授業概要 |
夏目漱石の『こころ』(1914年)の読解を出発点に据え、文学作品へのさまざまなアプローチの仕方を学ぶ。前期の授業では、まず『こころ』を読む。続いて、いくつかの『こころ』論を通して、これまで『こころ』がどのように読まれてきたのかを検討する。さらに、市川崑が1955年に映画化した『こころ』と小説の『こころ』を比較する。その際に「ホモソーシャル」という概念を手がかりにする。「ホモソーシャル」とは友情やライバル関係などを含む「同性間の社会的絆」を指し、1980年代後半から批評理論において盛んに用いられるようになったもので、特に男性同士の友情やライバル関係がいかなるものであるのか、そこで女性がどのように持ち出されるのかといった問題が明らかにされた。後期の授業では、その「ホモソーシャル」を参照しつつ、まずは西川美和の映画『ゆれる』(2006年)を分析する。続いて、江國香織の『きらきらひかる』(1991年)、松浦理英子の『裏ヴァージョン』(2000年)、角田光代の『対岸の彼女』(2004年)を読む。これらの作品からは、(男性の)「ホモソーシャル」への問いなおしが読み取れるのだが、具体的な作品の読解から「ホモソーシャル」を再検討することも試みたい。 |
到達目標(ねらい) |
先行研究や批評理論を参照しつつ、自分自身の読みを構築すること。その読みを他者に説得的に語ることができるようになること。 |
授業スケジュール |
第 1 回 |
ガイダンス
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第 2 回 |
『こころ』を読む①
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第 3 回 |
『こころ』を読む②
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第 4 回 |
『こころ』を読む③
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第 5 回 |
『こころ』を読む④
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第 6 回 |
『こころ』を読む⑤
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第 7 回 |
『こころ』はどのように読まれてきたか――『こころ』論を検討する①
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第 8 回 |
『こころ』はどのように読まれてきたか――『こころ』論を検討する②
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第 9 回 |
『こころ』はどのように読まれてきたか――『こころ』論を検討する③
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第 10 回 |
『こころ』はどのように読まれてきたか――『こころ』論を検討する④
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第 11 回 |
『こころ』はどのように読まれてきたか――『こころ』論を検討する⑤
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第 12 回 |
小説『こころ』と映画『こころ』①
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第 13 回 |
小説『こころ』と映画『こころ』②
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第 14 回 |
小説『こころ』と映画『こころ』③
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第 15 回 |
ここまでのまとめ
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第 16 回 |
前期の復習と後期のガイダンス
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第 17 回 |
映画『ゆれる』を読む①
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第 18 回 |
映画『ゆれる』を読む②
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第 19 回 |
映画『ゆれる』を読む③
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第 20 回 |
『きらきらひかる』を読む①
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第 21 回 |
『きらきらひかる』を読む②
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第 22 回 |
『きらきらひかる』を読む③
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第 23 回 |
『裏ヴァージョン』を読む①
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第 24 回 |
『裏ヴァージョン』を読む②
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第 25 回 |
『裏ヴァージョン』を読む③
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第 26 回 |
『対岸の彼女』を読む①
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第 27 回 |
『対岸の彼女』を読む②
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第 28 回 |
『対岸の彼女』を読む③
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第 29 回 |
ここまでのまとめとさらなる課題の提示
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第 30 回 |
全体のまとめ
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準備学習 |
授業で取り上げる作品(少なくとも授業で扱うところまで)は事前に読んでおくこと。また、授業の後には問題点を確認すること。読みやすい作品も読みにくい作品もあるが、できるだけ丁寧に読む/読みなおすこと。 |
履修上の留意点等 |
成績評価に関して、「試験」とは学期末の筆記試験(1回)、「レポート」とは夏休みの課題、「平常点」とは授業の最後に書いてもらうコメントの内容を指す。なお、受講に際して、予備知識は必要ない。 |
成績評価の方法 |
50 % |
試験 |
25 % |
レポート |
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小テスト |
25 % |
平常点 |
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教科書/テキスト |
夏目漱石『こころ』新潮文庫、400円、ISBN:4101010137
江國香織『きらきらひかる』新潮文庫、497円、ISBN:4101339112
角田光代『対岸の彼女』文春文庫、605円、ISBN:4167672057
ほかはプリント等を用いる。 |
参考書
図書館蔵書検索
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授業中に紹介する。 |
学生による授業アンケート結果等による授業内容・方法の改善について |
2016年度、新規に担当する科目であるため、前年度のアンケートは行なっていない。 |
関連リンク |
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