駒澤大学 シラバス照会

 履修コード/科目名称  434711 / イスラムと文化
 開講年度・期  2020年 前期  開講曜日・時限  金曜日 2時限
 単位数  2
 付記  ◎予
 主担当教員氏名(カナ)  水上 遼(ミズカミ リヨウ)
 副担当教員氏名(カナ)  
 授業概要 本講義では、近年様々な報道で注目され、日本や日本人との関係も急速に緊密化している宗教イスラームについて、その教義や歴史、思想を中心に考察します。
授業の展開としては、まずイスラームに関する六信や五行といった基礎的教義を、先行する一神教であるユダヤ教やキリスト教などと比較しながら論じます。次に、預言者ムハンマドの時代(7世紀)から14世紀ごろまでのイスラームの歴史を、宗教・政治的権威のあり方の変化を軸に概観します。その中で、カリフ制度やイスラーム内での分派の形成、イスラーム勢力の拡大についても扱います。そして、イスラームを知る上で欠かせない思想である、イスラーム法学やイスラーム神秘主義に関してもその基本的な考え方を学びます。なお、本講義では, 現在西アジアで少数派宗教(ネストリウス派やコプト派といったキリスト教諸派やゾロアスター教など)についても概観します。これらの少数派宗教はイスラームの形成と発展にも大きく関係していたからです。最後に、イスラーム文化とヨーロッパ文化の直接的な接触・交流の例として、十字軍の西アジアへの侵攻とスペインのイスラーム文化という2つの事例を取り上げます。
本授業はイスラームに関する基礎知識を身につけ、他宗教・異文化に対する関心を養う基礎的な講義です。
 到達目標(ねらい) イスラームの教義、歴史、思想について学び、自らの言葉で客観的な説明ができるようになることを目指す。また、イスラーム内の多様性・複雑性について関心を持ち、それらが相互にどのような関係にあるのかを理解する。
 授業スケジュール
第 1 回
授業の計画・内容 序:世界のモスクを見てみよう
準備学習
(予習・復習等)
高校世界史の教科書・図表や地図帳、インターネット等を使い、現在ムスリム(イスラーム教徒)の人口が多い地域がどこかを調べる。
授業で扱った世界の様々なモスクについて、それらの位置を地図で確認し、イスラームの広がりを理解する。
60分
第 2 回
授業の計画・内容 イスラームにおける六信と五行
準備学習
(予習・復習等)
イスラームの教義に関する基礎的な用語である、アッラー、預言者、モスク、断食といった語の意味を『岩波イスラーム辞典』(岩波書店、2002年)や『新イスラム事典』(平凡社、2002年)などで確認する。 60分
第 3 回
授業の計画・内容 西アジアの少数宗教
準備学習
(予習・復習等)
西アジアにはイスラームに先行して、ユダヤ教やキリスト教、ゾロアスター教といった宗教の古い伝統がある。『岩波イスラーム辞典』や『新イスラム事典』などでそれらの宗教とイスラームとの関係について概観する。 60分
第 4 回
授業の計画・内容 預言者ムハンマドとイスラームの始まり
準備学習
(予習・復習等)
授業プリントを復習し、ムハンマドの生涯がイスラームにおいてどのような位置づけになっているかを確認する。また、ユダヤ教やキリスト教の預言者(モーセやイエスなど)と比較し、ムハンマドの預言者としての特徴は何かを理解する。 60分
第 5 回
授業の計画・内容 カリフ制度の成立とアラブの大征服
準備学習
(予習・復習等)
預言者ムハンマドの死後に確立したカリフ制度とは何かを授業プリントで確認する。また、イスラームの拡大によって征服された地域は現在の国ではどのあたりなのかを地図帳やインターネットなどで確認する。 60分
第 6 回
授業の計画・内容 アッバース朝革命とカリフ制度の変転(8-10世紀)
準備学習
(予習・復習等)
アッバース朝カリフ政権弱体化の原因とは何であったのかを、授業プリントから復習する。 60分
第 7 回
授業の計画・内容 シーア派の成立と発展
準備学習
(予習・復習等)
シーア派教義の特徴を授業プリントから復習する。また、現在シーア派が多く住む国はどこかを『岩波イスラーム辞典』やインターネットなどから確認する 60分
第 8 回
授業の計画・内容 スンナ派の形成:ゆるやかで強固な多数派
準備学習
(予習・復習等)
多数派であるスンナ派の教義形成の過程を授業プリントで復習する。 90分
第 9 回
授業の計画・内容 イスラームの法学と神学:スンナ派の視点から
準備学習
(予習・復習等)
ハディース(預言者ムハンマドの伝承)とイスラーム法学の関係や、「法源」や「予定説」という用語について授業プリントで復習する。 60分
第 10 回
授業の計画・内容 イスラーム神秘主義:畏れ、愛、そして合一
準備学習
(予習・復習等)
イスラーム神秘主義教団は現在でも世界各地で活発に活動している。インターネットで彼らの歌や踊り、宗教行事などの動画をみつけ、どのような形で宗教実践を行っているのかを確認する。 60分
第 11 回
授業の計画・内容 激動の中世イスラーム(10-14世紀)
準備学習
(予習・復習等)
授業プリントを復習し、トルコ人のイスラーム改宗やモンゴルの西アジア侵入が持つ歴史的意義を確認する。 60分
第 12 回
授業の計画・内容 近世イスラーム三帝国の出現と衰退(16-18世紀)
準備学習
(予習・復習等)
近世イスラーム三帝国が栄えた地域を地図帳やインターネットで確認する。また、三つの国の共通点や相違点についても自分の言葉でまとめられるよう、授業プリントをみながら練習する。 60分
第 13 回
授業の計画・内容 ヨーロッパとイスラーム①:十字軍の記憶
準備学習
(予習・復習等)
十字軍の展開と、それが現地のムスリムたちにどのように受け止められてきたかを授業プリントで復習する。 60分
第 14 回
授業の計画・内容 ヨーロッパとイスラーム②:スペインのイスラーム文化
準備学習
(予習・復習等)
レコンキスタ運動を中心にスペインの歴史をみたとき、イスラームはどのような位置づけになるか、そしてそのような歴史観にはどのような問題点があるかを、授業プリントから確認する。 60分
第 15 回
授業の計画・内容 期末試験
準備学習
(予習・復習等)
授業プリントを確認し、各授業、テーマごとに内容を簡潔にまとめられるよう練習する。 60分
 履修上の留意点等 毎授業リアクションペーパーを配布しますので、質問はそこに記入してください(もちろん授業後に直接質問してもらっても大丈夫です)。次回授業の冒頭で回答します。
 成績評価の方法
90 % 試験
レポート
小テスト
10 % 平常点





 教科書/テキスト
教科書・テキストは特に指定しません。授業中にプリントを配布します。ただし、授業では頻繁に世界の国名・地名などが言及されますので、高校世界史の図表などを適宜参照し、確認するのが好ましいです。
 参考書
 図書館蔵書検索 図書館蔵書検索
水上遼『語り合うスンナ派とシーア派:十二イマーム崇敬から中世イスラーム史を再考する』風響社、2019.
小杉泰ほか編『大学生・社会人のためのイスラーム講座』ナカニシヤ出版、2018.
羽田正『モスクが語るイスラム史:建築と政治権力』(増補版)筑摩書房、2016.
大塚和夫ほか『岩波イスラーム辞典』岩波書店、2002.
日本イスラム協会『新イスラム事典』平凡社、2002.
 学生による授業アンケート結果等による授業内容・方法の改善について 新規担当科目なので前年度はアンケート未実施
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