授業概要 |
二大叙事詩『マハーバーラタ』・『ラーマーヤナ』以降,インドにおいてカヴィkaviと呼ばれる詩人たちは技巧的な言語作品カーヴィヤkāvya=美文体をもつもの(美文)を著してきた。彼らは著述に際して,アランカーラalaṃkāraという言葉の「飾り」(修辞法)を用いることによって自らの作品をより美しく,洗練され,技巧的なものにするよう腐心したが,この「飾り」を理論的・体系的に纏めたものが「修辞学」alaṃkāraと呼ばれる学問領域である。修辞学は,その性質上,文学作品と強い影響関係にあるものの,その扱う内容はサンスクリット文学のみならず,インド哲学や仏教経典・論書・説話等をも含むあらゆるサンスクリット文献の読解に際して不可欠な知識の一領域を構成している。本講義では,作家でもある8世紀のダンディンDaṇḍinによる初期古典修辞学における重要な理論書『美文体の鏡』Kāvyādarśaを中心として,この修辞学の内容を古典サンスクリット文学との関連性に注意を払いつつ解説してゆく。 |
到達目標(ねらい) |
本講義は,サンスクリット語で著されたあらゆる文献の読解に際して不可欠な知識の一つである修辞学の基礎的知識の涵養を目的とする。特にインド古典修辞学の変遷を修辞学と密接な関係を有するサンスクリット文学に関する基礎的知識とともに理解し,詩人が詩を美しくするために「飾り=修辞法」を用いるにあたって作品に対して何を具備させ,何を排除しなければならなかったのかという前提条件に関わる文体と詩的欠陥についての知識を習得することを目標とする。 |
授業スケジュール |
第 1 回 |
イントロダクション~修辞学とは何か
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第 2 回 |
kāvyaとは何か
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第 3 回 |
サンスクリット文学史概説
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第 4 回 |
インド古典修辞学史概説(1)
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第 5 回 |
〃 (2)
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第 6 回 |
文学と詩学の関連性
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第 7 回 |
ダンディンとその著作(1)
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第 8 回 |
〃 (2)
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第 9 回 |
文体について(1)
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第 10 回 |
〃 (2)
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第 11 回 |
〃 (3)
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第 12 回 |
詩的欠陥(doṣa)について(1)
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第 13 回 |
〃 (2)
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第 14 回 |
〃 (3)
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第 15 回 |
〃 (4)
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準備学習 |
毎回の授業内容をよく復習しておくこと。 |
履修上の留意点等 |
・本講義はサンスクリット語の修辞学をテーマとするため,履修者はサンスクリット語初級程度の知識を有していることが望ましい。但し,講義において原文を提示する場合には必ず日本語訳と対応させて解説し,その他の語学的解説も丁寧に行うため,必須ではない。
・後期に開講する仏教特講ⅣBは本講義と密接に関係しており,可能な限り併修することを推奨する。 |
成績評価の方法 |
80 % |
試験 |
10 % |
レポート |
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小テスト |
10 % |
平常点 |
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レポートは1回課す予定である。
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教科書/テキスト |
使用しない。 |
参考書
図書館蔵書検索
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教場にて適宜指示する。 |
学生による授業アンケート結果等による授業内容・方法の改善について |
2016年度から新規担当のため,前年度実績なし。 |
関連リンク |
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