認しましょう。 60分
第 27 回
授業の計画・内容 病いと憑依 日本人の身心②シャーマニズムの実際
準備学習
(予習・復習等)
【復習】『シャーマンキング』(マンガorアニメ)を読んで(見て)、実際のシャーマニズムとどういうところが違うのか思いを巡らせてみましょう。 60分
第 28 回
授業の計画・内容 病いと憑依 日本人の身心③なぜシャーマンは人を癒やせるのか
準備学習
(予習・復習等)
【復習】書籍やWebを使って、シャーマニズムとよく似た「癒しの技法」を持ったものがないか探してみましょう。 60分
第 29 回
授業の計画・内容 病いと憑依 日本人の身心④「日本文化論」論
準備学習
(予習・復習等)
【復習】1960-90年代の研究者が、「日本人に特有の身体観」と捉えたものは何であったのか、レジュメや参考文献をもとに、考えてみましょう。 60分
第 30 回
授業の計画・内容 まとめ
準備学習
(予習・復習等)
【復習】文化人類学的視点・文化相対主義的立場によって得られるもの・得られないものはなにか、授業を振り返って考えてみてください。 60分
 履修上の留意点等 1.授業中・授業後の質問は大歓迎です。積極的な授業態度で臨んでくれると、こちらも張り合いが出るというものです。
2.原則的に板書はしません。パソコンの画面を写したモニタと、レジュメを用いて授業を進めていきます。
 成績評価の方法
80 % 試験
20 % レポート
小テスト
平常点




原則的には年度末の筆記試験で評価しますが、平常点や課題レポートなどを評価の補足材料とする可能性があります。
 教科書/テキスト
特定の教科書は使いません。毎回講義のトピックを記したプリント(レジュメ)を配布します。
 参考書
 図書館蔵書検索 図書館蔵書検索
授業時に必要に応じて紹介します。
 学生による授業アンケート結果等による授業内容・方法の改善について 概ね好評を得られているようなので、例年通りでいきます。
 関連リンク
 実務経験がある教員による授業科目
 アクティブラーニング型の授業科目